ビジネスパーソンインタビュー
営業エンターテインメント「Japan Sales Collection 2022」に注目
子どもにならせたくない職業…なんて「クソくらえ」。営業を愛しすぎた男が語る“営業職の本当の価値”
新R25編集部
皆さん、「営業」してますか???
…突然失礼いたしました。じつは元営業(経験わずか2年)、新R25副編集長の天野です。
3月17、18日、日本最大級の「営業」をテーマとした無料オンラインイベント、「Japan Sales Collection 2022」が開催されます。
主催する株式会社セレブリックスの今井晶也さんが「Japan Sales Collection 2022について、そして営業について、新R25で一言モノ申したい」というので、話を聞いてきました。
今井さんいわく、
今井さん
①商談にアイスブレイクは不要
②コンテンツをつくれる営業が勝つ
③「まあ」という言葉に着目する
④インタビューで「想像の世界」を見える化する
といったような“クリエイティブな営業スキル”を伝えたいとのことなのですが…どういう内容になるのでしょうか?
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
天野
営業のためのイベントということですが…なぜ今、こんなイベントを主催するんですか?
今井さん
…それは、“営業は誰でもできる仕事だ”という風潮に「クソくらえ!」と言いたいからなんです。
【今井晶也(いまい・まさや)】2008年、営業代行をおこなう株式会社セレブリックスに入社。現在、執行役員およびセールスカンパニー マーケティング本部 本部長。新規営業の研究を行うセールスエバンジェリスト。初の単著『Sales is』(扶桑社)は『読者が選ぶビジネス書グランプリ2022』にノミネート。自称「めちゃくちゃナルシスト」らしいです
天野
クソ…
今井さん
営業って、新卒がまず配属される「修業の場」みたいに言ったりするじゃないですか?
天野
そうですね…。“入ったら○年は営業”というノリの会社は多い気がします。
今井さん
そういう風潮のせいか、以前『SPA!』を読んでたら、親が「子どもになってほしくない職業」のアンケートで「営業」が2位にランクインしてて…
天野
なんて切ないアンケート…。ちなみに1位は?
今井さん
「YouTuber」でした…
「僕は会社のYouTubeにも出ているので、1人でワンツーフィニッシュです…」
今井さん
親世代の営業は「いいから行ってこい!」だったからそうなるんだと思うんです。でも、今も体感で半数以上の会社は旧来型の営業から脱却できていない。
「営業は誰でもできるから根性試しでやらせる」みたいな考えがいまだに根強いですよね。僕は、営業を愛する男として、そんな空気を一掃したいんですよ。
天野
自分の仕事が「誰でもできる」と言われたらブチ切れたくなるのはすごくわかります…
今井さん
それで、営業はカッコいい、クリエイティブな職種なんだということを多くの人に知ってほしいと思って「Japan Sales Collection 2022」を主催することにしたんです。
「これは独自でアンケート調査してみた結果なんですが…」
今井さん
トップセールスたちは「営業という職種を人にもオススメしたい」と考えている。一方でそうでない営業パーソンたちは過半数以上が「オススメしない」と答えているんですね。営業という仕事は“売れる”ことが自己肯定感に直結するんです。
日本を代表する営業を集めた「Japan Sales Collection 2022」に参加してもらえれば、クリエイティブな営業スキルを楽しんで学ぶことができる。
そうすることで、営業を楽しめる人が増えて、営業を受けるビジパの方々にもいい影響がある。
天野
僕は営業から2年で逃げたクチなんですけど、今井さんは営業に関する書籍も書いてたり、「営業をアップデートしている」とずっと発信されてますよね。
今日は「クリエイティブな営業スキル」について、ぜひ教えてほしいです!
営業の神髄① アイスブレイクは不要! トップセールスの「商談のはじめかた」
天野
営業のスキルといえば、まず「雑談力」が思い浮かぶんですが、今井さんの本に「アイスブレイクでプライベートな話題を話してはいけない」とありまして。
商談は雑談から入るのが当たり前じゃないんですか?
