ビジネスパーソンインタビュー
「美容外科医は、一番下等で下品な存在だった」
「いま怪しげだと思われているものが、次の覇者」高須院長が語る“稼ぐ哲学・使う哲学”
新R25編集部
「プチ整形」や「脂肪吸引」を日本に広めた美容整形の第一人者、高須克弥先生。
しかし、最近そんな輝かしい功績以上に目立っている(?)のが、その豪快すぎるお金の使い方。
被災地、難民、スポーツ選手など、苦しんでいる人たちのもとへ救世主のように現れては支援をくり返す先生のお金にまつわるエピソードは、枚挙にいとまがありません。
もはや、なぜいままでマネ凸していなかったのかを反省するレベル。そんな高須先生のお金の哲学、ガッツリ聞いてきましたよ!
〈聞き手=渡辺将基(新R25編集長)〉
ズバリ、高須先生の年収は? 総資産はまさかの…
渡辺
診療の合間に貴重なお時間をいただき、ありがとうございます!
豪快にお金を使う高須先生のお金事情には、みんな興味があると思います。
高須先生
なんでも答えますよ。僕、なんにもヒミツないですから。
この時点でもう先生大好き
渡辺
ありがとうございます!
まず最初の質問ですが、先生が経営している医療施設の売上って、いまどれくらいあるんでしょうか?
高須先生
高須クリニックと高須病院を合わせたら、100億円は超えてるかな。
渡辺
100億…すごい。
では、ズバリ聞いてしまいますが…先生の年収は!?
「年収…?」
高須先生
それはわかんないな。
渡辺
そこをなんとか…ざっくりでも大丈夫ですので…!
高須先生
でもまぁ…5億円くらいじゃない?
渡辺
無理やり答えていただきありがとうございます(笑)。
でも、やはり自分のお金ことはよくわかってないんですね。
高須先生
本当にわかんない。
僕、過去にいっぺん所得税法違反で訴えられたんだけど、それは自分で金の管理をしてなかったのが原因なの。
経理を任せっきりにしてて、9億円弱の脱税に気づかなかった(笑)。結局1年間の医業停止になって、追加で20億円ぐらい払わされたよ。
渡辺
名古屋国税局の追加徴税額の個人レコードが高須先生だとお聞きしました(笑)。
高須先生
そうそう。
渡辺
ちなみに、そうなると総資産はどれくらいあるんでしょうか?
まぁ、それもわからないですかね…
高須先生
あ、それは明確。まったくない。
渡辺
え?
高須先生
この数年でぜーんぶ売っちゃった。
いまは自分の家もなくて、だいたいホテルに泊まってる。
渡辺
なるほど。でもたしかに、あれだけ使ってればスッカラカンでもおかしくないか…
高須先生
それこそ、バブルのときは1000億円くらいあったかもしれないけどね。瞬間最大風速では(笑)。
100億円くらい借金してたけど、ピークのときはその金で買った土地の資産価値が10倍以上になってたはずだもん。
渡辺
いやー、すごい時代だったんですね…
逆張りしたヤツが大勝ちする。当時は美容業界がそうだった
渡辺
先生のように豪快にお金を使えるようになるためには、それ以上に稼がないといけないわけじゃないですか。
まずは先生の「稼ぐ哲学」をお聞きしたいです。
高須先生
それはカンタン。逆張りしたヤツが大勝ちする。
渡辺
逆張りですか。やはり先生も逆張りして稼いできたんでしょうか?
高須先生
うん。昔は美容が逆張りだったから。
いまはみんな儲かると思って入ってきてるから、逆にどんどん潰れてるよ。
渡辺
当時の美容業界って、いまとは状況が違ったんですか?
高須先生
美容外科医は医者扱いされてなかったね。
医者は人命に関わることをするほど身分が高かったんだけど、美容外科医は病気じゃない人に金儲けのためにメスを入れる、一番下等で下品な存在だと言われてた。
だから当然(美容外科医に)なりたい人なんていなかったし、美容業界はドロップアウトしたような人たちとか、仕方なしにやってるような人たちばっかりの世界だったのよ。
当時は親戚からも「美容外科医になるなんて高須家の恥だ」と軽蔑されたそう
渡辺
そんな状況で、なぜ先生は美容外科医になろうと思ったんですか?
当時から逆張りの美学があったんでしょうか?
