ビジネスパーソンインタビュー

【半年ガチ受講企画】テックキャンプは本当にスキルが身につく? 卒業した寺田有希に確かめてみた

600時間の学習をやりきってもらいました

【半年ガチ受講企画】テックキャンプは本当にスキルが身につく? 卒業した寺田有希に確かめてみた

新R25編集部

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2021/11/15

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堀江貴文さんの推薦により、ホリエモンチャンネルMCの寺田有希さんにプログラミングスクール「テックキャンプ」を半年にわたって受講してもらうという大型連載企画。

見事挑戦をやりきり、最後には堀江さんからもお褒め(?)のお言葉をいただきました。

さて、今回この企画の発端になったのは、「本当に使えるスキルが身につくの?」「講師のスキルレベルが低いのでは?」といったテックキャンプについてのウワサ。

最後にその真偽について、寺田さんに単刀直入に聞いてみました。

〈聞き手:渡辺将基(新R25編集長)〉

渡辺

まずは半年間にわたるテックキャンプのプログラミング学習、お疲れさまでした!

正直言っていいですか? 僕、無理だと思ってました。

寺田さん

え、そうなんですか!?

渡辺

そもそもこの企画は我々と堀江さんが発案したものじゃないですか。

寺田さんが元々「プログラミングを学んでみよう」と思っていたわけじゃないですし。

それにこの企画が始まるとき、僕にこっそりメッセージを送ってきましたよね?

途中でヘタるかもしれません」って。

寺田さん

送りましたね(笑)。

渡辺

ちょうどオンラインサロンとか自分のYouTubeチャンネルも始められたタイミングだったので、僕も「たしかに今はキツイよな…」と思ってました。

…まあ最悪ヘタれても、「それはそれでコンテンツとして面白いかも」という悪い気持ちもありましたけど(笑)。

寺田さん

うわぁ…そんなこと思ってたんですね。危なかった~~!

無事に完遂できてなによりです

オリンピックが“地区の選抜大会”に。寺田さんのプログラミングへの距離感の変化

渡辺

すごく素人な感想になりますけど、堀江さんに最終課題の発表をしたとき、「非同期通信」とか「デプロイ」みたいな用語やフレームワークの名前が寺田さんの口から自然と出ているのに感動しました(笑)。

寺田さん

エヘヘ(笑)。

照れる寺田さん(かわいい)

渡辺

それを見て、「寺田さんのなかでプログラミングが身近なものに変わっているんだな」と思って。

未経験者からすると、プログラミングって数学と英語が混ざったようなイメージで、自分とは遠い存在に感じると思うんですよ。

その距離感はだいぶ変わりましたか?

寺田さん

変わりましたね。

オリンピックだと思っていたけど、地区の選抜大会くらいまでは近づいたと思います。

渡辺

ぐっと身近になってる。

寺田さん

「オリンピックってすごいな」と思ってるだけじゃなくて、「クラブチームに入って、こういう大会に出て、これだけ成績を残せばオリンピックに出られる可能性がある」という道筋が見えた感覚です。

渡辺

なるほど。すぐに思い通りのものがつくれるようになるわけじゃないけど、そこに向かうイメージができるようになったんですね。

カリキュラムはわかりやすいが、ただ丸暗記してもダメ

渡辺

では、ここから実際に「テックキャンプ」のウワサの真偽について、寺田さんに伺いたいと思います。

渡辺

まず、カリキュラムはどうでしたか?

寺田さん

カリキュラムは「基礎」「応用」「発展」「最終課題」とフェーズがわかれていて、最後に集大成として「既存アプリの追加実装」か「オリジナルアプリ制作」という課題があります。

「基礎」は本当に簡単で、用意してあるHTMLとかCSSを書き換えたり並び替えたりするだけでホームページがつくれるようになってるんですよ。

だから最初はめちゃくちゃ楽しいんです!

「私、プログラミングできるわ」って!

渡辺

最初で挫折しないように、あえてハードルを下げてるんですかね?