今井さん
人間って、信頼してる人には話を聞いてほしいんですけど、信頼してない人に自分のことを話すのは怖いんです。
新規営業してきた人が「連休何してたんですか? それ誰と行ってたんですか?」「香水なに使ってるんですか?」ってきいてきたらどう思います?
天野
気持ちが悪いですね。
今井さん
想像力なしに質問を連発するのは、ブレイクどころか“でっかいアイス”をつくる。
それならアイスブレイクはなくてもいいんです。
新説「アイスブレイクはなくていい」。 ムリヤリ雑談しようとして気まずくなってました…
今井さん
アイスブレイクのかわりに、僕が一番魂を込めるのが「ハイライトと会社紹介」。
テレビでもYouTubeでも、最初に「今回の○○は」ってハイライトを見せるじゃないですか。あれです。
「なぜ御社に来たのか? こんな問題を解決できると思ってやってきました」という“下準備”してきた内容をハイライトとしてお見せし、自分たちが何者かを自己紹介する。
この動画の2:51~から、今井さんの「ハイライト」が見られます
今井さん
多くの人が「今日のハイライト」を見せないまま商談を進めてしまう。それで「御社の課題は何ですか?」とかきく営業パーソンがいるんですよ!!
よく知らない他人からいきなり「見せてください」…やってることはほぼ変態だと思いますね。
天野
強引に見ようとするなと(笑)。
今井さんがプレゼンしてる動画を見て、引き込まれるな~と思ってたんですが、「ハイライト」の時点で決まってる気がしますね。
今井さん
よく営業本に「質問力が大事だ」と書いてあるんですが、それよりも“自分のことを話したくなってもらう”ほうがいい。
アイスブレイクをするなら、プライベートな雑談ではなく、「お客様がビジネスで関心あること」を話すのがいいでしょう。僕らは「戦略的アイスブレイク」と呼んでます。
天野
今日は営業のお話ですけど、取材でも打ち合わせでも「相手が自己開示したくなる情報を先に提示する」のはめちゃくちゃ大事ですね。そうしよう…
営業の神髄② よい営業は「コンテンツをつくる」
天野
アイスブレイクについてはわかりましたが…具体的に「クリエイティブな営業スキル」をほかにも教えてほしいです。
今井さん
そうですね。僕は、これからは営業も「コンテンツをつくれる人が勝つ」時代だと思っていて…
営業がコンテンツをつくる? 真逆の印象ですが…
今井さん
天野さんも商談をすることってあると思うんですが、オンラインで営業の話を聞くとき、画面見ながら別の仕事してません?
天野
あっ、たまに…
今井さん
1000人にアンケート調査したら、「商談中にほかの仕事をしたことがある」という人は8割以上。「絶対にする」って言い切っている人も18%いました。
でも…、ここに見てほしいスライドがあるんです。
天野
なんですか?(PCを見る)
今井さん
はい、今見てもらえましたよね?
お!?!?(PC画面はただの壁紙でした。だまされた)
今井さん
これがコンテンツの力なんです。
資料でも画像でもいいんですが、「コンテンツがある」とオンラインでも「場」がつくれて、話を聞いてもらえるようになる。
天野
「コンテンツで場をつくる」…!!
今井さん
昔から現代まで、コンテンツというのは「人の注目を集める」ためにあるものだと言えるでしょう。であれば、その力をセールストークにも取り入れるべきなんです。
新しいやり方でいうと、資料を映しながらその場で穴埋めしてお客様といっしょにつくっていくのもすごくいい。
コンテンツをいっしょにつくることで、ただの商談が「お客様を巻き込んだ、お客様の問題解決のためのプロジェクト」になるんです。
たしかに、まわりでiPadで図を描きながら説明する人がいるんですが、つい注目してしまいます…
今井さん
コンテンツの利点はほかにもあります。新人でもトップセールスのような提案ができること。応酬話法に頼らない営業ができるということですね。
「営業は口がうまくてノリがいい人じゃなきゃいけない」という時代から脱却することができるんですよ。
天野
なるほど…
コンテンツは制作側、編集者がつくるものという認識だったけど、今井さんはその要素を取り入れて「営業」をアップデートしてると…言いたいことがわかってきました…!
