企業インタビュー
夢は「日本一楽しい福祉施設!」自分たちの歩幅で、5つの事業所を開設した株式会社KEY.

夢は「日本一楽しい福祉施設!」自分たちの歩幅で、5つの事業所を開設した株式会社KEY.

新R25編集部

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リモートワークの浸透などと相まって、「はたらき方改革」が世間の潮流となって久しい昨今。

現場ではたらくビジネスパーソンのなかには、「本気で仕事に打ち込もうと思ったらはたらき方改革なんて無理」「自分らしいはたらき方なんて難しい」と感じている人もいるはず。

そこで、パーソルグループとのコラボでお送りする本連載「“はたらくWell-being”を考えよう」ではモヤモヤを感じているあなたへ「令和の新しいはたらき方」を提案していきます。

今回紹介するのは、株式会社KEY.の取締役、水野早貴(みずのさき)さんです。5歳下の実妹であり代表取締役の水野有貴(みずのゆうき)さんの「日本一楽しい福祉施設をつくる!」との想いを応援するかたちで、同社の創業に参画したのが2014年。

その半年後には、石川県金沢市に児童発達支援・放課後等デイサービス「KEY’S(きーず)」をオープンしました。以来、現在までに石川県と宮城県で5つの事業所を開設しています。

「障がいもへったくれもない! 子どもたちが、子どもたちらしく過ごせる第2の家をつくり、第2の家族のような温かい場所をつくろう」とスタートして12年。現在では28名のスタッフと100名を超える子どもたちが集まります。

「自分たちの歩幅とバランスで、じっくり時間をかけ、タイミングがあったときに生まれる景色を楽しみたい」という水野さんの“はたらくWell-being”を聞きました。

1983年石川県金沢市生まれ。宮城県在住。小学5年生で北海道に引っ越し、スキーに出会う。北海道の高校を卒業後、東京の大学へ進学。大学卒業後は宮城県での営業職や新潟県でのホテルとスキー場とキャンプ場の運営に携わる。石川県での介護福祉施設勤務などを経て2014年より現職。放課後デイサービス「KEY’S(きーず)」を石川県に3事業所、宮城県に2事業所開設。2025年、宮城県の栗駒山を開拓したキャンプ場と納屋カフェ「KAGIYA」をオープン

KEY.家訓「一度きりの人生楽しんだ者勝ち。」

メリイ潤

ホームページを拝見しました!「KEY.家訓:一度きりの人生楽しんだ者勝ち。」という言葉が目に飛び込んできたのですが、どういう意味が込められているのですか?

水野さん

私たちは、児童発達支援・放課後等デイサービスを運営しています。一緒に過ごしているのは、障がいのある子どもたちです。

障がいがあろうと無かろうと、すべての人に人生を楽しむ権利がある一度きりの人生を、全力で楽しんでほしい。もちろん、スタッフにも自分の人生を全力で楽しんでほしいし、それらを全力でサポートできる自分たちでありたい。

そんな想いを込めた、KEY.の家訓です。

メリイ潤

現在では、児童発達支援・放課後等デイサービスの施設を石川県と宮城県に合計で5つの事業所を開設されているとのことですが、創業の経緯を教えてください。

水野さん

創業は2014年です。私は取締役として同社の運営に携わっています。代表取締役の水野有貴は、私の5個下の実妹なんです。

(左)実妹であり、代表取締役の水野有貴さん

メリイ潤

姉妹でいらっしゃるんですね!

水野さん

はい。有貴は、石川県の短大で栄養士免許を取得後、障がいを持つ18歳以上の方が利用する就労支援施設ではたらいていました。そこでの仕事を通じて、「いつか自分たちで、日本一楽しい福祉施設をつくりたい!」との思いを抱き、創業までに5年ほどの時間をかけて株式会社KEY.を立ち上げました。有貴から創業への想いを聞くうちに、「私も妹を応援したい」と、取締役として参画することに。私が31歳、妹が26歳のときです。

まず会社を立ち上げて、2015年に石川県に「KEY’S」を開設。翌年の2016年、宮城県に「KEY’S 2nd」を開設しました。宮城県に開設したのは、私が以前暮らしていたご縁があったからです。それから、2017年に石川県に「KEY’S 3rd」、2019年に宮城県に「KEY’S 4th」、2021年に石川県に「KEY’S 5th」を開設してきました。

メリイ潤

毎年のように事業所を開設されている…すごい勢いですね。

水野さん

事業所を増やしたくて、開設しているわけではないんです。

KEY’Sに入所を希望してくれる親御さんや子どもたちが多くいらっしゃるのですが、1事業所における1日の利用可能な定員が決まっているので、それ以上の子どもたちを受け入れるには事業所を新たにつくるしかないんです。ご縁のあったご家族を受け入れるために場所を探して開設している感じです。

残念ながら、それでもすべての入所希望者を受け入れられず、多くのご家族にお断りをしている状態です。

メリイ潤

ご縁のあったご家族を受け入れるために、次々と開設されているのですね。現在、何名くらいが利用されているのでしょう?

