ビジネスパーソンインタビュー
「ヤバいこと言ってやろうか? 俺じつは…」
広告業界の革命児・三浦崇宏が「流行りのコンテンツを見る必要はない」と話す理由とは?
新R25編集部
「新R25ワイドショー」がリリースされました。
これは「ビジネスパーソンの知見が集まるスマホ版ワイドショー」をコンセプトにしたサービスで、構想から約1年近くかけて開発を進めてきたもの。
編集部が毎日1~2個更新するこだわりの「テーマ」に対して、新R25アプリから会員登録したユーザーが自由に自分の知見を回答することができます。
新R25では、そんな「新R25ワイドショー」のテーマを著名なビジネスパーソンの方にぶつけ、深掘りインタビューさせていただく連載をスタート…!
本日登場するのは、PR・クリエイティブディレクターでThe Breakthrough Company GO代表の三浦崇宏さんです。
【三浦崇宏(みうらたかひろ)】博報堂を経て、2017年にThe Breakthrough Company GOを設立。クリエイティブディレクター・PRプランナーのほか、情報番組のコメンテーターやラジオパーソナリティーとしても活躍。著書『「何者」かになりたい 自分のストーリーを生きる』(集英社)発売中
人間の本質的な“しょうもなさ”を突く企画やコピーを多く生み出しつつ、自身の弱みもオープンに発信しているイメージがある三浦さんへの質問テーマと、回答はこちらです…!
三浦さん
仕事をしている以外のほぼすべての時間。
ただ、しょうもなさや欠落が独自性につながっていると思う。
「しょうもなさ」をテーマに深掘り取材したところ、しょうもなくない“人間の本質”にたどり着くことができました。お楽しみください。
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
「これ言ったらマズいかな…」三浦さんが“一度もネトフリを見たことない”理由
天野
若干失礼なテーマですが、三浦さんにはこちらにお答えいただければと…
「これ…普通に答えればいいの…?」
三浦さん
本当に…自分はしょうもない人間だなあと思うよ。24時間のうち、企画とプレゼンやってるとき以外は全部思う。
割と早い時期に「自分はしょうもない人間として生きていくしかないな」って悟ったんだよね。
天野
それはいつですか?
三浦さん
大学生のころには薄々思ってた。
当時からとにかくPCでする作業が苦手で、卒論も、口頭で言ったことを後輩に打って書いてもらってたの。
今ビジネス芸人とか経営者が本を出すときの「竹村スタイル」を当時からやってたわけ(笑)。
編集者・竹村俊助さんはこの執筆スタイルで数々のベストセラーを生み出しております
三浦さん
会社員時代もエクセルが嫌で、あるクライアントの調査データをまとめる仕事でわけわかんなすぎて適当なグラフ作ったら、そのまま公表されちゃってクビになりかけた。みんなめちゃくちゃ怒ってたな…
GOを立ち上げてからも、見積書も請求書も書けないから全部人にお願いしてるし…
もっとヤバいこと言ってやろうか?俺、Amazonで買い物したこと1回もない。
天野
なんで!? カードと住所登録するだけじゃないですか。
三浦さん
俺、そもそも「インターネットが苦手」なんだよ。
あと…ああ、これ言ったらマズいかな…
天野
言いましょう。
三浦さん
加入の設定ができないから、NetflixもAmazon Primeも1回も見たことない。
三浦さん、いろんなメディアで時代の最先端感出してるのに…
天野
マジですか…
ヒットしてる理由を分析したりしないんですか? 話題のネトフリ作品おさえてないってけっこうヤバい気が。
三浦さん
余計なお世話だよ!!
いや、予告編とか見ればだいたいわかるじゃん。「ヒットの分析」って作品を鑑賞する必要はないでしょ。
『全裸監督』とか『ドキュメンタル』がなぜヒットしてるのか?の本質は、予告編とかレビューを見て考えればいいのよ。
天野
そうなのかな…
三浦さん
逆に俺、ネトフリは見てないけど、本はめっちゃ読んでんのよ。
読んだものは全部メモってて…
最近読んだ本は、ビートたけしが学者たちと対談する『たけしのグレートジャーニー』(新潮社)、ジャズミュージシャン菊地成孔のエッセイ『次の東京オリンピックが来てしまう前に』(平凡社)、戦後を代表する詩人・田村隆一の『言葉なんかおぼえるんじゃなかった』(筑摩書房)
天野
けっこうマニアックなセレクトですね。
三浦さん
でも、面白いよ。
今天野さんと話してて思ったんだけど…「みんなができること」「みんなが見てるもの」っていうのが、俺のなかでは基準になってないんだわ。
天野
…!
三浦さん
「俺の感性」と「世間みんなの感性」、どっちに集中したほうが“独自性”があるのかって話。
!!!
