ビジネスパーソンインタビュー
「あなたみたいになりたくない」と言われた青年が変わったのはなぜ?
「つながり・順番・優しさ」で生産性が上がる!? GLOBIS学び放題の仕掛け人が語る"学び直し"の威力
新R25編集部
仕事の現場で奮闘するビジネスパーソンたちの魅力、スキルを“○○力”と名付けて、読者のみなさんにお届けしたい! 題して、連載「あのビジネスパーソンの『○○力』」。
今回登場するのは、いつでもどこでも動画でビジネススキルを学べる定額制サービス「GLOBIS学び放題」の仕掛け人で、同サービスの事業リーダーも務める鳥潟幸志さん。
【鳥潟幸志(とりがた・こうじ)】サイバーエージェントでインターネットマーケティングに携わったのち、デジタル・PR会社のビルコム株式会社を共同創業。取締役COOとして経営全般に10年間携わる。グロービスに参画後は小売・グローバルチームに所属し、コンサルタントとして国内外での研修設計支援を行う。 現在は社内のEdtech推進部門にて「GLOBIS学び放題」の事業リーダーを務める
新卒でサイバーエージェントに入社し、23歳の若さでビルコム株式会社を共同創業。
グロービスに参画後は、たった1人で立ち上げた「GLOBIS学び放題」を150人規模のチームにまで成長させたという、やり手のビジネスパーソンです。
そんな鳥潟さんの活躍を語るのに外せないキーワードが「学び」。
学びの楽しさに取り憑かれ(?)、ビジネスパーソンに学びの機会を提供するサービスまでつくってしまった鳥潟さんが語る、“社会人が学び直すメリット”とは?
何かを学びたい欲求はあるけれど、何から初めていいかわからない…というあなたは必読です。
〈聞き手:石川みく(新R25編集部)〉
「あなたみたいになりたくない」鳥潟青年が踏みまくった“地雷”の数々…
石川
今日はぜひ、鳥潟さんの「学び力」を深掘りしたいなと。
というのも…グロービスの社員の方に「鳥潟さんのすごいところ」を聞いてみたら、こんな回答をいただきまして。
学びをストイックに楽しんでいる人
。
しかも実務に直結するトレンドのスキルから、自然の摂理や人間の心理の理解に役立つ古典まで、興味関心の幅がとても広い。
家族との時間も大切にし、
人生をプロアクティブ(前向き)に楽しむためのタイムマネジメントと自律性
がずば抜けていると思います。
鳥潟さん
あはは、家族のことまで(笑)。ありがたいですね。
まさかメンバーからこんなうれしい言葉を聞ける日が来るとは思っていませんでした。
石川
…どういうことです?
鳥潟さん
僕は23歳で共同創業を経験して、そこからCOOとして会社経営のあらゆる業務に携わっていたのですが…
僕の“学び不足”が原因で、本当にたくさんのトラブルが起こってしまったんです。
石川
トラブル…
鳥潟さん
はい。会社経営で考えられる、ほぼすべての地雷を踏んできた自負があります。
どういう自負?
鳥潟さん
たとえば「黒字倒産」ってご存じですか?
石川
利益はあるのにキャッシュがなくなって倒産すること、ですよね。
鳥潟さん
はい。創業2年目のときにすごい利益が出て「これはいけるぞ!」となったんですけど…
実際は出金のサイクルに入金が追いついてない状態で、「2カ月後にキャッシュがなくなるかもしれない」と言われて…慌てて役員報酬をカットしたりして(笑)。
こんなことは会計知識さえあれば避けられたはずなんですけどね。当時はそれがわからなかった。
石川
なるほど…まさに“学び不足”が原因で地雷を踏んでしまったわけですね。
鳥潟さん
あとは「組織づくり」。
創業して数年で、20人、50人と人が増えていったんですが…メンバーのモチベーションの上げ方も、組織のマネジメント方法もわからなくて。
とりあえず人から聞いた話に影響を受けて「マネジメントは全部仕組み化してしまえ!」みたいなことをやっていたら、まぁメンバーの反感を買いまして(笑)。
石川
なかなかですね…
鳥潟さん
メンバーに「鳥潟さんみたいになりたくありません」とはっきり言われたこともあります。
踏んでますねぇ…地雷を…
鳥潟さん
事業が大きくなればなるほど、注力すべきセンターピンも変わってくるし、組織の仕組みもアップデートしていかないといけないのに、僕は何も気づいてなかった。
その危機感から「必要に迫られて学びはじめた」というのが正直なところなんです。
MBAを取得したことで「悩む時間が減って、考える時間が増えた」
石川
必要に迫られて…ということは、学びが「楽しくなった」のはまた別のタイミングということですか?
