ビジネスパーソンインタビュー
よくあるQ&Aや注意点も
転職エージェントの流れと効果的な活用法。内定までの“4STEP”をプロが解説
新R25編集部
専属のアドバイザーがつき、マンツーマンで転職支援を受けられる転職エージェント。
転職初心者にとって心強い存在ですが、実際に利用する際の流れはいまいちイメージしづらいもの。
そこで新R25転職は、転職エージェントに精通した専門家2名に取材を敢行。登録から内定までの道筋を解説していただきました。
今回、協力してくださったのはこちらの2名。
松本さん
人事・戦略コンサルタントの松本です。
アクセンチュアなどの大手外資系コンサルティング会社に24年勤めて、プリンシパル(部長級)を経て現職に至ります。人材マネジメントの支援をした企業は600社以上です。
さまざまな企業の人事とのつながりがあるので、企業側からの意見をふまえてコメントをします。
小林さん
人材コンサルタントの小林です。法律系人材を取り扱う外資系ヘッドハント会社を経て、人材紹介事業をおこなう会社を設立しました。
2013年から厚労省認定の講師として、人材紹介事業者に対する法定講習を2500社以上に対しおこなっています。
転職希望者や転職エージェント、人事とのやりとりをベースに、私の利用経験もふまえてお話します。
※詳細プロフィールは記事の下部に記載しています。
〈聞き手=佐藤宇紘〉
転職エージェントを利用する際の流れ
小林さん
転職エージェントを使う場合、以下のような流れで転職活動が進みます。
流れ①:転職エージェントに登録する
小林さん
それぞれの公式ページから登録します。たとえばリクルートは「リクルートエージェント」という転職エージェントのほかに、「リクナビNEXT」という転職サイトも運営しています。
このように同じ運営会社が似たようなサービスを提供している場合があるので、間違えないよう気をつけましょう。
・マイナビエージェントの公式サイトはこちら
・リクルートエージェントの公式サイトはこちら
・パソナキャリアの公式サイトはこちら
小林さん
登録してから数日以内にメールや電話で連絡がきます。ざっくりと転職に関する要望を伝えてから、詳しい話をするために面談の日程調整をします。
場合によっては電話で対応してもらうことも可能です。
流れ②:面談でキャリア相談や求人案件を紹介してもらう
小林さん
アドバイザーとの面談は転職希望者と企業の要望をすり合わせる場です。ヘンに気を遣わず、率直に要望を伝えましょう。
事前のヒアリングもふまえて、合いそうな求人案件を紹介してもらえます。
「リクルートエージェント」など、網羅的に求人案件を抱えている“総合型”の場合は、いろんな可能性を提示するために数十件単位。
特定の業界・職種に強い“特化型”の場合は、厳選して数件の提案となることが多いです。
佐藤
総合型の場合は数十件… 思ったよりたくさん紹介してもらえるんですね。
小林さん
ですが、たくさん応募すればいいというわけではないので注意しましょう。アドバイザーによってはたくさんの求人票を一気に見せてきて、片っ端から応募するように無理強いしてくる可能性もあります。
佐藤
えっ…どうしてですか?
小林さん
転職エージェントは、転職希望者からお金を取らない代わりに、入社が決まった時点で企業から「成功報酬」という形で収入を得ています。
小林さん
なので彼らにとっては、「いかに多くの人を転職させられるか」がもっとも重要。
なんとしてでも入社まで導こうとして、求職者にぐいぐい転職を迫ってくるアドバイザーも残念ながら存在します。
佐藤
そんなことがあるんですね…
小林さん
もちろん、真摯に向き合ってくれるアドバイザーもたくさんいますよ。
アドバイザーの質が転職の成否を分けるので、複数のサービスに登録・面談して、アドバイザーを相対比較するといいですね。
プロに聞いた、転職エージェントの失敗しない選び方。登録前に比較するのはムダ!?|新R25転職
相性のいいアドバイザー出会う5つの方法
アドバイザーの選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
小林さん
もしたくさん提案されたとしても、すべて応募する必要はありません。転職先に求める条件をしっかり整理してから、じっくり吟味しましょう。
もし「これは絶対に応募しないな」というものがあれば、その理由をアドバイザーに伝えておきましょう。コミュニケーションを取れば取るほど、提案される求人案件の精度が高まるからです。
流れ③:選考の準備をサポートしてもらう
小林さん
志望する企業が決まったら、選考に向けた準備をします。
転職エージェントは転職者の年収の一部を報酬として企業から受け取るビジネスです。
なので、求職者をなるべく高い年収で入社させられるよう、できるだけ魅力的に見せるサポートをしてくれます。遠慮せずに頼りましょう。
また、直接の応募と違って、転職エージェント経由だとアドバイザーが企業への推薦文を添えてくれます。
表面的なスペックにとどまらない魅力をアピールしてくれるので、書類選考の通過率は高くなる傾向にあります。
佐藤
無事書類選考を通過したあとも、アドバイザーがサポートしてくれるんでしょうか?