水野さん

すべての事業所を合わせると、100名を超えています。

障がいがあっても、子ども時代の子どもらしい景色を見てほしい

メリイ潤

KEY'Sの人気の秘訣はどこにあるとお考えですか?

水野さん

外遊びだと思い⁨⁩ます。たとえ重度の知的障がいがあろうが関係なく、子どもたちを自然に連れ出します。春や秋は山でキャンプ、夏はひたすら水遊び。川に、海に、湖に。冬は雪遊びですね。リフトに乗ってスキーもします。土曜日や祝日、長期休暇を利用して、自然界に遊びに行くんです。

冬は、スキーにスノーボード!

水野さん

平日も、公園に行ってカラダを動かします。私たちの仕事は、毎朝、学校から子どもたちが帰ってきたら、どうやって外遊びに連れ出す時間を捻出するかの調整から始まります。

メリイ潤

サポートが必要な子たちを外へ連れて体験させるというのは、大変ではないのでしょうか?

水野さん

もちろん、大変です。そして、楽しんでもらうにはそれなりの責任が伴います。

ただ、子どもたちには、子ども時代にさまざまな体験をして、色んな景色を見てほしいと思っていて。なので、スタッフから「ここに連れていきたい!」との声が出たときは、できるだけ実現する方向で話を進めています。もちろん、慎重に検討したうえで、ですけど。

メリイ潤

たとえば、かなり慎重に検討して実現した遊びはどんなものがありますか?

水野さん

たとえば…夏のSUPですね。

メリイ潤

SUP!?

水野さん

はい。これまでは、波のない綺麗な湖で SUPをしていたのですが、スタッフから「海でのSUPを体験させてあげたい!」という意見が出まして。

海でのSUPは、湖と比べて波もありますし、遊泳可能区域外で乗ることになるため、安全面でもより配慮が必要です。ただ、「SUPで行くからこそ見える、綺麗な海の景色を子どもたちに見せてあげたい!」というスタッフの熱い気持ちが伝わってきて。そこで、危険がどこにあるか、もしも、想定外のことが発生したときにどう対応するかなど、あらゆるリスクを想定した上で実現させました。

SUPに挑戦!

メリイ潤

なぜ、そこまでできるのでしょう?

水野さん

「子どもたちの記憶に残るんじゃないかな」と思うと、頑張れるんです

学校の先生から、「KEY’Sさんのような体験を、子どもたちにさせてあげるのは到底できることではない。学校では、まずリスクを考えてしまうので。本当に素晴らしいことです」というお言葉をいただくこともあります。

私たちは、「日本一楽しい福祉施設をつくりたい!」との想いを持って事業をスタートしました。障がいのある子どもたちも、子どもらしい子ども時代を過ごし、一度きりの人生を楽しんでほしいんです。「障がいがあるからできない」と最初から諦めたくないんですよね。

安全に配慮して、外遊びをトコトン楽しむ!

スタッフに悩みがあれば、もちろん助ける。ただ、それだけ。

メリイ潤

子どもたちが楽しむことを、非常に大切にされているのが伝わってきました。ちなみに、スタッフの“はたらくWell-being”を高める施策などはありますか?

水野さん

いわゆる、1on1などの堅苦しいものはないですね。「会議して、数字を詰めて、タスクを洗い出して。はい、がんばれ!」みたいな進め方は、私たちには向いてないし、できない。だからこそ、「KEY.家訓」にあるように、全員で人生を楽しむことを大事にしています

メリイ潤

先ほどのSUPの話からすると、スタッフからの意見が通りやすい雰囲気があるようなのですが、スタッフとのコミュニケーションはどのようにとっているのでしょう?

水野さん

スタッフから出てくる意見は、まず、聞きます。それから、どうやったら実現できるかを一緒に考えています。1on1はありませんが、スタッフが悩みや相談事を抱えたときは、「ちょっと聞いてください」って感じでLINEが入ってきます(笑)。

メリイ潤

LINE!?

