ビジネスパーソンインタビュー
最近のSNSについてどう思う?
身近に誹謗中傷している人がいたらどうする? ビジネス賢者に聞く「SNSと誹謗中傷への向き合い方」
新R25編集部
毎日SNSをチェックするのが当たり前になった今、ビジネスパーソンの情報感度は高まっています。
ただ、SNSで目にするトレンドや社会情勢に対して、「自分の持論」を持てている人は少ないのでは?
新R25が毎週土曜日にお届けする「新R25ワイ土ショー」では、各業界で活躍するビジネス賢者に、トレンドや社会情勢にまつわるさまざまな質問を投げかけ、各々の持論を展開してもらいます。
賢者たちの回答をきっかけに、ぜひ自分なりの意見を考えてみてください!
今回のテーマは「最近のSNSの使い方」。
最近、SNS上の雰囲気が以前と変わってきた印象があります。
SNS上での誹謗中傷が過激化したり、それに晒された人たちの対応が変わってきたり…Twitter起点でニュースになる事態も増えてきました。
そこで今回は、各業界で活躍するビジネス賢者7人に、以下の2つの質問を聞いてみます。
「最近のSNSの使い方」
最近のSNSの風潮をうけて、どのような使い方や向き合い方をしているのか?
「身近で誹謗中傷されている人/している人がいたら、どうする?」
どのように接するのか? どんなアドバイスをするのか?
幡野広志「日常生活と同じように、苦手な人はブロックではなくミュート」
(C)Yukari Hatano
【幡野広志(はたの・ひろし)】写真家。1983年、東京生まれ。2004年、日本写真芸術専門学校中退。2010年から広告写真家・高崎勉氏に師事。同年「海上遺跡」で「Nikon Juna21」受賞。2011年、独立し結婚する。2012年、エプソンフォトグランプリ入賞。2016年に長男が誕生。2017年、多発性骨髄腫を発症し、現在に至る。著書に『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる』(PHP研究所)、『写真集』(ほぼ日)、『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために』(ポプラ社)がある
幡野広志に聞く「最近のSNSの使い方」
幡野さん
今年からミュートを多用して、なるべくブロックしないようにしています。
現在320人をブロックしていますが、10年前からTwitterアカウントがあって、フォロワー数が12万人ということを考慮すれば、多分少ないと思います。
ぼくのブロック基準は、失礼な人です。
ただ、やはりブロックされた人はとても怒るようなので、ミュートを多用しています。
これは日常生活と変わりません。
日常生活でも嫌いな人のことはミュートしているので、SNSが日常生活に近づいた感覚です。
身近で誹謗中傷されている人/している人がいたら、どうする?
誹謗中傷されている人がいたら…
幡野さん
相手の顔が見えないとついマトモな人に中傷をされていると誤解しがちですが、自分の人生で出会ったいちばん嫌いな人、非常識な人から中傷をされていると思うと少し心が和らぎます。
また、誹謗中傷をしてくる相手のことを可哀想だと思うことが、ぼくは大切だと思います。
彼らがいちばん悔しいことが、可哀想だと哀れまれることだからです。
もちろん、火に油を注ぐ行為なので実際には言いません。
そもそも自分の人生に満足していれば、誹謗中傷なんてしませんよ。
「誰が何をどんな意図で発言しているか?」
これを総合的に判断することが大切で、言われたことだけを気にしてはいけないと伝えます。
誹謗中傷している人がいたら…
幡野さん
そっとミュートします、SNSでも日常生活でも。
前に知り合った人からFacebookで友人申請があったのですが、投稿内容がヘイトスピーチだらけですぐに疎遠になりました。
SNSって本心がでるので、とてもありがたい存在です。
三崎優太「元々SNSが荒れてた側の人間なので気にしない」
撮影=長谷英史
【三崎優太(みさき・ゆうた)】1989年生まれ、北海道北見市出身。株式会社メディアハーツ(現:ファビウス株式会社)創業者兼元代表取締役。メディアでは「青汁王子」と呼ばれる。現在も実業家として活動している
三崎優太に聞く「最近のSNSの使い方」
三崎さん
(最近のSNSの風潮を見て)特に何も変えてはないです。
元々SNSが荒れてた側の人間なので、どんなことがあっても気にしません。
身近で誹謗中傷されている人/している人がいたら、どうする?