寺田さん

そうだと思います。

でも、最初はカリキュラムの“答え”がすべてだと思っちゃって。それらを大量の紙に書いて暗記する勉強法をしてしまったんです…

堀江さんから「バカじゃないの?」と一蹴されてしまった、悲しい努力の結晶たち

寺田さん

最初はそれでなんとかなってたんですけど、学習が進んで「自分で考えて動かしてみてね」という段階になったときに、「あれ?習ったやり方をそのままやっても動かなくない?」ってなったんですよね。

渡辺

これまで暗記してきたことが通用しないと。

寺田さん

そうです。

そこで「プログラミングって正解は1つでもないし、自分で答えを見つけていかなければならないんだ」と悟ったんですけど、すぐにはうまくできなくて、苦しい沼にハマってしまってました。

思ったとおりに動いてくれない…なんで!?」「エラーがずっと消えないのはどうして?」みたいに。

渡辺

沼ですね…

寺田さん

まずはじめは、「よくわからないけど、たくさんの武器を渡されてる」みたいな感覚なんですよ。

しばらくは、とにかくそれらを引き出しに入れていく期間。

ただ、「今までは武器を引き出しに詰める期間だったんだ」「どの武器をいつ使うか、自分で考えて戦っていかなきゃいけないんだ」と気づくのが、最後の最後なんです。

渡辺

知識が血肉になる瞬間を体感できるのは、最後の最後なんですね。

寺田さん

そうです。だからこそ、言わせていただきたいんですが…

正直、テックキャンプをやり切ったからといってプログラミングが完璧にできるようになるわけではないです

渡辺

おお…そういう率直な意見もぜひ聞きたいです。

寺田さん

「テックキャンプのカリキュラムができた、わーい!」だけで終わってしまったら、何も残らないんだろうなって。

テックキャンプで習うのは、プログラミングで実現できる機能のほんの一部。

実際にエンジニアとして活躍したいと思ったら、この機能を実装するには何が必要かということを「いかに自分の頭で考えられるか?」が問われると思います。

渡辺

「どれだけ自分の中で知識が整理できているか」がポイントなんですかね?

寺田さん

そうですね。

私自身ももう少し早くそれに気づいて、覚えることに注力するのではなく、自分のなかで教わったことを整理していればよかったなと思います。

ライフコーチからいいプレッシャーがかけられる教育環境

渡辺

忙しいなかで半年間続けるのはかなりしんどかったんじゃないかなと思いますけど、寺田さんは毎日どのくらいの時間勉強していたんですか?

寺田さん

最低でも1日3時間はやってました。

カリキュラムは計600時間。それを半年間にならすと週に23時間以上も学習しないといけないので、1日4〜5時間くらい学習する日もありましたね。

渡辺

すごいな… 途中で何回か試験みたいなものも受けてましたよね?

寺田さん

はい。「基礎」フェーズには試験があって、「応用」「発展」フェーズでは課題をクリアしないと、次に進むことができないようになってるんです。

しかも事前に半年間のプログラムが組まれていて、「この日までにこの試験に必ず合格してください」みたいなことが決まってるから、そこから逆算してカリキュラムに取り組まないといけないんですよ。

渡辺

かなりマッチョなカリキュラムですね…

それについていけなくてスケジュールが遅れてしまうことはなかったんですか?

寺田さん

どの試験も決められた期日までに終えることはできたし、最終的にはたぶん3週間ぐらい早く終わりましたね!

渡辺

すごい。

それって、テックキャンプさんの何かしらの仕組みのおかげで達成できたんですか?

寺田さん

学習進捗を管理をしてくれるライフコーチと定期的にオンライン面談があって、「どうですか? ちゃんと進められそうですか?」と聞いてくれるんです。

普段は親身になって相談に乗ってくれるですけど、「寺田さん、この日までにテスト受けてくださいね」ってポロッと言うんですよ、笑顔で!

それは「わかりました…」って答えるしかなさそう

渡辺

適度なプレッシャーが与えられる環境なんですね。

寺田さん

そうですね。でも、ポジティブなプレッシャーなんです。

「寺田さん、前倒しでやって本当すごいです!これならテスト余裕で受かっちゃいますね!」みたいな(笑)。

渡辺

「余裕で受かっちゃいますね」とか言われると、「落ちたら恥ずかしい」って気持ちになりそうですね(笑)。

寺田さん

うまいところですよね~!

やっぱり「平均よりは上位の成績で終わりたい」とか「優等生でありたい」みたいな欲ってあるじゃないですか。

そこをうまく刺激されるので、頑張っちゃうんですよ。

ライフコーチの手のひらで踊らされてる寺田さん

「知識の補完」「適度な競争意識」があるチーム学習体制

渡辺

テックキャンプの「挫折せずにやり切れる仕組み」として、チームで学習進捗を共有するというものもありますよね。

やはり、同時期に始めるメンバーがいると刺激になるものですか?

寺田さん

なりましたよ! 当初はチームのなかで私が一番進行が遅れてて、早い人と2週間分くらい差がついてしまっていて。

やべ、私もやらなきゃ」というプレッシャーとやる気をくれましたね。

渡辺

メンバー同士で学習する機会もあるんでしたっけ?

