ビジネスパーソンインタビュー
ぶっちゃけ、どっちが有利なの?
転職エージェントと転職サイトの違いとは? 使い分けと活用法プロたちが伝授
新R25編集部
【知りたい情報はなんですか?】
①転職エージェントと転職サイトの違い
②それぞれの使い分け(活用法)
③おすすめの転職サービス
転職活動に役立つ「転職サイト」と「転職エージェント」。ただ、何が違うのかよくわからない…という方も多いのでは?
そこで、転職サービスの実態に精通した専門家に直撃。転職サイトと転職エージェントの違いや特色、転職活動の効率が上がる使い方を教えていただきました。
協力してくださったのはこちらの2名。
松本さん
人事・戦略コンサルタントの松本です。
アクセンチュアなどの大手外資系コンサルティング会社に24年勤めて、プリンシパル(部長級)を経て現職に至ります。人材マネジメントの支援をした企業は600社以上です。
さまざまな企業の人事とのつながりがあるので、企業側からの意見をふまえてコメントをします。
黒田さん
こんにちは、黒田です。リクルートでは「B-ing」「とらばーゆ」「フロム・エー」関西版編集長、「リクナビNEXT」編集長、「リクルートエージェント」ネットマーケティング企画部長などを歴任しました。
現在はルーセントドアーズ株式会社を設立し、35歳以上のミドル世代を対象とした転職支援サービス「CareerRelease40」を運営しています。
※詳細プロフィールは記事の下部に記載しています。
〈聞き手=SYO〉
転職サイトと転職エージェントの一番の違いって?
松本さん
まずは、それぞれのサービスについて簡単に説明しましょう。
転職サイトは、さまざま企業の求人広告が集まっているサイトです。気になる求人案件を自分で探してスピーディに直接応募できるのがメリットですが、選考対策などは自分でしなければなりません。
一方、転職エージェントは、無料でアドバイザーがキャリアの相談に乗ってくれるサービスです。無料で相性のいい求人案件を提案してくれるのに加えて、過去の実績などをもとに選考のサポートもしてくれます。
つまり「サポートをしてくれる仲介者の有無」が、両者の一番の違いと言えます。
転職サイトは、掲載されている求人案件を見て、自分で企業へ応募できるサービス。手軽に利用できる一方で、選考対策などは自分でやらなければなりません。
転職エージェントは求職者と採用企業の間に仲介者がいるサービス。おかげで求人案件の提案や選考のサポートを受けられます。
SYO
なるほど。特にはじめての転職の場合、サポートしてくれる人がいるほうが安心できそうです。
松本さん
そうですね。下の表の通り、転職エージェントにはさまざまなメリットがあります。転職に慣れていない方は、アドバイザーに相談したほうがスムーズかもしれません。
転職サイト | 転職エージェント | |
---|---|---|
求人数 | 転職エージェントと比べると多い | 転職サイトに比べると少ないが、 非公開求人がある |
理想の求人との 出会いやすさ | 自分で探す手間がかかる | アドバイザーが相性のいい 求人案件を提案してくれるので 出会いやすい |
選考の サポート | サイト上の説明を見ながら 自分で進めないといけない | 職務経歴書の書き方や 面接対策などを アドバイスしてくれる |
年収交渉 | 自分でやらないといけない | アドバイザーが代行してくれる |
退職 サポート | 自分でやらないと いけないケースが大半 | アドバイザーがサポート してくれるケースもある |
転職サイトと転職エージェントは、ビジネスモデルも違う
松本さん
もう少し詳しい話をすると、転職サイトと転職エージェントではビジネスモデルが異なります。そのため、集まる求人案件にも差があるんです。
SYO
どういうことでしょう?
松本さん
転職サイトは、企業がお金を払って求人広告を掲載する「掲載課金型」で、求職者は無料で使えます。
求職者は、掲載された広告を自由に検索・閲覧ができ、気になるものがあれば誰でも気軽に応募できます。
企業からすると、多くの求職者に求人広告を見てもらえるため、1人あたりの採用コストが安く済むのが特徴です。
なので、大量採用を考えている企業や、採用コストを抑えたい企業の求人案件が集まりやすい傾向にあります。
SYO
転職サイトが無料なのはわかるんですが、転職エージェントも無料なんですよね。アドバイザーが付くなら人件費がかさみそうですが、どうして無料で使えるんでしょうか?
松本さん
その理由も、転職エージェントのビジネスモデルを知ればわかるはずです。
転職エージェントは、1人の採用が確定した時点ではじめて報酬が発生する「成果報酬型」。採用した人の年収の3~4割を、企業が“紹介手数料”として転職エージェントに支払う仕組みです。
SYO
年収の3〜4割となると、結構な金額になりますよね。
松本さん
はい。1人の転職が決まるたびに企業からまとまった報酬が入るので、求職者は無料で使えるというわけです。
企業からすると、1人あたりの採用コストがかさむということ。なので、お金をかけて質のいい求職者を吟味したい企業の求人案件が集まりやすいです。
成長盛りの企業や、新規プロジェクトメンバーなどの重要なポジションを求めている企業が転職エージェントを好んで使っています。
転職サイトと転職エージェントはどう使い分ける?
