ビジネスパーソンインタビュー
「ビルを増やす意識を持ってください」
アイドルからキャスターに転身。元SKE48柴田阿弥が語る「新天地で活躍するための5カ条」
新R25編集部
5月。新しい部署に配属されたり、転職したり…。「新天地」での日々が始まっている人も多いはず。
が、新しい場所ってプレッシャーもあるし、慣れてないし、いろいろツライですよね。そこで今回は、「新天地でも輝く人」に話を聞くことにしました。
【柴田阿弥(しばた・あや)】1993年生まれ。愛知県出身。2010年、「SKE48第4期生オーディション」に合格し、アイドルとして活動を開始。2016年にSKE48を卒業し、フリーアナウンサーに。現在『AbemaPrime』『けやきヒルズ』(AbemaTV)などに出演中
柴田阿弥さんは言わずと知れた人気アイドルグループSKE48を卒業し、現在ではフリーアナウンサーとして活躍しています。
すでに「原稿を読むのがうまい」「アベマの顔」とも言われており、アイドル時代以上に評価を上げつづける柴田さん。
新たな場所で活躍できるコツがあるのか? 生放送後のスタジオにお邪魔して、教えてもらいました!
「私、協調性がないんで」と話す(!)柴田さんの仕事術、必見です。
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
新天地で活躍する方法①「今までを否定しない。“ビルを増やす”意識を持つ」
天野
柴田さんはアイドルからキャスターに転身して、すごく評価されてますよね。今日は、その秘訣を教えていただきたいです!
まず、キャスターになった経緯を教えてもらえますか?
柴田さん
アイドルも、イヤになって辞めたわけじゃないんですよ。ある程度自分にできることができるようになって「新しいチャレンジがしたい」って思ったんです。仕事って、できないときが一番楽しいじゃないですか。
でも、それを言ったら「今辞めても仕事ないよ」とか「もったいない」とか散々言われまして。
天野
ファンの人にですか?
柴田さん
いや、会社の人とか、こう…友だちじゃないぐらいの“知り合い”とかにですね(笑)。親にも言われました。
天野
友だちじゃないぐらいの知り合い…リアルだ。
柴田さん
「この人アイドルやったことないし、同じ境遇じゃないのになんでそんなこと言えるんだろう」って思うんですけど、世の中そういう人のほうが本当に多い!
番組で見ていた通り、物怖じしない感じの柴田さん。さすがです
柴田さん
たとえば私が引っ越すとして、「その家賃高くない?」とか言うのおかしいですよね。生活のなかでどういうところにお金使うかって人によるじゃないですか。だから高いも何もないはず。
「私がたとえ失敗しようとあんたの人生に関係ない!」って本当に思ってました。
天野
「アイドルで活躍してきたのにもったいない」って意見に対してはどうですか?
正直、卒業するアイドルを見てて、「グループにいればいいのにな~」って思っちゃうこともあるのでききたいんですが…
柴田さん
それは、ビルをイメージしてもらいたいんですけど。
天野
ビル…?
柴田さん
「柴田」という会社がビルを建ててるんですよ。
今までは、「アイドル柴田阿弥」っていうビルが建ってた。
建築物でアイドルの卒業を説明しはじめた柴田さん。どう着地するのこれ?
柴田さん
「新しい仕事をします」「キャスターになります」っていうと、なぜかみんな「えっ! 前のビルは壊しちゃうんですか!」みたいなことを言うんです。
そんなわけなくて、前のビルはあるまま、新しいビルをどんどん建設していくみたいなイメージなんですよ。ビルの新館を。
私には「ステージに慣れてる」とか「ファンの方がいる」っていう、“前のビルのいいところ”があるから、その使えるところは使っていこう…って思ってるんです。じゃないともったいない。
天野
な、なるほど…
柴田さん
アイドルからキャスターっていう「転職」をして思ったんですけど、世の中の多くの人って、新しいチャレンジをすることを「更地にしてもう1回ゼロからビルを建てる」ってとらえすぎなんですよね。
だからこそ、転職とかチャレンジをあんまりしないんだろうなって。
すごい的確なたとえでした…
新天地で活躍する方法②「ピンチを越えると大きいチャンスがくると理解する」
天野
そしてキャスターに転身したわけですね。約2年という短期間で、ここまで活躍できているのはなぜなんでしょう?
