ビジネスパーソンインタビュー
「自分がいる経済圏を意識してください」
人付き合い、副業、経済圏…年6億以上稼ぐ西野亮廣が語り尽くす「稼げる人になるためのルール」
新R25編集部
「オンラインサロン」という言葉も、世の中にだいぶ定着したように思います。
そんなサロン界でも頭ひとつ抜けた存在なのが、キングコング・西野亮廣さん。主宰する「西野亮廣エンタメ研究所」は、なんと現在の会員数が約3万8000人もいるというから驚きです。その会費だけでとんでもない収入があるのでは?
さらに、西野さんはブログなどでも独特の「経済理論」を披露しています。芸人の枠を飛び越えまくって稼ぐこの人の「お金の価値観」に、編集長の渡辺が直撃します!
〈聞き手=渡辺将基(新R25編集長)/文=天野俊吉(新R25副編集長)〉
西野さんはどれくらい稼いでる?「10分の9は投資する」って言ってるけど…
渡辺
西野さんは普段からよくお金に関する話をしてますよね。
もはや聞くことがあまりないので、今日は「いくら稼いでるのか?」を聞けないと帰れないです(笑)。
西野さん
なるほどなるほど(笑)。
これまではどういう方を取材されたんでしたっけ?
渡辺
経営者の方が多かったですね。タレントさんは初めてです。
西野さん
いや、僕タレントとしてはオワコンっすよ。
昨日も、汐留まで行って、日テレをスルーして電通本社に入っていきましたから(笑)。
もはやただのビジネスマン
渡辺
(笑)。ちなみに、メインの収入はやっぱりオンラインサロンですか?
西野さん
ですね。会員がいま約3万8000人いて、月額1000円なので…
渡辺
年間約5億円…!さすが日本一のオンラインサロンだ…
ほかにはどんな収入があるんですか?
西野さん
あの、実は僕、けっこうなベストセラー作家なんですよ(笑)。
渡辺
そうか、本もありますね。『えんとつ町のプペル』は映画化や舞台化するから、その権利まわりも収入がありそう。
ちなみに、タレント収入は…
西野さん
タレント収入…?(汗)
そこに含めていいのかわかんないですけど、講演料とかはありますね。
須藤くん(マネージャー)、講演会ってどれぐらいやってるんだっけ?
須藤マネージャー
年50回以上はあります。
西野さん
なので、合計すると年収6~7億円ぐらいにはなってるんじゃないですかね?
あらためて洗い出してみると、けっこう稼いでますね(笑)。
西野さん
ただ、会社でやってるんで経費もありますし、いただいたお金はどんどん社会に還元してます。
税金もめちゃくちゃ払わせてもらってるんで、1回「西野くん、ありがとう」って言ってもらいたいですね(笑)。
「西野亮廣はお金に興味がない」はホントなのか!?
渡辺
お金事情を教えていただきありがとうございます(笑)。
ちなみに、キングコングってデビュー1年目から人気があったから、早いうちにかなり稼いでたんじゃないですか?
西野さん
CMとかの臨時収入もあったから、1年目でも1000万円ぐらいはいただいていたのかもしれません。
渡辺
でも西野さんって、その頃からお金に興味なかったんですよね?
西野さん
そうですね。
渡辺
それ、「ウソじゃない?」って言われません?
「僕は思ってないですけどね! みんなはそう思ってるのかなって!」(見苦しい言い訳)
西野さん
めっちゃ言われます(笑)。
でも、僕の生活を見たらびっくりすると思いますよ。絶対貧乏大学生よりお金使ってないですもん。
渡辺
それを読者に証明できる方法ないですかね?
西野さん
須藤くんに聞いてください(笑)。
渡辺
…須藤さん、実際どうなんですか?
須藤マネージャー
ドン引きしましたね。毎日コンビニのそばばっかり食べてます。
渡辺
へぇぇ…西野さんってなんで昔から欲がないんですか?
西野さん
1年目のときからずっと忙しくて、とにかく時間のほうが欲しかったんですよね。
贅沢をしようと思うと時間持ってかれるので、それがイヤだなというのがあって。
いわゆる“財テク”に興味ないのも同じですね。時間を取られちゃうので。
西野さん
だから、お金と時間の使い道に「消費」「浪費」「投資」の3つがあるなら、「消費0.5」「浪費0.5」「投資9」ぐらいの割合で自分のリソースを費やしてますね。
渡辺
極端な偏りですね。消費&浪費欲はホントにないんだな…
西野さん
ただ…性欲はあるんですよ。
渡辺
それ、けっこう時間持ってかれそうですけど…
西野さん
ギャハハハ、たしかに(笑)。
…ちょっと話が脱線しますけど、僕の女性関係って世に全然出回ってないじゃないですか。インスタのDMで「セフレ募集」とかしてるのに。
渡辺
そうですね。意外と何もしてないのかと思ってました。
西野さん
いや、それはアフターケアがハンパじゃないからなんですよ。
「僕、女の子とめっちゃ仲良くなりますからね」
渡辺
…改めて、西野さんのリソースを割いてる割合を教えてもらえますか?