天野
…たしかに、正直そこまで興味ないものを「流行ってるからおさえとかなきゃ」って見てることありますね…
三浦さん
俺ら忙しいじゃん。限られた時間のなかで、「みんなと同じものを見る」のが正しいと思わないんだよ。
ネトフリ見られないとかAmazonで買い物できないって言うと、人より欠落しててしょうもないって思われるけど…
ハッキリ言うけど、欠落こそが独自性だし“欠落こそが才能”なんだよ。
すぐれた企画やサービスは、「人間のしょうもなさを理解する」ところから始まる
三浦さん
小説家の夢枕獏の言葉で、“才能とは何かが人よりもあることだと皆考えるけど、本当は「人より足りない」ことなんだ”っていうのがあって。
人と同じことができないからこそ、独自の成長ができるんだよ。
世の中のすごい人ってだいたい、自分の得意なことに全振りしてるでしょ。
天野
たしかに…
三浦さん
その「全振りした能力」と「時代のニーズ」が合ったときに、大化けするわけ。
俺、広告のコンセプトを考えるのが得意だから、「コンセプトが大事」って言われてる今の広告業界のなかでは、エクセル使えなくても評価されてる。でも、「コンセプトはAIがつくる」って時代だったら廃業でしょ。
「全振りすること」「みんなにはできるけどやらないこと」「時代のニーズ」。突き抜ける人になるには、この3つが噛み合ってることが大事だと思うんだよね。
なるほどな…「欠落は才能」という考え方には、救われる人も多いかもしれません
三浦さん
もっと言えば、「しょうもなさ」があるから、人間は進化してきたんだよ。
立川談志の言葉で「落語とは、人間の業の肯定である」って知ってる?
天野
はい。人間がどうしても失敗してしまうダメな部分を笑いにしてるっていう…
三浦さん
人間のダメさがあるから、あらゆるサービスやコンテンツが生まれる。
歩きたくないからシェアサイクルの「LUUP」が生まれるし、ちゃんとしたレシピ本読むのがめんどくさいから「クラシル」が人気になるし、「新聞やビジネス書を読むのはめんどくさい」って思うから「新R25」が読まれてるわけじゃん?
天野
たしかに…
三浦さん
だから、「人間のしょうもなさ」「自分のしょうものなさ」を意識して、企画や自分を尖らせていくことが必要なんだよね。
三浦さんが投げかけたいテーマは、「やらないことリスト」
天野
全然しょうもなくない話になりましたね…ありがとうございます。
ちなみに、三浦さんが新R25ワイドショーで「これを聞きたい!」っていうテーマはありますか?
三浦さん
いろんな人の「やらないと決めたこと」を聞いてみたい。
さっきの話の通り、「やらないこと」を決めるから尖れると思うのね。
俺も最近「やらないと決めたことリスト」をツイッターに書いたんだけど…
天野
いろいろ気になるところはありますが…
「やらないこと」の基準は何なんですか?
三浦さん
一言でいえば“遠慮”。余計な遠慮って、得てして状況を悪化させるんだよ。
昨日、ミヤネさんの『Mr.サンデー』に出てさあ…
「大谷翔平についてコメントすることになってたんだけど」
三浦さん
打ち合わせでは「大谷選手の二刀流挑戦を“わからないからやってみよう”と決断した日本ハム栗山監督のように、俺も部下に対して指導してきたい」って話すことになってたんんだけど、本番、時間が押しちゃって。
宮根さんが「三浦さんどうですか」ってパス出してきたときに、「巻かないと」って思って一言で終わらせたんだよね。
そしたらもう1回、「栗山監督が…」って振り直してくれたんだよ。
天野
ちゃんと話してくれと。
三浦さん
それ俺、すごい反省した。
「巻いたほうがいいよな」っていうのは、俺の遠慮であり、推測でしかないのよ。向こうはプロなんだから、時間調整なんてできる。任せりゃよかったの。
勝手な遠慮や推測は、プロフェッショナルな仕事においては悪。日本社会における、ものすごいコストだと思う。
「やらないことリスト」、面白そう。皆さんも作ってみてはいかがでしょうか
天野
最後に、「新R25ワイドショー」に、三浦さんからアドバイスをお願いします。
三浦さん
俺、「しょうもないけどやめられないこと」の代表格がTwitterで。Twitterに書かれてることなんて何ひとつ意味がないのについ見ちゃう。
これって“どういうツイートをしたらどれぐらい反応があるか”、つまりインプットとアウトプットに法則性がないわけ。ギャンブルも恋愛も、人間がハマるものって、全部そう。
そういう人間の“業”を意識すると、さらにいいサービスになるんじゃないのかな。
天野
ちょっと“射幸心”を意識するってことですね…。ありがとうございます!
三浦さん
あ、そうだ、聞きたいテーマまだあったわ。
「逮捕されるとか人に一生会えなくなるとか、人生でした一番悪いこと」。
これをいろんな経営者とかビジネス芸人にききたい。どう?
天野
ギリギリすぎる。却下しますね。
「ダメ?」ダメです
前半では、「インターネットが苦手」というまさかの“しょうもなさ”を吐露してくれた三浦さん。
「苦手」「めんどくさい」と感じることはすべて排除することで、尖った独自性を手に入れられる…というその主張はかなり納得感がありました。
「やらないことリスト」はマジでいいなと思ったので、僕も作ってみます!
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/取材・構成・文=山田三奈/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉
あなたの“しょうもなさ”を投稿して、独自性に向き合ってみては?
新R25アプリをダウンロードすれば、注目のビジネスパーソンの多様な回答を閲覧できるだけでなく、回答者として誰でも新R25ワイドショーに参加できます。
みんなの知見を楽しみつつ、あなた自身の「しょうもなさ」を投稿してみるのもいいかも?
新R25(シン・アールニジュウゴ)
※Android版は今夏リリース予定です
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泉栄一氏によるファッションブランド「MINOTAUR INST.(ミノトール)」と、The Breakthrough Company GO が共同開発した高機能キャップ。さらに総合格闘家・宇野薫氏がディレクターを務めるファッションブランド「ONEHUNDRED ATHLETIC(100A)」とGO が共同開発した高機能Tシャツというラインナップ。
R25世代の仕事からプライベートまで、サポートしてくれそうな逸品です。
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