ビジネスパーソンインタビュー
堀江貴文著『疑う力』より
社会的には不要になった制度が、惰性で残ってるだけ。現代の「結婚制度」を疑え
新R25編集部
たびたびSNSで議論を呼び起こしている堀江貴文さん。
タクシー運転手や新幹線のマナーなどに対して持論を展開し、ネットニュースになることも日常茶飯事。
ただ、そんな堀江さんの根底にある哲学はただひとつ。
常識を疑え。
「みんながやっているから」と思考を停止させず、どこまでも食い下がり、考え抜く癖を持つことが、まわりに差をつける力になるそうです。
そのメッセージが詰まった書籍『疑う力』から、堀江さんが「おかしいと気づくべき」常識を2記事でお届けします。
結婚は楽しい人生を邪魔する障害でしかない
結婚は人生最大の不良債権。
そう言い放った人がいる。家族・親族とのしがらみ、マイホームや車のローンといった不良債権を「損切り」できたとき、人はどれほど自由になれることか。
かく言う僕も、実は若いときに一度の結婚歴があり、子どももいる。
結婚生活はうまくいかず、妻とは離婚して子どもとはその後一度も会っていない(もちろん親としての責任をとり、養育費はちゃんと支払っている)。
20代、30代と年を重ねるにつれて、「結婚しないの?」といちいち質問してくる奴に遭遇する機会もそれなりに増えるが、あまりにもウザい。LGBTの人だっているのだし、人にはそれぞれの事情というものがある。
結婚を人生のデフォルトと決めつけるのはどうかしている。
結婚したらしたで「子どもは?」とセクハラしてくるし、子どもが一人できたらできたで「二人目は?」とまたセクハラしてくる奴もいる。
子どもが欲しくて不妊治療をがんばっている人だっているのだし、流産や病気のせいで子宝に恵まれないカップルもいる。経済的な理由で子どもをつくれない家庭だってあるし、たんに子どもが欲しくないカップルだってたくさんいる。
社会的にとうに不要になった制度
そもそも、なぜみんなそんなに結婚したがるのだろう。
たとえば30歳で結婚して80歳まで生きるとしたら、丸50年間もたった一人の人間を生涯のパートナーとしなければならない。
若い頃はいろいろな人とつきあったり別れたりしていたのに、ある日突然、自由恋愛をスッパリやめて一人のパートナーと独占契約するなんて無理がある。
韓国ではちょっと前まで「姦通罪」なんていう犯罪があり、不倫をすると法的に罰せられた(さすがに2015年に廃止された)。
日本にはそんな罪はないのに、芸能人が不倫なんてしようものなら、「凶悪犯罪」でも起こしたかのごとく、寄ってたかって集団リンチする。
一夫多妻制の国なんていくらでもあるのだし、大正天皇の時代まで皇室には側室制度が公然と存在した。かつて政治家やセレブはお妾さんを何人も囲っていたものだ。
僕らだって、自分が置かれている立場や環境によって、時間を共有したい相手は変わってくる。人生のパートナーをたった一人に絞る必要なんてなく、その時々、ファジーに入れ替えればいいのだ。
極論を言えば、結婚は楽しい人生を邪魔する障害でしかないとすら思う。
子どもが成人するまでの20年間、かいがいしく世話を焼き、多額の養育費や教育費を引き受ける。
パートナーの実家に定期的に帰省して、神経をすり減らしながら義父母のご機嫌取りなんかをしてみせる。親が高齢化したら面倒をみなければならないし、葬式や墓の問題だってある。
こんな大変な思いをしてまで家庭をもちたいとは、まったく思わない。駄々をこねて泣き叫ぶ子どもを毎日のようにどなり散らしている親がいるが、あんな地獄絵図は願い下げだ。
僕にとっては、「友達の子ども」くらいの距離感がちょうどいい。たまに会う程度なので、思いきり優しくしてあげられる。
どうしても子どもが欲しくなったら、里親制度に登録して身寄りのない子どもを引き取るという選択肢だってある。
「結婚する人が減れば少子化が進む」という指摘もおよそ的外れだ。結婚しようがしまいが、子どもは生まれてくるものだ。
子育て世帯へのインセンティブを官民挙げて強化し、生まれた子どもに対する扶養義務をきちんと法制化すれば、少子化に歯止めをかけることは可能だ。
そもそも結婚(一夫一妻)制度とは、産業の主体が農業だった時代につくられたものだ。
