ビジネスパーソンインタビュー
moto著『WORK 価値ある人材こそ生き残る』より
「辞める理由」と同時に「残る理由」も考えよう。数々の転職経験から導く“一歩目”の考え方
新R25編集部
新卒で地方のホームセンターへ入社、リクルートやベンチャー企業などに転職を重ねながら副業を拡大させ、現在は3社を経営する起業家のmotoさん。
年収1000万円以上を稼ぐ会社員は聞いたことがありますが、副業で作ったメディア(転職アンテナ)を事業化して上場企業へ10億円で売却した会社員というのはかなりのレアケースではないでしょうか…?
そんなmotoさんの新著『WORK 価値ある人材こそ生き残る』が発売されました。
同書より“個の時代”の会社員の働き方について、一部抜粋してお届けします。読むと「今のままの働き方では、もったいないかも…?」と思えてくるはずです。
今回は「転職において大切な考え方」についてお伝えします。
「どこで働くか」より「どう働くか」
私が働く中で意識してきたことに「会社の看板に頼りすぎない」という点があります。
私が過去に在籍していた会社にリクルートという会社があります。
リクルートを退職した人を「元リク(元リクルートの略)」と呼んだりもしますが、あれだけの企業規模になった今では、元リクという呼び名もあまり耳にしなくなりました。
一昔前は「リクルートで働いていたなら優秀だろう」と期待されていましたが、最近では少し変わってきたように思います。
もちろん優秀な人もいると思いますが、一方で「リクルート」という看板にぶら下がって仕事をする人も増えているように思います。
たとえ同じ会社で働いていたとしても、「リクルートという看板を武器にして毎日作業していた人」と「看板を大きくするために泥臭い経験をしてきた人」では経験の差に大きな違いが出ます。
私の経験上、「どこで働くか」より「どう働くか」を意識することの方が大切だと思います。
もちろん、使える武器は使った方がよいですが、そこに頼った仕事ばかりしていると、作業しかできない人になってしまいます。
キャリアにおいて、社名を錯覚資産として活用するのは良いですが、結局あなたは何ができる人なのか?という点も語れるようにしておく方が、キャリアの選択肢は多くなる気がします。
会社の看板に頼り切った仕事をするのではなく、会社の看板と自分は別だと認識し、切り離して考えるようにしてみてください。
働く上で会社は利用するものです。
ですが、利用するあまり、寄りかかってしまっては自分の経験が積みあがっていきません。
今の会社の働き方を見直す際には「個人として、どう働くか」を考えるようにしてみてください。
転職活動は在籍しながらやる方がいい
私の経験上、転職活動は在籍しながらやることをおすすめします。
「在職しながらやると、面接などに行きづらくて…」という相談ももらいますが、本当に転職したいのであれば、有給を使って休んででも、在職しながら転職活動をした方がよいです。
私は3か月間、無職だった期間があります。
当時は営業をやっていたため“外回り”という名の空アポを入れて面接を受けていました。
しかし、自分の仕事が忙しくなると面接の時間を取れなくなってしまったり、外回りがない日にスーツで会社に行って「なんで今日スーツなの?」と上司に聞かれて焦ったりすることにストレスを感じていました。
いくら仕事の都合とはいえ、求人は待ってはくれません。
目の前の仕事も大切でしたが、それ以上に自分のキャリアの方が大切だ、徐々に思うようになってきました。
当時は転職エージェントをメインに使って転職活動をしていたため、転職の面接だけでなく、エージェントとの面談にも時間を割かなければなりませんでした。
「いい転職エージェントを見つければ、もっとたくさんオファーがもらえるんじゃないか…?」と思うようになり、転職活動にフルコミットする、という理由で会社を退職しました。
有給期間とはいえ、晴れて無職となった私は、全力で転職活動をはじめました。
退職した翌日からほぼすべての転職エージェントに登録し、多い日には1日6件の面談をこなし、「仕事をしていたらこんなことできなかったな」と充実感を味わっていました。
