何で“低マージン”にこだわるの…?

日本の雇用に問題提起したい。業界一エンジニアの給料が高い「リツアン」代表による“ギブの挑戦”

Sponsored株式会社リツアンSTC
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あのビジネスパーソンの「○○力」

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仕事の現場で奮闘するビジネスパーソンたちの魅力、スキルを“○○力”と名付けて、読者のみなさんにお届けしたい! 題して、連載「あのビジネスパーソンの『○○力』

今回登場するのは、エンジニアに特化したSES・派遣サービスを展開する株式会社リツアンSTCの代表取締役社長・野中久彰(のなか・くにあき)さん
マージン率を抑えることで業界No.1の給与水準を実現している「リツアン」。ほかのエンジニア派遣サービスと比較すると、10年間の所得差は1500万円にもなるのだとか…!
でも、なぜ自社の利益を下げてまでエンジニアに還元するの…?

野中さんと共にゼロイチでリツアンを成長させてきた取締役副社長・平野世己(ひらの・としき)さんにも同席いただき、その理由を深堀ることに。

取材前、野中さんからこんなご相談が…
野中さん

野中さん

あの…緊張しちゃうから、ちょっとお酒飲んでもいいですか?
福田

福田

え…いや、全然いいですけど…
先にことわっておきます。

このひと口を許したがために、最後にこの取材、破綻します。

〈聞き手=福田啄也(新R25編集部)〉

「広告宣伝費なし」「派遣先への転職あり」業界No.1の給与水準を保てるリツアンの秘密

福田

福田

野中さんが創業した「リツアン」は業界No.1の給与水準とのことなんですが…

ぶっちゃけ、所属するエンジニアの年収はいくらくらいなんですか?
野中さん

野中さん

普通に高いと思います。

平均年収が約600万円。4年目以降の社員は「プロ契約」に切りかわって約750万円

20代でもそのくらいいけます
福田

福田

すごい…

マージン率を下げることで、それだけの高給を実現しているんですよね。マージン率って何%なんですか?
野中さん

野中さん

人材派遣業界の全国平均マージン率は約39%なんですけど…

ちょっと見てもいいですか?
おもむろにスマホを取りだす野中さん
野中さん

野中さん

全体の平均だと…企業からの支払いは66万円ぐらいで、社会保険と交通費もろもろ引いて、エンジニアの給料はだいたい50万円。

リツアンの利益が1人当たり8万8000円だから…全体平均のマージン率は24%です
※リツアンは入社1年目から3年目までのマージン率は30%弱、4年目以降になったら19%まで下がります
お金の詳細をすごい見せてくれる
福田

福田

業界平均より15%くらい低いんですね。

でも、マージンを取れない分、リツアンの利益も下がっちゃうと思うんですけど…何で低マージンにできるんですか?
野中さん

野中さん

うちね、ほかの人材会社がお金をかけているところに、あんまりコストをかけていないんですよ。

たとえば広告宣伝費なんかも、働いてるエンジニアさん一人ひとりが広告塔になってくれてるんで
野中さん

野中さん

エンジニア同士の飲み会で給料の話になったときに、社員が「ほかのどの会社よりもリツアンの給料が高い」って話をしてくれるんですよ。

そうしたら、自然と人がうちに集まってくるでしょ?

結果としてリファラル入社率75%ですし。
福田

福田

そんなに…?
野中さん

野中さん

あと、クライアントへの請求書をオープンにしていて、エンジニアさんが各々で給与計算もやってくれてるんで…そこまで大きなバックオフィスも必要ないんです。

つまり、運営部隊の内勤社員も少ない、そしてオフィスも最小限でいい。

そういったコストカットで浮いたお金を、エンジニアさんに還元してるんですよね
福田

福田

リツアンさんを活用した場合、どういうキャリアの積み方ができるんですか?
野中さん

野中さん

まず、リツアンには正社員として入社してもらいます。そこから業務委託契約や派遣契約で実際に企業で働いてもらう。

しかも相性のいい会社があれば、リツアンからその会社に転職もできますし、僕らもそこを全面的にサポートします。

いわば「大人のインターン」とか「トライアル転職」みたいな感じで使ってもらいたいんですよね
福田

福田

雇用を守りながら、企業とマッチングしてくれると。
野中さん

野中さん

はい。就職とか転職のミスマッチって、お互いに“タテマエ同士”だから起こるんですよ。

企業は面接で、デメリットになることを絶対に言わない。で、求職者も企業に都合のいいことしか言わない。

そんな感じで決めてしまっているから雇用のミスマッチが生まれて、結局合わなくて心を病む人が増えると思うんですよね。
福田

福田

そうですね…
野中さん

野中さん

でも、実際に働いて人間関係とかカルチャーを知ったうえで転職できたら、お互いにミスマッチもなくなるんで。

エンジニアの方は、ぜひリツアンを“生活する手段”じゃなくて“転職するための手段”として利用してほしいんですよね。
福田

福田

ほう。
野中さん

野中さん

リツアンを踏み台のように利用してもらって、さっさと条件のいい企業の正社員になるとか、エージェントを通さないフリーランスになるとか、起業するとか、どんどん挑戦してくれたらうれしいんです。

