ビジネスパーソンインタビュー
個人も“資金調達”できる時代に
個人の価値を売買!? 「VALU」や「タイムバンク」を株式会社との比較で理解しよう!
新R25編集部
キャッチコピーは、「だれでも、かんたんに、あなたの価値をトレード」。今年5月にサービスを開始した「VALU」が人気YouTuber・ヒカルの騒動を発端に、一気に注目を集めた。さらに9月には、個人の時間を売買する「Timebank」(タイムバンク)も登場。
どうやらこういった“個人価値売買サービス”が流行り始めているようだけど、いまいち理解できていない人もいるのでは? 今回は株式会社やクラウドファンディングと比較して解説してみたい!
画像は「タイムバンク」のiTunesストアのスクリーンショット
審査を経て、資金調達をするのは株式会社と同じ。SNSのフォロワー数などから個人の時価総額が決まる
ざっくり言うと、VALUやタイムバンクは株式会社が行なっていたことを個人でもできるようになるサービスだ。
会社が継続年数や利益額などの基準を満たすことで上場すると、同社の株は証券取引所で広く一般に売買されるようになる。会社は株式を発行して購入者から資金を調達し、そのお金で事業を行う。
一方で、VALUやタイムバンクも“個人上場”するための審査が行われる。基本的にはSNSのフォロワー数などから影響力を算出し、個人の時価総額が決まるという仕組みだ。
そこで算出された数値を元に、VALUなら模擬株式「VA」を発行して、ビットコインで資金を調達。タイムバンクなら「時間」を発行して、個人でも企業のように資金の調達ができるというわけだ。
株のように購入金額に応じた「優待」があることが多い。個人価値売買サービスではコンサルなどが中心
画像はタイムバンクの田端信太郎氏ページのスクリーンショット
さらに株式会社との共通点として挙げられるのが優待だ。株式会社だと、たとえばマクドナルドの株主は優待としてハンバーガーの無料引換券がもらえる。
VALUでもVALUER(VAを買ってくれた人)へのメリットとして優待が設けられていることが多い。たとえばLINE株式会社 上級執行役員の田端信太郎氏だと、オンラインサロンの参加権などを優待にしている。ただし、VALUはあくまで個人を応援するというコンセプトが強いため、必ずしも優待を設けなくてもいい仕様になっている。
タイムバンクの場合は、購入した時間に応じて講演やコンサルといった優待が受けられる。まさに人の時間を買うイメージだ。ただし現状では後述の理由により時間単価が高騰している。
先に挙げた田端氏の時間単価はもっとも高額の233円/秒(2017年10月20日時点)で、優待のビデオチャットの最低利用時間(要は最低購入時間)は30分となっている。つまり60(秒)×30(分)×233(円)=約42万円!
作家のはあちゅう氏も、20分のビデオチャットが約13万円。正直ボクらが気軽に買える値段ではない。
株式会社/VALU/タイムバンクの比較表
編集部作成
株式会社とVALU、タイムバンクの比較図。資金調達や優待には共通点が見られるものの、個人価値売買サービスの買い手には配当(利益分配)や議決権はない。
クラウドファンディングとの違いは「権利を売買できること」。現状は投機目的での購入が多そう
ボクらが出資をして、優待などのリターンが受けられるという点についてはクラウドファンディングとも似ているが、先ほどのタイムバンクの例でも伝えたように、優待目当ての購入にしてはVAや時間は単価が高い。では、なぜ多くの人が購入しているのだろう?
俳優の山田孝之は自身が立ち上げた新ブランドの制作資金の調達にクラウドファンディングを活用。支援のリターンは江戸ガラス商品となっている(画像は「Makuake」のスクリーンショット)
VALUやタイムバンクがクラウドファンディングと大きく異なる点は、株式会社と同じように「所持しているVAや時間(優待を含む)を他人に売ることができる」ということ。
たとえば、イラストレーターのAさんが個展を開く場合。クラウドファンディングと同じようにVALUで「1万円分購入してくれた人は、個展へ先行招待します」などと呼びかけて出資を募ったとする。
Aさんを応援する気持ちで、「個展への先行招待権」付きのVAを1万円で購入。その話を友人にしたところ、実は前からAさんの作品が好きだったという。そこで、1万5000円払ってくれるなら譲ってもいいと提案し、VAを友人に売却。個展に招待してもらえる権利は友人に移るが、VAの売買で差額の5000円が手に入るというわけだ。
このように、株やVAを短期間で売買して差益を得ることを「投機」と言う。クラウドファンディングは個人の応援という意味合いが強いが、現状VALUやタイムバンクでは(実態とかけ離れた価格になっていることを考えれば)投機目的の購入が多いと予想される。
ヒカルの騒動でも露呈したが、このような個人価値売買サービスはまだ株式取引に比べてシステムやルールが整備されていない点も多いよう。ただ、個人の資金調達の可能性が急速に広がっていることは間違いなさそうだ。
〈文=明日陽樹(考務店)〉
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