ビジネスパーソンインタビュー
「電話がダメ」なんじゃなくて「使い方を考える」ことが大事
「これは、コミュニケーションの“お堀”になる」田端信太郎が電話代行サービスfondeskの便利さに納得
新R25編集部
若手に任されがちだけど面倒な仕事といえば、オフィスの電話取り。かかってくる電話をさばいているだけで時間が経ってしまい、自分の仕事がなかなか進まなかったりします。
うるる社が提供する「fondesk」は、電話対応を代わってくれたうえ、その内容をメールやSlack、ChatWork、LINEなどで知らせてくれるサービス。
電話を取る手間がなくなると、スタッフは仕事にちゃんと集中できるようになり、業務の生産性がぐっと上がるそうです。
とはいえ“代わりに電話に出てくれる”って、どういうこと? どんなメリット・デメリットがあるんでしょうか。
そこで登場いただいたのが、日頃から「電話嫌い」を公言しているこのお方。
【田端信太郎(たばた・しんたろう)】オンラインサロン「田端大学」塾長。NTTデータを経てリクルートへ。フリーマガジン『R25』を立ち上げ、創刊後は広告営業の責任者を務める。その後ライブドア、コンデナスト・デジタル、NHN JAPAN、LINE、株式会社ZOZO コミュニケーションデザイン室長に就任。2019年末に同社を退社。現在はベンチャー企業数社のマーケティングやPRの顧問に。著書に『これからの会社員の教科書』(SBクリエイティブ)など
フリーマガジン『R25』の立ち上げに携わり、LINEやZOZOで実績を残したうえ、昨年末にフリーランスになったばかりの田端信太郎さんです。
時代の先端をゆくビジネスパーソンとして、fondeskの便利なポイントをチェックしつつ、電話との上手な付き合い方を考えてもらいました。
対談相手は、株式会社うるるの脇村さんです
月1万円から利用可能。電話代行fondeskってどんなサービス?
田端さん
「電話代行サービス」って、昔からありますよね。fondeskはどこがすごいんですか?
脇村さん
fondeskは、月1万円(100件まで)から会社・事務所の電話受付を代行するサービスです。
自動音声対応や留守電などではなく、ちゃんと人が電話に出て、伝言を承ることで「やっぱり人が出ないと相手に失礼」といった罪悪感をクリアします。
脇村さん
受けた電話の内容は、Slack、ChatWork、LINE、などお使いのチャットサービスを経由してお知らせします。
リモート勤務や業務委託が多い会社でも、スタッフはどこからでも手軽に内容をチェックできます。リアクションも、Slackのスタンプひとつで済むわけです。
田端さん
でも、急にfondeskに切り替えたら、クライアントからクレームがあったりしないんですか?
脇村さん
月間3万件近くの電話を受けていますが、クレームは5~6万件に1件くらいしかないですね。
「そんなに少ないのね…」
田端さん
じゃあ、オンライン秘書サービスとの境目はどこですか?
たとえば仕事の依頼電話がかかってきたとき、ギャラや目的、納期などをヒアリングしておいてもらうことはできる?
脇村さん
「会社の住所を伝える」「間違い電話への対応」「休暇連絡」など定型文から3つまで返答パターンを選ぶことはできますが、基本的には、かかってきた電話に出て、用件を聞いて、折り返しの約束をするところまでのサービス。
廉価・高品質を保つために、それ以上のことはあえてやらないようにしているんです。
田端さんのツッコみにも、素直に答えてくれる脇村さん
fondeskの価値は「コミュニケーションの“お堀”」である…ってどういうこと?
田端さん
もうひとついいですか?
すべて留守電で受けておいて、先方のボイスメッセージがメール添付で送られてくるサービスがあるじゃないですか。
この手のサービスはfondeskの競合になると思うんですけど、そことの差は何ですか?
脇村さん
留守番電話ではなくて、「人が対応しないと失礼」という風潮はまだあると思っていて。
コストを割かずに人が電話対応してくれて、社内と同じ伝言をしてもらえるというのがfondeskの強みだと思っています。
田端さん
僕、その罪悪感がないんですよね(笑)。「連絡したくてしてるんだから、僕を捕まえるのも含めて仕事でしょ」って思っちゃう。
全然響かない様子の田端さんに、頭を抱えてしまった脇村さん
田端さん
ただ、話を聞いて思ったのは、営業電話がきたときに「ちょっと俺『いない』って言っといて」って頼む場面があるじゃないですか。
fondeskがそのワンクッションになってくれることは価値があると思うんですよ。
いい流れ到来か…!
田端さん
問い合わせの電話なら、いきなりかかってきて即座に答えるより、ワンクッション挟んで5分考えて答えることのほうが絶対に精度高いし。
ヒートアップしてる電話なら、あえてガス抜きのためにちょっと寝かすこともできる。
脇村さん
まさにおっしゃるとおりです。時間をおいて折り返すことで逆に内容がよくなるなら、じつはお互いにハッピーですよね。
田端さん
つまり「電話代行」というより「コミュニケーションのお堀」だ。
脇村さん
お、お堀……?
※田端さんは大河ドラマや時代小説がお好きです
田端さん
城のまわりに水を張りめぐらせて、敵が襲いにくくするアレですよ!
