ビジネスパーソンインタビュー

転職者の6割は年収が上がらない。 “転職のプロ”が語る「年収が上がる転職パターン」6選

給与は会社の売上よりも高くは払えません。

転職者の6割は年収が上がらない。 “転職のプロ”が語る「年収が上がる転職パターン」6選

新R25編集部

2020/02/09

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「もう、転職したい!」

会社員なら、誰だって経験するであろうこの衝動。厚生労働省の調査によると、“新卒”の3年以内転職率は3割を超え、今や転職は当たり前といっても過言ではありません。

しかし、気持ち任せに転職した場合、年収が下がってしまうケースも少なくありません。失敗しないためにはどうすればいいのでしょうか?

5000人と面談してきた現役転職エージェントの山田実希憲さんは、著書『年収が上がる転職 下がる転職』のなかで、今より上のステージに行くための方法をレクチャーしています。

敵を知り、己を知れば、百戦殆からず。年収が上がる転職を実現するために、同書から「年収が上がる転職のパターン」について書かれた箇所を抜粋してお届けします。

【山田実希憲(やまだ・みきのり)】1979年生まれ。法政大学を卒業後、入社したリフォーム会社で10年が経過し、生き方と働き方のズレを感じたことから、30代で初めての転職活動を経験。そこで自らの経験や市場価値を客観視する重要性などを実感。理想とするキャリア構築を支援するべく人材紹介会社(東証一部上場)JAC Recruitmentへの転職を経て、現在はジェミニキャリア(ジェミニストラテジーグループ)で経営、組織、採用に関するコンサルティング、個人の人生経営・キャリア支援を提供。累計5000名を超えるビジネスパーソンの転職相談を受ける。著書に『年収が上がる転職 下がる転職』(すばる舎)がある

転職者のうち6割は年収が上がらない

転職して年収が上がった人、現状と変わらなかった人、下がった人の割合をご存知でしょうか。

厚生労働省が毎年発表している資料があります。その中の「転職入職者の賃金変動状況(平成30年)」では、およそ40%の人が年収が上がり、30%は変わらず、30%が減少したとなっています。

つまり、転職した人のうち60%が年収が変わらず現状維持か、下がっているということになります。

年収が下がるケースとして多く見られるのが、直前年収を基準としながら、転職先の会社での実績はまだ出ていないので今の年収よりも(10%以内程度)低く提示されるケースです。

企業にとっても人材にとっても、今までの経験が活かせるイメージを持ちやすいのは同じ業界、同じ職種での転職。

異業界への転職となれば、成果が出るかどうか読みづらくなりますので、年収を下げないために、同業界同職種での転職が多くなっているのが現実ですが、それでも若干低い年収が提示されることがあります。

また賞与支給のタイミングによって、一年目(初年度)だけ年収が下がるケースも多くみられます

内定時に提示される想定年収は今までと変わらない(現年収維持)のですが、入社して最初に迎える賞与はタイミングによって満額支給されないことが多いため、年収としてみると減ってしまうケースです。

給与支給日が月末締、翌月25日払いの会社に入ったため1ヶ月間無収入状態になってしまい、慌てて相談を受けたこともありました。

普通に転職しようとしたときに抜けがちなこうしたパターンを知っておくことで、望まずに年収が下がるというリスクを軽減できます

業界のビジネスモデルと給与水準はリンクしている

そもそも給与水準はどのように決まっているのかを見ていきましょう。

シンプルに言えば、給与は会社の売上よりも高くは払えません

会社として1億円を売り上げていて、メンバーが10人いて、かつ成果が均等である場合、一人あたりの売上げは1000万円です。この場合、全員に1000万円ずつ給与を支払っては、会社に利益が残りません。当たり前ですね。

会社の売上げ - 経費(給与、仕入れ、その他)= 会社の利益

1億円 - 1億円 = 0円

入ってくるお金(売上)と、出ていくお金(経費、仕入れ原価など)、残りが利益、が基本となる以上、同じ業界の利益構造は似てくるということです。

言い方を変えると、異業界の給与水準には違いが明確に出てきます。みなさんも、ボーナスの時期や、新卒採用が活発になる季節に「業界別の年収ランキング」を見たことがあると思います。

世代別にまとめているケースもあり、例えば40代の平均年収について

・1位 コンサル業界 1316万円
・64位 介護業界 401万円

と、実に3倍以上の差があります。

先に少し触れたとおり、給与水準は同じ業界内でも一律ではなく、差があるものではありますが、業界の違い・ビジネスモデルの違いによるそもそもの給与水準の差は大きいということをわかっておきましょう。

