ビジネスパーソンインタビュー
田端信太郎著『ブランド人になれ!』より
サラリーマンはギャンブルし放題。27歳の田端信太郎が気づいたブランド人の本質
新R25編集部
終身雇用制度のほころびが見えはじめ、「個の時代」という言葉がかなり浸透してきました。
定年まで約30年も時間があるR25世代は、会社の一員としてではなく、個人として社会へと向き合う必要があります。
ただ、一会社員である自分がどうやって、社会と向き合う力・考え方を得るのか。
新R25が2月にお届けする特集「自己プロデューサーに学べ!」では、自己プロデュースに成功した先輩たちの書籍から、自分の武器を見つけるヒントになる考えをお届けします。
今回取り扱うのは、NTTデータからキャリアをスタートさせ、リクルート、ライブドア、LINE、ZOZOなど数多くの有名企業を渡り歩いてきた田端信太郎さんの著書『ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言』。
2019年にZOZOを離れたあとも複数社の外部顧問として活躍を続ける田端さんは、どのようにしてサラリーマンからブランド人への進化したのか。
同書より、サラリーマンとしての個性を磨くためのヒントとなる部分を抜粋してご紹介します。
実はサラリーマンこそ、ギャンブルし放題
会社に飼われているサラリーマンであっても、ブランド人として社会に旗印を掲げることはできる。
独立してフリーランスになることが、ブランド人への唯一の道ではない。僕が実例だ。
僕がリクルートでフリーマガジン「R25」を立ち上げたのは27~28歳の若造時代のことだ。
年間予算規模約20億円での全く新しい企画だけに、いろいろな人が、プロジェクトの意義や実現性にイチャモンをつけてくる。
企画がズッコケれば多額の損失を会社にもたらすのだから、リスクを怖れるのは組織人として当然だ。
茨のハードルをクリアし、どうにかして自分の企画を形にするため、僕はほうぼうに根回しを重ねた。
事業化にあたって担当役員となったのは、現在、リクルートホールディングスの社長となった峰岸さんだ。当時は常務だった。
毎週、何度も峰岸さんから厳しくプロジェクトの進捗をツメられ、「田端!おまえはオマエのご両親の老後資金がこのプロジェクトに投資されるとしたら、賛成できるのか?」とまで言われた。
ここまで聞かれると、「売り言葉に買い言葉」と言わんばかりに「ええ!もちろん賛成です!」と生意気にハッタリをかますしかなかった。
「ここまで自信たっぷりに企画を通したのだから、『R25』が大失敗したらもうオレは会社にはいられないな」と思った。
だが、そこでハッと気づいたのだ。
おい待てよ、たとえ「R25」がズッコケて億単位の巨額の損失を出したところで、「給料を全額返還せよ」と迫られるわけではないじゃないか。
会社から多額の金銭を横領しているわけでもないし、事業失敗の責任を取って、昔の武士のように打ち首になることもない。
責任を取るといっても、せいぜい会社をクビになるくらいだろう。打ち首に比べれば、かすり傷だ。そのときは転職活動をし、次の職場を探せばいい。
サラリーマンではなく、フリーランスだとしたら話は別だ。
フリーランスが自ら立ち上げた事業に失敗すれば、貯金を切り崩したり借金をしたり、自分で全責任を負わなければならない。
僕は気が付いてしまった。実はサラリーマンこそ、ギャンブルし放題なのだ。
この記事を読んでいる君が今サラリーマンをやっているのならば、「会社の持っている資産を利用させてもらいながら、自分なら勝てるはず!と思うギャンブルに挑む」という最高すぎる特権を生かさない手はない。
個人としてスポットライトを浴び、一大プロジェクトを立ち上げたあと、万一プロジェクトがズッコケてしまったとしよう。
なーんの問題もない。次の日からまたキラキラした目をして出社すればいい。
「失敗したあのプロジェクトを手がけたのはアイツだぜ」と後ろ指をさされるくらい、どうってことはない。
悪意をもって会社に損失を負わせたわけでなければ、君の失敗は会社の財産になり、君自身の経験に変わる。
失敗や炎上を怖れて無難な仕事だけをこなす。可もなく不可もない人生を歩む。
