

「働く人の相棒」は今も変わらない
ちょっと味薄くない? ペットボトルコーヒーの先駆者「クラフトボス」にツッコんできた
新R25編集部
各社からさまざまな新商品が登場する現在。でも、その商品って本当にいいモノなんでしょうか? よく考えてみると、ちょっとツッコミどころもありませんか?
新連載「新商品ポリス」(タイアップ募集中!)では、新R25編集部が企業にお邪魔して、商品やサービスに読者目線(?)で切り込みます。はたして担当者はツッコミを見事跳ね返し、商品の良さをアピールできるのか…。
今回ツッコミに行ったのはこちら!
2017年4月に発売した「クラフトボス」シリーズ! わずか9カ月で2億4000万本も販売しており、ペットボトルコーヒーという新ジャンルを確立しました。
今年の6月19日には、「ブラック」「ラテ」に加えて新たに「ブラウン」も登場し、今ノリに乗っているシリーズです。

編集部・福田
というわけで、「ボス」と同じ1992年生まれの福田が、ブランド担当者に直撃しにきました。

大塚さん
どこまでお答えできるか…。よろしくお願いします。
サントリー食品インターナショナル株式会社 ジャパン事業本部ブランド開発第二事業部課長の大塚匠さん。「ボス」のブランドマネージャーだ
ツッコミ1:“クラフト”ってどういう意味ですか?

編集部・福田
早速ですが、「クラフトボス」の“クラフト”ってどういう意味ですか?なんとなくクラフトビールを意識しちゃってるのかなって思うのですが。

大塚さん
よく聞かれる質問ですね。その説明をするには、まず「ボス」のブラントコンセプトからお話しなければなりません。
「ボス」のブランドコンセプトは、「働く人の相棒」。25年前の働く男といえば、外回りの営業マンや技術職の方々でしたが、今はITワーカーの人たちが増えていますよね。
その方々の相棒になれる「ボス」は、きっとこれまでと同じではいけない…。そこで、IT企業の方やシステムエンジニアにインタビューしたところ、彼らの働き方は結構闇を抱えているなってわかったんです。

編集部・福田
闇?

大塚さん
人とのコミュニケーションが希薄になるそうです。1つのプロジェクトが終わると次のプロジェクトに移っていくので、同じ職場に留まらない人も多いんだとか。
そんな中、彼らに「大切にしているものって何ですか?」と聞くと、「おじいちゃんが使っていた万年筆」「友達の革職人が作ってくれたベルト」など、“人肌感のあるもの”を挙げてくれました。
福田さんは、「クラフト」という言葉にはどんなイメージがあると考えますか?

編集部・福田
えーと、手作りとか、工作とか、職人とかですかね…?

大塚さん
そうです。クラフトという言葉には、人の温もりみたいな雰囲気がありますよね。
それがITワーカーの大切にしているイメージとぴったりだったので、名付けました。

編集部・福田
なるほど。クラフトビールは関係なかったんですね。

大塚さん
全くないです。でも、「クラフトビール感があってなんかイケてる」と思われるのは、悪い気しないですよ。
ツッコミ2:なんで今さらペットボトルのコーヒーを出したんですか?

編集部・福田
「クラフトボス」の特徴といえばペットボトルの容器ですが、なぜ缶で出さなかったんですか?

大塚さん
その理由は2つあります。
1つ目は、「クラフトボス」を親しみやすいデザインにするため。ITワーカーの求める“人肌感”は、缶では出せないということになりました。

編集部・福田
確かに「クラフトボス」のパッケージって、ぽてっとしててかわいらしいですよね。

大塚さん
そして2つ目は、若いユーザーから缶コーヒーは中身が古そうとか、中身が見えないからおいしくなさそうって言われたんですよ。「長期保存できる缶詰と同じ印象」って言われました。

編集部・福田
缶コーヒーを根本から否定する発言!
「デザインを変えたり、品質感を高めたり努力はしていたんですけどね…」

編集部・福田
その2つの理由でペットボトルになったとしても、「なんで今さら?」という気持ちは拭えません。
どうしてこれまでペットボトルのコーヒーがなかったんですか?

大塚さん
実は過去に存在はしていたのですが、「醤油みたい」って言われて売れなかったんですよ。

編集部・福田
えぇ…そんな無茶苦茶な。

大塚さん
でも事実、ペットボトルコーヒーは販売されてもあまり売れず、業界全体で「ペットボトルのブラックコーヒーは売れない」っていう暗黙の常識があったんです。
だから、今回の「クラフトボス」は、会社としても、大きな勝負に出たつもりですよ。

編集部・福田
先ほど言ってたコンセプトやイメージ戦略が上手くはまったと。

大塚さん
そうなんですよ! 実際に発売してみたら、「こんなことになるなんて…!」って事態になりましたね。
「こんなことになるなんて…!」という顔です
ツッコミ3:ブラックにしては、味薄くないですか?

編集部・福田
続いて中身の話に移りたいのですが、「クラフトボスブラック」ってブラックコーヒーにしては、味が薄くないですか?

大塚さん
薄いですよ。

編集部・福田
えっ、認めた!? それってどうしてなんですか?

大塚さん
今はサードウェーブコーヒーの影響もあってか、浅煎りですっきりとしたコーヒーも好まれているんです。
その質問も来ると思ってました、としたり顔

大塚さん
それに、ぶっちゃけ苦いのが嫌いな人って結構多いんですよね。でも、それを我慢してでも飲みたいっていう人はいるんですよ。

編集部・福田
なぜそこまでして飲みたいんでしょう…?

