企業インタビュー
新しい教育を目指して。N高グループ生がすららネット社長に聞く“はたらくWell-being”

新しい教育を目指して。N高グループ生がすららネット社長に聞く“はたらくWell-being”

連載「“はたらくWell-being”を考えよう」

新R25編集部

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リモートワークの浸透などと相まって、「はたらき方改革」が世間の潮流となって久しい昨今。

現場ではたらくビジネスパーソンのなかには、「本気で仕事に打ち込もうと思ったらはたらき方改革なんて無理」「自分らしいはたらき方なんて難しい」と感じている人もいるはず。

そこで、パーソルグループとのコラボでお送りする本連載「“はたらくWell-being”を考えよう」ではモヤモヤを感じているあなたへ「令和の新しいはたらき方」を提案していきます。

今回は、すららネットの代表取締役、湯野川 孝彦(ゆのかわ たかひこ)さんに話を伺いました。

すららネットとは

「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を掲げるエドテック企業。主力製品であるICT教材「すらら」は、AIが個々の理解に合わせて難易度を調整する「アダプティブ・ラーニング」と、学年を遡って学習できる「無学年方式」を特徴とする。

国内では3,100校以上の学習塾や学校に導入され、不登校児の出席扱い制度への対応や、発達・学習障害を持つ子どもへの支援など、多様な教育課題の解決に取り組む。その活動は国内に留まらず、東南アジアを中心とした海外の教育格差解消にも広がっている。

すみやま

今回は“はたらくWell-being”、湯野川さんのはたらくことに対するやりがいや思いをお聞きしたいと考えています。

本日はよろしくお願いいたします!

湯野川さん

よろしくお願いします。

はたらくなかでの“やりがい”とは

すみやま

ずばり、はたらくことのやりがいは何ですか?

湯野川さん

大きく言えば 2 つですね。1つ目は事業面です

我々が提供するサービスは価値が明確です。たとえば、当社の主力商品である ICT 教材「すらら」で学んだ不登校の子どもが、全然わからなかったことを理解できるようになったり、将来に希望を持てるようになったりして、人生が変わることもあります。

このような、相手に対する明確な価値を提供できていて、それにより相手が変化していくのを実感する事業であるということが第一のやりがいですね。

すみやま

相手に価値提供ができている実感が、やりがいにつながるんですね。

実際に使用者からはどんな声を聞くのですか?

湯野川さん

私は「すらら」の原型がつくられたときに、世田谷区で塾を開いたんです。

そのときは今の「すらら」が展開しているような ICT教材だけで学ぶ学習塾業態はほとんどなかったし、人が教えてなんぼだと思われていた時代でした。

そんなアウェイな状況でも来てくれたのは、あちこちの塾に行ったけど、学力面の課題や自身が抱える壁に困る子どもたちばかりでした。その子たちが「すらら」で学んでいくうちに、わかるようになっていく姿を見ていましたし、中学生の女の子から「生まれて初めて英語の勉強を楽しいと思えた」という声も聞きました。

そうやって子どもの成長を見ているうちに、これはすごく価値があるんじゃないかと感じましたね

すみやま

めちゃめちゃ素敵な話じゃないですか。

少し気になったんですけど「社長」というポジションになると、現場に出ることは少ないと思います。

そうなると、実際の変化を目の当たりにできないからやりがいを感じにくくなるのかなあという印象があるんですけど、実際はいかがでしょうか?

湯野川さん

確かに現場に毎日出ることはないですが、少しは出ています。現場に出てみてわかることは多いですから

あとはメンバーを通じていい話も悪い話も聞けるので、会社が与えている影響を常に把握できて、やりがいを感じることができますね。

すみやま

現場感とメンバーからの情報共有の双方を通して、会社が顧客に与えている影響がわかるから、やりがいもなくならないんですね。

湯野川さん

そうですね。

すみやま

素敵ですね。もう 1 つのやりがいは何ですか?

