ビジネスパーソンインタビュー
「なにを」ではなく、「なぜ」を考える
箕輪厚介×APEXブランドマネージャーが語る「人生のなかで価値ある選択をするための心得」
新R25編集部
会社に所属しつつも、オンラインサロンや副業など、新たなフィールドを自ら選択し、社外でもスキルアップを図る若者が増えてきている昨今。
ただし、選択肢が多いぶん「どんな選択をすればいいのだろう?」と悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「人生において価値ある選択をするために大切にすべきこと」をテーマにこのお2人の対談を実施。
APEXブランドマネージャー・菅千帆子さん(写真左)と箕輪厚介さん(写真右)
“スキンケアまでパーソナライズする”ことで受け身ではなく自ら選択することを大切にしている「APEX」のブランドマネージャー・菅千帆子さんと、編集者という枠にとらわれず、オンラインサロンの主宰や歌手活動などでも活躍する箕輪厚介さんです。
とはいえ、APEXは女性用コスメ。コスメとまったく縁がなさそうな箕輪さんですが、大丈夫なのでしょうか…?
箕輪さん
大丈夫大丈夫! 最近、箕輪狂介として歌手活動をしていて、2日に1回はメイクしてるんで!
「なにを」ではなく「なぜ」それを選択するかを考えるからこそ、自分が成長できる
菅さん
最近、スキンケアも流行に流されず“自分が本当にいいと思ったものを選択すること”が重要視されているんです。
同じように、新R25の読者層である若手ビジネスパーソンも、オンラインサロンなど自分で活躍する場所を選択する若者が増えてきていますよね。
箕輪さん
僕も自分でオンラインサロンを主宰していて、たしかにその傾向は感じていますし、それってすごくいいなと思っていて。
菅さん
箕輪さんから見て、自分で選択する若者が増えてきている要因ってどこにあるんですか?
箕輪さん
会社が絶対的なものではなくなってきているからだと思います。
終身雇用も年功序列もなくなってきて、そのなかでみんなが徐々に危機意識を持つようになって、新しい環境で自分を成長させようと焦る若者が出てきた。
箕輪さん
ただ、そこで大事になるのは、「オンラインサロンに入る」「転職をする」という選択そのものではなくて、「自分がどういう人生を生きたいか」という軸を持つことだと思うんです。
昔と違って、今は「稼げなくても最悪死にはしない」というのが約束されていますよね。それこそ狩猟をしてた時代って「生きるために働く」のが基本で、働く意味なんて考える必要がなかった。
菅さん
たしかに、そうですね。
箕輪さん
今は飢え死にしない時代だからこそ、働く意味も自由になっている。
だから、自分がどういう人生を送りたいのかをしっかり考えて選択しないと、ナリの人生しか送れないし、せっかくの選択がムダになってしまうじゃないですか。
箕輪さん
だから、考えることを飛ばして、なんとなくオンラインサロンに入ったり、転職や起業をするのはナンセンスだと思うんです。
選択をする前に一度「どういう人生を歩みたいか」というのを深掘る作業をしてみる。そのなかで、「自分が選んだ理由を説明できる」選択肢が自分にとっての成長につながるものになるんですよ。
なにを選ぶか=どう生きるか。一つひとつの選択が未来をつくる
菅さん
APEXは2019年7月にブランドリニューアルをするのですが、新たなブランドメッセージが、「未来はひとつひとつデザインできる」なんです。
これ、まさに今箕輪さんがおっしゃっていた考えと近い気がしていて。
箕輪さん
メッセージがいいですね。
菅さん
APEXのスキンケアでいうと、自分にとって一番いいものを自らカスタマイズして選択することが、自分の未来の肌への選択につながる。
つまり、「何を選ぶか」は「どう生きるか」に直結していると思ってるんです。
私たちは、この考えに賛同してくれる女性を応援できるブランドを目指しています。
箕輪さん
あっ、これカスタマイズできるんですか?