西野さん
え~っと…「消費0.5」「浪費0.5」、投資に「5」で…
セックス「4」でした。
ごめんなさい、インタビューなのでカッコつけてしまいました(笑)。
これ何の話? R25くんフィギュアも呆然です
西野流“稼ぐ哲学”。「お金持ちギバー」はテイカーに近づかない
渡辺
気を取り直して、ここからは西野さんの「お金持ちになる哲学」を教えてほしいんですが…以前Voicyで話していた、「ギバー(与える人)」の話が面白かったです。
「お金持ちになりたければまずギブしろ」ってよく言いますが、お金持ちになれるギバーと、貧乏になるギバーがいると。
西野さん
お金持ちギバーと貧乏なギバーとの違いは、「身のまわりにテイカー(奪う人)を置かないこと」なんですよ。
手当たり次第にまわりに“与えて”いると、テイカーに搾取されちゃうんです。
渡辺
なるほど。
西野さん
動物的なカンでテイカーと距離を置いて、つるまないのが大事です。
自分もテイカーと付き合うのはイヤですね。
西野さん
それでいうと、『新R25』って記事の最後によく「○○さん(取材対象者)のツイッターはこちら」って書いてあるじゃないですか。
その姿勢はすごく「ギバー」だなって思ってます。記事がバズるほど取材されたほうも得をするから、協力したくなる。「株」みたいな発想に近いです。
渡辺
褒めてくれてありがとうございます(笑)。
西野さん
一方、「テイカー」のメディアって著名人の知名度だけ利用してPVを稼ごうとするところもあるじゃないですか。
僕はそういうメディアには顔を出しません(笑)。
渡辺
ちなみに、西野さんが「ギブしたら返ってきた」を実感した原体験って何だったんですか?
西野さん
明確に感じたのは、8年前ぐらいにはじめてクラウドファンディングをやったときですね。
渡辺
そのときは何を“ギブ”したんですか?
西野さん
当時1カ月ぐらい個展をやってたんですけど、その期間中ずっとギャラリーにいて、いろんな人の相談とか悩み事を聞きまくってたんですよ。
その1カ月後にクラウドファンディングをやったら、一気に何千万円ってお金が集まったんです。
渡辺
そのときの人たちが支援してくれたんですね。
西野さん
そうです。「西野さんに相談に乗ってもらったから…」って人がむちゃくちゃいたんです。
ただ、これがもし「相談料500円です」とか言ってたらクラウドファンディングでそんなに集まってないはずなんですよ。
このときの経験で、ギブを大きく回して絡める人を増やしたほうが、最終的に返ってくるものがでっかくなるんだなってわかったんですよね。
普通の人が「与えて返ってくる」経験を積むにはどうしたらいい?
渡辺
その真理に気づくには、西野さんのように“与えて返ってくる経験”をすることが大切だと思うんですけど、どうしても短期的な思考になってしまって、返ってくるまで待てない人が多いと思うんです。
それってどうしたらいいんですかね?
西野さん
たしかに、みんな“待てない”ってのはありますよね。
だから僕、うちの新入社員の子にはまず「オフラインでとにかく全国まわれ」って言うんですよ。半ば強制的に(笑)。
渡辺
全国まわって何をさせるんですか?