湯野川さん

もう 1 つのやりがいは会社のメンバーですかね

結構ね、いいメンバーばっかりなんですよ(笑)。事業や理念に共感してくれていて、会社が社外に向けて行っているイベントには多くのメンバーが参加するなど、会社のやっていることに関心を持ってくれています。

そういう積極的な仲間と一緒に夢を実現していけることに非常にやりがいを感じますね。

すみやま

仲間と一体となってビジョンを体現する姿、格好いいですね。

事業に込められている思いは何か

すみやま

すららネットの事業やコンテンツにはさまざまなものがありますが、その事業にはどんな思いが込められているんでしょうか?

湯野川さん

思いとしては、単に学力をつけるだけではなくて、子どもたちが生きる力をつけて、大人になったときに社会で活躍してほしいという思いがあります。

すみやま

ちなみに生きる力とは、どのような力だと考えているのでしょうか?

湯野川さん

生きる力を詳細に定義しているわけではないですが、最低限の考える力と自分を信じて行動する力だと思いますね。

すみやま

それは自己肯定感のようなものですか?

湯野川さん

そうですね。直接的にいうと「やればできる」というマインドセットです

そのマインドセットが培われるには、「努力」と「結果」が頭のなかでくっついている必要があると思っています。

努力をしないと結果には結びつきません。努力というのはそこにかけた時間なので、「すらら」では「何にどれだけ時間をかけて学習して何がわかるようになったか」をすべて数字で可視化できるようにしています。

すみやま

なるほど!

自分で努力が見えるから、最終的にやればできるというマインドセットにつながるのですね。

湯野川さん

我々は、このマインドセットを身につけて、将来社会で活躍するプロセスを可視化するためにソーシャルインパクトレポートを定期的に発行しています。

たとえば不登校であれば、単に学習するだけではなく、自己肯定感を高めて将来社会に出て行く自信につながるように設計しています

※実際のソーシャルインパクトレポート

湯野川さん

このソーシャルインパクトレポートは不登校だけではなく、発達障害や低学力、貧困などに対するものも作成しています。

すみやま

ソーシャルインパクトレポートがあると、ソリューションの影響が明確になるんですね!

これを設計してから何か社内で変化はありましたか?

湯野川さん

人によって認識が違ったのがソーシャルインパクトレポートの設計によって統一化されたことはありますね

あとは、今後会社としてやるべきことが明確になりました。「初期アウトカムは今できているけど、長期アウトカムまではアプローチできていないよね」といった具合に、これから必要なことに対する共通認識を持つことができましたね。

すると行動すべきことが明確になって、より社会での活躍につなげるために、通信制高校と事業を行ったり専門学校と連携したりしています。

すみやま

事業の今後の方向性を明らかにできたことで、さらなる事業の発展を図ることができたんですね。

湯野川さん

そうですね。特に不登校の子どもは、初期の段階では先のことを考える余裕がない子どもが多い。

でも少しやる気が出たタイミングで「すらら」を使うと、自己肯定感が身について、将来のことを少し考えられるようになっていきます。

我々もその子の将来をサポートするために、今の学力だけじゃなくて将来のことも視野に入れたコンテンツをつくっていきました

すみやま

事業と理念が一貫していて素敵ですね。

湯野川さん

あと事業のことでいうと、少し余談ですが、すららネットでは努力を可視化しているということを活用して、勉強の成果ではなく勉強した時間を競う“すららカップ”という学習コンテストを開催しています。

人より努力できたら賞がもらえるので自己肯定感もあがります。またこれの面白いのが、取り組んだ時間で勝負するので自然と不登校の人が有利になるんですよね。

すみやま

本当だ!

湯野川さん

面白いですよね。学校では勉強面でスポットライトが当たったことはなかったけど、「すらら」での学習によって、おそらく人生で初めてスポットライトが当たるといったことがあります。

これも自己肯定感につながります。人生においては「努力できる才能」は、「偏差値が高い」ことよりも重要だと思っているので、努力を可視化して測れるコンテストは「すらら」だからこそできたことだと思いますね。

すみやま

めちゃめちゃ考えられてますね。

湯野川さん

これは私の思いつきですけどね(笑)。

すららカップの面白いところはいっぱいあって、子どもたちは時間をかけたほうがいいから、苦手な教科に取り組むこともあります。

それで英語に取り組んでいた結果「単語のテストで 100 点取れました」などの声も聞いたことがあります。

すみやま

なるほど! 面白いですね。

すららカップが苦手科目に取り組む能動的なきっかけになっているんですね。めっちゃ素敵。

湯野川さんの事業に対する熱心な思いが伝わってきます

すららネットの理念の背景、ご自身の思いは何か

すみやま

すららネットの理念「教育の変革を、子どもたちに生きる力を」についてお聞きします。

この理念を掲げた背景となるご自身の経験や考えなどはどのようなものでしょうか?