寺田さん

カリキュラムにはチーム学習があって、定期的にアウトプットを発表する時間があります。

テックキャンプは「問題点を言語化する」という点を大事にしていて、「今はここでつまずいてて」とか「これを書いたんですけど、うまく動かなくて」みたいなことも共有するんですよ。

そうすると自分の脳内が整理されるので、すごくありがたかったなと。

※夜間スタイルの場合は任意で、チーム内で集まってチーム学習を実施しています

渡辺

発表のための言語化で自分の課題がクリアになったんですね。

寺田さん

あと、私の場合はまわりの人の進捗が早かったから、その人たちがアウトプットしてくれたことが予習になってましたね。

向こうからすると私が話したことは復習になっていたと思うので、2回勉強できてる感はありました。

寺田さん

あと、講師の方に教えてもらったことも共有してました。

悩んでいる人がいたら、「講師の方からめっちゃいいこと聞いたんだけど…」って、情報共有すると、自分の理解度も上がるんですよ。

渡辺

それ、いいですね。チーム内でどういうコミュニケーションをしているのかリアルにイメージできました。

学校みたいに、みんな同時に始めているからこそ学びを共有しあえるというメリットもありそうですよね。

寺田さん

そうですね。

それに「誰々さん最終課題終わりましたよ」「テスト合格しましたよ」みたいな情報が入ってくると、ちょっと燃えます(笑)。

渡辺

「励まし合い」と「競争意識」のバランスが絶妙なんですね。

講師は親切で丁寧だが、学習が進むにつれて自走させる仕組み

渡辺

テックキャンプさんは「講師のスキルレベル」が話題に上げられることも多いですが、そこはどうでしたか?

寺田さん

知識にバラつきはなかったと思いましたが、教え方は人それぞれだったと思います。

だから、その方との相性の良さは出てくるかもなと。

渡辺

話し方とか伝え方の差ですかね?

寺田さん

そうですね。でも前提として、みなさんすごく丁寧で、とにかく褒めてくれます。

すごいですね!もうここまで考えたんですか!」「こういう考え方、なかなかできないと思いますよ!」「それで、どこがエラーだったんですか?」みたいな(笑)。

寺田さんはノセやすそう

渡辺

以前取材したときに、テックキャンプはスキルよりコミュニケーション能力重視で講師の方を採用していると言ってましたね。

寺田さん

やっぱり! エラーの相談をしたときも、「みんなここつまずくから大丈夫です! だからこういう考え方したらいいと思いますよ」みたいにサポートしてくれるんですよ。

あと、必ず終わったあとに「ありがとうございました」って挨拶してくれて。それが徹底されているのもすごいと思いました。

渡辺

講師の方には、悩んだらいつでも質問できるんですよね?

寺田さん

そうですね。ただ、カリキュラムが進んでいくと聞ける頻度が減るんですよ。

最初のころは「5分わからなかったら聞いてください」と言ってくれるのに、応用フェーズになると「15分わからなかったら聞いてください」に変わり、その後には「本当に無理なときだけにしてください」って(笑)。

最後の「オリジナルアプリ制作」のときには質問すること自体ができなくなってしまったんですけど…そこは正直、質問させてもらえたほうがうれしいなと思いました。

渡辺

なるほど。カリキュラムとしては、どんどん自分で考えさせられるような仕組みになってるのか…

寺田さん

そうです。最後のほうはとにかく自分で考えぬかないといけないんです。

それでも、「本当にわからない…」ってなったときにだけでも頼ることができるのはとてもありがたかったですね。

普通わからないことがあったら、プログラマーが集まるサイトで質問するか、プログラミングができる知り合いを探して相談しないといけないので。

「もっと“そもそも論”から教えてほしい」受講したからこそわかるテックキャンプの改善点

渡辺

逆にテックキャンプを受けてみて、ここは改善してほしいなと思うところはありましたか?

寺田さん

そうですね…

技術的な知識だけじゃなくて、そもそも「なぜこれをやらないといけないのか?」という上位概念についてもっと教えてほしかったなと思いました。

渡辺

上位概念?

寺田さん

そもそも論」って言ったほうがわかりやすいですかね。

私、メンターさんに質問して、「ああこれはホント聞いてよかったな」と思ったことがあって。

私が理解に苦しんだ、「パラメーター」に関することなんですけど…

■パラメーターとは?