西野さん
ひたすらスナックまわって、困ってる人がいたら相談に乗ってあげろと。
バカなことだと思うかもしれないけど、まずギブをして、絶対自分のファンでいてくれる人ができるっていう経験はめちゃくちゃ大きいんです。
渡辺
若いうちにそういう経験をさせてくれる大人がいるといいですね。
でも、なかなかまわりにそんな人いないから難しいですね…
西野さん
これ、元をたどると学校の先生が圧倒的にお金オンチなのが問題かもしれませんね。
「ホリエモンなんか絶対悪いヤツだ。何してるかよく知らないけど」みたいな。
渡辺
あ~、それはありそうですね。
西野さん
昔、美大に呼ばれて講演をしたことがあったんですけど。そこにいる学生に「どうやって高い画材とか買ってんの?」ってきいたら、みんなアルバイトしてるって言うんですよ。
絵と全然関係ない皿洗いしてるんですよ?バカじゃないの!?って思って。
クラウドファンディングでお金を集めて、「そのリターンで絵を描きます」ってすればいいのに。
渡辺
たしかに、“好き”と“お金”が結びつくから、そっちのほうが絶対にいいですね。
西野さん
ただ、それを提案しても先生がクラウドファンディングの仕組みを知らないんですよ。
これはヤベーなと思って「こんな学校辞めたほうがいい! ここは絵の描き方だけは教えてくれるけど、絵を描いて食っていく方法は教えてくれない場所だ」って言ったら、学長に呼び出されて、耳から血が出るほど怒られました(笑)。
美大を荒らしていた西野さん
西野さん
小さい頃からこういう教育をずっと受けるのはツラすぎますね。
渡辺
たしかに、日本の教育がお金の呪縛を生んでいる可能性は高いのかも…
西野さん
僕、以前藤原和博さん(教育改革実践家)と一緒に高校生の授業を担当する機会があったんですけど、そのときに「なんでもいいからクラウドファンディングをやってみろ」っていう夏休みの宿題を出したんですよ。
渡辺
へぇ〜、それは面白い。
西野さん
最終的にレポートも出してもらったんすけど、そのときも成功したのはやっぱり夏休みの前半にギブしまくってた子なんですよね。
「クラウドファンディングやってるのでお金ください!」って最初からテイクしようとした子には、結局(お金が)集まってなくて。わかりやすく結果出てましたね。
渡辺
なるほど。きっとその生徒たちは「先にギブすると返ってくるんだ」ってのを実感できたでしょうね。
西野さん
ですね。だから僕、絶対クラウドファンディングを義務教育でやったらいいと思うんですけどね。目標金額は小さくてもいいので。
渡辺
会社の新人研修とかにもいいかもしれないですね。
西野さん
それ、絶対やったほうがいい!
西野さんがオススメする副業は「自分の資本になる副業」
渡辺
西野さんって、“複業”で立体的なキャリアを築き上げてきた人じゃないですか。
僕、西野さんが成功している一番の要因って、「その時々で最もコスパがいい努力をやりまくってきた」ことなんじゃないかって思うんですよね。
自分が突き抜けようとしたときに、「今ここでひな壇極めるのに時間使うべきなのか?」みたいな。
西野さん
たしかに、「自分がどこに時間を使って」「どの努力をするか」っていうのはすごい意識してますね。
渡辺
まさにそれが“努力のセンス”だと思うんですよね。
西野さん
それってめちゃくちゃ重要ですよね。
ある領域で1万時間を使うと100人に1人の人材になれて、そこからまた別の領域で1万時間を使うと100×100=1万人に1人の希少価値の高い人材になれる、みたいな理論があるじゃないですか。
僕もこの考え方でやってきましたけど、当然その“1万時間の使い方”という観点もあるわけで。
西野さん
ただなんとなく過ごした1万時間と、むちゃくちゃ分析・改善しながら動いた1万時間は全然違うじゃないですか。
そこは意識しないとダメですよね。
渡辺
ちなみに今って、サラリーマンの間でも「副業」がトレンドになってるじゃないですか。“複業家”の西野さんに、いい副業をするためのアドバイスをいただけたらうれしいです。
西野さん
それで言うと、副業するなら「資本になるもの」に時間を使ったほうがいいですね。
YouTubeやるなら、アーカイブ性が高い普遍的な内容しか扱わないとか。
時事ネタは見てもらうフックにはなるけど、すぐ見られなくなるから「資本」になってないじゃないですか。
渡辺
絵本もオンラインサロンも、まさに西野さんの「資本」になってますもんね。
一時的にお金を稼ぐだけじゃなく、「自分の資本になる副業かどうか」を意識するとよさそうですね。
稼げる人は「自分が住んでる経済圏のルール」を守れる人
西野さん
あと、これは最近僕のオンラインサロンでも議論になったんですけど、稼ぐためには「自分がどの経済圏の住人なのかを意識すること」が重要だと思うんですよね。
渡辺
「どの経済圏」というと…?
西野さん
経済圏にはいくつかの種類があって、まずは既存の「貨幣経済」。お金持ってる人がブイブイ言わせてる世界。
それと、ここ数年は「評価経済」って言葉をよく聞きますよね。フォロワー多い人がお金を稼げるっていう。
渡辺
はい。
西野さん
ただ、最近この「評価経済」をとらえる精度をもうちょっと上げる必要があると思っていて。
たとえばフォロワーが多くても、クラウドファンディングで全然お金を集められない人っているじゃないですか。
渡辺
最近はそういう事例が出てきてますね。逆も然り。
西野さん
「おや? 単にフォロワーが多ければいいわけじゃないみたいだぞ?」ってみんな気付きはじめてますよね。“深さ”が大事なんじゃないかと。
これ、「評価経済」を分解すると、そのなかに「フォロワー数経済の住人」と「信用経済の住人」がいるってことなんですよ。
フォロワー数がすごくてお金になっている人と、信用を得ているからお金になっている人がいる。
西野さん
これ、ポイントはそれぞれの経済圏でルールが違うってことです。
「信用経済」であれば、本当のことを言うのがルール。
だから、「CM女王」みたいな人は、貨幣経済やフォロワー数経済では高く評価されますが、信用経済の住人からすると“お金出せばウソをつく人”となってしまって、その経済圏では稼げる額が下がる。
渡辺
なるほど…!