鳥潟さん
まさにそうですね。
グロービスに入社したタイミングでMBAを取っているんですが、これが勉強嫌いだった僕が学びにハマる大きなきっかけとなりました。
MBAを取ったことで、仕事への向き合い方が大きく変わったんです。
石川
具体的にはどんな変化が?
鳥潟さん
まずひとつは「悩む時間が減って、考える時間が増えた」こと。
鳥潟さん
思い返すと、MBAを取る前は“解のない悩み”に時間を奪われてたんです。
「なんでうまくいかないんだろう」「あのときこうしていたら」とか。
石川
わかります…考えても答えが出ないやつですね。
鳥潟さん
でも、MBAでビジネスの全体像を学んだことで、「解決できる課題はどこにあるのか」が明確になって、悩む時間が格段に減りました。
悩んでいた時間を「解決策を考える」ことに使えるようになったし、考えたあとは行動ができるようになった。
すべての物事が前に進むようになったのが、1番大きな変化でしたね。
石川
なるほど…「悩む」と「考える」はまったく違うんですね。
鳥潟さん
そしてもうひとつの変化は「圧倒的な効率化」。
考え方のステップがわかるから企画書もパッとつくれるし、短い時間で論理的に整理できるから、ミーティングの準備もサッと終わる。
そのおかげで、ほかの興味がある分野を学んだり、事業の本質に向き合ったりする余裕も生まれました。
石川
それは若手ビジネスパーソンにとっても魅力的なメリットですね…!
鳥潟さん
その結果、まず地雷を踏まなくなりました(笑)。
失敗が減って、後戻りしなくなったおかげで、事業の急成長につながったんです。
「明日の仕事」を解決するところから、学びの楽しさを実感しよう
鳥潟さん
少し前までは、「MBA=経営者や幹部だけが学べばいいもの」というイメージがありましたよね。
石川
ありますね…正直私は経営に興味があるわけではないので、他人事のような気もしてしまいます。
鳥潟さん
でも、VUCA(不確定、不確実な)の時代と言われる今、すべてのビジネスパーソンに「主体的に考える力」が求められている。それを支えるのが“学び”です。
MBAまではいかないにしても、今はどんな仕事をしているビジネスパーソンにも「学び力」が必須な時代だと思うんです。
石川
では「学び力」を身につけたいビジネスパーソンは、まず何から始めればいいのでしょうか?
鳥潟さん
大前提、学ぶときは「目標」を決めたほうがいいですね。
勉強を始める前に「学ぶ目的」を書いてから始めたチームと、何もせずに始めたチームでは、前者のほうが1.5倍テストの成績が高かったという実験結果もあるくらいですから。
石川
へぇ! でも、目標を決めるってけっこう難しいんですよね…
鳥潟さん
いや、そんなに気負わなくて大丈夫。僕はいつも「まずは短期の目標を決めましょう」と伝えています。
たとえば、明日のスケジュールを見て、何か不安なことを一個挙げてみてください。
仮にそれが「得意先へのプレゼンがうまくいくか不安」だとしたら、「明日のプレゼンをいいものにする」という目標を掲げて、プレゼンに関する学びをインプットしてみる。
石川
ふむ…
鳥潟さん
そしたら翌日のプレゼンで、学んだことをそのままやってみてください。
ほぼ間違いなく、過去のプレゼンより上手くいきます。
石川
おお…!
鳥潟さん
最初は、目先の課題を“学び”で解決してみるくらいの気持ちでOK。そのほうが、学ぶ「楽しさ」を肌で感じられると思います。
鳥潟さん
あと…せっかく学ぶなら、ぜひ「体系的な学び」を意識してみてほしいですね。
石川
体系的、というと?
鳥潟さん
たとえば営業について知りたいなら、モノをつくる商品企画のことも、納品のオペレーションのことも、バックオフィスのことも知っておいたほうがいい。
ビジネスの全体像を掴む学びが、グロービスが定義している「体系的な学び」です。
石川
それってどんなメリットがあるんですか?
鳥潟さん
「つながり」「順番」「優しさ」。この3つがキーワードです。
や、優しさ…?