急にきた電話にキーパーソンが対応するって、殿様の前にいきなり忍者が現れるようなもんじゃないですか? 本人がうっかり出たら逃げられない。
でも、誰かがワンクッションしてくれたら、無駄な時間は過ごさなくて済む。
脇村さん
そういう意味ですか…なるほど。
ちなみにアンケートで分かったんですが、fondeskで受けている3万件のうち、本当に用事がある電話って5000件くらいしかないんですよ。
田端さん
「どうでもいい電話」「どうでもよくない電話」を判断できるだけで、かなり助かりますよね。
脇村さん
そうなんです。以前は「オフィスだと集中できないから、アイディア練るときはカフェに行く」という人が多かった会社にfondeskを入れたら、オフィスに人が居着くようになったって話も聞きます。
田端さん
電話の前に、ノックしてもらえる感覚ですよね。
僕、電話は嫌いですけど、電話自体が悪いとは思ってないんです。あらかじめ日程とアジェンダを設定してかける電話はむしろ話が早くて便利だし、直接会うよりテレビ会議の方が効率よかったりする。
相手の都合を考えずに電話してくる人がイヤなだけで、「LINEならイケてて、電話は古い」という話ではない。電話の使い方を考えることが大事なんですよ。
百戦錬磨のビジネスパーソン・田端信太郎が考えるfondeskの“広め方”
脇村さん
もっと多くのビジネスパーソンにfondeskを知ってほしいと思ってるんですが、マーケティング手法についてもアドバイスいただけますか?
田端さん
どんなサービスでも、メジャーになる最後の一押しって“恐怖訴求”なんです。
あまりやりすぎると品がないんですが…
田端さん
たとえば、「かかってくる電話に本人が出続けるなんて、ビジネスパーソンとしてはすっぽんぽんで歩いてるくらい無防備」と訴求するのはどうですか?
僕、最近は、携帯番号を教えないようにしてて。対応するのが面倒だから、知らない番号からかかってきた電話には、10年くらいほとんど出てないんですよ。
脇村さん
それは極端ですね。
(すっぽんぽん…)
田端さん
ただ、“電話無視”が通用するのはIT企業の多い渋谷の半径3キロメートル以内くらいだけ。
でも、fondeskが一次対応をしてくれるなら、こっちも安心して番号を教えられますよね。そういうニーズを打ち出せば、もっと広まりそうじゃないですか?
脇村さん
なるほど…!
田端さん
ほかには、「電話番号を出さないと信頼感が下がるよ(でも対応は代行できます)」っていうアピールが効きそう。
たとえば「電話番号を開示するのは信頼につながる」という仮説を立てて、アンケート調査をしてデータを発表するとか。
通販サイトでは、“お店の電話番号が書いてあるかどうかで購入率が違う”とかありえるかもしれませんよね。
脇村さん
それはありそう…勉強になります!
脇村さん
田端さんは、新R25読者のような若手ビジネスパーソンは、どうやって電話と付き合えばいいと思います?
田端さん
「電話番を頼まれたから適当にやる」っていう中途半端なのが一番もったいないですよね。どうせ電話を受けるなら、かけてきた会社のことを調べたり、先輩の受け答えを聞いて学んだりしたらいいんじゃないかな。
あとは、電話対応で自分の有能さをアピールする。僕にかかってくる電話でも「先方が怒ってるから大至急折り返してください!」なんて、簡単だけど有意義なメモを添えてくれる人には「こいつはセンスがあるな」って思いますよ。
「電話に出なくちゃいけない」という状況をリフレーム(※視点を変える、枠組みを変えること)して、なにかしら学びを得る努力をするのが大事でしょうね。
脇村さん
電話に対するカルチャーって、業種や年齢によってずいぶん違うんですよね。働き方をもっと合理化していくためには、電話との付き合い方を変えるのも大切な一歩だと思っていて。
まだまだ世代間ギャップがある世の中で、ひとつの解決策になるように、僕らはfondeskをつくったんです。
田端さん
そこって、もはや異文化コミュニケーションなんですよ。
日本人は、土足で畳に上がられると、心がざわつくじゃないですか。でも、海外の方々はそんな文化を知らないから、平気でやる。僕らだって異国に行けば、同じようなことを悪気なくやってるはずなんです。
田端さん
電話に対しても、それくらい文化のギャップがあると思う。ある人にとっては電話することが正義でも、ある人にとっては着歴がめちゃくちゃうざい。
「どっちが悪い」「どっちが正しい」とかじゃなくて、文化圏が違うんです。
脇村さん
どうすれば、お互いの文化をすりあわせできると思いますか?
田端さん
違いを理解して、受け入れ合うことじゃないですかね。まずは、お互いの価値観をあらかじめ説明しておく。
「僕は電話には出ないけど、留守電を聞いて内容を理解していますから」とか「つい鬼電しちゃうけど、着歴がいっぱいあってもあんまり気にしないでね」とか、自分の行動パターンや考えを先に言っておく。じゃないと「あいつ、なんで電話出ないの?」「あの人こんなに電話してきてストーカーじゃん」ってなっちゃうから。
脇村さん
確かに、宣言しておくだけでも尊重しあえそうです。
田端さん
価値観は違って当たり前。だからこそ、fondeskのようなサービスを使いながら、うまくそのギャップを埋めていけるといいですね。
電話やその周辺マナーは面倒に感じる場面も多いけれど、ビジネスを展開するためにはまだまだ必要なもの。
だったらうまく付き合うために、便利なサービスを活用したり、若手なら電話取りをするときのスタンスを変えたりするのがよさそうです。
この機会に、「コミュニケーションのお堀」がある快適さを体験してみてください!
〈取材・文=菅原さくら(@sakura011626)/編集=宮内麻希(@haribo1126)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉
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