ビジネスパーソンインタビュー
スルーしたほうがいい場合も!?
転職サイトのスカウトは乗るべき?仕組みや良いスカウトの見分け方をプロが伝授
新R25編集部
【知りたい情報は何ですか?】
①スカウト機能の仕組み
②スカウト機能のメリット/デメリット
③スカウトの典型パターン解説
④いいスカウトの見分け方
転職サイトを使うとしばしば目にするのが「スカウト機能」。
便利そうな響きだけど、普通の求人検索と何が違うの? メリットはあるの? などと疑問は尽きません。
そんな疑問を解消すべく、キャリアの専門家を直撃。「スカウト機能」の仕組みや内定率が上がるスカウトの見分け方などを教えてもらいました。
今回、取材に協力してくださったのはこの方。
松本さん
人事・戦略コンサルタントの松本です。
アクセンチュアなどの大手外資系コンサルティング会社に24年勤めて、プリンシパル(部長級)を経て現職に至ります。人材マネジメントの支援をした企業は600社以上です。
さまざまな企業の人事とのつながりがあるので、企業側からの意見をふまえてコメントをします。
〈聞き手=SYO〉
転職サイトのスカウト機能の仕組みとメリット/デメリット
SYO
転職サイトの「スカウト機能」とは、どういったものなのでしょう?
松本さん
簡単に言うと、提携している企業や転職エージェントからメールで直接”スカウト”を受けられるサービスです。
求職者側があらかじめ経歴やスキルを登録しておき、それを見て興味を持った企業やエージェントから連絡が来る…という流れですね。
SYO
なるほど。スカウト機能を使うとどんなメリットがあるんでしょうか?
松本さん
一番のメリットは、自ら求人案件を探す手間が省けることです。スカウト機能を使えば、自分に興味を持った企業やエージェントからの連絡をきっかけに転職活動を進められます。
さらに、自分で検索するとどうしても興味がある求人案件だけに限られてしまいますが、スカウトの場合はあらゆる業種・職種との出会いが期待できます。自分では思いつかない、意外な求人案件が見つかる可能性もありますよ。
SYO
それはいいですね…!選択肢の幅が広がりそうです。
松本さん
とはいえ、スカウト機能にはいくつかデメリットもあるので注意しましょう。最大のデメリットは、スカウトメールがとにかく大量に届くこと。
正直言って、なかには“ただのDM”にすぎない、的外れな内容のものも見受けられます。
それらを1つひとつチェックし、管理するのは結構な手間です。少なくとも“ただのDM”はスルーしないと効率が下がってしまいます。
あと、たくさんスカウトメールが来るのに慣れてしまうと「とりあえず様子見しよう」と思ってしまい、貴重なチャンスを逃すリスクもあります。
ですので、スカウト機能だけを使った転職活動はあまりおすすめできません。スカウト機能の良し悪しを知ったうえで、通常の求人検索と合わせて活用するといいでしょう。
SYO
信頼できるスカウトをちゃんと見極める必要があるんですね。
松本さん
その通り。そのために知っておきたい、スカウトメールの「4つのパターン」をご紹介しましょう。
スカウトメールでよくある4パターン
松本さん
サービスによって多少の差はありますが、スカウトメールはおおよそ下記の4パターンにわけられます。
①転職サイトからの自動送信メール
②転職サイトの担当者からのメール
③企業の人事・採用担当者からのメール
④提携している転職エージェントからのメール
SYO
意外と種類が多いんですね…それぞれの特徴を教えてください!
パターン①:転職サイトからの自動送信メール
松本さん
まずは「転職サイトからの自動送信メール」。
これは、求職者が転職サイトに登録した際の情報(年齢や希望勤務地、経験職種など)をもとに、コンピューターの自動処理で送られてくるものです。
これがいわゆる"ただのDM”。人の手が加わっていないため、コピペの定型文で送られてきます。
SYO
完全に自動送信なんですね…
松本さん
転職サイト側からすると、なるべく運営の手間を減らして求職者側に取捨選択させる狙いと、数多くの求人案件を紹介することで求職者のモチベーションを保つ狙いがあるようです。
1人ひとりの職務経歴を読み込んで送られているわけではないので、マッチング率は低い傾向にあります。このタイプのメールはあまり真剣に読まなくてもいいでしょう。
パターン②:転職サイトの担当者からのメール
松本さん
次が「転職サイトの担当者からのメール」。これは、求職者の登録情報を見たスタッフが、マッチしそうな求人案件を選んで送るものです。
SYO
人の手が加わっているなら、①より精度が高そうですね!