柴田さん
最初のうちは失敗ばっかりだったんですけどね! 噛んだり、段取りを間違えたり…
しいていえば、今までステージにはずっと立ってたから、間違えようがなんだろうが、リアルタイムで対応するのには慣れてるんだと思います。
ピンチのときこそ力が湧いてくる感じがあるんですよ!
「アイドルのライブって、急に音止まるとか照明消えるとか、けっこうあるんですよ!」
天野
番組ではどんなピンチがあるんですか?
柴田さん
たとえば北朝鮮のミサイル報道があって、番組が全部飛んで“北朝鮮一本”になって、手元に何も資料がないけどつながなきゃいけないとか。
緊迫感があって、責任重大な場面なのでそもそものプレッシャーもすごいですし…
天野
うわ~テンパりそう…。そこで「力が湧いてくる」って思えるんですか?
柴田さん
そういうときほど視聴数多いのがわかってるからです(笑)。
人が見てるほうが力が出る。アイドル時代も「今日自分のファン多いな」って思うとパワーが出てました(笑)。
天野
視聴数!
柴田さん
仕事で、「これうまくいったら、大きいチャンス来そうだな」っていうときがあるじゃないですか。視聴数が多いときってピンチだけど、乗り越えたらチャンスがくるんですよ。
「どの仕事もつながっている」ってことを知っているので、そういうときこそグッと力を入れて頑張る。きっと、その“度胸”も込みで実績になるんですね。
天野
なるほど…! それはきっとどんな仕事でも共通することですよね…!
柴田さん
ピンチを乗り越えること自体がチャンスだっていう意識を持ってると、自分が成長してるのが“露骨に”わかるようになるんです。できることが増えるのがうれしくて、いいサイクルに入れるんですよね。
新天地で活躍する方法③「できないことはできないと言う」
柴田さん
あと、新しい場所にチャレンジするなら「自分ができないことはできないと言う」ことを意識したほうがいいかもしれないです。
天野
ほう…。柴田さんもできないことがあったんですか?
柴田さん
人付き合いが苦手なんですよ。仕事の打ち上げとか会食が2日続くとすごい消耗しちゃう。
番組改編期とかは飲み会が多くて、まわりには「この時期、そんなの普通だよ!」って言われてたんですけど、普通ってなに?みたいな。
天野
ただ、人付き合いがいいと仕事がくるって言うじゃないですか。
それこそ新しい環境に移ったばっかりだと、付き合いを頑張らなきゃと思いますよね?
柴田さん
いや、全然そんなことはなかったんです。「やることをやってれば、人付き合いでは決まらないんだな」って最近わかりました。
「できない」ってハッキリ言うと、思ってた以上にまわりの人が助けてくれるんですよね。
「そんなこと言えない」って思っちゃいがちなんですけど。でも自分が思ってることって、言わないと絶対わかってもらえないから「いかに早くできないって言うか」がポイント。
天野
そうか…新しいチャレンジをしてると「できない」なんて言いにくいけど、言うことで逆に働きやすくなると。
柴田さん
みんなができることをできない人もいる。でも「それと仕事のスキルは別だな」って思ったんです。
「“あの子キャスターになって変わった”って言われますけど、もともとめっちゃムリしてましたから」
柴田さん
「人付き合い断ったら、仕事なくなる」って私も思ってました。でも何かの本で「人間は、人付き合いで自分の時間の4分の3をムダにしている」って読んで、たしかに!って。
結果的に、自分の時間が増えて仕事に集中できるようになったから、いい循環ができるようになったんです。
新天地で活躍する方法④「“内容が頭に入るように”読書をする」
天野
ほかにも、新しい環境で活躍するためにしたことはありますか?
