

ビールの新しい可能性を8年かけて生み出した
透明ブームに乗ったんでしょ? 話題の透明な発泡酒「クリアクラフト」にツッコんできた
新R25編集部
各社からさまざまな新商品が登場する現在。でも、その商品って本当にいいモノなんでしょうか?よく考えてみると、ちょっとツッコミどころもありませんか?
「新商品ポリス」(タイアップ募集中!)では、新R25編集部が企業にお邪魔して、商品やサービスに読者目線(?)で切り込みます。はたして担当者はツッコミを見事跳ね返し、商品の良さをアピールできるのか…。
今回ツッコミに行ったのはこちら!
アサヒビールがテスト販売を開始した“透明”な発泡酒「クリアクラフト」! 最近、飲料メーカー各社が透明飲料をバンバン発売しているなかで、とうとう透明のビールが登場しました。
かなりツッコミどころがありそうなので、実際に編集部内から集めてみると…
※新R25編集部には、アサヒビールさまを誹謗中傷する意図はまったくございません!
予想以上にツッコミが出てきました。これらを担当者に直接ぶつけてみます!

編集部・福田
「クリアクラフト」について、ビール好きたちの声を集めてきました。かなりシビアな意見が多いです。

西山さん
うう…怖い…。でも、受けて立ちます!
アサヒビール株式会社研究開発本部 開発プロジェクト部 副課長の西山雅子さん。「怖い…怖い…」とつぶやきながらも、インタビューを受けてくださいました
ツッコミ1:透明飲料ブームに乗っかったんですか?

編集部・福田
「とうとう透明なビールがでてきたか…」というのが率直な感想ですが、これは今の「透明飲料」ブームに乗っかったからですよね?

西山さん
さっそく来ましたね。全くもって違います。
ビールの開発はかなり時間がかかるもので、ブームが来てから始めていたら当然乗り遅れちゃうんですよ。「クリアクラフト」は、開発に8年もかかっています。

編集部・福田
本当ですか? にわかには信じられないんですけど…

西山さん
これが当時の開発企画書です。ここに日付がありますが、2011年と書いてありますよね?
マジだった

編集部・福田
失礼いたしました。ということは、アサヒビールは8年前から透明なビールの開発を進めていたんですね。

西山さん
いえ、もともと「透明なビールを作ろう!」という企画ではなく、「究極にすっきりとしたビール」というコンセプトから始まったものだったんですよ。

編集部・福田
究極にすっきり…?

西山さん
私は三度の飯よりビールが好きなんですけど、乾杯からずーっとビールを飲み続けていると、「ちょっと重いな」って思うんですよ。もっと飲みたいけど、満腹感が出てしまう。
そういう時に、すっきりと飲めるビールが欲しい…ということから企画が始まったんです。
じゃあどんなビールならすっきりするのか? 人間の頭の中で、“視覚”からの情報は8割を超えると言われています。
そこで、Webでいろんな色のビールの画像を出し、「どのビールがすっきりとした印象を持ちますか?」というアンケートをとったところ、「無色透明」がすっきりしているという回答が出たんです。

編集部・福田
それで透明なビールの開発に乗り出したと。

西山さん
そうです。結構誤解されがちなので、ここは「ブームに乗っかったわけではない」とはっきり否定しておきますね!
ツッコミ2:透明なビールって、ヤバイ製法で作っているんじゃないですか?

編集部・福田
続いてですが、透明なビールって製法がわからなくて怖い…という意見も出ました。
ボクもヤバイ作り方をしているんじゃないかって思ってます。

西山さん
なるほど…。ここもちゃんと説明させていただきますね。
ビールというのは、麦汁に酵母を入れて発酵させます。酵母が麦汁の栄養分(主にアミノ酸など)を食べて、アルコール分と「ビールの味わい」を作りだしてくれるんです。この麦汁に含まれる栄養分が、ビールの味わいや厚みの素になっているんですよ。
ただ、この部分が「究極にすっきりとしたビール」を邪魔している。だから、麦汁の栄養分を減らすことにしました。
でも、これが失敗だったんです…

編集部・福田
どういうことですか?

西山さん
酵母に満足な栄養素を食べさせないと、酵母から不快な臭いが発生しちゃうんですよ。
微調整を繰り返してみたんですが、いくらやってもダメ。ここで、かなり時間がかかってしまいました。

編集部・福田
そう簡単にはいかなかったんですね…。そこからどうやって脱却したんですか?

西山さん
栄養分減らしたことで臭いがでてしまうなら、いっそ栄養分をなくしてしまおう!ってなったんです。
そしたら、アミノ酸がある一定以下の量になると不快な臭いを出さないことがわかりました。当時は八方ふさがりだったので、これならいけるって大盛り上がりでしたよ。

西山さん
ちなみに、透明になった理由もここに関係しています。メイラード反応ってご存じですか?

編集部・福田
?

