茂木健一郎著『孤独になると結果が出せる』より

スティーブ・ジョブズ、堀江貴文…社会をいい方向に変えてきたのは、いつも「孤独」な人だった

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変化の時代にこの一冊

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外出自粛期間が続き、ほとんどの時間を自宅ですごすようになりました。

家から出られないストレスもありますが、移動時間などがなくなったことで自分のために使える時間が増えているのも事実。

そこで、新R25が立ち上げる新連載「変化の時代にこの一冊」では、これまで多くの本に触れてきたビジネスインフルエンサーたちが「社会が大きく変化している今だからこそ読むべき一冊」をセレクト。

その内容の一部を抜粋して、自宅にいながらも気軽に読書体験ができる記事をお届けします。

もし興味のある本に出会ったら、ぜひ購入してこの機会にじっくり読んでみてください。
初回は、まず新R25編集部が本をセレクト。

選んだのは、3月に発売された脳科学者の茂木健一郎さんの新刊『孤独になると結果が出せる』です。

外出できないことで、多くの人が感じている「孤独」。

茂木さんは著書のなかで、「孤独はビジネスパーソンにとって必要なもの」さらには、社会をいい方向に変えてきたのは「孤独な人」だと言います。

今回は「孤独な人」が与えてきた影響についてご紹介します。

孤独になれば「フロー状態」に入れる

孤独になれる環境を整えて、誰にも邪魔されずにやりたいことに取り組むと、フロー状態に入りやすくなります。

フロー状態になると、自分が思っていた以上のアウトプットを実現することが可能です。

孤独には、フロー状態を起こしやすいという効用があるのです。

フローとは、ミハイ・チクセントミハイが提唱した概念です。

時の経つのも忘れて完全に対象に没入している精神状態を指し、その状態で人は自分でも思いもよらないほどの創造性を発揮し、深い充実感を味わうことができるとされています。

子どものころに公園で夢中になって遊んでいたら、いつの間にか日が暮れていたとか、集中して仕事を一気に処理して時計を見たところ、「もうこんな時間か!」とビックリした経験が、あなたにもきっとあることでしょう。

