人材紹介業者は、求職者をダマすことも

転職で年収が下がる人の特徴は? 求職者が失敗する典型パターンを転職の専門家が解説

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就職して数年経つと、誰でも頭をよぎる「転職」の2文字。

しかし未経験だと、「自分の希望は単なるわがままでは?」「転職したら年収は下がりそう…」など不安は山積み。

そんな人のためになる書籍があります。転職市場の生態系を知り尽くした小林毅さんが、キャリアと年収を上げる戦略を詰め込んでいる『転職大全』です。

今回は本書より一部を抜粋し、年収が上がる転職と下がる転職の特徴についてご紹介します。
【小林毅(こばやし・たけし)】人材コンサルタント。外資系ヘッドハント会社を経て、2010年にホライズン・コンサルティング株式会社を設立。法務系人材を中心に約11年、延べ4400人の相談、サポートをおこない、日系大手企業、ベンチャー企業、外資系企業の採用支援にも従事。2013年より厚労省認定「職業紹介責任者講習」講師として、人材紹介事業者に対する法定講習を延べ2000社に対しおこない、不健全と言われる人材業界全体のボトムアップに尽力している。著書に『転職大全』(朝日新聞出版)、『成功する転職「5%」の法則』(自由国民社)がある
※こちらの書籍では、転職活動をリアルに理解してもらう意図で、下記の空想の人物2名が対話する形式で構成されています。
久間真司さん(仮名)
30歳男性。大手製造業で営業職。最近会社の業績不振で転職を考えている。

永楽圭佑さん(仮名)
50歳男性。転職経験4回、大手企業、ベンチャー企業、外資系ヘッドハント会社を経て独立起業。「成功する転職」の啓蒙活動に力を入れている。
永楽:まず、この質問に答えてください。今の自分の立ち位置を理解することができます。
Q1 あなたは自分の強みを知っていますか?(Yes or No)
Q2 転職マーケットを取り巻く環境を十分把握していますか?(Yes or No)
久間:えっと、Q1はNoですね。自分の強みが何かとは言えないですよ。今はただ言われた仕事をこなすことで精一杯ですからね。

Q2は、ある程度知っていますね。どの情報を見れば仕事が探せるか、割とわかりますよ。

永楽:この図で判断すると、cで依存型になります。
多くの若手人材は大体ここに分類される傾向にありますね。

多くの手段を通じて転職活動を始め、面接に進むことができるけれども、実は評価されているのが「若さだけ」というパターンです。

しっかりと自分軸を持っていないと、十分に経験を積むことができず、やがて唯一の武器である若さを失ったとき、混乱型のdゾーンに突入してしまいます。

久間:たしかにわかりやすいですね。私は現在30歳ですから、cゾーンにいてはいけないということですね。

永楽:ついでに言えば、中堅からシニア層になると、bゾーンの直感型が多くなる傾向です。

このカテゴリーにいる人の特徴は、仕事で実績を上げているという自負があるので、自分をありのままに出せば評価が得られるはず、という強い思い込みを持っています。

でもそこに欠けているのがマーケット感覚、いわゆる、自分が売れる人材なのか?という判断軸です。

典型例は大手企業出身で早期退職した人。彼らは学歴もありプライドも高いので、自己評価通りの結果が出ないことに、とても苦しい想いをしています。

久間:自分の直感のみを信じて、転職マーケットのことを考慮しないと大変なことになってしまいますね。

永楽:そうです。何事も計画を立てながら進めていくことが大切で、行き当たりばったりで成功できるほど転職は甘くないのです。

転職希望者、求職者は、自分がキャリアダウンする、という自覚に欠けています。

転職後初めて自分がキャリアダウンしていることに気付き、何とか取り戻そうともがき苦しんでいる。そのような現象が頻発しています。

転職でキャリアアップできる人とできない人の違い

久間:キャリアアップとかキャリアダウンという話はやっぱり気になります。

でも、人それぞれに捉え方があると思います。仕事のために自分や家族を犠牲にすることがキャリアアップとは思えないのが正直なところです。

永楽:おっしゃる通りですね。人それぞれの働き方があるのは当然です。

一方で自己満足だけでなく、他者からの評価も大切です。自分の理想の働き方を追求するためには他者評価を無視することはできません

他者から評価されていないということは誰からも必要とされていないということ、すなわちお金が稼げないということです。

故に、理想だけでなく現実も意識しなければご飯が食べられない、ということになります。

久間:自分が取り組んできた仕事が、実は評価されない、という結果も有りうるということでしょうか?

永楽:そうですね、自分が長年取り組んできた仕事が、時代の変化とともに評価されなくなることは歴史が証明しています。

時代の変化に対して、自分が対応できるだけのアンテナは張っておく必要がありますね

人の価値は自分だけが決めるのではなく、他者評価によっても決められるという感覚が転職マーケットでは大切です。

久間:転職市場での他者評価が得られるとは具体的にどう考えればいいのでしょうか?

