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“健康”が企業の未来を、そして日本社会も変える!? 平井さんが目指す “はたらくWell-being”な未来

“健康”が企業の未来を、そして日本社会も変える!? 平井さんが目指す “はたらくWell-being”な未来

連載「“はたらくWell-being”を考えよう」

新R25編集部

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リモートワークの浸透などと相まって、「はたらき方改革」が世間の潮流となって久しい昨今。

現場ではたらくビジネスパーソンのなかには、「本気で仕事に打ち込もうと思ったらはたらき方改革なんて無理」「自分らしいはたらき方なんて難しい」と感じている人もいるはず。

そこで、パーソルグループとのコラボでお送りする本連載「“はたらくWell-being”を考えよう」ではモヤモヤを感じているあなたへ「令和の新しいはたらき方」を提案していきます。

“はたらくWell-being”を叶えるうえで、そして生きるうえでも欠かせないものといえば、「健康」。ですが、日々目の前の仕事に追われ、ついおざなりにしてしまっていませんか?

2014年、経済産業省が東京証券取引所と共同で「健康経営銘柄」の選定を始めたことから、企業が従業員等の健康管理に対して戦略的に取り組む「健康経営」にも注目が集まるようになりました。

今回紹介するのは、2015年に株式会社DeNAでCHO(Chief Health Officer)室の立ち上げを行い、2年連続で「健康経営銘柄」取得を果たした立役者である、平井孝幸さんです。2018年に独立し、現在は企業の「健康経営」を広めるべく事業を展開しています。なぜ平井さんが「健康」に魅せられたのか、独立したことで広がった“はたらくWell-being”について聞きました。

2015年にDeNAで健康&ウェルビーイング経営の専門部署を立ち上げ、南場会長にCHO(Chiief Health Officer)への就任を要請。健康経営銘柄を2年連続で取得するなど、7年間の活動を経て独立。現在は株式会社イブキの代表取締役として、主に大企業の健康経営やダイバーシティ経営推進のコンサルティングやWebサービス提供(1Minute1Action)を行う。ゴルフ上達×健康増進事業も展開し、プロゴルファーや医師と55歳以上向けのレッスンプログラムや施設運営(神田)を手がける。著書に『仕事で成果を出し続ける人が最高のコンディションを毎日維持するためにしていること』(東洋経済新報社刊)。「はたらくWell-being AWARDS 2025」にて、新たなはたらき方部門を受賞

健康の大切さはわかっているけど、行動に移せない…健康無関心層のあなたへ

田邉

健康ってめちゃくちゃ大事だとわかってはいるのですが、いざ何かをしようと思うと腰が重いんですよね…

平井さん

わかります。そして、実はそういった方がほとんどなんです。DeNAで一人で健康経営を推進していたとき、健康を目的にしたセミナーや施策には、ほとんどの人が興味を示さなかった経験があります

だからこそ、私が「健康経営」のサポートをするときに意識していることは、「健康」という言葉を極力使わないことなんです。

えっ、健康経営なのに??

平井さん

もちろん、自分や身近な人が病気を患った経験がある方や、スポーツや職業で健康意識が高い人もいます。でも、多くは「大事だと思っているけど、何もしていない」という健康無関心層なんです。

田邉

まさに私も、健康無関心層だ。

平井さん

2018年に独立して創業した株式会社イブキでは、ヘルスリテラシーの向上を目的とした「1Minute1Action(ワンミニッツワンアクション)」という動画配信サービスを展開しており、500本以上の動画コンテンツがあります。

健康に関するベストセラー本の医師や有識者に出演・監修してもらっている健康関連の動画だけでなく、なかにはビジネススキルに関する動画やサウナ・ゴルフ・キャンプといった娯楽に関する動画など、幅広いジャンルのコンテンツを用意しています。

田邉

え、全然「健康」と関係なくないですか?

