ビジネスパーソンインタビュー

転職サイトの賢い使い方とは? プロ5人が利用の流れと転職攻略法を伝授

経験者が語る年収を上げるテクニックも

転職サイトの賢い使い方とは? プロ5人が利用の流れと転職攻略法を伝授

新R25編集部

2020/09/01

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転職先を探す手段として一般的な転職サイト

無料で利用できるので損はしないとわかっていても、登録前に利用方法などについて知りたい方も多いはず。

そこで新R25では、転職サイトの実態に精通した方々にご協力を依頼し、実際の利用フローや賢い使い方についてうかがいました。

ご協力いただいたのはこちらの5名です。

【黒田真行(くろだ・まさゆき)】ルーセントドアーズ代表取締役。1988年にリクルート入社し、「リクナビNEXT」編集長、「リクルートエージェント」ネットマーケティング企画部長などを歴任。

【moto】転職・副業に関する発信活動をおこなっているジョブホッパー。戦略的なキャリアップを繰り返して32歳で6社目。現在は年収1000万円超えのサラリーマンに。著書『転職と副業のかけ算』は、発売前からAmazon書籍ランキング総合1位を獲得。

【松本利明(まつもと・としあき)】人事・戦略コンサルタント。アクセンチュアなどの大手外資系コンサルティング会社に24年勤めて、プリンシパル(部長級)を経て現職に至る。

【高橋実(たかはし・みのる)】人事の複業家。株式会社モザイクワークほか3社で人事責任者を担う。法政大学兼任講師も務めている。

【「BEST WORK」編集長】口コミをもとに転職サイト・エージェントを比較するサイト「BEST WORK」を運営。

※詳細プロフィールは記事の下部に記載しています。

こちらの5名には、転職サイトの活用法だけでなく、

・求人の選び方のポイント

・転職前にやっておくべきこと

・年収アップする転職のコツ

など、転職を成功させるためのアドバイスも伺いました。

〈聞き手=葛上洋平(新R25編集部)〉

転職サイトの利用フロー&活用テクニック

STEP① 登録:まずは自分の「軸」を明確にしよう

黒田さん

転職先選びは、さまざまな要素が絡み合ってきます。勤務地や社風、仕事内容や給与…たくさんの変数の優先順位をしっかり決めないと、どんな転職サービスを使ったとしてもうまくいきません。

求人案件を探す前に転職の「軸」、つまり自分のなかで譲れない条件と妥協できる条件を決めておくと、その後の転職先選びもスムーズに進みます。

葛上

でも、優先順位を決めるのってけっこう難しいですよね…。ひとりで考えてると、なかなか結論が出なさそうです。

黒田さん

そういう方は転職エージェントを使えばいいと思います。第三者であるアドバイザーに相談すれば、頭のなかを整理できます。

転職エージェントのアドバイザーと面談をしつつ、自分でも転職サイトで求人案件を探す。この両方で、転職先選びの可能性が広がります

STEP② 求人探し:スカウトメールは見極めが大切

葛上

転職サイトに登録して「軸」を明確にしたら、次は“求人探し”ですよね。

黒田さん

はい。検索して探すのが基本ですが、企業から送られてくるスカウトメールを活用するのもいいでしょう。

葛上

スカウトメールって、ただの“テンプレ”みたいなものがたくさん届くイメージなんですが…本当に信頼できるんですか?

黒田さん

正直なところ、スカウトとは名ばかりなものも多いです。でも、なかには職務経歴書を丁寧に読んで送られてくる、熱意の込もったスカウトもあります。

スカウト経由で応募すると、書類選考をパスして面接に進めるケースも多いので、そういった本気のスカウトには応じるといいでしょう。

葛上

その“本気のスカウト”って、どうやって見分ければいいんでしょうか?

黒田さん

明らかに件名や文章が違うので、心配しなくてもちょっと見ればわかりますよ。

きちんと見極めて使えば、思わぬチャンスに出会えるかもしれません。

Embedly

STEP③ 応募書類の作成:便利な「作成ツール」を活用しよう

黒田さん

応募前に、必要書類を作らなければなりません。作成する書類は「履歴書」と「職務経歴書」の2つ。

履歴書は知っての通り、連絡先や職歴・学歴などの基本的なプロフィールを簡潔に伝えるもの。フォーマットに沿って正確に書けばOKです。

松本さん

職務経歴書は、「今まで何をやってきたのか」「何ができるのか」をアピールする書類。これまでの業務経験や、入社後に活かせるスキルなどを記入します。

こちらは履歴書ほど決まった形式があるわけではないので、自分で整理して書く必要があります。

葛上

はじめての転職だと、ちょっと苦労しそうです…

松本さん

そういう方は、サポート用のツールを活用するといいでしょう。たとえばリクナビNEXTなら「レジュメnavi」など、簡単に職務経歴書を作成できるものがあります。それらを使えば説明に沿って書くだけで仕上げられます。

