

社会課題の解決につなげるメタバース活用で、人の行動を前向きに変えるリプロネクストの取り組み
ひきこもり、移住、学習支援などに貢献
新R25編集部
インターネット上の仮想空間・メタバース。“2022年=メタバース元年”と言われ、大いに騒がれたけど…
「最近聞かなくなったし、結局浸透しなかったんじゃ…」と思ったそこのアナタ。大間違いです! 実は社会問題解決の一助として、活用の場がじわじわ広がっている真っ最中。
メタバース開発を手がける株式会社リプロネクストの代表取締役・藤田献児さんに、具体的にどんな社会課題の解決に役立てているのか、お話を伺ってきました。
〈聞き手=鳥山可南子(新R25編集部)〉
エンタメ・ゲーム領域だけじゃない! 人と社会をつなぐメタバース

藤田さん
2017年に設立したリプロネクストは、「BREAK THE WALL」というビジョンのもと、先端テクノロジーを活用して社会に存在する壁(課題)を壊(解決)し、新たな価値を創造することを目指す会社です。
XRやメタバースを手段として、疑似体験や気軽なコミュニケーションの場を創出し、人と人、人と社会をつなぐ新たな仕組みを構築しています。


鳥山
「メタバース」って、一時期やたら注目されていたような…

藤田さん
そうそう、バズワードだったときがありますよね。
改めて説明すると…メタバースとは、アバターでコミュニケーションがとれる3DCG空間のこと。エンタメやゲームをイメージする方が多いかもしれませんが、私たちはビジネス領域への活用に特化しています。

鳥山
ビジネス領域で、どう活用できるんですか?

藤田さん
ここ数年は、さまざまな自治体の広報活動やひきこもり相談支援において、メタバースを活用した取り組みが増えています。
時間や距離、場所の制約がないという強みは、社会課題の解決にこそ真価を発揮するんですよ。

鳥山
なるほど…!
ひきこもり、農家の後継者、学校の授業… 社会課題の解決事例

鳥山
メタバースを活用した社会課題の解決事例には、どういったものがあるのでしょう?

藤田さん
いろいろあるのですが…今回は3つの具体的な例をご紹介しますね。
①ひきこもり当事者がメタバースがきっかけで気持ちに変化

藤田さん
山梨県のひきこもり支援メタバース「ふらとぴあ*」は、ひきこもりがちな生活を送っている方や、悩みや孤独を感じている方たちが気軽につながりあえる場です。
パソコンやスマートフォンからのぞくだけで、そこには交流空間が広がっています。
*開場:2024年10月25日~2025年3月14日まで


鳥山
家にいながらにして誰かとつながることができるのは、メタバースのメリットですね。
でも、それでも緊張してしまいそう…

藤田さん
もちろん、アバターといえど見知らぬ人がいる場所は緊張しますよね。
だからこそ、この空間では「無理に話そうとしたり、無理に話を聞こうとしたりしない」「話したくないときは話さない」のがルールです。

鳥山
先にそういったルールがあれば、安心して参加できそう!

藤田さん
「ふらとぴあ」では、メタバース空間内で交流イベントを定期開催しました。
ある参加者の方は複数回来訪。普段はほとんど外出できない日々を過ごしているそうですが…
「人の顔を見ると緊張して話せないけれど、アバターだと話しやすい」との感想を伝えてくださったのが印象的でした。


鳥山
すごい! 大きな一歩ですね。

藤田さん
その方は、このメタバースで山梨県内の観光地を疑似体験したことで「実際に行ってみたい」と感じてくださったり、会を追うごとに発言量が増えたりと、他者との交流によってポジティブな変化もいくつか感じられてとてもうれしくなりました。
②メタバースを活用した新規就農者確保に向けた取り組み

藤田さん
岩手県からのご依頼で、メタバースを活用し、全国の就農希望者を対象とした就農相談会「新農業人フェア㏌メタバースいわて」を開催しました。
全国の就農希望者を対象とした相談会や具体事例のご紹介などを行い、実際に首都圏在住の男性が地域の中古ハウスを活用し就農したケースも。


鳥山
メタバースなら相談会に参加するのもラクラクですね。

藤田さん
ほかにも、岩手県外在住の女性がこのメタバース等の岩手の就農相談会を通じて、実際に2025年春に移住しているんですよ。
移動しなくても対面のような雰囲気で相談ができるのは、メタバースの大きなメリットです。


藤田さん
このように、メタバース等の就農相談会がきっかけで、県外から岩手県に就農している方がいるんです。

鳥山
人と地域が、メタバースを介してリアルにつながっている…!
③小学校でメタバース英会話! 発言ハードルが下がり授業に参加できる

藤田さん
学校の授業でもメタバースは活躍しています。
人前で話したり、意見を言ったりするのが苦手な子どもって結構多いんですよ。

鳥山
なんなら大人でも苦手な人、多いですよね…

藤田さん
そうですよね。それが外国語ならなおさらです。
そこで私たちは、メタバースを活用した英語の授業を展開しています。
沖縄県のある小学校で活用いただいた際には、普段まったく発言をしない子が「メタバース内では発言をしてくれた」とのことで、担任の先生がうれしさのあまり泣いて喜んでくれたと聞いています。
学校の授業で使用されたメタバース空間

鳥山
それは感動ですね…!

藤田さん
子どもたちに「英語の授業を教室とメタバースだと、どちらが話しやすいですか?」とアンケートを取ったところ、4人中3人が「メタバースの方が話しやすい」と回答してくれました。
メタバースの活用によって、子どもたちの積極性を引き出せることがあるんだと実感しています。
全国の自治体、企業で導入続々! 活用アイデアは無限大

藤田さん
リプロネクストは、企画から開発まですべて自社で対応しているのが強みです。
課題や目的に応じてオリジナルのメタバース空間を制作することが可能である点を評価され、さまざまな自治体や企業で導入していただいています。


藤田さん
静岡県が広聴・広報活動に活用しているメタバース空間「Metaverse SHIZUOKA」や、山梨県甲府市が全国で初めて自治体主体で設置したメタバース上にひきこもり相談窓口など、自治体による先進的な取り組みをサポートさせていただきました。
また、メタバース上にオリジナルの街をつくった体験型の企業紹介や、メタバース合同企業説明会の開催、メタバースオープンキャンパスなど、その活用アイデアは無限です。
前向きな一歩を後押しする、ビジネス領域のメタバース活用

藤田さん
ビジネス領域や社会課題解決でのメタバース活用は、実装が進んでいるにもかかわらず、まだまだ広く認知されていないのが現状です。
でも、確実にかかわった方々の人生に変化をもたらし、前向きな一歩を後押ししています。
メタバースを活用した取り組みに興味を持った企業・自治体のご担当者の方は、リプロネクストのHPからぜひお気軽にお問い合わせください!
遠い世界のモノ、コト、ヒトを、ぐっと身近にしてくれるのがメタバース。
今後、行政や教育、地域の現場で、もっともっと活躍してくれそうです!
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