しかし、この勢いがあったのは最初の2週間ほどでした。
退職から1か月が過ぎた頃には面談数も徐々に減り、空白の時間が増えてきました。
おかわり自由のカフェに入って、朝から晩まで転職サイトを眺めて時間をつぶしたり、いつの間にかスマホでゲームをしていたりしました。
空いた時間が多ければ多いほど、不安に駆られ、謎の焦燥感に駆られていました。
転職活動を始めて1か月くらい過ぎた頃には、もはや危機感を覚えはじめていました。
「このままだと自分が望むオファーは出ないかもしれない…」
そう思い始めたときには、求人に妥協するようになったりもしていました。
在職中であれば、もっと強気に取り組めていたはずですが、後がないことから「転職すること」が目的になってしまっていたのです。
最終的には自分が理想とする求人に出会うことができたので良かったですが、私はこの経験から、転職活動は在籍しながらやる方がいい、と思うようになりました。
後にも先にも、会社を辞めて転職活動したのはこのときだけですが、転職活動は時間だけでなく「心の余裕」も大切です。
今の仕事が忙しい、ということを理由にせず、時間を作り出して行動してみてください。
自分の行動次第でキャリアは変わります。
転職を考える前に「現職でできることを考える」
私は転職を意識したときに「辞める理由」を考えると同時に、「今の会社に残る理由」も考えるようにしています。
これまで勤めている会社の環境がこれまでと大きく変わったときに「ほかの会社に転職しよう」と考えて行動することももちろん大切ですが、「今の環境において、どんなことをしたら会社の成長に貢献できるか?」ということも考えてみてください。
以前「コロナでリモート勤務になったから新規の営業に行けなくなった。コロナ前と同じ営業スタイルの会社に転職したい」という相談をもらったことがあります。
仮に、今までの会社のやり方とは変わってしまった、という理由で転職したとしても、コロナが長期化してリモート勤務が定着した場合、彼の役割は次の会社でもなってしまう可能性が高いです。
「状況が変わったから、転職しよう」と考えるではなく、「今の状況の中で、自分にできることはないか?」と考える力を付けることも、転職を考える上では必要です。
これは転職に限らず、働く上ではとても大切な力です。
「世の中や環境の変化に順応できる力」には大きな価値があります。
「対面でしか営業ができない」というこれまでの経験に拘るのではなく、自分なりに試行錯誤して新しい手法を見つける姿勢を持ってください。
環境のせいにして辞める理由を考えるだけでなく、今の環境で「残る理由」を見つけることで、新たなチャンス掴むこともできます。
市場で評価されるのは、成果ではなく、成果を出すために行ったあなた自身の行動から得た経験値です。
たとえ厳しい状況になったとしても、何をチャンスと捉え、どのような工夫をすれば乗り切れそうか、ということを自分なりに思考し、その結果をもって転職することも自分の価値向上に繋がります。
キャリアや市場価値の向上に「現職でやりきる」という選択肢もあることを忘れないでください。
motoさん「目の前の仕事に全力を尽くすことが、あなただけの価値に変わる」
WORK 価値ある人材こそ生き残る仕事が自然とやってくる状態を作るには「成果を出すこと」が大切です。どの会社からも必要とされる人材は、規模を問わず、必ず「社会から必要とされる成果」を持っています。
とmotoさんは言います。
「会社にキャリアを用意してもらう」とか「上司に給与を上げてもらう」という受け身の姿勢では、自分から仕事で成果を出しにいくことはできません。
「キャリアを自分で取りに行く」「給与は自分で上げにいく」という姿勢を持って、自分の市場価値を上げる働き方をすることがその第一歩です。
motoさんの思考について細かく書かれている『WORK 価値ある人材こそ生き残る』は、仕事への視座を上げ、まさに仕事を探す人ではなく「仕事に探される人」になるための一冊になっています。
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