ビジネスパーソンインタビュー
神社というインフラに迫る
実はコンビニより多い。神社というインフラから考える日本の「はたらくWell-being」
新R25編集部
パーソルグループは昨年、一人ひとりの“はたらくWell-being”にみんなで向き合い、共に考え、行動するオンラインコミュニティ「はたらくWell-being Lab.」を開設しました!
「はたらくWell-being Lab.」には、年齢やセクシャリティはもちろん、働き方や職種も多様なメンバーが集まっています。
「はたらく幸せ」を、いろんな角度から考えるために。
「はたらくWell-being Lab.」では、ゲストをお迎えして“はたらくWell-being”を実現するためのコツを紐解いていくトークイベントを開催しています。
私たち日本人にとって、もはやそこにあるのが当たり前な「神社」と「Well-being」には関係がある!? ということで、こちらの記事では東京都台東区にある「小野照崎神社」の神職、小野 亮貴さんをお迎えしたトークイベントの様子をお届けします!
(聞き手:柴山由香)
昭和56(1981)年、東京都生まれ。 國學院大學神道文化学部で神職資格取得後、小野照崎神社にて神職として奉仕。 國學院大學 非常勤講師
日本各地に約8万社! 神社はコンビニより多かった
柴山
小野さんは、ご奉仕されている小野照崎神社(おのてるさきじんじゃ)のご祭神である小野篁卿(おののたかむら)や小野小町、小野道風、小野妹子の子孫にあたるということなのですが…。
小野さん
はい。末裔の神職家として、代々この小野照崎神社にお仕えをしております。
柴山
(マジだった…!)大変に由緒正しいお血筋の小野さんですが、小野照崎神社で色々な試みをされていると聞いています。
新しいお守りの開発や、毎月変わる色やデザイン、印刷方法までこだわったご朱印を企画されているとか…。
小野さん
そうですね。現代では、様々な要因で自宅に神棚がある家が少なくなって、日常と神様や神社というものがだんだんと離れてしまっているように思います。
コロナ禍で顕著だったように、時代とともに生活様式も少しずつ変化して皆の“普通”が変わっていきますから、それに合わせた適切な話法や信仰の形態を提案していくことも大切なお役目だと思っています。
私は、神社というインフラをもっと身近に感じてもらって、もっと活用してほしいと思っているんです。
柴山
神社という、インフラ…。
小野さん
そうです。
いわゆる「インフラ」と言われるものは、交通や通信、電気、ガス、水道などですよね。
私たちの生活に欠かせないコンビニも現代のインフラのひとつとも言われていますが、日本には約5.7万店ものコンビニエンスストアがあるそうです。
(日本フランチャイズチェーン協会2023年統計より)
それに対して、神社やお寺はどのくらいあると思いますか?
柴山
え、えっと…。
小野さん
神社はコンビニの約1.5倍の約8万社、お寺は約7.6万社あるんです。
(文化庁2023年統計より)
柴山
そ、そんなに多かったんですね…!
小野さん
そうなんです。神社やお寺は、日本が誇る立派なインフラなんです。
では、神社は何のインフラか?というと…神社は、日本を繋ぐこころのインフラ、今回のお話でいうと、日本のWell-beingのためのインフラでもあるんです。
Well-beingは、“Well(よい)”と“Being(状態)”が組み合わさった言葉で、「よく在る」 「よく居る」状態、心身ともに満たされた状態を表す概念です。つまり、 Well-beingは身体的・精神的・社会的にも持続的に良好な状態を指します。
ちなみに、柴山さんは自分の為のBeingな時間を持てていますか?
柴山
お、おお…。(この人ヤバイ)
小野篁卿は実在した歴史上の人物で、昼は朝廷で働き、夜は冥界で閻魔大王の副官を務めたという伝説のある、学問・芸術・芸能・仕事の神様。小野さんのご先祖もヤバイ…!
神社は、日本のWell-beingのためのインフラ
小野さん
このWell-beingを考える上で、大切になるのが「Well-doing」です。
「Being」は、感じることやプライベートなど、無意識に習慣的に時間を過ごしたり、自分を知る活動です。それに対して、「Doing」は、考えるとかWorkする、つまり目的を持って時間を過ごしたり自分を高める活動です。
我々は、ついやるべきことに追われて、日常をDoing(行動)で埋めてしまいがちだと思うんです。
柴山
確かにその通りです…!
小野さん
自分のWell-beingのかたちは 自分が一番知っているはずなのに、日々のDoingの嵐で見失ってしまうんですよね。
何かを行うDoingに対し、Beingは“感じる”こととも捉えられます。
“Don’t think , feel !” 「考えるな、感じろ!」という言葉もあるように、常に何かをしてしまいがちな私たちが大切にしたいのが、この“感じる”力なんです。感じる力は「五感を使う」とも言われますよね。
そして、この五感を、最大限にfeelできるオススメの場所があるんです。
柴山
そ、そこは…。
小野さん
それは…森です!
柴山さんは、「全集中の呼吸」を、ご存知ですか?
柴山
も、森…。全集中の、呼吸?
小野さん
「全集中の呼吸」は『鬼滅の刃』に出てくる呼吸法で、肺に酸素をたっぷり取り込み、血液中の酸素濃度を高め、一瞬にして高い集中力と身体能力を手にすることができると言われています(笑)
要するに、森のような自然が溢れる場所で深い呼吸に集中してみると“感じる”アンテナである五感が働いて、元のフラットな状態の自分(Being)に戻れるんです。
柴山
あ、何だか見えてきました! 森、呼吸…、つまり神社ですね!?
小野さん
そうです。近くに森がない方でも、神社に行けば大体緑があって季節の花が咲いています。
神社は、安心して深呼吸をして本来の自分に戻れる場所なんです。
桜が咲き乱れる小野照崎神社:東京都台東区
柴山
なるほど! 神社とWell-beingの関係がわかってきました!
小野さん
お参りとは、 神様を「感じて」 自分の心を「観じる」ことです。
鎮守の杜の中で手水をとってお清めをして、深い呼吸で心身を整えた上で お参りすることで、元の素直でフラットな自分に立ち返ることができます。
柴山
私、会社を立ち上げてから、やたらと神社にお参りするようになったんです。
それって、日常の中で色々考えすぎたり、立場に囚われすぎているからフラットな自分に立ち返りに行っていたのかもしれないと今、気がつきました。
小野さん
そうですね。しかも、お参りは、繰り返すことで上手になるんです。
最初は「頑張ります!お願いします!!」という気持ちでお参りしていても、繰り返していくうちに「いつも有難うございます」とか「この前こういうことがあって…」というように、神様との関係性も変化をしていきます。
何せ、全国に8万社ありますからね。Well-beingな日々を送るために、神社というインフラを活用しない手はないでしょう?
手を合わせる機会を増やすことで、何度も自分の考えていることを心の中で言語化しますから、自分の“こころ”の形が見えてくるんです。
日常から少し離れて手を合わせ、神様を感じて自分の心を観じてみてください。
「はたらくWell-being Lab.」では、今後もみんなではたらく幸せに向き合い、つながる場をつくっていきます。
4月23日に開催する「はたらくWell-being Lab.」スペシャルイベント「自分主体の『ワークライフバランス』とは?」 の申し込みはこちらから!
<執筆=柴山 由香 写真提供=小野 亮貴・池田 実加>
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