湯野川さん

私はもともとベンチャー・リンク*という会社にいて、牛角をはじめとしたさまざまな外食系の会社で支援をしてきました。

*ベンチャー・リンク…フランチャイズ(FC)本部のプロデュースや加盟店開拓の代行を行い、「牛角」や「カーブス」などを急成長させた経営コンサルティング企業

すみやま

そうなんですか!? 全然ベクトルが違いますね。

湯野川さん

そうなんですよ。外食産業には接客とか食材とかさまざまな要素があって面白いなと思っていました。

そして、さまざまな事業を支援しているうちに、会社が支援している複数のブランドの開発をするようになって、そのなかの1つとして、たまたま個別指導塾を担当することになりました。

ベンチャー・リンクは真面目な会社だったので、「自分たちが経営していないとその業界の本質的な経営を理解することはできないよね」ということで、自分たちもその個別指導塾に加盟して、塾を経営することになったんです。それが教育に興味を持った最初のきっかけでした。

すみやま

まさに運命の出会い…

湯野川さん

そこには先ほどお話ししたように、勉強ができない子が多くいました。

そういう子を見ていて、「個別指導塾って勉強が苦手な子どものソリューションとして十分には成り立っていない」ということに気づいたんです。

すみやま

そうなんですか? 勉強ができないから個別で教えるという構造かと思っていました。

でもそれは成り立っていない…なぜですか?

湯野川さん

その理由は2つあります。

1つは学生アルバイトの塾講師に教務能力の偏りがあることです。アルバイトの人によって能力が違うし、教え方も違うから生徒の学力向上は、どんなアルバイト教師に当たるか、という運に左右されてしまう。

講師を育成して教務水準をそろえようにも学生アルバイトだから数年でみんなやめてしまう。

これってサービスの品質が安定していないってことですよね。飲食業でたとえたら同じハンバーグのメニューを頼んでいるのに行く度に違う味が出てくるみたいなことです。

すみやま

言われてみればそうですね。

運によって品質が左右されることはサービスとして避けたいことですよね。

湯野川さん

そうですね。そして2つ目は金銭的な格差です

前提として、家庭の所得と子どもの学力には明確な相関性があって、裕福な家庭は勉強できる環境を用意できますが、貧困の家庭はそれができないため、貧困層の子どものほうが勉強が苦手な傾向にあります。

勉強のできない人向けの学び直しは義務教育でしてくれませんし、個別指導塾の月謝はかなり高額です。

毎日教えてもらって、やっと追いつける学力レベルの子どもには通えません。つまり、勉強ができない人に対するソリューションとして個別指導塾は十分に成り立っていないんです

すみやま

確かに、勉強が苦手な子に対するソリューションとしては弱いですね…

湯野川さん

日本の貧困って、海外に比べるとわかりにくいので手が届きにくい現状があるんですよね。

そういった目に見えない貧困層に手を伸ばすには、デジタルツールを使用することが理想だと思ったので、eラーニングというソリューションを提供することにしました。

そしてこれらの経験や考えがすららネットで掲げている教育格差に対するアプローチの軸となり、教育に変革を、子どもたちに生きる力を。という企業理念を掲げるに至ったわけです。

すみやま

いいお話ですね。ちなみに、当時の教育業界ではデジタルを使うことってまだ始まっていなかったですよね?

湯野川さん

そうですね。我々が始めたという感じです。

「新しいこと」を始めるために

すみやま

新しいことに取り組む姿勢、さすがですね!

新しいソリューションの開発となると将来の不透明さからくる心理的ハードルが生じるかと思うのですが、それはどうやって乗り越えたんでしょうか?

湯野川さん

そもそもそういうのが好きだったんですよね。まだ世の中にないことをやるのが

ニーズは絶対あるし、ビジネスモデルとしても優位性があったのでやってみようと思えましたね。

まあ苦労はしますよ(笑)

すみやま

めっちゃ素敵な考えですね! 苦労というのは具体的にどんなものでしたか?