大塚さん
コーヒーを飲むと、大人な気持ちになれるじゃないですか。「オレ、ブラックコーヒー飲めるぜ」みたいな。私も実際、働きはじめた時はそう思ってましたもん。

編集部・福田
そんな子どもみたいな理由で!?

大塚さん
そうなんです。あとは「目が覚めるから」「リフレッシュしたいから」という理由で無理して飲んでいる人もいますよね。
でも、苦いのを耐えながら飲むのって苦行でしかないじゃないですか。

編集部・福田
(コーヒー担当が苦行って言っちゃダメなんじゃ…)

大塚さん
だからそんな方でも心地よく飲める味わいになってます。

編集部・福田
ちなみに、大塚さんの好みはどっちなんですか?

大塚さん
ボクもあんまり濃いコーヒーは好きじゃないんですよね(笑)。だから「クラフトボス」のほうがちょうどいいです。
「クラフトボスならゴクゴクいけます」とのこと
ツッコミ4:500mlのコーヒーが160円って安くないですか? 豆の品質が悪いとか…?

編集部・福田
まだまだツッコませていただきます。
「クラフトボスブラック」は500mlで160円。缶の「ボスブラック」は190mlで120円程度ですよね。あきらかに計算が合わないですよね…
もしかして、「クラフトボス」は品質の悪い豆を使っているんじゃないですか?

大塚さん
アハハハハ! そんなわけないじゃないですか(笑)。
今日イチの笑いを見せつけられた

大塚さん
品質は、ほかの商品に負けずとも劣りません。むしろ、めちゃくちゃ手間がかかっているといってもいい。
「クラフトボス」ってあっさりしているけど、ちゃんと香りが立っているでしょう?

編集部・福田
まあ…たしかにそうですね。

大塚さん
普通にコーヒー豆からコーヒーを抽出するだけだと、苦みもついてきてしまいます。でも、「クラフトボス」は苦みを抑えないといけません。

編集部・福田
だから薄めに作っているのでは?

大塚さん
違います!
あれは、「すっごく香りがいいんだけど、薄いコーヒー」「苦いけど、香りが少ないコーヒー」など特徴があるコーヒーたちをブレンドしたんです。それぞれの個性をバランスよく掛け合わせて、「めちゃくちゃ香り高いけど、苦くないコーヒー」を生み出しました。
5種類のコーヒーを先に抽出して、1つのコーヒーを作っている…と、いうことはつまり?

編集部・福田
普通のコーヒーよりも手間がかかっている…?

大塚さん
そういうことです!

編集部・福田
それだと逆に大赤字なのでは?

大塚さん
結構やりすぎたな…って思ってます(笑)。
でも、あの味わいを作り出したことで、これまでお茶とか水を飲んでいた人も手に取ってくれるようになったんですよ。これまでコーヒーが苦くて飲めなかった人から、「私でも飲めるコーヒーが出てくれてうれしい」という声まで届いています。
新しいファン層を取り込んで販売数を伸ばすことができたので、それはよかったかなと思っていますね。
ツッコミ5:他社がマネしてきてムカつきません?

編集部・福田
「クラフトボス」が出てきてから、他社もペットボトルコーヒーを出してきましたよね。あれって、正直「マネしてんじゃねえよ!」って思いませんか?

大塚さん
うーん、それって「クラフトボス」をリスペクトしてくれた結果だと思っているんですよね。インスパイアを「クラフトボス」から受けていると。

編集部・福田
じゃあ怒りはないと?

大塚さん
ほかの商品がリスペクトしてくれたのは誇らしいですよ。
「ペットボトルコーヒー」というジャンルを確立したことになりますから。
みんな「クラフトボス」をリスペクトしてくれてますね!とのこと

編集部・福田
でも、味の違いが分からないという人もいるようですよ。うちの編集長も「味一緒じゃない?」って言ってました。

大塚さん
そこは正直、「よくここまで味を近づけてきたな」って驚いています。ボクも間違えることもありますからね(笑)。

編集部・福田
そうなんですか!?
他社にユーザーが流れていってしまうコワさもありますよね。

大塚さん
いや、それはあんまり考えていません。
僕らの業界って半分雰囲気で売っているようなものなんですよ。

編集部・福田
そんなこと言っていいんですか!?

大塚さん
つまり、最後はブランド力ってことです。
これを持っていた方がかっこいいとか、これをもっていたほうがほっとするとか、「クラフトボス」を持っているとイケてると思われるような雰囲気作りができれば、他社よりも魅力的なブランドにできると思います。

編集部・福田
なるほどなぁ。
今日はいろいろツッコませていただきましたが、貴重なお話ありがとうございました!
「クラフトボス」の誕生により、コーヒー業界は変わりました。「ペットボトルのコーヒー」は売れないという暗黙のルールを破り、コーヒーが飲めない人も取り込むことに成功しています。
働く人の声をダイレクトに受け、寄り添おうとする姿勢を見て、「ボス」がロングセラーブランドとしてここまであり続ける理由がわかった気がしました。
ちなみに、新商品の「ブラウン」は、「ブラックだと苦い、だけどラテだと甘すぎる」という人に向けたもの。ブラックコーヒーに、ガムシロップとミルクをちょっとずつ入れた味わいなんだとか。こちらも要チェックです!
〈取材・文=福田啄也(@fkd1111)/撮影=いしかわゆき(@milkprincess17)〉

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