柴田さん
今まで読まなかったビジネス書を読むようになりましたね。
今だと、月10冊ぐらい。読めてたときは月に15~20冊ぐらい読んでました。
天野
そんなに読んでるのか…
柴田さん
でも量じゃなく、「どれだけ頭に入れられるか」だと思ってて。
付せんを貼りながら読んだり、同じテーマの本を複数読んだりしてます。「EU離脱」について理解したかったら、そのテーマの本を何冊も読んで、繰り返し出てくることを覚えるんです。
あと、読んだ本の内容をツイッターに書くようにしてます。そうすると内容が定着しますね!
天野
最近そうやって勉強できてないな…。反省します。
ちなみに、読む本のセレクトの基準ってありますか?
柴田さん
基本的には「知らないことを正しく知りたい」ので、エビデンスベースの本を読むようにしてます。
あと、「最近行動力が落ちてきたな」って思ったときは、いわゆる自己啓発的な本を読む。この前『ブランド人になれ!』(幻冬舎刊、田端信太郎著)も読みました。ああいう本はテンション上がるのがすごく大事ですよね。
田端信太郎さんに伝えておきます
新天地で活躍する方法⑤「耳の痛いコメントからも学ぶ」
天野
さっき番組収録を見てて驚いたんですけど…
スタジオのガラスの外側にファンの方がたくさん観にきてて、終わったあとそこに手を振ったり、紙にメッセージを書いて見せたりしてましたよね?
(※取材はAbemaTVの収録場所で、生放送後に行われました)
柴田さん
そうですね。それはキャスターになった当初からしてました。
アイドル時代からのファンの方が来てくれるので、紙に「ありがとう」って書いて見せたりしてますね。
天野
やっぱり今でもファンの方との交流を大事にされてるんですね…
柴田さん
そうですね! でも、あったかい意見だけ見てたらダメだと思ってて、ツイッターをエゴサーチしたり、AbemaTVのコメント欄を見たりするようにしてるんです。
天野
そうなんですか? わざわざネガティブな意見も見ると。
柴田さん
ファンの方からって「あやちゃん今日もかわいいです」みたいなコメントしか来ないので(笑)。
普通はうれしいことだと思うんですが…
柴田さん
それだけ見てても成長がないですからね!
『AbemaPrime』の自分へのコメントを見てると「何が言いたいかわからない」みたいな辛らつなのが結構あって…
でもそれを見て、「うまく話せないのは、自分の知識に自信がないからだ、それならこういう本を読もう」とか、さっき話したようないろんな行動につながっていくようにしてるんです。
天野
耳の痛いフィードバックを受けて、今日お話しいただいたような努力にまた還元していくと…素晴らしいサイクルが完成している…
柴田さんが語る「新しい環境で活躍する方法」は、ストイックな面はあるものの、「できないことはできないと言う」など、あくまで“自分の軸”を明確に持ったうえでのビジネスハックでした。
最後に柴田さんに、次はどんな“新天地”に行きたいのか?ときいてみると…。
「新しいステージに行くチャンスって、目の前のことをやってたらある日突然来る…みたいな印象があるんです。そのチャンスは不思議なことに、自分のレベルに応じて来るものなの。今それが来てないってことは、『まだここで頑張れ』ってことなんだなって思ってます」
とのこと。あくまで背伸びせず、目の前の仕事に真摯に成長を続ける柴田さん。こりゃあ評価が上がるのも納得ですね!
ちなみに柴田さんはTwitterで、「#あや読」というハッシュタグをつけて、読書ログを投稿しています。気になった方は要チェックですよ。
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=池田博美(@hiromi_ike)〉
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