ビジネスパーソンインタビュー

「転職に失敗するNG行動5選」を人材紹介のプロが解説。お金が志望動機だと99%失敗する!?

転職エージェントは10社に登録するのがおすすめ

「転職に失敗するNG行動5選」を人材紹介のプロが解説。お金が志望動機だと99%失敗する!?

新R25編集部

2020/02/28

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転職は、自分の価値を売り込むアピール合戦。書類選考や面接を通じて、いかに自分の魅力を伝え切るかが、突破のカギになると思っている人も多いはず。

ですが、人材紹介会社を経営し、3000人の転職をサポートしてきた郡山史郎さんは、そんな“勘違い”を一刀両断

「履歴書に余計なことは書くな」「面接ではしゃべりすぎるな」と、真逆の主張を展開しています。

今回は、郡山さんの著書『転職の「やってはいけない」』から一部を抜粋し、転職活動の失敗につながる“5つのNG行動”をご紹介します。

【郡山史郎(こおりやま・しろう)】株式会社CEAFOM代表取締役社長。1935年生まれ。一橋大学経済学部卒業後、伊藤忠商事を経て、1959年ソニー入社。1973年に米国のシンガー社に転職後、1981年ソニーに再入社し、取締役、常務取締役、ソニーPCL社長、同社会長、ソニー顧問を歴任。2004年、プロ経営幹部の派遣・紹介をおこなう株式会社CEAFOMを設立し、代表取締役に就任。人材紹介のプロとして、これまでに3000人以上の転職・再就職をサポートしてきた。著書に『転職の「やってはいけない」』『定年前後の「やってはいけない」』(青春出版社)などがある

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転職に失敗するNG行動① 「お金」を志望動機にしてしまう

厚生労働省の2018年の雇用動向調査によると、2018年1年間の転職者が前職を辞めた理由は、男性では「定年・契約期間の満了」が16.9%と最も多く、次いで「給料等収入が少なかった」の10.2%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」の10%の順となった。

女性では「定年・契約期間の満了」が14.8%と最大で、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が13.4%、「職場の人間関係が好ましくなかった」の11.8%、「給料等収入が少なかった」の8.8%の順である(男女とも「その他の理由(出向等を含む)」を除く)。

これらから男女ともに、1割程度の人が「お金」を理由としているのがわかる。

ここで強調したいのは、「転職の際は絶対にお金を理由にしてはいけない」ということだ。給料を上げたいという動機では、よほど優秀な人材でない限り、99%失敗する。

志望動機については、あくまでも「その仕事がやりたい」と伝えるべきだ。

転職を成功させるためには、自分が新しい会社や仕事に向いているとか、やりがいを感じるという点が最も重要となる。

裏を返せば、「今の会社は私を十分に使ってくれない。このままでは私の能力が伸びない。だから転職したい」ということでもある。

それこそが転職の最大の理由になるべきである。

転職に失敗するNG行動② たくさんの転職サイトを使ってしまう

インターネット上には無数の転職サイトが存在している。

転職希望者はこれらのサイトに登録したうえで、掲載されている求人案件にアクセスし、自ら応募手続きや面接日時の相談をおこなう仕組みだ。

だが、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」式にたくさんの転職サイトに登録することは禁物だ。

かえって情報過多の状況に陥って志望先を絞り切れなくなり、望みにかなった企業や職種にたどり着けない場合もあり得る。

私は登録するサイトは、多くても2つまでにすべきと考えている。その2つのサイトについては、一般的なサイトと、専門の業界や職種に特化したサイトを選ぶといい。

例えば、各種の業界や職業を幅広く扱うサイトと、経理や技術者など専門者用のサイトを選ぶ。そのようなサイトに登録しつつ、転職エージェントを活用するのだ。

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転職に失敗するNG行動③ 使う転職エージェントの数をはじめから絞りすぎる

転職エージェントについては、懇切丁寧で面倒見のよい複数の会社に登録するとよい

多くの情報を持っている転職エージェントを介して活動をおこなうことで、より労少なくしてよい縁と出会うことができるといえる。

信頼できるよい転職エージェントに巡り合えれば、納得のいく転職にぐんと近づくことになる。

さらに、先に「転職サイトへの登録は2社まで」と述べたが、転職エージェントについてはそれより多い10社ほどに登録することをおすすめする

それでもその10社のうち、本当に面倒を見てくれるのは3社ほどだと思っておいたほうがいいだろう。

ここで重要なのは、転職エージェントは本質的には求人企業のために人を探して報酬をもらっている、という点だ。

転職希望者のために仕事を探してくれる存在ではないということを、頭に入れておく必要がある。

だから、紹介会社があまり面倒を見てくれないという不満があっても、それが標準だと思ったほうがいい。

あくまでも転職を希望する本人が、自分のために、転職エージェントを利用して仕事を探すという基本事項を忘れないでほしい。

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転職に失敗するNG行動④ 履歴書や職務経歴書に余計なことを書きすぎる