西野さん
ちなみに、ここ何年かは「信用経済の住人」が人気で、最近は彼らにも広告の(出演)依頼が殺到してるらしいんですけど…
ここでお金に目がくらんで本音で褒めてない広告に出ちゃうと、ルール違反でアウトなんですよ。
だんだんその人は稼げなくなっていくと思います。
信用経済の意外な落とし穴
西野さん
ただ、そろそろ新しい経済圏が出てくると思っていて。
次は「キャラ経済」が面白いんですよ。
渡辺
キャラ経済?
西野さん
正しいことや本当のことは、もう誰でも言えるようになってきた。
こうなってくると、極めてマンガ的な世界観なんですけど、「一貫してるキャラクター性がある人」が人気になっていくと思うんですよね。
『ONE PIECE』のウソップが、ウソをつくけど愛されるみたいな。
渡辺
キャラが立ってればウソをついてもいいと(笑)。
西野さん
家入(一真)さんって遅刻魔ですけど、もはやそのキャラを確立してらっしゃるから、遅刻しないとたまにガッカリされるらしいんですよ(笑)。
つまり、ダメ人間でも「あいつ、キャラやストーリーに一貫性があるよな」っていうことで支持される時代が来るんじゃないかと。
そしてそのキャラ同士が混ざり合い、掛け合わさってお互いのキャラをより大きくしていく。
渡辺
情報自体の価値が薄くなって、どんどん人格とかキャラクターの価値が高まってますね。
西野さん
そうですね。ただし、「キャラ経済」のルールは「キャラを変えないこと」。
遅刻キャラなら遅刻をしつづけなきゃいけないっていう(笑)。
それはそれで大変な世界だな…
渡辺
ごくまれに複数の「経済圏」を横断してる人もいますよね。
それこそ堀江さんなんて、お金も持ってるし、フォロワーめっちゃ多いし、本音で生きてるし、キャラもあるし…
すべての経済圏に生きてる最強の存在なんじゃないでしょうか。
西野さん
たしかに!!!(笑)
西野さんから意外な「マネーの金言」が…!?
渡辺
お金についてたくさん話していただき、ありがとうございました。勉強になりました。
最後にマネ凸恒例の、お金が増える「マネーの金言」を色紙に書いていただきたいんですが…
西野さん
これに書けばいいっすか?OKです!
渡辺
えっ、もう決まってるんですか? はや…
普通みんなもっと悩むんですけど…
ん?
西野さん
これでどうっすか!
「ホリエモンの本を読め!!」
渡辺
いや、なんで(笑)。ホリエモンの本はやっぱりいいんですか?
西野さん
ホリエモンの本は、いいですね(笑)。
すべての経済圏を横断する男の本ですから。
渡辺
最後になぜか堀江さんの本の宣伝に…(笑)
ちなみに、特にオススメなのはどの本ですか?
西野さん
そうですね…
あ、僕と堀江さんが一緒に出した本があるんですよ。
渡辺
『バカとつき合うな』ですよね。
西野さん
そうです。これも言ってしまえば、自分から何かを奪おうとする「テイカーとつき合うな」ってことが書いてある本ですね。
だから、読むなら『バカとつき合うな』がオススメです!(笑)
「テイカーとは付き合わない」
「すぐに回収しようとせず、ギブを大きくまわす」
「自分の資本になるものに時間を使う」
「自分がいる経済圏のルールを意識する」
西野さんが実践しながらたどりついたお金の哲学。「これからの時代、どういう人の価値が上がっていくのか?」という未来予測もとても勉強になりました。
R25世代の皆さんも、ぜひこの教えを自身の仕事や人生に生かしてみてください!
〈取材=渡辺将基(@mw19830720)/文=天野俊吉(@amanop)/撮影=久保田拓人〉
西野さんの「マネーの金言」色紙をプレゼント!
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応募方法は、新R25編集部のTwitterアカウントをフォローのうえ、こちらの投稿をリツイートするだけ。ぜひふるってご応募ください!
西野さんのオンラインサロンもチェック!
西野さんのアイデアやプロジェクトに関わることができるのはもちろん、今回取材場所となった会議室「ZIP」の利用をはじめ、サロンメンバーだけの特典も盛りだくさんの「西野亮廣エンタメ研究所」。
よそではできないさまざまな体験が待っているコミュニティ、気になった方はぜひチェックしてみてください!
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