転職の情報ソースは、実はシンプル

転職エージェントの担当者は“ハズれ”でも使える。転職の専門家が語る“情報収集戦略”

キャリアby 新R25編集部
就職して数年経つと、誰でも頭をよぎる「転職」の2文字。

しかし未経験だと、「自分の希望は単なるわがままでは?」「転職したら年収は下がりそう…」など不安は山積み。

そんな人のためになる書籍があります。転職市場の生態系を知り尽くした小林毅さんが、キャリアと年収を上げる戦略を詰め込んでいる『転職大全』です。

今回は本書より一部を抜粋し、転職前の情報収集についてご紹介します。
【小林毅(こばやし・たけし)】人材コンサルタント。外資系ヘッドハント会社を経て、2010年にホライズン・コンサルティング株式会社を設立。法務系人材を中心に約11年、延べ4400人の相談、サポートをおこない、日系大手企業、ベンチャー企業、外資系企業の採用支援にも従事。2013年より厚労省認定「職業紹介責任者講習」講師として、人材紹介事業者に対する法定講習を延べ2000社に対しおこない、不健全と言われる人材業界全体のボトムアップに尽力している。著書に『転職大全』(朝日新聞出版)、『成功する転職「5%」の法則』(自由国民社)がある
※こちらの書籍では、転職活動をリアルに理解してもらう意図で、下記の空想の人物2名が対話する形式で構成されています。
久間真司さん(仮名)
30歳男性。大手製造業で営業職。最近会社の業績不振で転職を考えている。

永楽圭佑さん(仮名)
50歳男性。転職経験4回、大手企業、ベンチャー企業、外資系ヘッドハント会社を経て独立起業。「成功する転職」の啓蒙活動に力を入れている。
久間:転職活動を始めるにあたって、まず何から始めればいいのでしょうか?

永楽:転職は多くの情報ソースを活用することで有利に進めることができます。転職に関するサービスは一見たくさんあるように感じますが、実は非常にシンプルです。

大きくは求職者が直接企業に応募する「直接応募」と、紹介事業者を通じた「紹介会社経由での応募」の2種類です。
これは企業目線で人材を採用するときの手段を図解したものとなります。

久間:このように見るとシンプルですね。

永楽:情報ソースはたくさんあっても、自分がどの方法で転職活動をしているのかを理解しておけば、混乱することも少なくなると思います。

だからこの図を理解することはとても大切です。

久間:では教えてください。

永楽:まず自分が企業の経営者になった気分で考えてください。人を採用したいと考えたとき、どのように考えると思いますか?

久間:私が社長ということですね。そうですね、まずは身近な人に声を掛けていくのではないでしょうか。

永楽:そうですね。起業した頃は資金も少ないし、実績もないから身近な人から声を掛け、なるべくコストを抑えて人材を探そうとします。では次の段階はどうなるでしょうか?

久間:そうですね、次は自社ホームページに掲載をしつつ、求人広告を打つのではないでしょうか。

また、ハローワークなどの無料紹介事業所にお願いすると思います。

永楽:段々と訴える範囲が広がっていきますね。身近ではもう心当たりはないから、関係性の薄い人でも採用しようと考えます。

広告を打つとコストはかかりますが、期間内に応募した人から複数名採用することもできます

では、それでも採用できないとき、どうしますか?

久間:残された手段は有料人材紹介会社ですね。ここに声を掛けることになると思います。

永楽:その通りです。企業が人材紹介会社に声を掛けるときは、ある程度の規模になった状態で、さらなる成長のため、厳選した優秀な人材を採用したい、と考えていることになります。

久間:そう考えると、人材紹介会社経由で転職活動をすることは、有利でしょうか、不利でしょうか?

永楽:一般的に考えれば求職者は有利と考えることができます。

紹介事業者を利用した場合、求職者はコストの負担もなく、多くの情報提供をしてもらえます。面接となれば日程調整も行ってくれ、かつ、内定時の交渉も代理してくれます。

求人企業も同様で、紹介手数料は掛かりますが、ほとんどが成功報酬契約なので、多くの紹介事業者から応募がある人材を、厳選して採用することができます。

久間:なるほど、とてもいい制度ですね。求職者は日中仕事がありますから、日程調整などを行ってくれると、随分楽になりますね。

永楽:でも一方で、紹介会社を使うと厳選採用となるので、採用のバーが上がることになります。

たとえば、年齢的ハンデがある人や経験が足りない人、家庭を持つ女性、転職回数が多い人など、紹介手数料を払って採用したいかどうか、という判断軸が壁となってしまいます。

そして先ほども言及した、紹介事業者による情報操作も考慮しなければなりません。

久間:紹介会社が求職者を相手にしないこともあるのでしょうか?

永楽:厳しいですが、そのような場合もあります。求人企業はボランティアで採用活動を行っているわけではないので、人材紹介会社もその意向を踏襲するのです。

成功報酬でのビジネスモデルは、すべての求職者に丁寧に対応する余裕を奪っています。どうしてもコストに見合う人材のみを厳選することになってしまうので、その点は注意が必要です。

久間:そのようなこともあるので、求職者側も多くの選択肢を持っておいたほうがいいですね。紹介会社を利用する、自分で直接企業に応募するなど使い分けることもできますね。

永楽:最近、直接採用に力を入れている企業も増えていますし、FacebookやLinkedInなどのツールを使って、人事担当者と繫がることもできる環境は、以前よりも選択肢は多く、いろいろと間口は開かれています。

Indeedのような情報検索サイトの登場も、求職者が手軽に求人情報を集めるツールとして活用されています。このように企業と求職者が直接やり取りできる環境が整いつつあり、そちらを好む人も増えてきています。

ただし、直接採用で注意しなければいけないことは、全部求職者自身で対処しなければいけないということです

面接対策などはもちろん、内定が出たときの条件交渉など、多岐にわたるプロセスすべてを自分自身で行います。

求職者は転職のプロではないため、場合によっては悪条件での入社となってしまう恐れすらあります。孤独な戦いを強いられることは間違いないでしょう。

求人情報の仕入れ先は、転職したい企業の状況による

久間:では、具体的にどのようにして求人企業を見つければいいのでしょうか?