誹謗中傷されている人がいたら…
三崎さん
僕の場合はチャンスだって言います。
誹謗中傷をされるということは注目されているということなので、マイナスのエネルギーをプラスに変えればファンになります。
僕が捕まったときは誹謗中傷どころのレベルじゃなかったので、これは自信を持って言えます。
誹謗中傷している人がいたら…
三崎さん
絶対にやめるように言う。
誹謗中傷する時点で負け。
人に時間を使わずに自分の人生を生きろと強く説得します。
茂木健一郎「荒海のサンゴ礁のように平静を保つ」
撮影=長谷英史
【茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)】1962年、東京都生まれ。脳科学者。脳科学を切り口にさまざまなメディアに出演している。著書多数
茂木健一郎に聞く「最近のSNSの使い方」
茂木さん
人間力アップのジム、くらいなイメージと捉えています。
荒れているのはSNSで、自分の心ではありません。
外海は波が立っていても、サンゴ礁のなかは静かなのと同じように、適切に対応すれば平穏を保つことはできます。
むしろスルー力と洞察力を鍛える絶好の機会であると考えています。
身近で誹謗中傷されている人/している人がいたら、どうする?
誹謗中傷されている人がいたら…
茂木さん
ぼくがオススメするのは、「トロールに餌を与えるな(Don’t feed the trolls)」という、ネットで絡んでくる人(トロール)に対する対応法の原則です。
ブロックすることも反応したと喜ぶケースがあるので、一切無視することをオススメします。
そのうえで、愚痴を言ってもらってなぐさめます。
誹謗中傷している人がいたら…
茂木さん
人を傷つけていると、自分の脳も同じように傷つくんだよ、という大切な事実を伝えるとともに、その人自身の自己肯定感を上げたり、ポジティヴな活動に取り組んだりするように促すと思います。
誹謗中傷している相手から、もっと広い世界のほうに、くるっと注意のサーチライトの方向を変えてあげたいです。
はあちゅう「『否定的な言葉をかけられること』がどれほど自分の心を蝕んでいたか気づけた」
撮影=長谷英史
【はあちゅう】作家・ブロガー。慶應義塾大学法学部卒業後、電通、トレンダーズを経て独立。「人生全部コンテンツ」をモットーに、ネット時代の新たな作家の形を探り、媒体を横断した発信を続ける。2018年にAV男優の「しみけん」氏との事実婚を発表し、2019年9月に第一子を出産。著書に『「自分」を仕事にする生き方』(幻冬舎)、『旦那観察日記』(スクウェア・エニックス)など
はあちゅうに聞く「最近のSNSの使い方」
はあちゅうさん
2018年の妊活中から、気持ちをマイナスにするものを一切見たくないと思うようになり、Twitterのフォローを0にして発信専用にしました。
特定の人のツイッターだけまとめてチェックしていますが、基本はYouTube、インスタ、アメブロを見るようにしています。
誹謗中傷を訴訟するニュースが出てきてからは、ほとんどのSNSが平和になってきたので、人生で今が一番SNSを楽しめていると思います。
「否定的な言葉をかけられること」がこれまでどれほど自分の心を蝕んでいたかに改めて気づきました。
身近で誹謗中傷されている人/している人がいたら、どうする?
誹謗中傷されている人がいたら…
はあちゅうさん
「訴えよう。最高の弁護士を紹介するよ」と声をかけます。
誹謗中傷は明確に犯罪です。
「犯罪の被害者だから、傷ついて当然」なんです。
窃盗や交通事故の被害者に、「心を強く持ってね! 泥棒する人は人生がつまらない人で、あなたがうらやましくて犯罪をおかしたんだよ」とは言いませんよね。
今まで、この当たり前の事実が軽んじられて、被害者側が「心を強くして、気にしない」ことが求められてきました。
でも「心を強く保って」は「心が強くないあなたも悪い」とやんわりと被害者を責め、苦しめる言葉です。
「嫌ならSNSしなきゃいい」なんて言うのは、痴漢被害者に「嫌なら家から出なきゃいい」って言ってるのと同じ。
被害者の心のダメージにはとことん付き合いますが、あくまでそれは対症療法で根本的な解決にはなりません。
犯罪者を法的に罰しましょう。
ちなみに、「本気で訴えてくる相手」だということがまわりに伝われば、誹謗中傷は激減します(経験済みです!)。
誹謗中傷している人がいたら…
はあちゅうさん
おそらく、何らかの苦しみがその人の人生にはあったのだと思いますが、匿名で集団リンチ的な誹謗中傷に加担しているのであれば、以後関わりません。声もかけません。
その人とのつながりはそこで終了です。
しみけん「SNS上の風潮なんて気にしてたらAV男優はできない」
撮影=長谷英史
【しみけん】1979年生まれ。1998年に雑誌『Badi』でモデルデビュー。その後AV男優に。出演作品は1万本以上、経験人数も「1万人以上」とのこと。趣味はクイズと筋トレ
しみけんに聞く「最近のSNSの使い方」
しみけんさん
特に使い方は変えていません。
SNS上の風潮なんて気にしてたらAV男優はできません。
身近で誹謗中傷されている人/している人がいたら、どうする?
