そうですねえ…

いろんな人を見てきて思うのは、「たとえ話がうまい人」は、つきぬける可能性高いやろなってことですね。

僕、就活生向けの、経営者に話聞かせてもらう番組（『千原ジュニアのシャインになりたい！』）を何年かやらせてもらっていて。

そこで、誰もが知っているようなCEOとか、誰もが入りたがるような企業のトップの人の話を聞きましたけど…

またか、またかっちゅうくらい、たとえ話のオンパレードでしたね、全員。

「なんで起業したんですか？」と聞きますよね。「怖いし、危険な道じゃないですか？」と。

すると、「ジュニアさん、山道を80㎞で走るとして、人の助手席乗ります？…どうせ事故るかもしれんのやったら、自分で運転してたほうがいいでしょ」とかね。

「若者に『いつの時代に生まれたかったか』と聞くと、『革命の時代・幕末』って答えるやつらがいっぱいいるけど……違う。革命の時代は、今なんだよ」とか。

言葉を選ばずに言うと、つきぬけたかったら「かしこからアホまで全員に伝えなダメ」ってことだと思うんですよ。

自分の考えていることを、いかにたくさんの人に伝えることができるか。いかにわかりやすく、隅々まで伝えられるか。

ここがつきぬける人の特徴なんじゃないかなと思います。

ああー…

今の若い子って、当時の僕らと比べたとき、すごい礼儀正しいし、ちゃんとしてるんです。みんな仲良くて、すごいなあと思うんですけど…

でも俺はどっかで…「実ってもないのに頭（こうべ）垂れるな」みたいに思ってるところがあって。

「実るほど…」って、ただただ「謙虚であれ」というメッセージとして捉えられてると思うんですけど、アレ違う捉え方があるんちゃうかな。

「実ってもないうちに頭なんか垂れてたら、まっすぐ伸びるもんも伸びひんぞ」みたいな。

「頭垂れるなんて後でなんぼでもできるから、実るまでは何を言われようがムチャクチャやったれ」っていう教えが、あの言葉のなかにはあるんちゃうかな。

もちろん、謙虚であることが上手な人はやったらええと思いますよ。敵作らんにこしたことないですからね。

でも、敵いたほうが自分が強くなるみたいなこともあるかもしれない。

上げまくってましたね。

それで僕の20代がどうだったかってことを考えれば当然…

…いや、やっぱ頭は垂れといたほうがいい。

うーん…いや、「こいつ久しぶりに生意気なの出てきたな」って…本当にいないですね。

どのジャンルもそうだと思います。僕はボクシング好きなんですけど、ボクサーも強ければ強いほどちゃんと礼儀正しい子ばっかやし。

ああー、野田…

でも野田もだいぶ年齢いってますからね（笑）。

まあネタでいうと、野田はなかなかええ根性してますね。

ただ、「若い人のつきヌケ」という話でいくと…もう僕にはわかんないですね。

“YouTubeやSNSでこんだけフォロワー数がいて”っていう状況をつきぬけてるとするならば、僕はむしろ教えてもらう側。今の若い人にとってつきぬけるとは何なのか言えるほど、わかってないです。まったくわかってない。

今、本当にいろいろ仕掛ける道具がありますよねえ。

お笑いの世界にしても、今はテレビに出てなくても、YouTubeとかいろんなツール使って、評価されてる芸人もたくさんいますから。

全然違うでしょうねえ…間違いなく吉本興業には入ってないですねえ（笑）。

「くじける」という言葉が正しいかは、わからないと思うんですよ。

最初に志した道をまっすぐに進むことだけが正しいとは、僕は思わないですね。

やりたい人はやるでしょうし、やりたいと思えなかった人は違う道行きはったらいい。

諦めて、違う道に進む。

その先に幸せが待ってることだっていくらでもあるでしょうから。

僕自身、やりつづけたというより、やりつづけるしかなかっただけ。

バイク事故して、芸人やめて別のことやってたら、今よりはるかに年収いってるかもわかりませんし（笑）。

いや…

さっきの話してからずっと考えてたんですけど…

やっぱ頭は垂れたほうがいいですわ。