平井さん

一見するとそうですが、これは「健康」への間口を広げるためなんです。私は会社のコンセプトに「エンタメ×ヘルスケア」をおいていて、「楽しく、気持ちよく、いつの間にか健康に。」を掲げています。

健康はちょっとした日々の習慣で変わるものなので、「気がついたら、健康になっていた」というサービス設計をしているんです

おかげさまで、この1Minute1Actionは健康経営銘柄企業やホワイト500取得企業といったリーディングカンパニーに導入いただいております。

田邉

自分の好きなコンテンツだと見たくなりますし、そこから「健康」に紐づけていくんですね! ほかにどのような事業を展開しているのでしょうか。

平井さん

個人向けには、ゴルフ上達×健康施設「Golfingスタジオ」も運営しています。

ここがそのスタジオで、プロゴルファー監修の独自プログラムと器具を活用し、自然とゴルフが上手くなる身体づくりをサポートしています。たとえば、このU字の器具に乗ってゴルフのスイングを練習したり、体幹を鍛えたりですね。

会社名の「イブキ」は「息吹」から。「健康を突き詰めた結果、一番大切なのは呼吸だと感じたから」とのこと

平井さん

股関節とか肩甲骨の可動域が広がり、力の抜けたスイングが身についたと好評いただいています。会員の方からは、ゴルフ上達以外にも「腰痛がなくなった」「肩凝りの負担が消えた」「睡眠の質が良くなった」などのうれしい言葉をいただいています!

夢中を武器に! 健康愛が仕事になった理由

田邉

2015年にDeNAでCHO室を立ち上げてから、「健康経営」を軸にお仕事をされていると思うのですが、率直に今のお仕事は好きですか?

平井さん

もちろん! 私はとにかく健康に関することが好きで、正直いうと私生活でも「健康」とゴルフ、口のなか以外のことにあまり興味がないんです(笑)。

仕事においても、健康に関するインプットや実践は飽きることなくできますが、それ以外のことはからきしダメです。パソコン作業もめちゃくちゃ苦手で。よく社員から新卒未満といわれています(笑)。

田邉

仕事も人生も、健康ひと筋なんですね!

平井さん

自分でも時々、病的だなと感じるくらい(笑)。

田邉

ということは、ファーストキャリアからヘルスケア業界に入られたんですか?

平井さん

実はそうではなく、新卒ではメーカー系のベンチャー企業で、ひらすら営業をしていました。担当エリアの全企業をリストアップしては、すべての企業に名刺を配り歩いていましたね。

そのとき、自分の強みの1つに「セールス力」があると気づき、「せっかくこのスキルがあるなら、売られた相手がハッピーになる、その先で社会も自分も幸せになるものに使いたい」と思うようになったんです。

平井さん

その後、半年間のキャリアブレイクのなかで、それを叶えられるのは「健康」だということに辿りついたんです

身体の不調が改善されたり、仕事に集中できるようになったり、健康的になれば誰もが幸せになります。私自身、健康に関する書籍を読んでライフスタイルに取り入れ、実践することが好きだったこともあって、「自分のやりたいこと・人が求めていること・社会に価値を提供できること」の最大公約数を探したら、そこに「健康」がありました

まずは「健康=食べるもの」だろうと食関係のベンチャー企業に入りました。その後、より社会に貢献するような仕事をしたいと思い、DeNAに入社したんです。

田邉

そう思うと、好きなことをお仕事にされたんですね。そんな平井さんに聞きたいのですが、どうしたら「好き」を「仕事」にできると思いますか?

平井さん

私は興味あることにしか情熱を傾けられない性格でもあるので、とにかく夢中になって、ひたすら突き詰めることが大事だと思います。

今でも健康に関する書籍は年間何百冊と読みますし、自分の生活のなかで実践もしています。気になる健康グッズもすぐに試しますし。

田邉

(健康オタクだ…)

平井さん

「〇〇に関しては、日本でトップ10に入る」と自分で言えるぐらい探究するのが大事ですよね。恐らく、好きなことを突き詰めた人は、結果的にそれが仕事になっている場合が多いと思うんです。

田邉

確かに、メディアに取り上げられたり、専門家としてテレビ出演されたりする方もいますよね。

平井さん

そうそう。だから自分がNo.1だと思う人以上に突き詰めれば、仕事になる道は拓ける気がします

突き詰めようと思えば、やれることは無限にある。それをひたすら着実にこなす…というか、こなす意識もない気がしますね。誰に言われずともついやってしまう。僕にとって「健康」がその領域でした。

“健康=自己責任”の時代は終わり? プレゼンティズムがもたらす損失

田邉

昨今、企業の「健康経営」が注目を集めています。「健康経営」を広めている平井さんから見て、その実感はありますか?

