人口2万人の町から海外展開へ。社会貢献のために1,000億円企業を目指す、若き経営者のビジネス革命
手広くやってるけど…目的はただひとつ
新R25編集部
岡山県の“人口2万人”のド田舎から、1,000億企業を目指しているのは、ベンチャー企業経営者のせいまさん。
27歳で起業し、現在33歳。4つの会社で代表を務め、創業から5年でグループの年商は10億円超え、SNSのフォロワー数は20万人を突破したそうです。
2024年には西日本ベンチャー100に選出され、2025年には海外事業の展開が決定しているとのこと。
そんなせいまさんに、今後の目指す道について話を伺いました。
〈聞き手=池田さのみ(新R25編集部)〉
地方ベンチャー企業で異例の実績を持つ社長“せいまさん”
池田
せいまさんが起業した理由を教えてください。
せいまさん
若者がワクワクできる会社をつくりたいと思い、起業しました。
日本のGDPは1990年以降ほぼ横ばい状態で、どんどん他国に追い抜かされ、世界との競争に負け続けています。
若者の労働人口は減少の一途をたどり、仕事への熱意・やりがいはどんどん失われ、仕事のやりがいに関する満足度調査ランキングでは世界ワースト1位です。物価は高騰する中、平均所得も1990年代以降上がっていません。
池田
たしかにそんな状態ではワクワクできないですね…
せいまさん
なぜそうなってしまったかというと、古い組織体制のまま規則で縛り付けられ、新しい挑戦は何かと非難される環境だからです。低所得や休みなしの労働環境も要因だと思います。
こんな日本に今の子ども達が将来に希望を持てていると思いますか? 日本の未来にどれだけの期待をしていると思いますか?
僕が子どもの頃は、正直希望も期待もありませんでした。このままじゃダメでしょ? 「面白くない環境をつくっている会社は悪だ!」と言いたいですね。
池田
どうすれば若者がワクワクできる環境をつくれますかね…?
せいまさん
自由でフラットな会社であり、若者が率先して前に出てイキイキできる環境が必要だと考えています。
そこで「岡山から新しい価値観をつくりあげ、日本の社会に風穴をあける。そんな会社を自分がつくり上げるんだ!」という思いで、2018年にアイテムワンを創設しました。
“個の力が最大限発揮される場所”を目指した働き方改革
アイテムワンの働き方改革
✔️年功序列制度の撤廃
✔️副業OK
✔️プライベートとの両立を実現
✔️男性育休取得率100%(実績 3名)
✔️半年ごとの人事異動(本人の希望を尊重)
✔️服装・髪色・ネイル自由
✔️お菓子・アイスべ放題/お茶・コーヒー飲み放題
✔️週休3日制度(2023年6月廃止)
池田
おお、ここまで自由に働けるのは、地方ベンチャーではかなりめずらしいですね。
そのなかでも魅力的な「週休3日制度」という項目が廃止されていますが、これは何か理由があったんでしょうか?
せいまさん
週休3日制度は、休みがたくさんあったほうが社員のみんなが喜ぶと思って創業2年目から導入したんですけど、社員の生産性がなかなか向上しなくて…これでは社員の成長につながらないと判断し、5年目に廃止しました。
休日制度に限らず、社員が働きやすい環境を実現するという起業当初のビジョンは今も大切にしながら、柔軟に対応をしていきたいと思っています。
池田
アイテムワンの創業から2年後の2020年には、人材紹介会社「QLOFUNE」も創業されたんですよね。
せいまさん
そうなんです。アイテムワンを創業後、経営者として転職希望者や学生さんなどとお会いする機会が増えたんですが、「日本の若者、ワクワクしてないな」という思いがより強くなったんです。
先ほども言ったとおり、現状の日本は新しい挑戦は避難される風潮が強く、自分がやりたいと思った挑戦を、一番認めてほしい家族や友人からさえも「現実を見たほうがいい」と否定されてしまう世の中です。
ならば、新しい挑戦をする人を応援できる世界をつくりたい! そんな思いから、「生きがいのある人生を応援する」サービスとして人材紹介会社のQLOFUNEを創りました。
池田
新しい挑戦を応援する文化、たしかに今の日本には必要かも…
せいまさん
アイテムワンで働きやすい環境の会社はつくりましたが、社会人全員がアイテムワンで働きたいわけではないですし、もちろん全員を雇用することもできません。
それぞれの個が尊重され、活躍できる場におつなぎし、求職者の方の“人生を応援する”のがQLOFUNEのミッションだと思っています。
年商10億の先に見据えるものとは
池田
アイテムワン、QLOFUNEを含めて現在4つの会社を経営されているということですが、グループ全体としての今後のビジョンを教えてください。
せいまさん
私たちはふたつのゴールビジョンを掲げています。
ひとつは「子どもたちがワクワクできる社会をつくること」、もうひとつは「社会の役に立てる会社になること」です。
そのため、グループ全体での売上は1,000億円を目指しています。
池田
これからどんな事業で1,000億円企業を目指していくんでしょうか?