西山さん
わかりやすい例だと、パンって焼いたら茶色くなるじゃないですか。あれってアミノ酸と糖に熱が加わることで「メイラード反応」が起こった結果なんです。
普通のビール作りでも、同じ現象が起きていてあの黄金色になっているんです。
ただ、「クリアクラフト」の場合は、不快な臭いを消すためにアミノ酸も極力なくしたので、メイラード反応が起こらず透明のままなんです。

編集部・福田
すっきりな味わいと同時に、透明な見た目を生み出すことに成功したんですね。

西山さん
はい。透明なビールってどうなの?って思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、8年かけてここまで作り上げたので、ぜひ味わっていただきたいです。
いい人すぎてツッコむのがつらくなってきた…
ツッコミ3: 栄養分を取り除いたってことは、ビールらしさもなくなっているんじゃないですか?

編集部・福田
まだまだツッコませていただきます。
麦汁から栄養分を取り除いたことで、ビールらしさもなくなっている気がするんですが…

西山さん
発酵由来の味と香りはちゃんと感じられますし、ホップの香りもあります。
ただ、確かに麦芽の香りや味があるかと言われると、ほかのビール類に比べると少ないですね。

編集部・福田
それだとビール好きには怒られるんじゃないですか?

西山さん
ビールに対してのニーズってさまざまだと思っています。
「麦の味がしっかりとしたコクがあるビールがほしい」という人もいれば、「華やかな香りでホップがフルーティに香るビールが好き」という人もいらっしゃいます。そういう方々には、あまり好まれないかもしれません。

編集部・福田
全てのビール好きに向けて作られたわけではないと。

西山さん
はい。具体例を出すと、ビールを飲んでお腹がいっぱいになってしまったとき、サワーや焼酎に流れる人向けですね。
その中の「別に甘いものが飲みたくてサワーを頼んでいるわけではない!」「アルコール度数が高いものが飲みたくて焼酎を飲んでいるわけではない!」という方々がメインターゲットです。

編集部・福田
ちなみに、意地悪な質問ですが、アサヒビール社員のなかにも「透明なビールってどうなの?」っていう人もいらっしゃるのでは?

西山さん
うーん。企画が立ち上がった8年前には、そんな声もありました。
でも今は透明飲料がたくさん出ていますので、「ついにビール類もきたか…」っていう感じの反応の方が多いです。

編集部・福田
時代がちょうどよく追いついてきたってことですね。
ツッコミ4:「これ水だよ~」って飲ませてくるアルハラが助長されるんじゃないですか?

編集部・福田
最後にこれは完全にやっかみなのですが、ボクはお酒を飲めないんですよ。
そんなボクに「これ水だよ~」って騙して飲ませてくる敵が出てきそうで怖いです。

西山さん
う~ん(笑)。アルハラは絶対ダメですよね。
でも、テスト販売中なので、そういったさまざまな声を聞けるのはすごくありがたいです。実際にそういったお客様の声も届いております。

編集部・福田
間違って飲んでしまう可能性もありますよね。

西山さん
ビールメーカーとしては、誤飲はしっかりと防がなければなりませんね。
まず「クリアクラフト」の場合は、ビール類らしい“泡”がちゃんとついています。泡もちはまだ弱いですが、そこは見極めるきっかけの一つになるはずです。

編集部・福田
なるほど。

西山さん
あとは、やはりアルコール発酵の香りがありますね。なので、飲むときにおかしいと思ったら防いでください。
焼酎やチューハイも透明で誤飲の恐れがあるので、そちらの場合にも生かせる対策だと思います!

編集部・福田
それはそうですよね。こんなやっかみにも丁寧に答えていただき、本当にありがとうございます!
今日は失礼なツッコミが多く、申し訳ございませんでした。

西山さん
最後に、こちらからも一つ言わせていただいてよろしいですか!
今回の「クリアクラフト」は、企画が始まった段階では、「Mirai Special(ミライスペシャル)」と言う開発記号をつけていました。これは当時のマーケッターが、ビール類の新しい未来を願って名付けたものです。
私自身もこの商品はビール類の可能性を広げて、新しい世界を作ってくれるんじゃないかな…!と信じています。ぜひ、読者の皆様も一度飲んでみてください!

編集部・福田
すばらしい…。その思い、読者にしっかりと届けさせていただきます!
初めは“色物”にしか見えなかった「クリアクラフト」。でも、西山さんの熱弁と真摯な姿勢から、この商品がビール業界の新しい風を吹かせようという努力の結晶だとわかりました。
「クリアクラフト」はただいま第2回のテスト販売中。最後の第3回は、8月下旬を予定しているそうです。これが本格的に商品ラインナップに追加されるかどうかは、テスト販売の結果を見て検討されるとのこと。
この夏しか飲めないかもしれない味をぜひお試しください!!
〈取材・文=福田啄也(@fkd1111)/撮影=いしかわゆき(@milkprincess17)〉

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