平井さん

そうですね、まだまだポテンシャルがあると思っています

どうしても「健康管理は自己責任」という風潮が根強いことや、従業員への健康投資を最大化できていないと感じていて。

田邉

「健康管理は自己責任」、確かに私もそうだと思っていました…

ちなみに、「健康経営」には、企業にとってどういったメリットがあるのでしょうか。

平井さん

第一に、従業員が自分では解決できなかったり、気づいていなかったりする健康課題の解消があります。その結果、一人ひとりのワークパフォーマンス向上につながります。

次に、企業のブランディングです。特にIT業界などは、長時間同じ姿勢でパソコンに向かう不健康なイメージを持たれやすいですよね。そんななか、企業が従業員の健康を本気で考え、サポートしている姿勢を示すことは社内外のポジティブな印象につながります。

また、人材確保の面での効果もあります。たとえば、ひょっとしたら社内には健康上の理由が原因で離職を考えている従業員がいるかもしれません。そうした方々に向けて健康に関するサポート体制を整えられれば、離職防止にもなります。

平井さん

さらに、利益の面でいえばプレゼンティズムによる経済損失を減らすことができ、売り上げの向上も期待できると思います。

田邉

プレゼンティズム?

平井さん

プレゼンティズムとは、体調がすぐれないまま無理してはたらいている状態のことを言います。たとえば、慢性的な腰痛で仕事に集中できなかったり、春だと花粉症による鼻づまりで頭がはたらかなかったり…

はたらいているけど、ちょっと辛い」って状態って、意外とないですか?

田邉

思い当たる節しかありません! はたらけるけど…ってとき、あります。

平井さん

前職で専門家の協力を得て、DeNAのプレゼンティズムによる経済損失を独自に算出したところ、なんと年間で推計23.6億円にものぼることがわかりました

田邉

に、23.6億円!? ちょっとした体調不良だと思っていましたが、そんなにも影響が…

平井さん

そうなんです。これは1社の試算ですので、日本社会で考えたらもっと莫大な損失になりますよね。一人ひとりの健康意識がもっと高まれば、医療費の適正化にもつながるかもしれません。

健康は少しの意識や心がけで変化がみられます。健康経営に着手することは、従業員の健康だけでなく、会社にとっても、社会にとっても価値のあることなんですよね

人生100年時代、健康が支える“はたらくWell-being”

平井さん

そうした広い視点に限らず、人生100年時代と言われる今、自分の力で生活する健康寿命を延ばすことが人生のWell-beingを高める一因になると思います。

田邉

年齢的に「まだ大丈夫」と思っていても、実は身体には日々の疲労が蓄積されていますよね。

平井さん

そうなんです。だからこそ、企業が従業員の健康をサポートする施策を導入することは、“はたらくWell-being”の向上にもなると思いますね。

それから、起業してから感じたのは体の健康はもちろんのこと「どうはたらくか」という選択肢があることも心の健康には大切で、“はたらくWell-being”の重要な要素だと痛感しました。

というと?

田邉

というと?

平井さん

いま、当社には業務委託を含め約20人のメンバーがいるのですが、多くは本業を持ちながら副業としてはたらいてくれています。彼らとは、健康について突き詰めているなかで出会ったので健康意識が高く、それぞれのスキルを当社で発揮してくれています。

そのおかげで僕は事業の拡大にコミットできて、メンバーは多様なはたらき方を実現できている。「ここではたらけて楽しいです!」とも言ってもらえて、こうした柔軟なはたらき方ができる環境を当社でつくり、パートナーそれぞれの“はたらくWell-being”に寄与できたのはうれしい副作用でした(笑)。

田邉

平井さんにとってもパートナーの方々にとっても、Win‐Winな関係なんですね! では、最後に平井さんの今後の目標を教えてください。

平井さん

「健康経営」を広めていくのはもちろんのこと、多くの有識者とのネットワークを生かして、健康経営を推進する複合的なサービスの開発にも取り組みたいですね。

それから、今までなかったようなゴルフ上達リゾート施設をつくってみたいという夢もあります。

健康は、生きている限りずっと向き合っていくもの。これからも、より多くの人が健康に向き合える社会をつくっていきたいです。

<取材・文=田邉 なつほ>

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