そうすればこの業界ももっとよくなると思うんですよね。
何か裏があるのでは…と思ってたのが恥ずかしいぐらいクリーンな経営でした

「守れなかった社員がいる」野中社長の人材派遣業界への挑戦

福田

福田

ここから、野中さんの「〇〇力」を掘っていきたいのですが…

「マージン率を下げる」とか「転職活用してもらう」って、“本来あるべき派遣のかたち”としてすごく正しいと思うんです。

その一方で、既存の人材業界からすると「余計なことするなよ」って煙たがられそうですよね。

バッシングとか受けなかったですか?
野中さん

野中さん

どうだったかな…いつも酒飲んでるから、わかんないです。
えぇ…
福田

福田

わかんないんですか?

他社から潰されそうになったこととか、苦しかった時期とか…
野中さん

野中さん

あったのかもしれないけど…酒飲んでると全部忘れちゃうんですよね。
そんなことある?
福田

福田

…質問を変えましょう。

なんで既存の人材業界に潰されてもおかしくないような挑戦的な仕組みをつくったんですか?
野中さん

野中さん

僕、別にピンハネして利益を得たいわけじゃないんですよ。

既存の人材業界の雇用のかたちを、問題提起したいんです
野中さん

野中さん

SES・派遣業界って、人間を見てないんですよね。

そもそもフリーランスエージェントやSES・派遣みたいな、労働力から搾取するビジネスモデル自体、正直僕は良いと思ってないんです。なので、リツアンはマージンもミニマムでやってますし。

組織って本来、一人ひとりの働く人間で構成されるものじゃないですか。それなのに派遣する人材を売上として見ているこの業界を、何とかしたかったんですよ。
福田

福田

何かそう思うきっかけがあったんですか?
野中さん

野中さん

僕は新卒でエンジニア派遣会社の営業職に就いたんですけど…

当時は派遣法がまだまだグレーで、今みたいにマージン率の公開も義務化されていなかったし、労働者がすごい搾取されている時代だったんですよ。

そこに追い討ちをかけるようにリーマンショックがきた。
福田

福田

うわぁ…
野中さん

野中さん

僕たち営業マンは何も決裁権を持ってないから、さんざん人生相談に乗ってきたエンジニアさんたちがどんどん解雇されていくのを、ただ見ているだけ。

やっぱ胸が痛いですよ。

「この業界を変えたい」と思ったんですね。まじで。
福田

福田

なるほど…

「就職・転職の雇用のミスマッチ」「SES・派遣業界の雇用問題」。この2つの“不”を、リツアンさんでなんとか改善しようとしてるんですね。
野中さん

野中さん

ほかの大手人材会社では絶対できないんで。それをやりたいです。

…あ、もう一本ありますかね?
ぐっときそうだったのに…どさくさでめちゃ飲むじゃん

「不器用なヤツの受け皿」がないことで芽生えた“ギブ思考”

福田

福田

そんな“不”のある派遣業界で、利益を守りながら新しい仕組みを確立させるのって大変だったと思うんですけど…

なぜここまで「リツアン」を大きくできたと思いますか?
野中さん

野中さん

なんでしょうね…僕は基本、他力本願ですからね。

騙されてもいいから誰かに任せちゃう。
福田

福田

過去に何か騙された経験があった…?
野中さん

野中さん

細々としたものはあったのかな。忘れちゃいました。
ダメだこりゃ
福田

福田

…野中さんを一番近くで見てきた平野さん(取締役副社長)からすると、野中さんの力ってなんだと思いますか?
平野さん

平野さん

野中って、“ギブの思考”がめちゃくちゃ強いんですよ。

いつも、一番最初に「誰に還元するか」から考えていて
平野さん

平野さん

たとえば、現在の東京オフィスもそうです。

野中がたまたま東大生と飲んだときに、「セキュリティーの関係で21時以降は学校を使えないから学べる場所がなくて困ってる」って言われたらしくて。

それで駒場東大前に、オフィスとして一軒家を借りたんですよ。
福田

福田

それは、東大生を青田買いする戦略で…?
野中さん

野中さん

戦略というか…飲んだときの勢いですね。

「学生同士で議論が熱くなったらくれば? 一軒家のオフィスなら飯も食えるし、風呂も入れて、大学にもすぐ行けるじゃん」って感じで。
オフィスってそんな感じで借りていいの?
野中さん

野中さん

学生と同居できるのって、すごくいい刺激になるんですよ。

社会人になって数字に追われると、どうしても未来のことよりも今日明日のことを考えちゃうじゃないですか。でも学生の子たちは、つねに未来を見据えて研究してるんで。
福田