営業の神髄③ 「まあ」という言葉ひとつにも着目。営業センスとは“センサー”だ
天野
ただ、やっぱり営業って「センスがある」ことが重要だと言われるじゃないですか。「営業センス」って何なんですかね?
今井さん
僕に言わせれば「センス」とは“言語化することをあきらめた人が使う言葉”。上司やマネージャーが言語化できないから、「営業は誰でもできる」という誤解が拡がるわけです。
僕は「営業センスとはセンサーだ」と思う。アンテナを張り、ズレを感知して修正する力のことです。
今井さん
たとえばお客様が「まあそうですね」っていう言葉を使う。そこで「“まあ”ということは100%からはズレがあるのか?」と感知しないといけない。何も感じずに持ち帰って「見込みありです」って言ってるのはダメ。
違和感を感じたら、「私の提案した内容、ちょっとズレてますか?」って都度都度確認して、合意を取りにいくんです。
天野
「確認すると断られるんじゃないか」と思って、“NOって言われないうちにさっさと帰る営業”をしてました…
今井さん
それはNOを言われるタイミングを先延ばししてるだけ(笑)。
自身の仮説を精査しないままなんとなくお客様のところに行ってるのは、「営業してる気になってる病」です。
営業パーソンは断られることに過敏すぎ。商談とは「仮説の精査」「買わない理由のサンプル集め」なので、どんどん確認して修正する。そのためのセンサーが「営業センス」です。
なんとなく逃げ帰って気が付けば月末。営業時代を思い出してつらくなってきましたね
営業の神髄④ インタビューで「想像の世界」を見える化する
天野
今井さんの言うことはわかってきたんですが、「営業のつらさ」って、自分が「イケてないな…」って思う商品でもオススメしなきゃいけないことだと思うんです。
そこを乗り越えるスキルってあるんでしょうか?
今井さん
僕ならインタビューに行きますかね。
また営業っぽくない仕事を提唱する今井さん
今井さん
優秀な営業の共通点は「ものさしを自分に向けないで、お客様に向けている」ということ。視野が広いということでもあります。
そのための手段が、商品を買ったり使ったりして喜んでくれているお客様にインタビューに行くこと。
営業パーソンが個人の主観で「イケてない」と判断していても、使ってる人たちには理由がある。その話を聞くことが原動力になるし、「それを売る理由」になるんです。
天野
そういうことか…僕は「自分の好き嫌いで売るな」って怒られたときに「感情を殺して売れ」ってことなのかと理解してました。視野が狭かったです…
今井さん
もっと言いましょうか?優秀な営業とは、「可能性の見える化」をする人なんです。
今天野さんが言ってたのは「お客様が買ってくれた先の可能性が想像できていない」ってことですよね。商談が成立したお客様は何に印鑑を押しているのか考えてみてください。
「課題解決できるかも」「幸せになれるかも」という可能性に印鑑を押してるわけですよね。
天野
まだ訪れていない未来の話でお金のやり取りがあるってことですもんね…
今井さん
つまり、営業とは想像の世界をつくり出す仕事なんです。
スキルを使って、人間の想像力に働きかける…
これがクリエイティブな仕事じゃなくて何なんでしょうか?これが本当に「とりあえず根性試し」でやらせるような仕事なんですかね?
