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自由でポジティブな「農ライフ」が農業を変革! 新風を吹かすのが“はたらくWell-being”

自由でポジティブな「農ライフ」が農業を変革! 新風を吹かすのが“はたらくWell-being”

連載「“はたらくWell-being”を考えよう」

新R25編集部

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リモートワークの浸透などと相まって、「はたらき方改革」が世間の潮流となって久しい昨今。

現場ではたらくビジネスパーソンの中には、「本気で仕事に打ち込もうと思ったらはたらき方改革なんて無理」「自分らしいはたらき方なんて難しい」と感じている人もいるはず。

そこで、パーソルグループとのコラボでお送りする本連載「“はたらくWell-being”を考えよう」ではモヤモヤを感じているあなたへ「令和の新しいはたらき方」を提案していきます。

今回登場いただくのは、タレント、ナレーター・ラジオDJ、農家、防災士と多くの肩書きを持つ武藤千春さんです。武藤さんは東京生まれ東京育ち。10代のころはダンス&ボーカルグループでボーカルとして活動し、卒業後の2019年に長野県小諸市に拠点を移しました。

現在は生活の中で田畑を耕し、作物を育てる暮らし「農ライフ」の魅力を発信しています。今回は、なぜ東京で過ごしていた武藤さんが農業に取り組むことになったのか、その魅力や、活躍の場を広げている武藤さんが考える“はたらくWell-being”についてお話を伺います。

2011~2014年、ダンス&ボーカルグループのボーカルとして活動。2015年よりユニセックスストリートブランド「BLIXZY(ブライジー)」を設立し、トータルプロデュースを手がけるほか、ラジオナビゲーターやナレーター、MC、タレント、コメンテーターとしても活動。2019年から長野県小諸市に拠点を持ち、農ライフをスタート。野菜やお米、ワイン用ぶどう、南高梅などの栽培を行い、2021年には農ライフブランド「ASAMAYA」を立ち上げる。2022年小諸市農ライフアンバサダーに就任。農ライフや地域・農業の魅力を伝えながら、農村での課題解決に向けた商品開発も行うなど活動の幅を広げ、「有言即行」をテーマに新しい生き方や価値観を発信している。祖父の被災経験から防災士の資格を取得し、2024年からは地域の防災意識を高める団体「あさま防災カルチャークラブ」も始動している

「東京生まれ、東京育ち」から、なぜ長野県で農業従事?

田邉

武藤さんにお話を伺うために、今日は長野県小諸市にやってきました。のどかで素敵な街ですね。

ところで武藤さんは東京生まれ東京育ちだとか…! なぜ今、小諸市にいらっしゃるのですか?

武藤さん

小諸へようこそ! みなさんにお越しいただけてうれしいです。

実は数年前まで、小諸市には縁もゆかりもありませんでした。きっかけとなったのは、東京に住んでいた祖母の小諸市移住

付き添いで何度か訪れているうちに、私もすっかり小諸市のとりこになり、今は小諸に拠点を移して「農ライフ」を楽しんでいます

田邉

「農ライフ」…? 初めて聞く言葉です。

「KOMORO dé WINE PROJECT」でワインづくりにも挑戦中

武藤さん

「農ライフ」は言葉の通り、「農を取り入れた生活」という意味です。

ここに来るまでは土を触るのも苦手で、虫も怖かったのですが、あまりにも近所に友達ができなかったので、農ライフを始めました。

最初は親戚から20坪ほどの畑を借りて独学でのスタート。「自分が食べる分くらいの野菜が採れたらいいな〜」というくらいの軽い気持ちでした。

武藤さんの作った野菜は、色が濃く、どれもおいしそう…!

武藤さん

でも実際に土を触りはじめると、農がとてもクリエイティブな作業だと気づいたんです! この土地の気候ではどんな作物が育つか、どんな土をつくって、どんなものを育成するのかなど、近隣の農家さんが常に実験を繰り返している姿を見て、「農ってなんて面白いんだ!」と目覚めてしまって(笑)。

今では約2000坪の畑で野菜やお米、南高梅、ワイン用のぶどうなどの栽培をしています。

田邉

ええ! たった4年で、そんな規模まで拡大したとは!