誹謗中傷されている人がいたら…
しみけんさん
誹謗中傷してる奴らへの1番の仕返しは、幸せそうにしてる姿を見せつけること。
だから突き抜けよう!
いざとなったら、AV業紹介するぜ!
誹謗中傷している人がいたら…
しみけんさん
「誹謗中傷じゃなくて意見を言ったら? じゃないと議論できないじゃん。お前のやってること、オナニーだからな!」と言う。
佐渡島庸平「時事的な話題には触れなければ、荒れることはない」
撮影=長谷英史
【佐渡島庸平(さどしま・ようへい)】株式会社コルク代表取締役。2002年講談社入社。週刊モーニング編集部にて、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)などの編集を担当する。2012年講談社退社後、クリエイターのエージェント会社、コルクを創業。著名作家陣とエージェント契約を結び、作品編集、著作権管理、ファンコミュニティ形成・運営などを行う。従来の出版流通の形の先にあるインターネット時代のエンターテイメントのモデル構築を目指している
佐渡島傭平に聞く「最近のSNSの使い方」
佐渡島さん
時事的な話題には触れずにSNSを使うようにしています。
そうすると、自分のコメントが荒れるということはほぼ起きません。
そのスタンスをずっと貫いています。
身近で誹謗中傷されている人/している人がいたら、どうする?
誹謗中傷されている人がいたら…
佐渡島さん
親しい人が誹謗中傷を受けてることによく直面します。
僕が相談にのることもありますが、コルクでお願いしている心理カウンセラーを紹介したりします。
誹謗中傷している人がいたら…
佐渡島さん
誹謗中傷をしている人が、一番深い闇の中にいると思うので、それに向き合うためにじっくり話し合います。
くつざわ「自分にとっての当たり前が、誰にとっても当たり前である確証なんてない」
撮影=池田博美
【くつざわ】1999年生まれ、千葉県出身。2019年4月に投稿した「言葉は特に発さず、下唇を噛んでクネクネしているだけなのに 鼻息で持ち帰りOKオーラを出すことに慣れてしまった1年女子大生の秋」というモノマネ動画が、Twitterで500万回以上再生され、3日でフォロワーが5万人増えたことで話題に。現在はマーケター、プランナーとして活動
くつざわに聞く「最近のSNSの使い方」
くつざわさん
「一生わかり合えないこともある!! 仕方ない!」と自分に言い聞かせて、画面を介した協和には限界があると理解するようにしています。
何かあるたびに「自分にとっての当たり前が、誰にとっても当たり前である確証なんてない」と思うようにして、傷つく前にシャットダウンしています。
身近で誹謗中傷されている人/している人がいたら、どうする?
誹謗中傷されている人がいたら…
くつざわさん
画面越しに受けた傷は画面越しの言葉では治らないことを知っているので、なるべく一緒にいます。
そして励ましはせず、まるでSNSなんてないかのように別の話で埋め尽くします。
画面の奥にある意識を実生活に向けられるように楽しい時間をつくるしかないと思います。
誹謗中傷している人がいたら…
くつざわさん
地元の友人がSNSの炎上に加担していたので、「なぜそんなことをするのか」ときいてみたところ、「悪いことをした人に叱っているだけ。何をしたのかはそんなに知らないけど、みんな叱ってる」とのことでした。
どんな時間をかけても解決しない部分が多すぎると感じたので諦めました。
そっと距離を置くことしかできなかったです。
うまく使えば、人生を好転させるツールとなるSNS。
ただ最近は、すべてがいいことだけではない、ということに気づかされる機会もたくさんありました。
この記事が、炎上や無意味な誹謗中傷を目の当たりにしたときの向き合い方が変わるきっかけになれば幸いです。
〈構成・文=福田啄也(@fkd1111)〉
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