これではあまりにつまらない。せっかく組織という強固な後ろ盾があるのだ。
「オレには失うものは何もない」と居直り、どんどんギャンブルしてしまえばいい。
「サラリーマンはノーリスク」という特権を利用しながら、君もブランド人としての箔を今日から重ねていこうではないか。
会社=財産の集合体。自分のために使い倒そう
新橋の焼き鳥店あたりで「部長の考え方っておかしいよな」「そもそもウチの会社はガバナンスがなってない」云々とくだまいている社畜オジサンたちは、今晩もお元気でいらっしゃるのだろうか。
仕事に関する愚痴を肴に酒を飲むアマチュアサラリーマンは、「ウチの会社」という主語をやたらと口にする。
僕にしてみれば不思議だ。彼らが言う会社とはいったい何を指しているのだろうか。社長なのか、経営陣なのか、個人筆頭株主なのか、部長なのか?課長なのか?社員なのか。
はっきり言って会社という集合体など、ただの概念にすぎない。もっと言うならば、会社を含めたすべての法人は、(もっと言えば国家ですらも)ただの共同幻想だ。
蜃気楼のような共同幻想のもとでがんじがらめになり、会社から自由になれない。
そんなアマチュアサラリーマンは永遠にブランド人にはなれない。会社は社員のために存在し、社員のためにインフラをふんだんに準備してくれる。
発想を変えれば、サラリーマンには自分のために組織を利用できる特権があるのだ。
君が出版社の編集者だったとしよう。君が本を作ったあと、営業部のスタッフは足を棒にして書店回りをしてくれる。
宣伝部のスタッフは、広告宣伝の手を打ってくれる。もし君がフリーランスであれば、これらの仕事をたった一人でやらなければならない。しかし出版社に勤めていれば、固定給をもらいながら、編集の仕事に専念できるように、営業や宣伝は他の社員が協力してくれる。
フリーランスの人間が彼らを雇ったとすれば、経費が莫大にかかる。そう考えると、会社とはすごい財産の集合体なのだ。
会社には「人材のインフラ」という側面だけでなく、「学校」や「レンタルオフィス」としての側面もある。
リクルートやP&Gのように企業文化がしっかりしていて、社内研修制度が整った会社で働けば、下手なビジネススクールに通ってMBAを取るよりも成長をとげることもできる。
名の通った人材輩出企業に勤務した経歴は、君というビジネスパーソンの品質保証になる。
また、君がフリーランスであれば、毎日どこで仕事をしようか頭を悩ますことだろう。居心地のいいカフェを探したり、シェアオフィスを借りてみたり。
しかし、会社であれば、君のデスクもパソコンも会議室も提供してくれる。これだけの多彩な価値をもつ会社が、自分の首を絞めているかのように錯覚して愚痴を言う。
上司や組織の悪口を言って、不毛な議論をループする。天に唾するように愚かな行為だ。
よほどのスーパーブランド人でない限り、たった一人だけで世の中にインパクトを与え、歴史に爪痕を残すことなんてできない。
組織の力、集団の力をうまく利用し、会社をアンプのように使うおかげで、君のギターソロは何千人、何万人に届くようになるのだ。
自分がかけたい曲をジュークボックスから探す。そのあとは、会社のアンプ機能を利用して、思いきり音楽を鳴らせばいい。
「会社なんてただの共同幻想だ」
「会社はオレのために存在する便利なインフラだ」
「会社がもつ便利な機能を思いきり使いきってやる」
このように発想を転換すれば、会社員としての君の生き方はガラリと一変する。
いっぱしのブランド人に成長するために、会社をフル回転で使い倒せ。
個人として名前を知られるビジネスマンになる!働くエネルギーをもらえる1冊
一歩抜きん出た仕事を成し遂げたい。行き先は険しいかもしれないけれど、興奮するような仕事人生にチャレンジしたい。
『ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言』は、そんな人々の背中を力強く押してくれる一冊です。
田端さんの言葉を胸に、ブランド人への一歩を踏み出してみませんか?
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