

問診表も検査結果確認もスマホでOK
早い・安いがウリって危なくない? 15分で検査が終わる「スマート脳ドック」にツッコんできた
新R25編集部
各社からさまざまな新商品が登場する現在。でも、その商品って本当にいいモノなんでしょうか? よく考えてみると、ちょっとツッコミどころもありませんか?
「新商品ポリス」(タイアップ募集中!)では、新R25編集部が企業にお邪魔して、商品やサービスに読者目線(?)で切り込みます。はたして担当者はツッコミを見事跳ね返し、商品の良さをアピールできるのか…。
今回ツッコミに行ったのは、2018年1月から本格始動したというこちらのサービス。
東京メトロ銀座線などで広告を見かけたことがある方もいるのでは?
来院から30分以内で検査ができる「スマート脳ドック」!…といっても、「人間ドック」すら受けたことがない私たちには「脳ドック」がピンときていません。
ただ、この「スマート脳ドック」を行っている「メディカルチェックスタジオ」の代表・濱野さんによると、働き盛りの20代にこそ、このサービスを受けてみてほしいんだとか。
そもそも「脳ドック」とはなんなのでしょうか? また、30分以内にすべてが終わる、という検査は本当に正確なのでしょうか? 実際にクリニックに行って、ツッコんできました!
〈聞き手=ライター・楳田佳香〉
【濱野斗百礼(はまの・ともあき)】1969年生まれ。楽天株式会社にて執行役員、グループ会社のリンクシェア・ジャパン株式会社にて代表取締役社長を務めたのち、スマートスキャン株式会社を設立
ツッコミ1:「脳ドック」を受ける必要性ってあるの?

楳田
まずさっそくですが、「脳ドック」とはどのようなものなのでしょうか?

濱野さん
頭部をMRI撮影して、脳に異常がないか、画像診断でチェックするものです。
日本人の3大死因を知っていますか?

楳田
えーっと、たしかガンがもっとも多くて…

濱野さん
上から、ガン(悪性新生物)、心疾患(高血圧性を除く)、そして脳血管疾患なんです(厚生労働省調べ)。
くも膜下出血や脳梗塞などで亡くなる…というのをニュースで聞いたこともあるでしょう。
脳疾患の怖いところは、急に襲ってくるところなんですよ。

楳田
たしかに…では「脳ドック」を受ければ、事前に防ぐことができるのでしょうか?

濱野さん
このクリニックが2018年1月に本格始動して、脳ドック受診者は約1万7000人になりますが、そのなかで約1%の方に緊急処置の必要性が高い症状が見られました(2019年3月現在の情報)。
脅すわけではありませんが、本人に自覚症状がなくてもうちで検査を受けたら、すぐに救急車を手配しなくちゃいけないような症状を発見する事例もありましたよ。

濱野さん
それに、20代の方も受診されることがありますが、「大脳白質病変」がグレード1以上だった人は18%もいました。
「20代だから大丈夫」とは言えないんですよ。
https://www.web-neurosurgery.com/?p=254※「大脳白質病変」とは、脳深部の白質というところで、血の巡りが悪くなっている状態。
グレード0~4までの5段階で、グレード1は「直径3mm未満の点状病変、または拡大血管周囲腔」が見られます。
グレードが高くなると、認知機能の低下やパーキンソニズムという症状が生まれ、脳梗塞をおこしやすくなると言われています。

濱野さん
以前、頭痛が治らないという10代の男の子が「スマート脳ドック」を受けにきたんですけど、そのときは「脳出血」が見つかりました。
そのあとすぐに紹介状を持って大学病院に行ってもらい、なんとか事なきを得ましたが、10代でも脳に異常がおこっている可能性もあります。

楳田
10代で脳出血…! どんどん他人事には感じられなくなってきました…
ツッコミ2:検査1回で1万7500円って安いの?

楳田
この「スマート脳ドック」は1回1万7500円ですよね。
普通の「脳ドック」はいくらくらいなんでしょうか?

濱野さん
「脳ドック」は、通常の「人間ドック」には含まれず「オプション」扱いで、1回4~5万円が相場なんです。

楳田
ってことは半額以下…!
なぜそんなに安くできるんですか!?

濱野さん
MRI1台あたりの「稼働率」が高いんですよ。
通常の病院では、1台のMRIで脳以外にも全身のいろんな部位を撮影するので、1時間で2人程度。
ウチは脳だけの撮影に特化したことによって、撮影時間は10分程度。検査着への着替えは不要なので、1台につき1時間で4人を検査できます。

楳田
普通の病院の2倍!

濱野さん
また、事前のWEB予約で問診票の入力を済ませるので、実際に来店してからすぐに検査できます。
それに撮影した検査結果は、1週間後にスマートフォンで確認する仕組みにしました。
クリニックにいる時間は検査のみ。それで、30分未満で完了できるようになったんです。

楳田
なるほど、それが「スマート脳ドック」という名前の由来なんですね。
ツッコミ3:「早い」「安い」って言うけど、検査は正確なの?

楳田
「安さ」を実現するために、回転率を上げたのはわかりました。
ただ、これって正確性はどうなのでしょう?
数が多いと、すべてを見きれないんじゃないですか?