永楽:簡単に言えば書類通過率が高い人ですね。多くの企業で「ぜひ会いたい」と思わせる人、たとえば、経験豊富(成功・失敗事例を多く持つ)、スキルが高い(経歴、学歴、保有資格、語学など)、仕事で結果を出している人などですね。

いずれも、成功期待感が感じられ、求人企業に変化を与えてくれる人と捉えることができます。

久間:そうすると、時代の変化に気づくこともなく、ただ現状が嫌だから転職したいという人たちがキャリアダウンするということになりますか?

永楽:それだけではありません。自分が置かれている状況なども影響してきます。たとえば、この図を見てください。
転職は「キャリアアップする転職」「キャリアを戻す転職」「キャリアダウンする転職」「キャリアダウンし続ける転職」の4つのパターンしかありません。

これは人材紹介をやっているコンサルタントなら、いつも必ず頭に浮かぶ図です。今回の相談者はどのカテゴリーに入るかな、と考え、それに合ったサポートをしていきます。

キャリアダウンの原因は悪質な人材紹介業者にあるかも?

久間:へぇ、面白いですね。これは求職者と面談するとわかることなのですか?

永楽:大体わかりますね。面談したときの印象とヒアリングで、この相談者はどのパターンで転職活動をしているのかな、といつも考えています。

その都度思うのが、準備不足な人が多いなあ、という感覚です。

久間:そうですか。準備不足の人が転職活動をしてしまうと、一体どのようなことが起こってしまうのでしょうか? 

よく、人材紹介会社には騙されるな、という話を聞くのですが、ここに紐づくのでしょうか?

永楽:グッドクエスチョンですね! これが、人材紹介会社が怪しいとされる要因のひとつなのです。

たとえば、この4つのカテゴリーの中でどの転職が紹介会社にとって簡単なサポートなのかわかりますか?

久間:えー、そうですね、たぶん、「キャリアを戻す転職」のサポートではないでしょうか。

先ほどの話だと、条件が悪くなっている求職者の足元を見るので、転職に妥協的な人が多く当てはまるから、簡単なのではないでしょうか?

永楽:なかなか鋭いですね。たしかに指摘していることは当たっています。

しかし、一度落としたキャリアを元に戻す作業となるので、マイナスからゼロに戻すことは結構大変そうに感じませんか?

久間:あ、そうだ。たしかにこれはしっかりとした自己分析と理由付けなどが必要になってきますよね。そうすると、うーん、ちょっとわからなくなってきましたね。

永楽:では答えを言うと、「キャリアダウンする転職」が一番サポートしやすいのです。たとえば100万円のダイヤを80万円にすると買い手は付きやすいですよね? 

それは元の価値よりも安く売りさばくからですが、「キャリアダウンする転職」も同じ構造と考えるとわかりやすいと思います。

いい人材を安く雇うことができれば、買い手はうれしいですよね。

久間:たしかにそうですが、「キャリアダウンする転職」をあえて求職者が選ぶとは思えないですよ。それはどう考えればいいですか?

永楽:そう、普通に紹介したら選ばないので、求職者が自分の価値に気づく前に、転職を目的化するよう情報操作するのです。

簡単に言うと、自分に合った仕事に気づく前に、数多くの仕事を紹介し、転職モードへと誘導します。場合によっては「噓をついて求職者を騙す」ということもします。紹介会社に騙されるな、というのはまさにこのことを言っているのです。

紹介会社は求職者を転職させて初めて売上が立ちますから、このような現象は日常的に起こっているのです。

久間:えー、それってとても怖いことですよね! そんな理不尽なことをして許されるのでしょうか?

永楽:監督官庁からの指導もあるので、そのようなことをする紹介会社はいずれ淘汰されるでしょう。

しかし、いくら紹介会社が淘汰されたとしても、自分自身の失ったキャリアはなかなか取り戻せないですよね?

突き詰めて考えると、最終的に転職すると決断したのは本人だから、自分の下した決断に責任を持つことが大切です。

他人のせいにしても仕方がない、すべてこの世は自己責任という強い気持ちを持つことです。

久間:自己責任かぁ、厳しい現実ですね。でもなかなかしっくりこないですよ。情報操作までして紹介して、人の人生を台無しにすることはやっぱりダメなことですよ。

永楽:その通りです。だから人材紹介会社はたくさん潰れるし、転職コンサルタントの多くが短期で辞めています。

人材紹介会社は、毎年1000以上の新規申請がありますが、同数廃業しますし、転職コンサルタントは、ヘッドハント会社で3ヶ月〜6ヶ月、その他紹介会社も3年くらいで辞めていきます。

どの商売でも、人から恨まれて続けることはできません。こんな粗い紹介スタイルをしていれば、当然二度とこの紹介会社を使いたくないと思いますし、コンサルタントと会いたくないと思うでしょう。

そして、あのコンサルタントはひどかった、と噂され、結果、業界で仕事が続けられなくなるのです。

転職する前に読んでおきたい本

転職大全

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転職市場の実態を赤裸々に語っている一冊。“大全”というタイトルの通り、転職にまつわるあらゆる事象が丁寧に解説されています。

はっきりと自分のキャリアプランが見えていないのであれば、読んで損はないでしょう。

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