鳥潟さん
まずは「つながり」。ビジネスって1人では成立しないので、売るまでの過程でさまざまな人や組織がかかわっていますよね。
体系的な学びでその「つながり」を理解すると、“どこに問題があるか”に気づけるようになります。
たとえばオペレーションチームで問題が起こっているように見えても、じつはその上の「組織の制度」に問題があった…みたいな事象も正しく把握できるようになって、解決までの近道が見えてきます。
石川
ふむふむ。
鳥潟さん
そして「順番」。これは注力すべき“優先順位”が見えるようになる、ということですね。
先ほども話したように、事業のフェーズによってセンターピンはつねに変化していきます。たとえば立ち上げ期って、顧客のニーズと事業内容をマッチさせることが一番大事なんですけど…
そこで「オペレーションを強化しよう!」みたいなことをやるのは、優先順位を履き違えてしまっているんですよ。体系的な学びがあれば、こういった回り道も避けられます。
石川
なるほど…最後の「優しさ」というのは…?
鳥潟さん
あの…営業と制作ってよくモメるじゃないですか(笑)。それって、お互いがお互いのことしか考えてないからなんですよね。
石川
超わかります…
鳥潟さん
でもビジネスの全体像が見えたら、お互いが事業のために全力を尽くしていることも理解できる。
そうすると、配慮ができるようになるんですよ。体系的な学びを得ると、仲間にも部下にも上司にも優しくなれます(笑)。
それが一番大事。隣にいた営業もめっちゃ頷いてました(和解)
スマホでサクッと体系的な学びを得られる「GLOBIS学び放題」
鳥潟さん
そんな“体系的な学び”の機会を、ビジネスパーソンのみなさんに提供したいということで立ち上げたのが「GLOBIS学び放題」です。
鳥潟さん
GLOBIS学び放題は、いつでもどこでも、動画でビジネススキルを学べる定額制サービス。
ビジネスパーソンの育成に30年以上携わってきたグロービスの知見を活かして、あらゆる業種、業界で必要なビジネススキルを体系的に学べるプログラムをご用意しています。
目的や課題に合わせて、ぴったりな講座が組み合わさった「ラーニングパス」にも注目。自然と体系的な知識が身につくうえに、コースを完了すると修了証がもらえます
石川
私も少し見てみたんですが、1本3分くらいで終わるものもあるんですね。
鳥潟さん
そうなんです。スマホでサクッとできる“学びやすさ”にこだわっていて、3分というのも「人が集中できる時間」を意識しているんですよ。
あとは、講師がずっと喋ってるだけじゃなくて、途中で図解を入れるなど、飽きのこない構成も意識しています。
石川
へぇ! 思ったより手軽に学べそうです。
鳥潟さん
そうですね。
僕自身、MBAを取得するときにかなりハードな思いをしたので…忙しい社会人の方でもなるべく手軽に、学びを楽しんでほしいという気持ちがあります。
石川
とはいえこういうのって、結局続けられずに挫折してしまったりしませんか…?
鳥潟さん
そこを解消するために、「GLOBIS学び放題」ではユーザーさんからのフィードバックをとても大事にしているんですよ。
立ち上げ当初からエンジニアに、すべてのフィードバックを事業の関係者全員が把握できる仕組みを作ってもらっていて。
いただいたご意見には今もほとんど目を通していて、続けるハードルになりかねない指摘はすぐに改善するようにしています。
鳥潟さん
「GLOBIS学び放題」の会員は、およそ23万人。
「GLOBIS学び放題」のオンラインイベントで出会った方々が一緒に事業を始めたりと、新しいチャンスが生まれる場所としても機能しているんですよ。
石川
おお…「GLOBIS学び放題」が、人生を変えるきっかけになってるんですね。
鳥潟さん
そうですね。しかも最近、面白い調査結果があって。
ビジネスパーソンの7割近くの方が「何かを成し遂げたい欲求」を持っているにもかかわらず、その3人に1人は「何を学べばいいのかわからない」と答えているそうなんですよ。
そういう方にこそ、「GLOBIS学び放題」で学びの楽しさを知ってもらえたらうれしいですね。
鳥潟さん
地雷を踏みまくっていた僕自身の若手時代を振り返って思うと…若手ビジネスパーソンの方に足りないのは、経験と知識だけなんですよ。
若いうちからどんどん知識を吸収して、“悩む”を“考える”にシフトすれば、おのずと行動量も増えていく。
そうなれば、もっと仕事が楽しくなると思います。
鳥潟さんいわく、「学びは“最高のエンターテイメント”」。
学習への苦手意識のある方や、いまさら学ぶ時間なんてないよ…と思ってしまっている方は、もしかしたら大人ならではの楽しみに触れる機会を逃してしまっているのかも。
学びで人生を変えた男・鳥潟さんが渾身の思いで生み出した「GLOBIS学び放題」で、あなたも“最高のエンターテイメント”を体感してみませんか?
〈取材・文=石川みく(@newfang298)/編集=福田啄也(@fkd1111)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉
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