おおおおお
天野
「営業って、結局根性なんじゃないの?」みたいな気持ちもちょっとあったんですが、全然違いましたね…。この話を新卒時代の自分に聞かせたかったわ。
「全営業が敬意を払って見たほうがいい」世界一の営業パーソンも登壇する「JSC 2022」
今井さん
そう言ってもらえてよかったです。「Japan Sales Collection 2022」では、今日のような“営業のアップデート”にまつわるコンテンツをたくさん用意してるんですよ。
今井さん
たとえば、一見「営業」からかけ離れているようなGO三浦崇宏さんと格闘家・青木真也さんのトークセッション(Day2「Session 04.」)。
おふたりとも「言語化力」を使って影響力を発揮されてるじゃないですか。格闘家がブログを書く、なんてこれまであまりなかったけど、自分自身をある意味商品と見立てて営業しているんですよね。
こうした方々にとって、営業とはまさに“生き方”そのものだったりするわけです。
天野
たしかに、青木真也さんのnoteはご本人の哲学的な内面が出ててめちゃくちゃ面白いですよね。
今井さん
ガチなところでいうと、「ザ・セールス人による『営業論』セッション」(Day2「Session.02」)。
兼頭竜矢さん(Woltsu株式会社代表取締役。株式会社キーエンスで、営業職として史上最年少で海外販促チームに抜擢)、大澤篤志さん(株式会社セールスフォース・ジャパンにて、外勤営業1年目でスタートアップ担当営業部門で年間売上世界一に。翌年はSMBマーケット担当部門で世界9位)というトップセールスのおふたりと、セレブリックス今井が本気の鼎談をするという内容になってます。
天野
1年目で売上世界一て…。どんな人かだけでも見てみたいですね…
今井さん
さらにDay1の「企業対抗 営業コンテスト」では、営業で有名な優良企業たちが、磨き上げた営業スキルや仕組みをプレゼンしてくれるんです。
競合が見ているかもしれないなかで、僕ら営業パーソンのために発表してくれるんですよ?しかも無料で。
全営業が敬意を払って見たほうがいいですよね。
もうたまらなそうな今井さん。たしかにわざわざ公開してくれるのはめっちゃすごい
今井さん
「Japan Sales Collection 2022」のコンセプトは「営業について『わかる・味わう・高め合う』」。
コンテストやセッションで学んで、営業の奥深さを味わっていただきたいんですが、さらに「高め合う」っていうところがポイントで…
同じ会社の参加した人同士で、「うちの会社もっとこうできるんじゃないか…?」と話してほしい。「営業」を“酒のつまみ”にしてほしいんです。
天野
たしかに、旧来の営業だったら飲み会といえば会社のグチ…ってイメージでしたけど、今日のように有益で楽しいお話がたくさん聞けたら、飲みながら「営業」について話したくなる気がしますね。
今井さん
ジャンクな情報があふれている今、適切なモノを届けられる営業の価値はどんどん上がっていくはずなんです。
旧来的なイメージで「営業すること、されることはイヤだ」っていう認識になってしまうことは、日本にとって悪。営業の市場価値、社会的地位を高めるのが僕のロマンなんです。
そんな気持ちでやっているので…「Japan Sales Collection 2022」に多くの方に参加してほしいし、この記事もたくさん読まれてほしいと願ってます…!!
ロマンに燃える男・今井晶也。最後はロマンティックな1枚を撮影させていただきました。ちょっとキメすぎかもしれません!
「営業とは、想像の世界をつくり出す仕事」。
2年しかやってない僕ですら感動したので、現職の営業の皆さんには突き刺さったのではないでしょうか。
新R25は「シゴトも、人生も、もっと楽しもう。」というビジョンで運営していますが、実際に「営業」というシゴトを本気で楽しんでいる人と対峙すると、その熱量とロマンに圧倒されました。
おそらく、そんな“楽しんでいる営業パーソン”が集う「Japan Sales Collection 2022」。営業に少しでも携わる皆さんは、絶対参加したほうがいいと思います…!!!
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉
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