永楽:図を見てください。主にこのような感じで情報を集めることができます。
・企業のホームページをチェックする。
・求人媒体(ウェブ広告、検索、情報誌、チラシ等)から情報を得る
・SNSを通じて、求人情報を得る
・求人情報を縁故、紹介を通じて知る
・紹介会社に登録する
・突然、ヘッドハントの連絡が入る など
まず意中の会社があれば、その企業のHPから採用情報をチェックし、中途採用をしているのかを確認します。

応募したい案件があれば、そこに個人情報を登録すればよいだけです。その際、職務経歴書などを添付することや、自己PR、志望動機なども必要になるので、事前準備がとても大切です。

久間:応募したい企業に直接アプローチできるのですね。とてもわかりやすいです。

永楽:求人媒体から応募する、という方法もあります。たとえば、マイナビやエン・ジャパンといった媒体は、企業から掲載料をもらって求人案件を載せており、自分が応募したい業界や職種を絞って検索できるので、複数社該当が出て、非常に気軽に情報を得ることができます。

久間:これはとても便利な方法ですね。多くの企業案件を手軽に見つけることができ、一気に応募できる。時間も節約できて効率が良さそうですね。

永楽:求人広告は大量採用をしたいとき、スタッフレベルなど採用のハードルがあまり高くないときに向いている手段になるので、たとえば年収が高いマネージャーや部長などの管理職や専門職などは掲載されていないことが多いですね。

久間:そのような案件を探すときは、どうすればいいのでしょうか?

永楽:まずは紹介会社に登録することです。紹介手数料を支払ってでも採用したい、というレベルの人を探している企業が利用しているので、スタッフレベルはもちろん、管理職や専門職の案件も数多く取り扱っています。

久間:そうすると、同じ求人企業で、求人媒体には掲載されていなくても、紹介会社に行けば紹介される案件がある、ということですね。

たしかに広告費もかかりますから、使い分けも必要な戦略と感じます。

なぜ非公開案件があるの? 転職エージェントの裏事情

永楽:広告費の問題もありますが、効率的に仕事を進めるため、という点もあります。

自社ホームページや求人広告に案件を掲載すると、人気企業であればあるほど、応募が殺到します。

人事担当者はその都度大量のNGの連絡を求職者にすることになり、本来の業務が滞ることが頻発しています。

そのために、特定の紹介会社のみに情報を開示して、厳選して採用する場合があるのです。

久間:これがいわゆる「非公開案件」ですね。ただ、特定の紹介会社のみに情報を開示すると、応募総数が伸びないというリスクもあると思います。それでも非公開で募集したほうがいいという判断でしょうか?

永楽:大体非公開にする案件は、募集枠が1名など少人数であることが多いので、これで良いと考えています。

求人企業は、多くの人に応募してほしいわけではなく、採用したい人1人の応募で良いと考えるのです。欲しい人を待つ、それも大切な採用戦略ということです。

転職エージェントの担当者が“ハズれ”でも、情報源として使える

久間:人材紹介会社もいろいろあると思うのですが、やはり怪しいという感覚が拭えません。どのようにお付き合いすれば良いのでしょうか?

永楽:人材紹介会社の規模は関係ありません。自分にとって合うか合わないかという判断軸を持っていればいいと思います。

たとえば、相談者には以下のようなカテゴリーがあります。
① カウンセラー=話を丁寧に聞いてくれる人(傾聴)
② アドバイザー=迷ったときに助言をしてくれる人
③ コーチ=導いてくれる人
④ メンター=経験を語ってくれる人
⑤ コンサルタント=答えを持っている人
訪問した紹介会社の担当者が、どのカテゴリーに近いのかを見極めることも大切です。

久間:よく、人材紹介会社で働く人は、コンサルタントを名乗っている人が多いと思いますが、この分類を見るとちょっとしっくりこないですね。

こちらがわからないことを質問しても、「企業のホームページを見てください」「応募後の面接で聞いてください」などと回答をされたことがあります。

話も丁寧に聞いてくれず、私に興味がないようにすら感じます。

永楽:そのような人は、「荷さばき人」と考えてください。

多くの情報が入ってくる紹介会社の中には、求職者一人ひとりの事情など把握する時間も、求人企業の募集背景も知る暇も興味もないところがあります。

このような人たちは、「情報をひたすらさばくこと」を重視しますので、相談者のどのカテゴリーにも該当しません。

付き合い方としては、情報源と思えば良いと思います。そのため「流されないための自己理解」が大切なのです。

転職する前に読んでおきたい本

転職大全

転職大全

転職市場の実態を赤裸々に語っている一冊。“大全”というタイトルの通り、転職にまつわるあらゆる事象が丁寧に解説されています。

はっきりと自分のキャリアプランが見えていないのであれば、読んで損はないでしょう。

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