高須先生
ううん。高須家って医者一家なんだけど、代々みんな違うことやってるのよ。
新しく医者になる人って昔の医療の間違いを改めた教育を受けるんだけど、たとえば親子で同じ科になると、それが昔の常識と食い違って必ずケンカになる。
だから誰もやってない美容に行っただけ。ライバルもいないから、親や親戚にも口うるさく言われないだろうと思って。
渡辺
そういう事情があったんですね。
「これからは美容が儲かる」と思っていたわけでもないんですか?
高須先生
うん。商売やる気も全然なかった。
そもそも、僕はこれまで金を儲けようと思って仕事したことはいっぺんもない。バブルのときはおもしろいからゲーム感覚で土地買ってたけど。
気がついてみたら金がいっぱい貯まってて、税務署が攻めてきただけ(笑)。
渡辺
すみません、正直先生のことをちょっと勘違いしていました…
高須先生
儲けようと思ったらね、たいてい失敗するよ。儲けようと思ってないヤツが、いつの間にか金持ちになってる。
だから金儲けの勉強してるヤツって、絶対金持ちになれない!保証してもいい。
ここの主張、相当熱がこもってました
“怪しげだけど光るもの”が、次の覇者
高須先生
でもね、結局その時代に怪しげだと思われていたものが次の覇者なのよ。常にそう。
渡辺
怪しげなものが次の覇者。これまた新しい名言が。
高須先生
怪しげなものって商売敵がいないし、そういうところに博打で突っ込んでるとチャンスがあるわけ。
僕が脂肪吸引をはじめて日本に持ってきたときも散々叩かれたけど、いまはもうすっかりメジャーになってるでしょ?
渡辺
たしかに。でも、いたずらに怪しいものに手を出せばいいというわけでもないじゃないですか。
当時はどうやって「脂肪吸引にチャンスがある」って嗅ぎつけたんですか?
高須先生
僕はね、世界中回った。
みんな国内しか見てないんだけど、海外で怪しげなものをたくさん仕入れてくると、そのなかに光るものが必ずあるのよ。
渡辺
怪しげなんだけど、よく見たら実はいいモノ。
高須先生
そう。自分は現場にいるからその目利きができた。
頭ではよくわかってるけど手術できない医者っていっぱいいるんだけどさ、いくら文献読んで勉強しても、実際にモノに触れてないと目利きってできないから。
たとえば、メスを使わない「プチ整形」って僕が広めたんだけど、これも元々シワを膨らませるために打ってたヒアルロン酸を見て「これは鼻を高くするのにも使えるんじゃないか」って思って、まず自分の鼻に打ってみたのよ。
高須先生
そしたら実際に高くなった。
渡辺
目利きどころじゃないですね。自らを実験台にするという…
高須先生
みんなそういうことをしないで「どこかにうまい話がないかな」ってセコイことばっか考えてるけど、いい話は絶対人に話さないからね。誰かに言った瞬間にうまい話じゃなくなるんだもん。
だから自分の足で稼いで、目利きをして見つけないとダメなのよ。
渡辺
耳が痛い読者も多いのではないでしょうか…
支援に見返りなんて求めてない。金はすべて使い切るのが美学
渡辺
そして先生の代名詞といえば、豪快なお金の使い方ですよね。
高須先生
僕は昔からおごり魔で、そんなに金がないときからよく使ってたよ。
高須家ってみんな使うの大好きなんだけどさ。
渡辺
そうなんですね。
これまで先生は数多くの支援にもお金を使われてますが、最終的にそれがなにかしらの形で自分に返ってきているという実感はあるんでしょうか?
高須先生
あのね、見返りを求めたら投資じゃん。
そういう計算好きじゃないのよ。その考えが卑しい!
編集長がこんなに毎回怒られる連載ってあります?
高須先生
だってさ、支援したからってチベットやナイジェリアから客が来ると思う?(笑)
見返りなんて求めるわけない。ただ応援したいだけ。
渡辺
失礼しました…
高須先生
ただね、誰でもいいってわけじゃないのよ。
毎日僕のとこに山ほど連絡が来るんだけど、向こうから「応援してくれ」って言われて応援することはめったにないね。
渡辺
どういう人を応援したくなるんですか?
高須先生
見込みがある人。
僕ね、けっこう勘がいいのよ。たとえば、(支援した)女子アイスホッケーチームもオリンピックに出たでしょ?