年収が上がる転職① オンリーワン採用

年収が上がる転職の仕方のひとつに、その会社に同じ経験を持った人がいない、「オンリーワン採用」があります。

現在の年収が業界の相場と比較して高いのか低いのか、といった物差しに影響を受けづらいのが特徴です。

採用側からすれば、その人材と経験を手に入れるためにコストを支払うという意識が強く働くためです。

例えば、ある会社が新規事業を立ち上げる際に、社内に経験者がいなかった場合。

社内の未経験人材が別事業を担当するよりも、すでに事業経験をしている人が立ち上げるほうが早く、再現性も高くなる、と想定されます。

必要な人材獲得のために、今の年収より下回るオファーは考えづらくなります

若手にもオンリーワン採用が期待できるケースもあります。社内にシニア層が多く、会社の未来をたくす人材がいない会社が若手の採用を行うケースです。

後継者がおらず廃業する中小企業が増えているなど、若年層の労働人口減が加速する日本においては、こうしたケースは今後も増加するでしょう。

とにかく今より高い給与をとりに行くという動機よりも、成果へのコミットこそが給与水準を上げていく最大のポイントであることを、努々忘れないようにしましょう

年収が上がる転職② ピラミッド採用

大きな組織を登り続ける目線から、登る山を変える「ピラミッド採用」を狙って年収が上がる人もいます。例えば上場企業での経験をもってベンチャー企業に移るなどのケースです。

会社のステージを上げていく際に、すでに先のステージにいる会社での経験を持つ人材が必要とされています。

辞める人が少ない、そして全員が部長や役員になれるわけではない組織から、ピラミッドを変えて、転職時に役職が付かなくても、役職者になる可能性が高いと見込んだ転職は、将来的な年収を上げる選択肢になり得ます

期待値が明確になっているという点に注目をして、自らがどう応えていくのか、入社後のイメージをしっかり持つことがポイントになります。

年収が上がる転職③ 経験延長採用

自分の勝ちパターンで戦える会社を選ぶのが、「経験延長型採用」で年収が上がる人です。

例えば、営業職でシニア世代に対する成約率が80%、若年世代の成約率が50%だった人がいたとします。

この人は、誰がどう見てもシニア世代への対応を得意としている、すなわち、それが勝ちパターンになります。

同じ業界で、これまでと同じような仕事を、自分の勝ちパターンでずっとやれるのですから、当然業績は上がります。そうすれば必然的に給与も上がるわけです。

この気づきは、自社以外の競合他社に目を向けることから得られます。自社と他社の違いは何か、優位性はどこにあるか、業界全体の中での立ち位置を知ることが必要です。

それらの情報を得た上で、自分の勝ちパターンに目を向けていきます。

年収が上がる転職④ 役職付き採用

役職に就くことで評価基準も自分の成績と、自チームの成績の2つの軸となることが多く、成果を残すことでリターンが大きくなって給与が上がります。

またもう一つ、マネジメントという役割に対して、リーダー給、役職手当といったプラスαが加算されるパターンがあります。

プレイヤーとしてキャリアを突き進む道がある一方で、組織全体の規模拡大をはかるための手段として、プレイングマネージャー(自らがプレイヤーとして結果を残しながら、自部門のメンバーの結果に対しても成果を求められるポジション)を求める採用もあります。

プレイヤーとしてだけでなく、メンバーへのマネジメントも担うことから責任の範囲が広くなるため、給与水準は上がる傾向にあります

年収が上がる転職⑤ 成長が見込まれる業界・会社を選ぶ

GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)や自動車配車アプリ「Uber」、宿泊施設を貸し出すプラットフォーム「Airbnb」など、流行りのビジネスは、業界・企業としての成長が見込めます。

給与は元となる売上がなければ払われませんが、元となる売上増が見込めるのであれば、年収が上がる確率も上がる、というわけです。

一方で、技術の進歩によって業界全体が一気に縮小してしまったビジネスもあります。

例えばフィルム業界では、デジタルカメラやプリントの技術革新によって、フィルムの売り上げは全盛期から比べて、たった10年で1/10まで減少しました。

10年前に比べて市場規模自体が縮小している業界で、給与水準を上げようとするには、自分自身の頑張りだけではなく、業界自体が生き残れるかどうかという環境にも立ち向かっていかなければなりません

年収が上がる転職⑥ スキルを掛け合わせ市場価値を上げる

一つひとつはありふれた要素でも、掛け合わせることによって大きな強みになることがあります

営業のキャリアを歩んでいた人が、海外で働く機会を得て、英語スキルが身に付いた時に、営業×英語コミュニケーションスキルというように「英語を使いこなす営業」という人材ができあがります。

私の場合は、建設不動産の職務経験に、人材紹介の経験が加わって、「不動産がわかる転職エージェント」が出来上がりました。

ときには、自分では思ってもみないことが自身の市場価値を大きく上げる要素になります。年収を上げる転職を目指す際に、是非確認したいところです。

転職を考える際に読んでおきたい一冊

自分の年収に不満があると「会社から評価してもらえてない」と捉えてしまいがちですが、「業界のビジネスモデルによる影響が大きい」という話を聞くと納得感があります。

本書ではこのほかにも、「転職」に対する考え方から、面接に役立つ細かいテクニックの数々まで、実用的な教えが多数収録されています。

人生は一度きり。転職の成功哲学を頭に叩き込んで、数少ないチャンスをものにしましょう!

転職を検討している人はこちらもどうぞ

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