SYO
仕組みの違いがわかったので、次はそれぞれの活用法について教えてください。転職サイトと転職エージェント、どちらのほうが有利なんでしょうか?
松本さん
どちらが有利とは言いきれませんが、向いている方は違います。
転職サイトは、すでに目指す業界や職種がはっきりしていて、ある程度は転職活動に慣れている方に向いています。
一方で転職エージェントは、どんな業界に行くか悩んでいる方や、転職にあまり慣れてない初心者に向いています。
アドバイザーに職務経歴書の添削をしてもらえたり推薦文を添えてもらえたりするので、直接応募するよりも選考が通過しやすくなるというメリットもありますよ。
とはいえどちらも無料ですので、両方を上手に併用してチャンスを逃さないのがベストだと思います。
SYO
併用が一番いいんですね。その場合、使うサービスをどうやって選ぶといいんでしょう?
松本さん
どちらも求人案件を網羅的に抱えている「総合型」と、特定の領域に特化した「特化型」があります。
総合型の転職サイトと転職エージェントにはそれぞれ必ず1〜2個登録し、さらに転職先の希望が明確であればそこに特化したものも2〜3個、合計で3〜6個ぐらいは登録するといいでしょう。
転職先の検討段階ではできるだけ視野を広げたほうがいいので、抱えている求人案件が違う複数のサービスに登録すると、理想の転職が近くはずです。
SYO
転職サイトはそれぞれ特徴ありそうなイメージが湧くのですが、転職エージェントって結局はどんなアドバイザーが担当になってくれるかがキモじゃないですか?
松本さん
その通りです。なので転職エージェントは登録前の段階ではそれほど絞り込まないことをおすすめします。
まずは複数のものに登録して、担当者との相性などを基準に厳選しましょう。
転職サイトと転職エージェント、どちらから応募すればいい?
SYO
転職サイトと転職エージェントを併用する場合、どちらから応募すればいいのか迷ってしまいそうです。
黒田さん
気になる求人案件を見つけたら、どちら経由であってもすぐに応募すればいいと思います。
というのも、求人案件との出会いは“一期一会”。今日あった求人案件が明日にはなくなるかもしれないので、スピード感を持って応募するのが大切だからです。
採用コストを抑えたい企業は、成果報酬型の転職エージェント経由よりも転職サイト経由の応募者を優先することもありますので、気になる求人案件があれば自分で積極的に応募しましょう。
ライター松本
なるほど。応募前にアドバイザーに相談したほうがいいケースもあるんですか?
黒田さん
自分で企業情報を調べ、志望動機が明確にできる場合は相談しなくてもいいと思います。
企業の内情や求めている人材などを教えてもらったり、面接対策を手伝ってもらったりしたいのであれば、アドバイザーに相談してから応募してもいいでしょう。
場合によっては、アドバイザーに推薦状を書いてもらえる可能性もあります。
おすすめの転職サイトと転職エージェント
新R25転職は、転職サービスの実態に精通した専門家にご協力いただき、実際に利用したことのある約2000人を対象におすすめの転職サイト・転職エージェントについて調査しました。
こちらの記事では、特におすすめできる転職サイト・エージェントのみをご紹介します。
松本さん
転職エージェントは、登録前の段階ではそれほど絞り込まないことをおすすめします。
担当アドバイザーが転職の成否を分けるので、複数のサービスに登録してから厳選するべきだからです。
転職サイトと転職エージェントには、どちらも求人案件を網羅的に抱えている「総合型」と、特定の領域に特化した「特化型」があります。
総合型の転職サイトと転職エージェントにはそれぞれ必ず1〜2個登録し、さらに転職先の希望が明確であればそこに特化したものも2〜3こ、合計で3〜6個ぐらいは登録するといいでしょう。
これ以外にも、詳細な評判やほかのおすすめサービスが知りたい方は、ぜひ下記のリンク先の記事もご覧ください。
Embedly〈取材・文=SYO(@syocinema)、編集=石川みく(@newfang298)〉
精通者たちの詳細プロフィール
【黒田真行(くろだ・まさゆき)】1988年、リクルート入社。2006年から2013年まで「リクナビNEXT」編集長、その後「リクルートエージェント」ネットマーケティング企画部長、「リクルートメディカルキャリア」取締役などを歴任。2014年、ルーセントドアーズ株式会社を設立し、35歳以上のミドル世代を対象とした転職支援サービス「CareerRelease40」を運営。著書に『転職に向いている人転職してはいけない人』(日本経済新聞出版社)、『40歳からの「転職格差」まだ間に合う人、もう手遅れな人』(PHPビジネス新書)がある
【黒田さんの関連リンク】
・黒田真行◆採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ | Twitter
【松本利明(まつもと・としあき)】人事・戦略コンサルタント。大手外資系コンサルティングファームに24年勤務しプリンシパル(部長級)を経験。人材マネジメントの支援をした企業は600社以上。HR総研の客員研究員も務めている。著書に5万人のリストラと6500名以上のリーダーの選抜と育成をした人の「目利き」。『「いつでも転職できる」を武器にする』(KADOKAWA)『稼げる人稼げない人の習慣』(日経新聞出版社)などベストセラー多数。BBC、TBS、日本経済新聞、東洋経済などメディア実績多数
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