水野さん

それから、私の家でしゃべります

メリイ潤

家で、しゃべる!?

水野さん

はい。普通の会社ではあまり考えられないのかもしれませんが、私たちらしいスタンスで、スタッフと一緒の時間を過ごしています。

メリイ潤

スタッフとそういう関係性をつくれる秘訣はありますか?

水野さん

秘訣…? スタッフに悩みがあるのなら、もちろん、助けるじゃないですか。話を聞く。ただ、それだけです

悩みがあれば、もちろん助ける。ただ、それだけ

水野さん

私たちは、こういう関わり方しかできないんです。だから、無理な経営拡大はしたくないと思っています。事業所が増えすぎると、いつか直接話を聞くことができなくなる。自分たちの歩幅で、目の前の子どもやスタッフとの時間を大切にしたい。色んなことを積み重ねていった先に見える景色をみんなで見たいと思っています。

「あの山のテッペンを目指すぞ!」というよりも、みんなで楽しく船に乗って、酸いも甘いも味わいつつ、右往左往して手探りで進んだ先に見える景色を一緒に見ようというようなイメージです。まぁ、進んだ先に何が見えるかわからないんで、やべえ船ですけどね(笑)。

メリイ潤

やべえ船…(笑)。

水野さん

ただ、ここ最近は、各事業所のマネージャーやリーダーの一人ひとりが向いている方向と速度が私たち姉妹が目指しているものと合致してきた感じがあるんです。 KEY.が掲げてきた理念が、本当の意味で浸透してきたというか。

これまでは、私たち姉妹が中心となって、KEY.の進む方向と速度を決めてきました。ですが、ここからはスタッフ一人ひとりのエネルギーがうまく噛み合ったタイミングで、みんなでググっと進んでいくのが、「KEY.っぽいね」とみんなで話しています。

そんな流れがきているので、2025年の5月に、宮城県の栗駒山にカフェ「KAGIYA」をオープンするという新しいチャレンジにも踏み出しました。これも、スタッフの「やりたい!」をかたちにすべく、スタートした事業です。紅葉の綺麗な山で、キャンプ場も併設しています。

現在は、一般の方が利用するカフェですが、今後は、KEY'Sを卒業した18歳以上の子どもがアルバイトできる場所にできたらいいなと思っています。また、2026年の春には、同じく宮城県で18歳以降の就労支援施設も開設する予定です。

メリイ潤

「KEY.らしさ」を大切にして、一つひとつの事業をつくっているんですね。

水野さん

一度きりの人生楽しんだ者勝ち。を、仲間全員で味わいたいんです。子どもたちやご家族はもちろんのこと、スタッフみんなで。それは、KEY.が、とても大切にしている感覚です。

仲良しすぎるスタッフたち。「仲良しに越したことはない!」と早貴さん

メリイ潤

仲間全員で、一度きりの人生を味わう…素敵です! 経営面で大切にしていることはありますか?

水野さん

子どもたちとスタッフの両方が健やかでいられるバランスです。子どものためと寄りすぎたら、スタッフが疲弊してしまう。スタッフの意向に寄りすぎたら、なんでもOKしてくれる甘い会社になってしまう。だからといって、どっちもないがしろにしたくない。シーソーみたいなもので、双方のバランスをとることが大事だと思っています。

加えて、長く事業を運営していくためには経営の部分も大事なので、この3つのバランスが大切だという話はスタッフにもしています。スタッフが背負い込みすぎる必要はないのですが、経営面でもKEY.が大切にしていることを知っておいてほしいという意味で共有しています。

メリイ潤

子どもたちもスタッフも、とても大事にされていることが伝わってきます。

水野さん

経営陣でいうと、私と妹も、いい感じにバランスが取れているんだと思っています。妹は、子どもたちがどれだけ楽しめるかを重視している。私は、KEY.というチームにスタッフがどれだけ愛着を持ってくれるかを大事にしていて。

なので、妹だけで経営していたら、「子どものために!あれもこれもしたい!」と子ども中心になっていたかもしれない。私だけだと、スタッフを重視して子どもたちが見るはずの景色をおろそかにしてしまっていたかもしれない。

よく妹と2人で、「それぞれの個性があるから、ここまで12年、なんとかやってこれたのか⁨⁩な」と話しているんです。姉妹2人で経営しているからこそ得られる、私たちの“はたらくWell-being”だと思っています

<取材・文=メリイ潤>

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