転職希望者は応募先企業に対し、基礎資料となる履歴書や職務経歴書を提出する。履歴書や職務経歴書を作成、提出する際の要点について、以下、順を追って説明しよう。

第一に「余計なことを書かない」ようにしなければならない。業務に結びつかないような趣味や特技などは、企業側が重視することはないので書く必要はない。

次に「決して嘘を書かない」ことだ。不利になるような事実があっても、正直に書いたために信頼を得て、転職に成功したケースもある。

「単純明快に書く」ことも重要だ。長々と説明するのではなく、自分ができることについて、相手にすぐにわかるように書くことだ。

一方で「自慢話は書かない」こと。社長賞をとったとか、いくら売り上げたといったことは、一切書いてはならない。採用側は、勤めた会社と仕事内容を見れば、その人がやれることはわかるものだ。

「安易に自分の希望を書かない」ことにも留意したい。例えば勤務地や所属先などの希望を書いても、それらは会社側が決めるべき事項でもあるので、かなえられない場合がある。

学歴、職歴、家族構成などははっきりと書くべきだが、趣味や特技は書かないほうがいい。たとえ高校野球で甲子園に出たことがあったとしても、仕事には関係のない領域なので、書いてもプラスにはならない。

資格については、宅建、英検1級のような業務上有益なものは書いてもよい。TOEICであれば800点以上なら書いても可。難易度の低い資格は、書いてもあまり意味がないといえる。

転職回数を減らそうとして、かつて所属していた会社を1社でも省いてしまえば、経歴詐称となる。そうなれば、採用されても、後に契約違反を理由に解雇される可能性さえある。

転職活動で嘘をつくことは厳禁だが、これは「正直にいえば差別はされない」という原則の裏返しでもある。

私が関わったケースでは、前の会社でのトラブルを正直に告白したことで、かえって気に入られて採用されたというのがある。1度の失敗程度で諦める必要はないのだ。

採用側は、その理由がはっきりしている限り、退職の形式が会社都合だろうが、自己都合だろうが、あまり気にしないものだ。

転職に失敗するNG行動⑤ 面接でしゃべりすぎてしまう

一般的に、面接は自己紹介や自己PRからはじまって、求人企業側の面接者による質問へと移行する。

相手企業は第一に「当社で長く活躍してくれるか」といった点を中心に聞いてくるので、自分が相手企業やその事業に高い関心を持ち、そこで力を存分に発揮したいという意欲や展望、さらには自分ができることについて、具体的かつ簡潔に話す必要があるとされる。

私の経験からいえば、面接で重要なのは「しゃべりすぎない」ことだ。実は、自分の熱意を伝えたいあまり、あれこれしゃべりすぎて面接に落ちる人が結構多いのだ。

それを踏まえたうえで、「相手企業の好きそうなキーワードを意識して話す」ことが重要だ。

例えば、私が長年お世話になったソニーでは「自由闊達」が社風であり、キーワードだった。そうした言葉をうまく使いながら話を進めると、相手は非常に喜ぶものだ。

そのためにも、事前に相手企業のホームページなどをじっくり閲覧し、勉強しておかなければならない。

一方で、面接でいってはいけないのは、「同僚との関係がよくなかった」「上司との折り合いが悪かった」といった、前の会社での人間関係にまつわるネガティブな退職理由だ。これは、協調性に問題があると見なされてしまう恐れがある。

そして面接の際には、くれぐれも相手の「誘導尋問」に引っかからないように注意してほしい。

例えば、「前の会社では、人間関係はうまくいっていましたか?」「上司はどんな方でしたか?」といった調子で、探りを入れるように聞いてくることがあるからだ。

そのときも、「いやあ、ひどい上司でした」などと答えてはならない。

「よく教育していただいて、非常に楽しくやっていたのですが、私も力の振るいようがなくなりまして。もう少し仕事で冒険してみたいと考えたのです」といった感じで答えておこう。

企業側は、候補者の「御社で自分を成長させたい」という答えを最も好む

加えて、「ホームページを見せていただいたら、非常に興味深い事業を展開していることがわかりました。大変やりがいのある仕事だと思いますので、ぜひ挑戦してみたいです」と持ち上げられれば完璧だ。

面接では最後に「何か質問がありますか?」と聞かれることがある。しかし、これこそが最も危険な「誘導尋問」だ。

このように聞かれても「余計なことをしゃべらない」ことを意識し、「特にありません」と笑顔で答えるのが「模範解答」である。

企業側は、「この人と信頼関係を築けるか」ということを見極めたくて、面接をおこなっている。

余計な質問をしてしまい「この人とは信頼関係を築くのは難しそうだ」と思われてしまえば、残念ながら採用に至ることはないだろう。

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転職活動でやってはいけないことを徹底解説している一冊

選考となれば、誰しも自分をアピールしようと躍起になってしまうもの。

ですが、郡山さんの話を聞くと、転職はあくまでも「人と企業のマッチング」だと改めて気づかされます。

嘘をつく必要もなければ、むやみにアピールする必要もない。自分や企業と向き合って、正直な姿勢で臨めば、自ずと納得のいく企業と出会えるのではないでしょうか。

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