福田

東大には、未来を考えられる優秀な若者がたくさんいますもんね。
平野さん

平野さん

でも駒場キャンパスにいる東大生ってほとんど1〜2年生しかいないから、青田買いとかできないんですよ。ただただスペースを貸しているだけ。

普通の企業は、そんな利益にもならないことやらないじゃないですか。

そういう何の見返りも求めない野中の人柄が学生たちにも伝わったから、あんまり知られてないリツアンみたいな企業でも「面白いかも」って応援してくれたり、協力してくれたりするんですよね。
福田

福田

たしかに…
平野さん

平野さん

おそらく、野中の“ギブの精神”が、結果的に人材業界を変えられるような挑戦に返ってきているんだと思います

リツアンのビジネスモデルも、「良い給料をあげたい」の一心で社員にギブしていたら、結果的にその社員が優秀なエンジニアを連れてくる…みたいなポジティブな循環で成りたっているので。
福田

福田

野中さんって、動機に「困ってる人がいたら見返りを求めず助ける」のような軸があると思うんですけど…

何かそういう原体験があったんですか?
野中さん

野中さん

うちの親父って、なにやってもうまくいかない不器用なヤツで。

転職ばかり繰り返してたんですよ。
野中さん

野中さん

もともとレストランをやってたんですけど、僕が小学校3年生ぐらいのときに辞めちゃって。

そのあと製造工員とか旗振りとかいろいろやるんですけど、料理しかしてこなかった不器用な親父なので、なかなか続かないんですよね。
福田

福田

そういうのわかります…
野中さん

野中さん

職人気質な人って、口下手で不器用なもんなんでね。エンジニアさんも、口がうまい人は信用できないですよ、逆に。

そういう「不器用なヤツの受け皿になるような仕組み」があればいいのかなって思うんです。
ただの飲兵衛じゃなくて、深いバックボーンを持つ飲兵衛だった
福田

福田

最後にお聞きしたいんですけど、野中さんが次にギブしたいなと思うのってどんな人ですか?
野中さん

野中さん

エンジニアド素人ですね。面白そうじゃないですか。

「未経験から戦力になってる」っていう成功事例ができたら、ほかの会社も採用するだろうし、未経験の子たちにも活路を見いだせる。

じつはもう動きはじめてるんだよね、平野。
平野さん

平野さん

今、リツアンでは未経験エンジニアの入り口から出口までをつくろうと動いていまして。

まずは取り掛かりとして、「Flutter大学(※)」でアプリ開発の勉強をしたエンジニアさんをリツアンで採用して、企業に転職するまでをサポートしたいと思ってるんです。
Flutter大学

Flutter大学

※Flutter大学:エンジニア界隈で知る人ぞ知る天才プログラマー・KBOYさんが運営するエンジニア学習コミュニティ
福田

福田

へえ〜…! 誰でもエンジニアになれるチャンスがあるってことですね。
野中さん

野中さん

そもそも、人気な企業に新卒や中途で入社するって門が狭すぎるんですよね

採用枠が数名しかなくても、裏では数十人単位のSESや派遣契約で外部募集が出てるんで…だったらさっさとスキルを習得して、リツアンからそこに行けばいい。そういう機会をつくりたいんですよ。

あの…そろそろいい? もう滑舌回んないよ。
「ホントのこと言うと、いますぐトイレにも行きたいの」
野中さん

野中さん

だからあの…とにかく不器用なヤツはみんなリツアンに来ればいいのよ。

フォロワー700人ぐらいしかいないけどツイッターもやってるんで、質問ある人はそこで言ってきてください。

とりあえずみんなでBBQやろう。月イチで開催してるんで。
…というわけで、野中さんの滑舌の都合により半ば強制的に終わった今回の取材。

後半はろれつが回ってないので聞き取りが大変でしたが…野中さんの「派遣業界を何とかしたい」という熱い想いと、“人たらし”な人柄はしっかり伝わってきました。

お金がもっとほしい。エンジニアになりたい。働き方を変えたいどんな人もウェルカムとのことなので…

まずはHPやツイッターのDMからアプローチして、ご飯を奢ってもらってください!
〈取材・編集=福田啄也(@fkd1111)/文=山田三奈(@l_okbj)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉

改めて、リツアンのご紹介!

リツアンは、エンジニアのキャリアにおけるゴールを「中間マージンのない世界」と捉えているSES・派遣サービス。

理想の企業の正社員になるか、エージェントを通さないフリーランスになることを全面的にサポートしてくれます。

「トライアル期間」では複数の企業での業務を経験することで、ゴールへの最短距離を目指しながらがっつり稼ぐというキャリア形成を実現できるのだとか。
エンジニアとしての今後のキャリアを考える際は、ぜひリツアンに相談してみてください。必ずなにか“ギブ”を与えてくれるはずです!