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NHK見てないのに、なぜ受信料払わなきゃダメなの? 裁判の争点をわかりやすく解説!

男性は2006年からの未払い分を支払うことに

NHK見てないのに、なぜ受信料払わなきゃダメなの? 裁判の争点をわかりやすく解説!

新R25編集部

2017/12/28

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NHKを見なくても、受信料の支払いは“義務”

12月6日、NHKが受信料の支払いに応じない男性に対して起こした裁判で、最高裁はNHKが定めた受信料制度を合憲(違法性はない)」とする判断を示した。

今回の裁判は、2006年にテレビを設置した後、「偏った放送内容に不満がある」と受信契約を拒んでいた東京都内の60代男性に対し、NHKが契約締結や未払い分の支払いを求めて2011年に提訴したもの。

NHKは、これまで未契約者に対する同種訴訟を約300件起こしているが、最高裁が判決を出すのは今回が初のこと。

この判決により、NHKが公共放送としての“お墨付き”をもらった形になるが、約900万世帯もいるという未契約者からの受信料徴収にも影響を与えることとなりそうだ。

今回の裁判の争点をくわしく解説する!

「NHKを受信できる機器」を設置すれば、その時点で契約を結ぶ義務が発生するという判決に

そもそもNHKとの契約は「放送法」というもので定められており、第64条には以下の文が書かれている。

“協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない”(放送法第64条第1項)

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC0000000132&openerCode=1#347

つまり、「協会(=NHK)の放送を受信できる受信設備を設置した人」は、NHKと契約をしなければならないと定められているのだ。この「受信設備」はテレビだけではなく、チューナー内蔵パソコンやワンセグ対応端末も該当する。

法律上はそれらが自宅に置いてある時点で、NHKを視聴していなくとも受信契約を結ばなければならないという判決が出たのだ。

憲法が定める「契約の自由」に反するのでは?→公共放送は「知る権利」を守るためにも必要

今回、裁判の争点はいくつかに分かれている。まずは上で述べた放送法が、憲法が定める“契約の自由”に違反するのではないか?という点だ。

男性側は「放送法の規定は強制力のない努力義務。強制を認めているとすれば憲法の保障する『契約の自由』を侵害する」と訴え、一方のNHK側は、契約が結ばれていたとしても自由に解約できることから「放送法は合憲」と主張。

これを受けて最高裁は、以下のような判決を下した。

契約を強制される結果になることが憲法に違反するのではないかという点については、NHKには公共放送として国民の知る権利に応える重要な役割があるとしたうえで、テレビを設置しただけで契約を締結して受信料を徴収できるしくみについても、「NHKに特定の個人、団体又は国家機関などから財政面での支配や影響が及ばないようにするために(つまり公共性を保つために)必要な措置なので合理性がある」などとして、憲法に違反しないと判断しています。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11352

「契約の自由」だけでなく「知る権利」も憲法が定める大切な国民の権利。それを守るためにも公共放送であるNHKは必要だと判断したようだ。

契約成立の条件は「裁判で契約の承諾を命じる判決が出る」こと。未払い世帯すべてからの回収は不可能

ニュースでは「受信料制度は合憲」と報じられたため、「これでほかの未払い世帯も勝手に契約成立になるのか」と思った人がいるかもしれない。しかし、そうではないよう。

NHK側は「受信契約はどの時点で成立するのか?」という点について、「受信機を設置した時点で自動的に成立する」との主張を展開していた。だが、それに対し最高裁は「裁判で契約の承諾を命じる判決が確定すれば成立する」としたのだ。

すなわち、NHKが未払いの人に対し裁判を起こし、判決で裁判所から「契約しなさい」といわれた時点で契約が成立するということ。

未払いの約900万件それぞれに裁判を起こすことは現実的ではないため、今後NHKがすべての未払い世帯から回収するのはほぼ不可能となった。

「受信機を設置したときから」の未払い分を支払う義務がある。男性は約20万円の支払いをすることに…

さらに、裁判ではほかにも重要なポイントがあった。裁判で契約が成立したとして、「未払い分はどこまでさかのぼって支払わないといけないの?」という点だ。

じつは、放送法には肝心の「支払いの義務」については書かれておらず、さらにいうと、罰則も一切ない。そのため、双方の任意の協力によって成り立つ「努力義務」を求められる。

この点について裁判では、NHK側が「受信機を設置したときから支払い義務が生じる」と主張したのに対して、男性側は「契約が成立したときからだ」と反論。

最高裁は「同じ時期に受信機を設置した人との間で受信料に差が生まれるのは公平ではない」として、NHKの主張(受信機を設置した時点から)を全面的に認める形に。これによって男性は、テレビを設置していた2006年からの未払い分、約20万円の支払いを義務付けられることとなった。

「公共放送」を掲げ、有意義で必要な番組を届けるNHKに対し、「そうではない」と考える層がいるからこそ起きた今回の裁判。

パソコンやタブレットの普及によりテレビを持たない人も増えているため、今後はより一層NHKのあり方が問われることになるだろう。

〈文/東田俊介〉

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