食いついた箕輪さん
菅さん
そうなんです。APEXはもともと「肌は人の個性だから、誰ひとりとして同じではないのに、みんなが同じコスメを使うのはおかしい」という考えから生まれています。
実際に一人ひとりの肌を分析させていただき、その結果とビッグデータを照らし合わせて、およそ862万通りのなかからお客様の肌にあったものを提案していくんです。
箕輪さん
だから“パーソナライズドコスメ”なんですね。
菅さん
はい。ただ、「これがぴったりです」とそのままご提案するのではなく、店頭でパートナー(POLAの美容部員の呼称)がカウンセリングをしたうえで、実際に触っていただき、最終的にお客様自身に選んでいただくことを大切にしています。
箕輪さん
いいですね。ぶっちゃけ「ジャストフィット」って実は誰も望んでいなかったりするんですよね(笑)。
洋服でいうと、自分のサイズにぴったりなものならみんな満足するわけではなく、少しダボっとしているのが好きな人もいるわけで。
だからブランド側から提案されたとしても、“最終的に自分で選ぶ”というのはやっぱり大事ですよ。
菅さん
まさにそうなんですよ…!
とくに美容業界って「春になったら夏に備えて美白。秋になったら冬に備えて保湿」という提案がパターン化されているんです。
菅さん
でも、よく考えると「健康的な肌色の方が好き」という方もいらっしゃるはず。
だから、APEXはコスメ選びに関しても、使う人が自分らしい生き方を選択できるようなきっかけをつくれたらいいなと思ってるんです。
箕輪さん
これからあらゆるモノのオーダーメイド化は進んでいくはずですし、そういう時代の流れともマッチしていていいですね。
“自分を知る”ことが、人生の効率をあげることにつながっていく
菅さん
実はAPEXの肌データを見ますと「自分がやりたいケア」と「本当にやったほうがいいケア」ってかなりズレていて、7割の方が適切でない可能性があります。
箕輪さん
女性はみんなスキンケアにこだわってるのに、なんでそんなに多くの人が適切でないケアをしちゃうんですか?
菅さん
みなさん、自分の肌を知る機会が少ないからです。
そうなると、選ぶときに雑誌や広告に頼るしかないので、運よく自分に合う化粧品に出会えればいいですけど、そうじゃない場合は、何年も化粧品をジプシー(転々と)しなくちゃいけなくなる。
これって、とても効率が悪いんですよね。
箕輪さん
わかる! その話はビジネスパーソンにも通ずるものがあって、20代のうちは、様々な経験を通して自分を知ることがめっちゃ大事。
そこで自分のことをいかに把握できるかどうかで、効率的なキャリアにできるかどうか変わってくるんですよ。
肌分析と自己分析を絡める箕輪さん。さすがです
箕輪さん
自分に合っている分野がわかったらそこに専念する方が、人生のなかで価値ある時間の使い方になりますよね。
たとえば、僕が経費精算をしている1時間って1円も生み出せない。でも、その1時間を新しい本の企画を考えることに使えば、それは何億円かに変わるじゃないですか。
だから自分をしっかり知って専念することを見極めるのは、効率的な生き方をする上でも、大事な選択だと思いますね。
菅さん
スキンケアの場合も、自分に合っていないものを、生涯肌に乗せつづけていくのはもったいないですよね。
箕輪さん
そう考えると、肌を分析して自分に合ったコスメをつくれるAPEXを使うことは、人生トータルで考えると、かなり効率のいい選択ということになりますよね。
SNSの普及によって、有効なマーケティングは原点回帰している
菅さん
コンセプトに共感していただいたところで、今後APEXをより広げていくためにどうしたらいいのかもご相談したいのですが…
箕輪さん
それはPOLAの人たちが、一人ひとりのお客さんと向き合って、地道にコミュニケーションをとりながら魅力を伝えればいいだけですよ。
箕輪さん
僕、テクニカルなマーケティングってもう消滅したと思ってるんです。
インターネットやSNSが普及しすぎたことで、最近はむしろ原始的な手法のほうが有効になってきている気がします。
菅さん
原始的な手法というと…?