武藤さん

これまで私がやってきた農ライフは、自分のためにつくった野菜が余ったら、ネット通販に売りに出すなどの家庭菜園と農業経営の間のような規模でした。

数年をかけて野菜のつくり方や売り方、どんな風にすると利益が出るのかなどをコツコツと実験してきたのですが、ここからは少しだけ規模を広げていけたらいいなと思っています。

小諸市の農業に“新しい風”を吹かせる

田邉

農業へのモチベーションはどこにあるのですか?

武藤さん

農で商いをしたいという方のひとつのモデルケースになれたらいいな」という目標がモチベーションになっていますね。私が東京からの移住者で、他業種からキャリアチェンジしたということもあり、首都圏に住んでいる方々から「私も移住をして農業をしたいんです!」という相談を受けることがあるんです。

でも移住をして農業に新規参入しようとすると、いくつもハードルがあります。なので、私の経験が役に立つのならと2年ほど前から小諸市と協働し、農村での起業や商いを目指す方の支援に取り組んだりもしました。

田邉

ほかの移住者の支援にまで取り組んでいるとは…!

武藤さん

今、日本全国で耕作放棄地が問題になっていますが、信州も例外ではありません。

一方で都会での生活に疑問を抱いて、農村で農業に関わりたいと思っているビジネスパーソンも多く存在します。そういう人たちが農業や農ライフで活躍できる場をつくるために、私にもできることがあるんじゃないかなと思っているんですよね。

田邉

武藤さんだからこそ、感じられることや貢献できることがあるということですね。

武藤さん

関われば関わるほど、農業には昔からの方法が今も根強く残っていることを感じます。たとえば野菜は足並みをそろえて価格を決めることが慣習となっているため、自分たちで適正価格を設定することがやや難しい風潮があるんです。

そのおかげで流通の仕組みが整い、全国に食が行き渡っている側面があるものの、作業費を考えると時給が非常に安くなってしまうというような問題があるのも事実です。

こうした昔からある慣習を一つずつ見直して、新規参入する人が多くの選択肢を持つことができる状況をつくりたい。「昔からそうだから」と変化に後ろ向きの雰囲気を感じることもありますが、先人たちへのリスペクトを持ちつつ、“今”に視点を合わせて一緒にじっくり話をしています。

ポジティブな空気を吹き入れることが“Well-being”

田邉

今の農業にはどんな課題があると思いますか?

武藤さん

徐々に縁が広がるなかで知ったのですが、農業には数年単位では解決できないような問題がたくさんあります。

農業にかかわる方々のミーティングに参加しても、「後継者がいない」「資金がない」「物価高騰で肥料や資材が値上がりしている」など、ネガティブな話題がどんどん出てくるんです。

武藤さん

農業は人の生活を支える素晴らしい仕事だし、そこに携わる人も誇りを持っているはずなのに、目の前の問題にとらわれ過ぎると、視野が狭くなってつい暗い話題ばかりになってしまう。

そこによそからやってきた私が参加して「ちょっと違った視点」を提供することで、ポジティブな空気が少しでも流れるといいなと思っています

武藤さんが小諸市の農業に新風を吹かせている姿が思い浮かぶ…!

武藤さん

たとえば耕作放棄地の問題も、視点を変えれば「誰もが自由に遊べる土地」があるということ。

農家さんとの会話のなかで何気ないポジティブなひと言を投げかけると、地元の農家さんの方の顔がパッと明るくなるんです。そう思うと、自分がはたらきかけることで空気が変わっていく様子を見られることが、“はたらくWell-being”かもしれません

前向きな気持ちが連鎖して、街がもっと明るくなったらいいなと思っています。

田邉

最後に武藤さんが今後、目標としていることを教えてください。

武藤さん

今の目標は、2050年までに小諸市を梅の一大産地にすることです。

「新しい産地」を生み出すなんて考えただけでワクワクしませんか?

今私ができることから一歩一歩種をまき、25年という長い期間をかけて、この壮大な夢が叶ったらいいなと思っています。

<取材=田邉 なつほ、文=市川 みさき>

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