ビジネスパーソンインタビュー
麻野耕司著『NEWSALES―新時代の営業に必要な7つの原則』より
あなたは「買わない方がいい」と言える営業か? これから求められる「ストーリー営業」とは
新R25編集部
無理矢理売り込んだり押し付けたりする営業に、そろそろ限界を感じている…そんな営業担当者もいるのではないでしょうか?
無理に営業しなくても、顧客から「会いたい」「買いたい」と言われて受注率を急伸させる方法があるなら、ぜひ知りたいですよね。
その方法が書かれているのが、株式会社ナレッジワーク代表取締役・麻野耕司(あさの・こうじ)さんの新著『NEWSALES―新時代の営業に必要な7つの原則』(ダイヤモンド社)。
同書より、顧客から断られなくなる「ストーリー営業」について一部抜粋します。
この記事はこんな人におすすめ(読了目安:5分)
・なかなか受注できない新米の営業担当者
・やり方をアップデートしたいベテラン営業担当者
・営業担当の成果をより上げたい責任者
「ストーリー(物語)」で顧客を魅了する
そもそも顧客はなぜ、商品・サービスを買うのでしょうか?
それは、「願望の実現」のためにほかなりません。
願望の実現とは、言い換えれば「こんな状態になりたい」「こんな問題を解決したい」といった願いを叶えるということです。
人が商品やサービスを買うまでの意思決定を分解すると、次のようなステップになります。
NEWSALES―新時代の営業に必要な7つの原則①理想
自社や自分の理想の状態を思い浮かべる
②課題
理想と現状の差を認識する
③価値
課題を解決するために、商品・サービスによって実現しなければならない効果を認識する
④方法
その価値を生み出すため、最適な方法として「買う」ことを選択する
マーケティングの世界には「ドリルと穴」という考え方があります。
顧客はドリルそのもの(方法)を買いたいのではなく、ドリルを使って開けた穴(価値)を買いたいのだ、という考え方です。
それも、顧客は突然、壁に穴を開けたくなるわけではありません。
NEWSALES―新時代の営業に必要な7つの原則「こんな家を造りたいと思い浮かべる」(理想)
「壁にラックを立てたいが、ラックをはめる穴がないと気付く」(課題)
「壁に穴を開ける道具が必要だと気付く」(価値)
「穴を開けるためにドリルを買いたいと思う」(方法)
この流れに合致した際、初めてドリルを買うのです。
これからの時代に求められる営業とは、「このドリルはこんなに性能がいいんですよ」と売り込む「プロダクト営業」ではなく、「どんなことにお困りですか?」と聞く「ソリューション営業」でもありません。
顧客と共に理想の家を描き、そこに必要な穴を見つけ、最適なドリルを提示するような営業です。
「理想 → 課題 → 価値 → 方法」のストーリー(物語)を顧客と一緒に組み立てられる営業を、「ストーリー営業」と本記事では呼びます。
理想や課題を提案して「ストーリー営業」を実現する
「ストーリー営業」で最初にすべきことは、顧客が抱くであろう「理想」や「課題」を、商談の冒頭で営業担当者が伝えられるようにしておくことです。
商品紹介の資料があるなら、その冒頭に「顧客が目指すべき状態(理想)」と「顧客が抱えがちな問題(課題)」を記載しておくといいでしょう。
「理想 → 課題 → 価値 → 方法」という仮説を事前につくり、それを顧客に投げ掛けて、顧客と一緒に物語を紡ぎ上げていくのが、「ストーリー営業」です。
例えば教育研修の営業なら、「教育研修の投資対効果が最大化している状態」を「理想」として定めます。
その上で、「研修で学んだことが現場で活かされていない状態」を「課題」に据え、「参加者に研修の内容が深く落とし込まれ、現場で実践できる」ことを「価値」として提示します。
その上で、そのために必要なのが「双方向の議論の場を提供する教育研修プログラム」という方法だと提案することが「ストーリー営業」です。
「売らない営業」になれるか
あなたが、顧客の理想の実現を手助けするような営業ができているかを判別する一つのポイントがあります。
それは、顧客に対して次の一言が言えるかどうかです。
「御社は、この商品・サービスを今は買わない方がいいと思います」
顧客と一緒に「理想」を描き、「課題」を見つけて、「理想」と「課題」のギャップを埋めるための方法を考えていく。
これを実践していれば、時には自社の商品・サービスが顧客の理想実現や課題解決にそぐわないケースも出てきます。
そんな時、「買わない方がいい」と伝えることができるかどうか。
顧客の「理想 → 課題 → 価値 → 方法」という一連の物語に寄り添うことが「ストーリー営業」です。
「ストーリー営業」を極めるなら、物語がマッチしない場合には営業担当者が自ら、それを伝えるべきでしょう。
本当の意味で、「ストーリー営業」を実践できるようになれば、あなたが顧客から断られることはなくなります。
なぜなら、顧客にとって必要ではない商品・サービスの場合には、断られる前に、営業担当者が売り込みを見送るからです。
ドクターは患者に、服用する必要のない薬は処方しません。
同じように、優れた営業担当者は、顧客にとって必要のない商品・サービスを売り込んだりはしません。
「ストーリー営業」を極めるなら、定期的にこう自分に問いかけてみましょう。
「これまで自分から、顧客に導入の見送りを提案した案件はいくつあっただろうか」
“ダサくてウサンくさい営業”から脱却できる一冊
NEWSALES―新時代の営業に必要な7つの原則これまでの営業「OLD SALES」には、「精神論重視でダサい」「お金の話ばかりでキタない」「口八丁手八丁でウサンくさい」といったネガティブなイメージがつきまとっています。
しかし、これからの時代に求められる「NEW SALES」は、こうした既存のイメージとはまったく異なります。
真逆と言ってもいいでしょう。
麻野さんが「企業に成長を、個人にやりがいを届けたい」という想いで書いた同書は、古い価値観から脱却した、これからの時代の営業メソッドを学べる一冊。
成果ややりがいにつながらずモヤモヤしている営業担当者は、ぜひお読みください。
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