濱野さん
やはり気になりますよね…
(ニヤリ)

濱野さん
検査は、3重にチェックしています。
当クリニックにいるのは循環器内科の院長だけですが、実は撮影した画像をクラウドサービスにアップして、日本全国の専門医師たちに画像診断してもらっているんですよ。
1次チェックは広島の放射線医、2次チェックとして大学病院にいる脳外科医の遠隔読影チーム(撮影した検査画像から異常を調べる医師のチーム)、最終的に院長チェックが入ります。

楳田
クラウドを活用…今っぽい!

濱野さん
さらに最近はAIも導入して、さらに漏れがないかチェックをしているので4重にチェックしているとも言えますね。
検査結果には院長からの個別コメントが記載されるため、安心感も担保できていると思いますよ。
こちらがその検査結果

濱野さん
これらのシステムを構築したことで、「メディカルチェックスタジオ」は「早い」「安い」「正確」の3拍子をウリにしているんです!

楳田
どこかで聞いたことがあるようなキャッチフレーズ…!
ツッコミ4:その価格設定でぶっちゃけクリニック経営は成り立つの?

楳田
「早い」「安い」「正確」の3拍子そろっているのは、ユーザーにとってありがたいのですが、ぶっちゃけクリニックの経営は成り立っているのでしょうか…?

濱野さん
もちろんです。回転率を上げたことで顧客数が増え、事業として成り立ってきていますよ。
ボクはよく、「検査」は究極のストックビジネスモデルだと言っていて、今後も伸びつづけていくと思っています。

楳田
というと?

濱野さん
一度受診してもらえれば、定期的に健康状態のチェックのため受診に来てもらえるんですよ。
病院よりも安いし手軽だから、また検査を受けるとするならば、当クリニックに来ていただけますよね。
もともとボクが楽天にいたとき、自動車保険の見積もりサイトを運営していたこともあって、毎年更新や見積もりをしなければならないようなビジネスモデルは、かなり長期的に収益を上げられることを学んでいたんですよ。

楳田
なるほど…

濱野さん
それに、来院者の8割が「脳ドック初診者」なんです。まだまだ新規で取り込める層が多い。
社会が高年齢化していることから、必然的にユーザーも増えていくんです。
これまでニッチだった「脳ドック市場」は今後ますます開拓できる、需要の高いジャンルだと思っています。

濱野さん
また、これまで病院では「受診データ」は外部に出さないのが通例だったのを、ここでは自分の受診結果をいつでもスマホで見られるようにしています。
そうするとみんな、周囲の人に小ネタとして自身の検査結果を見せたくなるでしょう。
これが抜群の口コミ効果を生んでいるんですよ。

楳田
たしかに脳の写真があったら、友だちに「これ私の脳の画像なんだよ? すごくない!?」って話したくなりますね。
珍しいから、ちょっと人に見せたくなりますね

濱野さん
今後は脳画像のストックデータを生かして、新薬開発や新しい治療法の発見など、新たな収益を生み出す予定です。
そうすることで、入り口の受診料はもっと下げられると考えていて、もっとたくさんの人が「脳ドック」を受けられるようになりますよ。
医療の世界にビジネス視点で切り込む濱野さん。さすが楽天の元執行役員…
「脳ドック」を受診すべきなのはどんな人?

楳田
最初はハードルが高く感じていた「脳ドック」ですが、どんどん身近に感じてきました。
でも、まだ読者の方には「私には関係ない」と思ってしまう人も多そうです。
最後に、今すぐ受けたほうがいいと思う人を教えていただけますか?

濱野さん
正直なことを言うと、定期的に頭痛に悩む人はみんな受けてほしいです。
頭痛の原因のうち1%は脳から来ている可能性があると言われています。
だから、ただの頭痛だって放置してて、気がついたら危ないことになってる、ということが一番恐ろしいですからね。
「脳ドック」は着替え不要で受診できます。閉所恐怖症の方は技師さんが手を握っていてくださるんだとか

濱野さん
ほかにも、目眩や手のしびれがある人、食生活が乱れている人、高血圧の人も受診をオススメします。
また、ご家族に脳疾患患者がいる人は受診しておいた方が安心ですね。

楳田
こうやって列挙されると、誰でも1つは当てはまるものがある気がします…

濱野さん
そうでしょう? 20代でも一度は受診しておいたら、将来ちょっとは安心できるんじゃないでしょうか?
とにかくまずは、自身の状況を知っておくのが大切です。
最近は「脳ドック」と「肺・心血管ドック」のセット受診が増えているのだとか。セットでも3万円以下
「脳ドック」と聞くと、まだまだ自分には関係ないと思っていましたが、他人事には思えなくなりました。
メディカルチェックスタジオでは「脳ドック」以外に、「肺・心血管ドック」「体脂肪検査」メニューも導入し、同じく「早い」「安い」「正確」を実現されています。
今後は「腹部撮影」「乳腺撮影」など部位を広げ、クリニック増設も視野に入れて展開されていくそうです。
最後に濱野さんから、「今は脳ドックを両親にプレゼントすることもありますよ」と一言。
たしかに親のほうが私よりリスクがあるし、ちょっと心配な気も…。「母の日」や「父の日」に「脳ドック」をプレゼントするのもありかもしれませんね!
〈取材・文=楳田佳香(@tominokoji)/撮影・編集=福田啄也(@fkd1111)〉

脳ドック:画像診断クリニック - メディカルチェックスタジオ
メディカルチェックスタジオクリニックは脳疾患リスクの早期発見(スマート脳ドック)、予防を目的とした定期検診(MRI・CT・エコー)、いざとい
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