あとは転職エージェントを使えば、アドバイザーに職務経歴書を添削してもらえたり、改善点を指摘してもらえたりします。

自分でつくる自信がない方は、プロを頼ったほうがいいですね

松本さん

また、リクナビNEXTの「グッドポイント診断」も選考前の自己分析に役立ちます

これは社交性、現実思考、決断力、柔軟性などの18種類の特性から、自分の強みを客観的に把握できるという診断コンテンツ。

ただ、診断結果をそのまま自己PRに書くのはNG。

この診断は多くの人が受けているので、選考する側も同じような自己PRを目にします。その結果、コピペしていることが企業にバレて選考が不利になる可能性もあるからです。

グッドポイント診断で自分の強みを把握したあと、その裏付けとなる実績やエピソードを加えて自己PRを書くのが成功のコツ。

裏付けがあると具体的なイメージが湧くので、選考も通りやすくなります。

STEP④ 応募:転職サイトと転職エージェント、どちらから応募してもOK

葛上

気に入った求人案件があったら応募に進みますが…転職サイトと転職エージェントを併用する場合、どちらから応募すればいいのか迷ってしまいそうです。

黒田さん

気になる求人案件を見つけたら、どちら経由であってもすぐに応募すればいいと思います。

というのも、求人案件との出会いは“一期一会”。今日あった求人案件が明日にはなくなるかもしれないので、スピード感を持って応募するのが大切だからです。

葛上

なるほど。応募前にアドバイザーに相談したほうがいいケースもあるんですか?

黒田さん

自分で企業情報を調べ、志望動機が明確にできる場合は相談しなくてもいいと思います。

企業の内情や求めている人材などを教えてもらったり、面接対策を手伝ってもらったりしたいのであれば、アドバイザーに相談してから応募してもいいでしょう。

場合によっては、アドバイザーに推薦状を書いてもらえる可能性もあります。

STEP⑤ 選考:社内のリアルな雰囲気を感じ取ろう

葛上

書類選考を通過したらいよいよ面接ですが、気をつけるべきことはありますか?

黒田さん

面接は選考される場ですが、社内のリアルな雰囲気を感じ取れる貴重な機会でもあります。オフィスや社員の雰囲気をよく観察しましょう。

さらに余裕があれば、選考と並行して人事以外との面談を依頼するのがおすすめです。

自分と年の近い社員や、似たような経歴の社員と話すことで、求人票だけではわからない企業のリアルな実情が見えてきます。

Embedly

プロが伝授! 理想の転職を実現する「転職の攻略法」

【転職の攻略法①】 転職がうまくいかなくなる原因を潰しておこう

転職活動でなかなか内定が出ないときの対処法を教えてください!

高橋さん

転職がうまくいかない人は、「転職を自分目線でしか考えていない」ケースが大半です。志望する企業がどのような人材を欲しいと思っているのか、それに自分は応えられているのかを考慮しましょう。

選考は、いわば「自分」という商品を営業する場所。いくら「いい商品だ」と叫んでも、ニーズがなければ売れません。相手のニーズを汲み取り、そのニーズに合わせて自分の実績や成果を伝えるのがポイントです。

motoさん

企業が何を求めていて、自分には何ができるのか、を整理して考えるといいと思います。

求人票や採用ページをよく読み込んで、「どんな人を求めているのか」を想像し、その仕事を自分ができるかどうかを考えると良いです。

その仕事を自分ができると思ったのであれば、その根拠を自分の過去経験と照らし合わせながら、面接で説明すれば良いです。採用側が求めていることを把握することが大切ですね。

【転職の攻略法②】職務経歴書は定期的に更新しておこう

motoさん

転職予定がなくとも、定期的に職務経歴書を更新しておくことをおすすめします

職務経歴書を書くことで、自分がこれまでやってきたことの棚卸しができます。自分に足りない力は何か、それを得るためには何をすればいいかなどを考えるきっかけになるので、現職でのモチベーションにも繋がります。

また、スカウトが届くタイプの転職サイト(ビズリーチやキャリトレなど)に登録して、常に職務経歴書を更新しておけば、自分に届くスカウトや求人案件が変化するので、自分が次に行けるキャリアなども見えるようになってきます。

【転職の攻略法③】年収アップには「軸ずらし転職」がおすすめ

高橋さん

短期的な年収アップだけに目を向けないようにしましょう

若手の頃は、たとえ年収が低めでも裁量権が大きい企業を選ぶなど、「自分の成長に対する投資」を優先したほうがいいケースも多い。焦らずに長期的なキャリアを見据えたほうが、成功が見込めると思います。

motoさん

僕は、業界または職種をずらして転職する「軸ずらし転職」をおすすめしています。

年収の大枠は業界×職種で決まります。そのため、年収水準が高い業界または業種に移ることで、年収アップが期待できるんです。

僕の場合は営業職は固定で、業界をずらすことを繰り返してきました。この「軸ずらし転職」については、以前、新R25の取材でお伝えしているので、ぜひそちらを参考にしてください。