先祖伝来の田畑を「長男に相続させる」という明確なルールを徹底させなければ、別の人間に農地が譲られて土地が細分化したり、耕作放棄地(荒地)になってしまったりするから、年貢を徴収するにあたって効率が悪くなる。
放っておくとモテ男に複数の女の子が集中してしまい、非モテ男があふれるため、「一夫一妻制」をつくって、長男が必ず結婚できるようにしたのだ。
農業人口が少なくなった現代に、このような結婚制度はまったくそぐわない。社会的にはとうに不要になった制度が、惰性で残っているだけなのだ。
あるとき「結婚するより家事代行サービスを頼んだほうが、コスパがいいですよね」と、なれなれしく話しかけてくる奴がいて、さすがの僕も驚いてしまった。
そいつは男だったが、「結婚=家政婦を雇うこと」くらいにしか思っていないのなら、その主張は間違っていないだろう。
「家事=奥さんにやらせておけばいいもの」という、悪気のないマッチョイズムが、日本社会ではいまだにはびこっているのかもしれない。
子どもを生まない自由、子どもを育てない自由があってもいい
僕は子どもが嫌いなわけじゃない。というか、僕には離婚歴があって息子が一人いる。デキちゃった婚だったのだが、結婚生活はどうにも僕になじまなかった。
東大在学中に起業してからというもの、僕は社長業をこなしながら朝から晩まで無我夢中で働いていた。仕事に没頭することが自分のミッションだと思っていたので、家庭中心の生活とは縁遠かったのだ。
会社でのポストを投げうって子育て中心の生活にシフトする人もいるし、一国の首相になってほどなく、6週間の産休をとって公務を休んだツワモノもいる(ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相)。
わが子の成長を見守るのは、驚きと感動にあふれて飽きることがない、という考えもわかる。事実、僕も自分の子どもがとても愛おしかった。
しかし、子育てに仕事の時間を奪われるのは耐えがたい苦痛だった。だからベビーシッターや家政婦をフル活用する、ラクな子育てを提案してみたのだが、元妻は感情論でそれを却下した。
一時期、土日だけは仕事をまるっと休んで育児に集中したこともある。子どもを風呂に入れたり、献身的にオムツを替えるのは重労働だった。
子どもは愛くるしいが、知能は未発達なので、スムーズにコミュニケーションをとるのは難しい。どちらかというと「一人の人間」というより、「動物」に近い感覚だった。
子どもと対等なコミュニケーションがとれるようになれば、「子育て」にも全然違った面白さがあるのかもしれない。
しかし、子育てに関する考え方が決定的に違っていたこともあって、子どもが2歳になる前に妻とは離婚した。
子どもを生み育てることを、手放しで礼賛する風潮はおかしい。一人暮らしをしている人や、子どもがいないカップルを、社会的欠損のようにみなすバカもいる。
そもそも、子どもを盲目的に「社会の宝」だと信じて疑わない人たちはおかしい。
人々に迷惑ばかりかけるヤバい大人が、世の中には掃いて捨てるほどいるけれど、彼らも、もともとは子どもだったわけだ。
クソガキがそのまま大きくなったような大人を見ていると、子どもは資産どころか負債なんじゃないかとすら思う。
あの手この手で「子ども最高」「子育て最高」の価値観を押しつけるのは、やめてほしい。授乳期の母親はよくマタニティブルーになるし、24時間態勢で子どもの面倒をみなければならない。
睡眠時間を削り、仕事や趣味に割く時間なんてまったくないなか、それでも子どもを生み育てることが「人間の責務」だとは、僕は思わない。
子どもを生まない自由、子どもを育てない自由があってもいいんじゃないだろうか。
疑う力を身につけることで、社会の生きづらさをなくしていこう
マナーや慣習を守り、空気を読む。
日本人にとっては当たり前のようにおこなっていることも、堀江さんからすると生きづらさを助長しているそうです。
最後に、『疑う力』の巻末にある堀江さんからのメッセージをご覧ください。
『疑う力』「常識」はいつだって、僕たちの自由な思考を縛ろうとする。この事実をスルーしてはいけない。鈍感になってはいけない。
「それっておかしくね?」と、気づける人にしか、大きなチャンスはやってこない。
これだけは「疑いようのない事実」と、最後に言っておきたい。
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