湯野川さん

時代背景も相まって、最初に我々のつくったものは誰も理解してくれなかったですね。

そこで実証実験も兼ねて、わかってもらうために塾をつくりました。

明確な結果を得るために、塾の激戦区である東京都世田谷区に塾を設立し、売れるか売れないか早めに白黒つけようと思っていました

すみやま

すごい行動力ですね…

実際、設立してみてどうだったんですか?

湯野川さん

色んな塾に行ったけど勉強が難しいという子どもが喜んでやってきて、活力を出して勉強に励んでくれました。

そこにきてくれた人は子どもが時間を忘れて集中している姿を見ると、「こういうことなんですね!」と理解してくれました。

子どもの様子を見てもらうのが一番の説得材料になりましたね。

未来の教育を目指して

湯野川さん

ちなみに横にいらっしゃる先生(取材に同行していた角川ドワンゴ学園の職員)は元公立学校の教員だったと聞きましたが、どういうところではたらいていたんですか?

職員

私は熊本の公立学校ではたらいていました。

そこから東京都内の小・中学校や私立で情報の教員をしたりしていました。

教員をやっていたときは一斉授業の形態でどれだけ個人にコミットできるのかというところにすごく悩んでいたので、一人ひとりの進捗に合わせることができるサービスが広まっていけば学校教員の助けになるだろうなと思いながら話を聞いていました

湯野川さん

そうなんですね。よくある商売としては大都市に入っていくケースが多いと思いますが、すららネットはサービスの特性上、山間部や離島を得意としています。

熊本でもサービスを提供していますよ。

職員

熊本は教員採用試験の倍率が低く、その影響か、教員不足により個に応じた指導が難しくなっている学校もあるようです。

すららネットのサービスは、それを解決できると思いました

また、地域によっては外国から来ている子どもも多くいて、そういった子に対して教員が英語で対応できない場合があるので、すごく困っていました。

湯野川さん

なるほど。すららネットは日本語を学ぶ教材もあり幅広い外国語にも対応予定なので、ぜひ使ってもらえるとうれしいですね。

すみやま

すごいですね。都市部だけではなくて地方だからこそ強みを発揮していくサービスだなと改めて感じますし、新しい教育のかたちをつくっていってますよね。

湯野川さん

そうですね。学習塾は地方などの人口密度が高くないところでは成り立たないケースが多いですから、学習塾のない地域は少子化の日本では今後広がっていきます。

つまり地方と都市部の格差はより広まってしまいます。実際に、北海道で塾に通うのに車で1時間かかるといったケースに携わったことがあります。

そういったところに「すらら」を導入すると、塾に来るのは週1回や月に1回だけでよくて、それ以外の日は「すらら」を自宅で活用してオンラインでやり取りをするといったことができるようになります。

すみやま

めちゃめちゃ革命的ですね。

湯野川さん

少子化が進むと人口密度も減少しますから、教育リソースは地方で減少していく。

だからこそ、そのリソースをカバーできるツールとして提供しています。

将来的には公立学校の放課後補習の時間に塾の先生が学校に来て「すらら」を使いながら子どもたちに勉強を教えたり、教材の使い方を共有しあう時間があるともっと深まると思っています。

これはまだまだ実現しそうにないですが、次の未来としてはこれを実現したいですね。

すみやま

実現されたら、教育業界全体が一体となって子どもたちの学びをつくり上げられますもんね。

未来が楽しみです。

取材の最後まで丁寧にご対応してくださいました

湯野川さんの、はたらくことへのやりがいや事業に対する思いや理念を、教育に興味がある高校生が深掘りしてきました。

湯野川さんとお話ししていると、世の中にないものに取り組むワクワク感が伝わってきました。「見えないからこそ面白い」「難しいからこそ挑戦する」それをやり続けることで、はたらくうえでのやりがいや生きがいが見つかる、つまり一生懸命に仕事をすることが“Well-being”につながるんだと思いました。

もしかしたら、まだ見えない未来に向かっていくワクワク感も“はたらくWell-being”なのかもしれません。

<取材・文=住山 雄大>

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