合計2000人以上がおすすめする転職サイトと転職エージェント

新R25では、転職サービスの実態に精通した専門家にご協力いただき、「新R25キャリア総研」として、実際に利用したことのある約2000人を対象におすすめの転職サイト・転職エージェントについて調査しました

こちらの記事では、新R25キャリア総研の調査結果や過去におこなった専門家への取材をふまえて、特におすすめできる転職サイト・エージェントのみをご紹介します

気になるサービスにいくつか登録すると、理想の転職が実現できるかもしれません。

種別

おすすめの

サービス名

ユーザー

満足度

総合型

エージェント

92%

総合型

エージェント

89%

総合型

サイト

92%

総合型

エージェント・

サイト一体型

89%

Embedly

“転職のプロ”たちの詳細プロフィール

【黒田真行(くろだ・まさゆき)】1988年、リクルート入社。2006年から2013年まで「リクナビNEXT」編集長、その後「リクルートエージェント」ネットマーケティング企画部長、「リクルートメディカルキャリア」取締役などを歴任。2014年、ルーセントドアーズ株式会社を設立し、35歳以上のミドル世代を対象とした転職支援サービス「CareerRelease40」を運営。著書に『転職に向いている人転職してはいけない人』(日本経済新聞出版社)、『40歳からの「転職格差」まだ間に合う人、もう手遅れな人』(PHPビジネス新書)がある

【黒田さんの関連リンク】

黒田真行◆採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ | Twitter

ルーセントドアーズ株式会社

【高橋実(たかはし・みのる)】人事の複業家。国家資格キャリアコンサルタント。新卒で株式会社ジェーシービーに入社し、その後NTT、トヨタファイナンスのクレジットカード事業に携わる。その後人事に異動し人事キャリアをスタートさせ、これまで3社で人事責任者を担う。2018年からは株式会社モザイクワークほか3社で人事責任者を担う。法政大学兼任講師も務める

【高橋さんの関連リンク】

・株式会社モザイクワーク

【moto】転職・副業に関する発信活動をおこなっているジョブホッパー。地方の短大を卒業後、新卒で地方中小企業(ホームセンター)へ入社し、人材広告会社→リクルート→スタートアップ(買収されて楽天)→ベンチャーと戦略的なキャリアップを繰り返して32歳で6社目。現在は年収1000万円超えのサラリーマンに。副業としてブログ「転職アンテナ」を運営している。著書『転職と副業のかけ算』は、発売前からAmazon書籍ランキング総合1位を獲得

【motoさんの関連リンク】

moto|Twitter

転職アンテナ

【松本利明(まつもと・としあき)】人事・戦略コンサルタント。大手外資系コンサルティングファームに24年勤務しプリンシパル(部長級)を経験。人材マネジメントの支援をした企業は600社以上。日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員も務めている。著書に5万人のリストラと6500名以上のリーダーの選抜と育成をした人の「目利き」。『「いつでも転職できる」を武器にする』(KADOKAWA)『稼げる人稼げない人の習慣』(日経新聞出版社)などベストセラー多数。BBC、TBS、日経新聞、東洋経済などメディア実績多数

【松本さんの関連リンク集】

松本利明 Official Web Site

松本利明 | Amazon

松本利明@人事・戦略コンサルタント(累計15万部)|Twitter

【転職サイトの比較メディア「BEST WORK」編集長】口コミをもとに転職サイト・エージェントを比較するサイト「Best Work」を運営。専門家のアドバイスやリサーチ会社による調査も活かし、転職希望者が理想とする働き方を実現できるよう、転職にまつわる記事コンテンツを掲載している。転職サイト・エージェントに直接インタビュー取材した記事も公開中。

【BEST WORK編集長の関連リンク集】

・BEST WORK

新R25キャリア総研の調査概要

【調査概要】
・転職エージェント調査の調査期間
2020/03/30〜2020/04/01
2020/04/02〜2020/04/06

・転職エージェント調査のサンプル数
1128人(554+574)

・転職サイト調査の調査
期間
2020/05/08〜2020/05/11

・転職サイト調査のサンプル数
1163人

・調査対象者
性別:指定なし
年齢:20〜39歳
地域:全国
条件:転職エージェント/転職サイトを利用したことがある人


【転職サイトの評価基準】
・求人の数と質
(求人数は多いか?他サイトにはない求人を扱っているか? )

・サイトの使いやすさ
(求人検索がしやすいか? サイト上の求人情報が充実しているか? )

・サービスの充実度
(診断コンテンツやノウハウ集など、周辺サービスが充実しているか?)

【転職エージェントの評価基準】
・求人の満足度
(希望に沿った、適切な数の求人案件を提案してもらえたか?)

・アドバイザーの対応力
(進め方はスムーズか?有益なアドバイスがもらえるか?対応が丁寧か?)

・サポートの充実度
(履歴書の添削や面接アドバイスなどのサポートが充実しているか? )

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