箕輪さん
たとえば、あえて地道なドブ板営業をやって、それが結果的にSNSで話題になっていく広がりの方が、「新しくて今っぽい」という感情で受け入れられると思うんですよね。
菅さん
なるほど。それでいうと、APEXはファンの方たちとのコミュニティをここ3年ほど運営しているんです。
そこで新作の情報を流したり、定期的にイベントを開くなど、APEXをより身近な存在として感じてもらえるように、コアなファンを大切にしてきました。
箕輪さん
その手法は僕と同じです(笑)。僕の本が出すたびに売れているように見えるのも、全部コミュニティの力なんですよ。
新刊が出るたびに書店に本を並べて「どうでしょう!」って売れるか売れないか宝くじのようにやるのがこれまでの売り方。
でも本当に売りたければ、一度きりの購買で終わらせず、いかにファンを囲ってリピートしてもらうかが超大事。
菅さん
つまり、私たちの方向性は…!
箕輪さん
アナログだけど、すごく本質的な方法だと思います。
それがSNSに広まっていく方が、大きなCMを打つより自然ですし、今っぽいですよね。
売上の8割を支えている2割のコアなファンの心を掴むために
菅さん
実は、7月のリニューアルの多くが、コミュニティにいる方からの意見をもらって実現したことだったんですよね。
肌分析の精度を更に上げつつも分析に要する時間は短縮した、ということもそうですが、よりパーソナライズなものを求める彼女たちのニーズから、感触や質感までもセレクトできるようにして、選択肢をいくつも用意できるラインナップにしたんです。
これらは“パーソナライズなものを提案する”というAPEXの思想を更に高めていくために実現したかったのですが、社内的にはものすごくハードルが高かったんです。しかし、彼女たちに後押しされたことで、私もブレずに進めることができました。
菅さん
現在1000人ほどのコミュニティですが、彼女たちの発信や意見を参考にして戦略を考えることで、APEXが新しい層に響きはじめている実感があります。
箕輪さん
今の時代、そうして地道にコミュニケーションをとっていくことでしか、成功できないと思うんですよね。
マーケティングって昔は可処分所得の奪い合いでしたけど、そこから可処分時間の奪い合いを経て、今は“可処分精神”の奪い合いになってるんです。要は、消費者の心を奪えないと時間を奪えなくて、時間を奪えないと財布を開かせられない。
そして、心を奪うにはもう直接的な触れあいしかないんですよ。
箕輪さん
すべての商品は、2割のコアファンが8割の売り上げを支えているじゃないですか。
僕が国会議員並みに地方までファンに会いにいってるのは、この2割を離さないためなんです。
これってはたから見ると効率が悪そうに見えるかもしれませんが、実はめっちゃコスパのいい行為なんですよ。
菅さん
今のお話だと、テクノロジーによって便利になるにつれて、マスプロモーションではなく、対面でコミュニケーションをとるようなアナログな小さな積み重ねが大事になるということですよね。
箕輪さん
そう思いますよ。
そして、ファンができれば万人受けするものをつくる必要がなくなるので、どんどんチャレンジできるようになる。
余計なことを考えずに、より本質的なモノづくりができる環境ができますよね。
箕輪さん
それこそ、APEXも今のコミュニティをそのままの濃度で拡大できれば、有名な女優をCMに起用したりする必要はないんじゃないですかね。
菅さん
方向性が間違っていないようでますます勇気が湧きました…!
APEXも、まずは小さくて濃いコミュニティから一人ひとりの心を掴んでいきたいと思っています。
丁寧な肌分析はしてくれるけど決して押し付けではなく、最後の選択はあえてお客様に委ねているというパーソナライズドコスメ・APEX。
これまで、なんとなくまわりに流されて道を進んできてしまったあなた。
まずは毎日のスキンケアにおいて、理由を持って「選択」する。そこからちょっとずつ自分の人生の軸をつくっていくのはいかがでしょうか?
〈取材・文・=いしかわゆき(@milkprincess17)/編集=宮内麻希(@haribo1126)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉
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