ビジネスパーソンインタビュー
「複数使ってます」と伝えたら嫌がられるの…?
転職エージェントは複数登録すべき?何社使うのがベスト? プロに聞いた“選び方の正解”とは
新R25編集部
転職初心者とって何かと心強いのが「転職エージェント」。
ですが、あまりに種類が多いため、適切な選び方がわかりづらいのがネック。1社でいいのか、複数登録すべきなのか、どんな組み合わせが最適なのか…考えれば考えるほど迷ってしまいますよね。
そこで新R25では、リクルートキャリアで転職エージェントとしての累計売り上げが歴代トップだったカリスマ転職コンサルタント・森本千賀子さんにご協力を依頼。
プロの目線から、転職エージェントの選び方の“正解”を教えていただきました。
〈聞き手=佐藤宇紘〉
転職エージェントはどうやって選ぶのが正解?
佐藤
転職エージェントって、どうやって選ぶのが正解なんでしょう…?
森本さん
大前提として、転職エージェントは複数登録するのがおすすめです。ですので、登録前にあまり絞り込む必要はありません。
佐藤
えっ! どうしてでしょう?
森本さん
転職エージェントは、企業によって強みがまったく異なるからです。
まずは、網羅的に求人案件を抱えている「総合型」の転職エージェント。リクルートキャリアなど、いわゆる“大手”の転職エージェントはこれに当たります。
業界問わずさまざまな求人案件が豊富に揃っているので、登録すると選択肢の幅が広がります。
森本さん
次に、特定の業種や職種に強い「特化型」の転職エージェント。
その業界・職種で長く経験を積んだアドバイザーが在籍していることも多く、リアルな内情や求められるスキルなどを詳しく教えてもらえます。
志望業界や職種が決まっている場合は、そこに特化した転職エージェントを使うといいでしょう。
佐藤
ふむふむ。
森本さん
最後は、1人だけの個人から10人前後の少数精鋭で運営されている中小・個人の転職エージェント。
これらのエージェントは求人数こそ多くはありませんが、求職者一人ひとりに寄り添いながら、手厚くサポートしてくれる傾向があります。
佐藤
三者三様の強みがあるんますね。複数登録するとして、何社くらい登録するのがいいんでしょうか?
森本さん
おすすめは、これら3つのタイプに1社ずつ登録すること。
求人数が多い総合型、専門的な求人案件に出会える特化型、親身なサポートを受けられる中小・個人…と、3社の強みが揃えば盤石です。
森本さん
あと、複数登録をおすすめする理由がもう1つ。転職エージェントは、担当してくれるアドバイザーの質や相性がもっとも重要だからです。
1社に決め打ちして、担当のアドバイザーと相性が合わない…となると大変ですよね。
まずは気になったところに登録して、実際にアドバイザーと会ってみるのが確実です。そして、お互いの相性を確かめてみてください。
佐藤
もし相性がよくないと思ったらどうすれば…?
森本さん
エージェントそのものを乗り換えるのが早いですが、どうしてもそのエージェントを使いたいなら、担当のアドバイザーを変更してもらうことも可能です。
担当を変えて欲しいとは言い出しにくいかもしれませんが、自分自身のキャリアがかかっていることなので、遠慮は要りませんよ。
転職エージェントに複数登録するデメリットはないの?
佐藤
逆に、複数登録のデメリットはありますか?
森本さん
単純に、たくさんのアドバイザーとのやりとりするのが面倒かもしれません。
使うエージェントを増やせば増やすほどやりとりに手間がかかるので、面談の印象次第で、ある程度絞り込んだほうがいいでしょう。
佐藤
忙しくて時間が取れない場合は、いっそ1社に絞るべきなのでしょうか?
森本さん
それもひとつの手ですが、1社に絞ると紹介される求人案件が限られてしまいます。
ですので、メインでやりとりする“本命”の1社を決めて、他は情報収集のために利用すると割り切ってしまってもいいと思います。
佐藤
あと、複数のアドバイザーとやりとりすると、それぞれから違った提案を受けることになりますよね。
人によって言われることが違うと、混乱しないか心配です…。
森本さん
アドバイザーとは別に、信頼できるメンターのような方がいるといいですね。その方にすべての情報を共有し、相談に乗ってもらいましょう。
メンターといっても転職の専門家ではなく、友人や仕事上のつながりがある方で構いません。
誰であれ、利害関係がなく客観的に意見してくれる相手だといいですね。
信頼関係がありつつも適切な距離感を保っていて、関係を超えて公正にアドバイスしてくれる相手がベストです。
ある程度転職に詳しく、マーケット感をキャッチアップされている方であればなお良いですね。
佐藤
とはいえ、身近にそういう方がいない場合も多そうです。
森本さん
その場合も、何もかもアドバイザーの言われた通りにする必要はないと心得ておきましょう。
最終的に転職先を決めるのは自分です。アドバイザーの提案はあくまでも一選択肢にすぎないと考えて、自分自身がイニシアチブを握って情報の取捨選択をおこなうのが重要です。
複数登録していることは申告すべき?
佐藤
複数登録をする場合、各エージェントのアドバイザーに「ほかの転職エージェントも使っています」と伝えるべきなんでしょうか?
森本さん
面談の段階で伝えるべきだと思います。
もし内緒にしたとしても、内定が出たらすべてのアドバイザーに報告しないといけないですよね。
そこではじめて「ほかのサービス経由で内定をもらいました」と打ち明けるよりは、あらかじめ伝えておくほうが誠実です。
佐藤
ほかのサービスとの併用を伝えることで、雑な対応を取られてしまう可能性はないのでしょうか。
森本さん
私たち転職エージェント側も、競合サービスがひしめいていることは認識していますので、複数登録をしているからと言ってサポートの質を落とすことはありません。
もし不快な対応を取られた場合は、遠慮なくサポートをお断りしていいと思います。
むしろ、他社での進捗状況を正直にお話いただいたほうが、スケジュール管理などもスムーズに進みます。
アドバイザーに正しく情報を提供した上で適切にサポートしてもらうほうが、お互いWin-Winになると思います。
おすすめの転職エージェント
新R25転職は、転職サービスの実態に精通した専門家にご協力いただき、実際に利用したことのある約1000人を対象におすすめの転職エージェントについて調査しました。
これ以外にも、詳細な評判やほかのおすすめサービスが知りたい方は、ぜひ下記のリンク先の記事もご覧ください。
Embedly〈文=佐藤宇紘 取材・編集=石川みく(@newfang298)〉
精通者の詳細プロフィール
【森本千賀子(もりもと・ちかこ)】1993年にリクルート人材センター(現リクルートキャリア)に入社。転職エージェントとして3万人を超える転職希望者と接点を持ち、2000人以上の転職に携わり、累計売り上げ実績は歴代トップの実績がある。2017年3月に株式会社morichを設立し、同年10月に独立。エグゼクティブ層の採用支援を中心に、活動領域を広げている。著書に『本気の転職 パーフェクトガイド』(新星出版社)や『35歳からの「人生を変える」転職』(秀和システム )などがある
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