渡辺
そこにも先生の目利き力が発揮されてるわけですね。
しかし、仮に自分がいくらお金を持っていたとしても、先生のようなメンタリティになれる自信がないです…
高須先生
金なんてこの世に生きてるうちの借り物なんだから、死ぬまでに全部使い切るのが一番キレイじゃん。
生きていけるだけの金があれば、それ以上貯めることは害しかないよ。遺産相続でトラブルが起きたりさ。
渡辺
そうか…
高須先生
飛行機が1分後に着陸するっていうのに、さらにタンクに燃料を注入したら危ないじゃない。そんなの誰も喜ばないよ。
若者は自分に投資せよ。それ以上万人に効くアドバイスはない
渡辺
お忙しいなか、貴重なお話をありがとうございました。
最後に、先生がいまの若者に伝えたいことはありますか?
高須先生
さっきも言ったけどさ、若いうちに貯めるヤツはバカだね。金をタンスの奥にしまっておいてもなんにもならないじゃん。
貯める金があるなら、自分に投資すればいいんだよ。知識でも技術でもいいし、なんなら肉体に投資したっていい。
高須先生
それはそれからずっと使えるんだから。
そういうのが後々になって意外なところで役に立ってくるのよ。
渡辺
若いうちは貯金よりも自己投資。もはやマネー賢者のアドバイスの鉄板ですね。
高須先生
バブルが崩壊して(土地の値段が下がって)100億円の借金が残ったときも、僕は肉体労働者だからそれを返せたわけ。千昌夫も同じで、歌を歌って借金を返せた。
そうじゃないただの不動産屋は全部飛んじゃったよ。
渡辺
なるほど。そのエピソードは説得力がありますね…
高須先生
最近の若者はみんな賢いんだけど、ちょっとセコくなりすぎてる。まだなんにも持ってないのに、定年まで計算して就職したり。
よく自分探しをしてるヤツなんかもいるけど、自分に投資してなかったらなんにも出てこないよ。
高須先生
というか、もっとカンタンに言えばね、自分がやりたいことをやればいいだけ。
親は「ゲームなんてしてないで学校行ってちゃんと勉強しろ」って言うんだけど、ゲームの才能があれば小さい頃からゲームにつぎこんだっていいんだから。
渡辺
最近はなんでも突き詰めれば仕事になるし、稼げる時代になってますよね。
高須先生
うん。だからいまの時代は、自分のやりたいことに没頭して、学校も卒業しないで中退するようなヤツが優秀。最後まで我慢できないヤツ。
渡辺
そうかもしれませんが、みんながそんなことをしたら危険じゃないですかね…?
高須先生
あ、もちろんそうよ。いまのは才能があるヤツの話ね。
渡辺
そんなぁ…
高須先生
だって、この記事はいろんな人が見るんでしょ?
そこでみんなに語りかけるような言葉を言っても、なまぬるい言葉になるだけ。それじゃあ何の夢もないじゃない。
渡辺
たしかに…それはおっしゃる通りですね。
高須先生
医者も同じなのよ。患者ごとに診断結果が違えば、必要な処方も違う。
「万病に効く」なんて言われてる薬は、実際には効かないし、害もない。一方で劇薬はものすごく効くんだけど、処方する相手を間違えると危険。
みんな何で成功するかわからないからね。読者をここに連れてきてもらえば、絶対一人ひとりにいいアドバイスができると思うんだけどなぁ(笑)。
「がんを公表したら僕の診療にプレミア価値がついちゃって、最近またクリニックに来る人が増えてるのよ(笑)」
インタビュー後、そう笑顔で語りながら颯爽と現場に戻っていった高須先生。いまでも多いときは1日50件ほどの診療をこなしているそうです。
「貯金よりも自己投資」「現場力が目利き力」
今回学んだ話が説得力を増すような先生の習慣に、稼ぐ男の真髄を見た気がしました。
高須先生のマネーの金言をプレゼント!
「成功者は常に逆張り」
高須先生が書いてくれたサイン入り色紙を抽選で1名の方にプレゼントします。
応募方法は、新R25編集部のTwitterアカウントをフォローのうえ、こちらの投稿をリツイートするだけ。ぜひふるってご応募ください!
〈取材・文=渡辺将基(@mw19830720)/撮影=長谷英史〉
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