それが、まさにフロー状態です。

とは言え、孤独にさえなれば、誰もが簡単にフロー状態になれるわけでもありません。

フロー状態は、集中しているだけではなく、同時にリラックスしていなければ生じないからです。

フロー状態では、集中とリラックスという、一見矛盾する状態が、両立しています。

この状態を実現するには、自分が「やりたい」と思ったものに、トコトン取り組むことが大切です

気の向かないことや誰かに強制的に命令されたことを渋々やっていても、フロー状態にはなれません。集中もリラックスもできないはずですから、それは当然です。

仮に上司に命令された仕事をいざ片づけようとしても、「やりたくないなぁ」「我慢してやらなきゃ」という気持ちが内心あれば、集中はできません。

これは、フローとは正反対の状態。

誰にも邪魔されない環境であっても、やりたくないことをするのでは、フローにはなれません。

フローになるには、自分自身が心からやりたいことを思う存分やること

誰にも邪魔されない環境でそれに取り組めば、集中できるのは当然でしょう。

いつまでに」「早く」といった制約もないので、リラックスして臨めます。

孤独になれる環境でやりたいことを思う存分やれれば、フローになる条件が整うことになります。

「孤独になれば、必ずフローになれる」とまでは言いきれませんが、アウトプットを最大化するための重要な環境要因の一つです。

ホリエモンに見る孤独の特性

語弊があるかもしれませんが、孤独な人は、どこか「鈍感」に見えます。

それは、その人の感覚がほかの人に比べて劣っているということではありません。

周りから何を言われても気にせずに聞き流せるということ。

人は人、自分は自分。そういう割り切りができる人です。

あの人は変わっているね」「人づき合いが悪い」「言うことをまったく聞かない」…。

自分のやりたいことを貫こうとすると、こんなふうに言われたりします。

このときいちいち周りの人の声を気にしてしまうのは、時間とエネルギーの恐ろしい浪費です。

私の友人で、世間の評価をいっさい気にしない人がいます。「ホリエモン」こと堀江貴文さんです。

堀江さんほど毀誉褒貶が激しい人はほかに見当たらないくらいですが、彼は世間の評価をまったく意に介しません。

ときにはその過激な発言が「炎上」を呼ぶこともあります。

そうなったとしても、彼は「こんなことを言ってはいけなかった」と反省することも後悔することもなければ、発言を撤回することもほとんどありません。

私自身も炎上したことはありますが、彼ほどには割り切ることができずにいます。

こういう人のことを「メンタルが強い」と見る向きもありますが、たびたび間近で接したことのある私の見解は異なります。

堀江さんはメンタルが強いのではなく、世間の評価や自分への批判にそもそも関心を持っていないのです

彼はロケット事業など、自分のやりたいことだけをトコトン追求する人です。

それは、「こういうことをやりたい」という内にある欲望です。

「自分の内にあるもの」を大切にしているから、世間の評価といった「自分の外にあるもの」が目にも耳にも入らないのです。

どんなに世間が騒いだり炎上が起きたりしても、彼にとっては存在しないのと同じです。

最初から存在しないのですから、気にもなりません。

このように説明すると、「メンタルが強い」のとは違うことが理解できるのではないでしょうか。

これまでも述べてきたように、孤独な人はメタ認知に長けています

それと矛盾するようですが、じつはいわゆる「空気を読む」行動は、メタ認知によるものとされています。

自分が他人にどう見られているのかがわからないと、空気は読めないのですから。

では、なぜメタ認知に長けた孤独な人が、周りのことを気にしないでいられるのか

それは、見ている視野がまるで違うからです

大局的に物事をとらえていると、あまりに些末なことは意識にものぼりません。

飛行機で空を飛ぶのに、小さな水たまりは目に入らないのと同じこと。

同じメタ認知を働かせていても、とらえている世界の広さが、自分の周りの空気だけを読んでいる人とはまったく異なるのです。

自分の内にあるもの」を大切にし、それをトコトン追求して世界が広がれば、身近な狭い世界での反応はまったく気にならなくなります。

支持してくれたり理解してくれたりする人が少なくても、極端に落ち込むこともありません。

広い世界には、話の通じる人がちゃんといるに違いないのですから

逆に、狭い世界での反応を気にかけてしまえば、事情をよく知らない人のつまらない意見に左右されたり、理解してくれる人がいないことに「さびしい」「つらい」と感じたりします。

その状態でいるかぎりは、結果を出すのは難しいでしょう。

そこから脱するには、「自分の内にあるもの」を大切にし、それをトコトン追求して、世界を広げていく以外にありません。

孤独な人が社会を変える

孤独な人には、果たすべき役割があります。

それは、社会を変えていくこと

いつの時代でも、孤独な人だけが社会をいい方向に変えてきました

社会を大きく変える…これ以上にスケールの大きな結果の出し方はありません。

それを成し遂げた孤独な人の代表的人物を挙げるとすると、何といってもスティーブ・ジョブズです。

21世紀において、ジョブズほど社会を大きく変えた人はいないと言っても、過言ではありません。

iPhone誕生後、地球上の人々のライフスタイルはスピードとクオリティの両面においてガラリと変わりました。

そのジョブズは、孤独を選ぶ生き方をしていた人です。

世の中の大勢がどうであろうとまったく気にせずに、常に自分の美意識や思想に基づいて、つくりたいものをつくり続けてきました。

その人生は、まさに波乱万丈。
 
Appleを創業し、IBM全盛時代にマッキントッシュというデザインに優れ、かつ使い勝手のいいコンピュータを誕生させ、一躍、時代の寵児となりましたが、独善的なマネジメントが反発を受け、自らがつくった会社を一度は追放されてしまいます。

このときのジョブズは孤独ではなく、「孤立」していました。

その失意の日々を乗り越え、アニメ制作会社「ピクサー」を創業し成功を収めた後、ジョブズがいなくなってから凋落したAppleに請われて復帰します。

ジョブズ復帰後のAppleは、iPodをはじめとするヒット商品を連発し、iPhone後の一時期は株式時価総額世界一になりました。

追放されたから、ジョブズが孤独になったのではありません。

もともと彼は孤独な人でした。

群れることを嫌い、世の中の常識や固定観念に疑問を持ち、ときに周りと衝突しながらも自分の内にあるものをトコトン追求し、つくりたいものを世の中に送り出してきました

その筋の通った生き方は、孤独を選んだ人のまさに典型です。

自分の頭で考える。オンリーワン。イノベーション。フロー。教養。本当の仲間を持つ

これら孤独の人が持つ特性をすべて兼ね備えていたのが、ジョブズです。

さらに、彼には「もっと社会をよくしたい」という思いも感じられます。

自分の内にあるものをトコトン追求し、そのテーマを核に知識も経験も積み重ねていくうちに、視野が大きく広がったのでしょう。

そして、「こうすれば社会がよくなるはずだ」という壮大なビジョンが見えてしまったのでしょう。

結果を出しながら、社会を変えていくのは、ジョブズのように孤独な人だけです。

孤独になれば、必ず社会を変えられるというものでもありません。

社会を変えたくない人のほうがほとんどですから、何か変化を起こそうとすると、同調圧力がかかります。

その逆風をうまくかわしながら、リスクを取って行動し、社会を変えていくことができるのが、孤独な人なのです。

孤独な人だけが持つ役割を全うするには、困難が伴います。

その役割を誰もが担えるわけではないでしょう。

しかし、いつの時代も孤独な人が社会を変える中心的な役割を担ってきたと、私は見ています。

社会を変えるなんていう大それたことはできない

もしかしたら、そんなふうにたじろぐ人もいるかもしれません。

しかし、何も「社会を変えてやるぞ」と意気込む必要はありません。

自分の内にあるものを追求していけば、いつしか自分の視野も行動の影響も広がり、社会を変えることになるかもしれない、というだけのこと。

そのステージに達するためには、常に視点を高く保ち、社会を意識しておくことが大切です。

あなたは「孤独な人」になれるか

孤独になると結果が出せる

孤独になると結果が出せる

孤独でなければ味わえない喜びや幸せがあります

孤独とは、寂しい生き方ではなく、結果を出すために、ポジティブに選び取るものである。

茂木さんは、はっきりとそう語ります。

24時間、常に人とのつながりを求めてしまう現代に「孤独」であることの重要性を具体的に説いた一冊です。

次回より、ビジネスインフルエンサーの方々が「社会が大きく変化している今だからこそ読むべき一冊」を記事化してお届けします。お楽しみに!
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