せいまさん
現在経営している4社もそうですが、「今の若者が直面する社会問題に直結する事業」を無意識のうちに選んできました。
人材紹介の分野では「労働力の減少」や「若者の貧困問題」、DPFのリサイクル事業や産業廃棄物の会社では「脱炭素」などが挙げられます。
また、新しく何かを創り出すというよりは、「今ここにあるモノに新しい価値を見出す」ということに価値を感じているので、「20~30代にとって避けて通れない社会問題」「今ここにあるモノに新しい価値を見出す」という2点に当てはまるものがあれば、今後も積極的に参画していきたいと考えています。
池田
「子どもたちがワクワクできる社会づくり」というのはこのインタビューのなかでも一貫して挙げられていますが、「社会の役に立てる会社」という部分にはどんな思いがあるんですか?
せいまさん
実は、アイテムワンを創業して4日後に西日本豪雨で被災したんです。
事務所の2階まで浸水して、とても事業を行える状況ではなかったので、会社は休業し、毎日地域の片付けやボランテイア活動をしていました。
岡山県倉敷市真備町にあった当時の事務所
池田
それは切ない…
せいまさん
2018年7月6日の被災後、翌月8月からようやく事業ができるようになったものの、地域の復興にはまだまだ時間がかかるな、という状況でした。
そんななか、その年の年末まで絶えず各地からボランティアの方が来てくださっていて、とても優しい世界を感じたんです。
個人で被災地への寄付やボランティア活動はしてきましたが、これからは企業としても「自分が生かされている社会への恩返しをしたい」という思いが強くなり、会社の利益は社会の役に立つことに使いたいと考えるようになりました。
池田
1,000億円という数字にはどういった意味があるんでしょうか?
せいまさん
今ある社会を変え、社会貢献活動をするためには1,000億円以上の売上が必要であると考えています。
というのも、
・10億円企業 → わたしたちの生活において、なくても変わらない会社
・100億円企業 → わたしたちの生活において、なくても影響のない会社
・1,000億円企業 →わたしたちの生活において、なくてはならない会社
と思っていて。
池田
基準が明確だ…本気度が伝わります。
せいまさん
現在グループ全体での売上は10億円。
正直10億円の売上があれば、もっと社会貢献活動ができると思っていました。
でも10億円の売上から社会活動に充てられるのは本当にわずかで、今までもグループで社会貢献活動には積極的に参加してきましたが、できることが本当に限られているんです。
池田
なるほど…
【直近の社会奉仕活動】
・2023年8月 地元の祭りに参加することでの地域創生活動
・2023年11月 こども食堂へのお菓子寄付
・2023年11月 カンボジアの子どもたちへの支援(物資・お菓子など)
・2024年1月 地元のスポーツチームへの支援
・2024年1月 地元の市長とともに能登半島地震への支援(寝袋×100個、お菓子×50箱)
せいまさん
現在、世界にはさまざまな社会課題があります。地方からの若者流出、子どもの貧困、発展途上国の教育環境の未整備など、向き合わなければいけない問題は多いですが、まずは100億円企業にならないと、本気の社会奉仕活動ができません。
そして、その先の1,000億円企業。
社会に影響を与える企業になることで、今の“終わっている日本の働き方”を本気で変えていきたいと思っています。
「100億円企業になり、社会にとってなくてはならない会社に進化したい。」
公式サイトを見ると、テンション高めで元気いっぱいな様子が伝わってきますが…それとは裏腹に、せいまさんには熱くて真摯な想いがありました。
“挑戦する人”が成長でき、ユニークな制度もある株式会社アイテムワン。せいまさんの想いに共感された方、一緒に働いてみたいという方は、ぜひチェックしてみてください。
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