(パラメーターは)情報を行き来させるために入れる箱みたいなものです。

たとえば、このワイヤレスイヤフォンをネットショッピングで購入したとします。そうすると、これ自体も商品の箱に入っていて、さらにこの商品が段ボール箱に入って自宅に届くじゃないですか。パラメーターは、商品を届けるための段ボール箱みたいなものです。

情報もそうやって、マトリョーシカのように入れ子構造になって管理されていて、たくさんの箱に入って行き来しているんです。

https://r25.jp/article/945869224900184620

寺田さん

パラメーターが箱だということは理解できたのですが、まだ箱の構造までを把握できていなくて…

そこで「いつ・どこで・どのようにしてパラメーターの段ボールがつくられているのか」というそもそも論について教えてもらったことがあるんですよ。

それを聞いたとき、「なるほど〜!パラメーターはこういう役割があって、ここにこういうことを書く必要があるのか!」って理解して、そこから自分でも納得しながらコードが書けるようになったんですよ。

渡辺

なるほど。テックキャンプのカリキュラムでは、そういう考え方をあまり教えてくれないんですか?

寺田さん

少なかったですね。

カリキュラムでは、「ここにこれを書きます」「そしたらパラメーターの中にこれが入っています」みたいなことをすごく丁寧に教えてくれるんです。

ただ、実際に自分で0からアプリをつくるときには、カリキュラムと同じコードを書いても動かすことはできません。

そこで“そもそも論”について教えてくれていたら、もっと自分で想像してアレンジできるような知識になっていたはずなんですよ。

寺田さん

だからこそ、「なぜこれをここに書くのか?」みたいなモヤッとした疑問をもっとメンターさんに聞けばよかったなと後悔しています。

それをするかしないかが、テックキャンプの学習を有意義なものにするか否かの分岐点なのかなと思います。

渡辺

それ、“テックキャンプの使い方”として、すごく有益なアドバイスですね…

今後カリキュラムを改善していくうえで、テックキャンプさんにとっても参考になる意見だと思います。

「プログラミングがわかるお姉さんになりたい」寺田さんの今後の展望

渡辺

堀江さんとの対談で「ここでやめちゃうのはもったいないと思っている」という話がありましたけど、今後はどうプログラミングに関わっていきたいですか?

寺田さん

まず純粋に、せっかく理解できるようになったから、これがわからなくなることがもったいないって思ってます。

プログラミング技術ってiOSが更新されるのと一緒で、どんどん日々更新されていってしまうんですよ。

渡辺

自分が理解できる知識が時代遅れになってしまうのはもったいないですよね。

寺田さん

そうなんです。だからこそ、無駄にならないように勉強は続けていこうかなと。

寺田さん

あと、今プログラミングが義務教育になったじゃないですか。

友だちの子どもが生まれはじめてて、小学校に上がった子とかもちらほら出てきたんですよ。

そんな子たちが「プログラミングがわからない」ってなったときに教えられるお姉ちゃんになりたい(笑)。

渡辺

勉強を教えてくれる親戚のお姉さんみたいな?

寺田さん

プログラミングって新しい学習科目なので、教えられない大人が多いじゃないですか。「パパ教えてよ」って言われても、「お、おおう…」ってなっちゃいません?

渡辺

困りますね(汗)。

寺田さん

それを教えられる人になりたいなっていうのが、今のささやかな夢です(笑)

渡辺

いいですね!

今回の企画でプログラミングとは縁遠かった寺田さんがテックキャンプに挑戦する姿を見て、たくさんの方が「自分でもできるんじゃないか」と勇気をもらえたと思っています。

寺田さん

よかったです…ぜひこれを活かして今後も頑張っていくので、新R25さんもこれっきりで見捨てないでくださいね!(笑)

渡辺

もちろんです! またぜひ“その後”も取材させてください。

半年間、本当にお疲れさまでした!

テックキャンプの気になるウワサ”についてマコなり社長に直撃してからスタートした、半年間にわたる検証企画。

寺田さんが苦しみながらも成長する過程を見て、プログラミング学習やテックキャンプのリアルを追体験することができました。

寺田さんがテックキャンプで身についたのはプログラミングのみならず、「問題に対してどうやって解決にたどりつくか」というロジカルな思考。

これはまさに「正解がない時代」に求められるスキルです。自分をバージョンアップさせるために、ぜひあなたもプログラミングを学んでみませんか?

〈取材・編集=渡辺将基(@mw19830720)/文=福田啄也(@fkd1111)/編集アシスタント=山田三奈(@l_okbj)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉

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