松本さん
とはいえ、機械の力を借りているのには変わりありません。
求職者と求人案件をそれぞれシステム上で検索し、一応人の目を通してマッチングさせる仕組みなので、機械的な自動マッチングを少しましにした程度と捉えておけばいいしょう。
このパターンの精度は、担当者の知見によっても左右されます。希望する業界・職種に詳しい担当者なら、条件にマッチした求人案件を紹介してもらえるかもしれせんし、その逆もありえます。
タイトルや冒頭文をチラッと見て、興味が沸いたらしっかり読むくらいが適切です。
パターン③:企業の人事・採用担当者からのメール
松本さん
3つ目は「企業の人事・採用担当者からのメール」。言うなれば、これがスカウトメールの“本命”です。
SYO
おお…! どういう仕組みなんでしょう?
松本さん
転職サイトに求人を出している企業の人事や採用担当者が、求職者の職務経歴書などを読み込み、きちんと文章を書いて送っています。
企業側も条件に合った求職者を探すのに苦労しているため、人事自らが積極的にスカウトをしているわけです。
サービスによりますが、このパターンは書類選考を免除してもらえることがほとんど。採用の確度が高いと思っていいでしょう。
SYO
文字通りの“スカウト”なんですね。
松本さん
ただ、あくまで一方的なスカウトで、転職エージェントのように仲介人がいるわけでもないので、本当に相性がいい企業かどうかはわかりません。
公式サイトや企業口コミサイトを活用したりして、その企業の内情を調査してから応募したほうが安心ですね。
転職サイトによっては、そういった相談にのってくれるサービスを提供していることもあります。
パターン④:提携している転職エージェントからのメール
松本さん
最後は「提携している転職エージェントからのメール」。
中小・個人の転職エージェントと提携し、求職者の情報を提供している転職サイトがいくつか存在します。そういったサービスを使うと、このパターンのスカウトが届くことがあります。
このパターンはさらに「秘書や連絡担当のスタッフから届く場合」と「アドバイザー(実際に転職のサポートをしてくれる担当者)から届く場合」の2種類にわけられます。
前者はコピペでいろんな求職者に連絡をしている可能性が高い一方、後者はアドバイザー本人が1人ひとりに合わせた文章を書いているので、後者のほうが信頼できると思っていいでしょう。
少しメールを読めば、その見極めは簡単にできると思います。
SYO
なるほど。後者の場合は、転職活動のサポートをしてくれるアドバイザーとやりとりできるんですね。
松本さん
はい。特定の求人案件を紹介されるのではなく、「いろんな求人案件を紹介できそうなので、まず一度面談を」と言われることが多いですね。
転職エージェントを使えば、書類の添削や選考対策などにも応じてもらえますので、なにかと頼りになるはず。文面の印象ややりとりを介して「会ってみたいな」と思う人がいたら、連絡を取ってみてもいいでしょう。
厳選はNG!? 1128人が選ぶおすすめ転職エージェント&プロが語る選び方|新R25転職
活用法や“コロナ”の影響も解説
転職エージェントについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
信頼できるスカウトメールの見分け方。内定率を高めるには?
SYO
種類がだいたいわかったところで、次は「信頼できるスカウトメールの見分け方」を教えてください!
松本さん
まず前提として、メールや本文を少し読めば、コピペかどうかはすぐにわかります。
明らかにコピペだとわかった時点で、そのメールはスルーでいいでしょう。強いていうなら新着求人だけは見ておいてもいいかもしれません。
SYO
先ほどの話だと、③の「企業の人事・採用担当者からのメール」や④の「提携している転職エージェントからのメール」の場合は、ちゃんと文章を作って送られてきていることが多いんですよね。
松本さん
はい。その場合は、文中に「あなたの職務経歴書のこの部分を見てスカウトしました」などの具体的な内容が含まれているはずです。
そういった“本気のスカウト”が届いて、その企業に興味を抱いた場合は、ぜひ応じてみましょう。きっとチャンスが広がるはずですよ。
スカウト機能が使えるおすすめ転職サイト
新R25転職では、転職サービスの実態に精通した専門家にご協力いただき、実際に利用したことのある約1000人を対象に、おすすめの転職サイトについて調査しました。
こちらの記事では、調査結果や過去におこなった専門家への取材をふまえて、スカウト機能が使える転職サイトを厳選してご紹介します。
これ以外にも、詳細な評判やほかのおすすめサービスが知りたい方は、ぜひ下記のリンク先の記事もご覧ください。
〈取材・文=SYO(@syocinema)、編集=石川みく(@newfang298)〉
精通者の詳細プロフィール
【松本利明(まつもと・としあき)】人事・戦略コンサルタント。大手外資系コンサルティングファームに24年勤務しプリンシパル(部長級)を経験。人材マネジメントの支援をした企業は600社以上。HR総研の客員研究員も務めている。著書に5万人のリストラと6500名以上のリーダーの選抜と育成をした人の「目利き」。『「いつでも転職できる」を武器にする』(KADOKAWA)『稼げる人稼げない人の習慣』(日経新聞出版)などベストセラー多数。BBC、TBS、日本経済新聞、東洋経済などメディア実績多数
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