小林さん
はい。面接対策を手伝ってくれるほか、サービスによっては模擬面接をしてくれることもあります。
面接の前に、アドバイザーから過去の選考情報を仕入れるといいですね。企業との信頼関係が築けているアドバイザーなら、面接官の人柄や好かれる受け答えなどの“裏事情”まで教えてくれます。
どんな面接官が面接に出てくるのか、どんなことを聞かれるのかを事前に知っておけば、本番で焦らずにすむでしょう。
流れ④:内定後は給与交渉や退職のサポートをしてもらう
小林さん
転職エージェントのサポートは、内定が出たら終わりではありません。特に給与交渉の強い味方になってくれます。
入社予定の企業の給与テーブル(年齢や能力に対応する給与の幅)をもとに、実現可能な範囲で高い年収がもらえるように交渉してくれます。
希望があれば、退職についてのサポートも受けられます。上司に引き止められたらどうすればいいのか、退職手続きを進めてもらえない場合の対処法など、状況に応じたアドバイスがもらえるでしょう。
転職エージェントは複数登録して、アドバイザーを見て厳選しよう
佐藤
最後に、転職エージェントに登録する際の選び方を教えてください!
松本さん
そもそも転職エージェントは、登録前の段階ではそれほど絞り込まないことをおすすめします。
佐藤
えっ…なぜですか?
松本さん
その理由はざっくり言うと次の2点にまとめられます。
①成果報酬を企業から受け取るビジネスモデルなので、転職希望者は無料で使える
②担当アドバイザーが転職の成否を分けるので、複数のサービスに登録してから厳選するといい
佐藤
つまり、とりあえずいくつか登録して、担当してくれる人との相性などを見るといいってことですね。
どれぐらい登録すればいいんでしょう?
松本さん
網羅的に求人案件を抱えている“総合型”と呼ばれている転職エージェントを2〜3個ほど。
さらに転職の希望が明確なら、特定の業界・職種に特化している“特化型”の転職エージェントも1〜3個併用するのがおすすめです。
佐藤
でも多すぎると、やり取りが大変じゃないですか?
松本さん
今の話はあくまで登録までの話です。アドバイザーと会ってみて相性などを確認してから、最終的に2人ぐらいに厳選すれば大丈夫ですよ。
実際に複数の転職エージェントを利用したことがある人に、アンケートをとりました。(サンプル数:807人)
おすすめの転職エージェント
新R25転職では、転職サービスの実態に精通した専門家にご協力いただき、実際に利用したことのある約2000人を対象におすすめの転職サイト・転職エージェントについて調査しました。
この記事では調査結果や過去におこなった専門家への取材をふまえて、特におすすめできる転職エージェントのみをご紹介します。
これ以外にも、詳細な評判やほかのおすすめサービスが知りたい方は、ぜひ下記のリンク先の記事もご覧ください。
Embedly〈取材・文=佐藤宇紘、編集=石川みく(@newfang298)〉
精通者たちの詳細プロフィール
【松本利明(まつもと・としあき)】人事・戦略コンサルタント。大手外資系コンサルティングファームに24年勤務しプリンシパル(部長級)を経験。人材マネジメントの支援をした企業は600社以上。HR総研の客員研究員も務めている。著書に5万人のリストラと6500名以上のリーダーの選抜と育成をした人の「目利き」。『「いつでも転職できる」を武器にする』(KADOKAWA)『稼げる人稼げない人の習慣』(日経新聞出版)などベストセラー多数。BBC、TBS、日本経済新聞、東洋経済などメディア実績多数
【松本さんの関連リンク集】
・松本利明@人事・戦略コンサルタント(累計15万部)|Twitter
【小林毅(こばやし・たけし)】人材コンサルタント。外資系ヘッドハント会社を経て、2010年にホライズン・コンサルティング株式会社を設立。法務系人材を中心に約11年、延べ4400人の相談、サポートをおこない、日系大手企業、ベンチャー企業、外資系企業の採用支援にも従事。2013年より厚労省認定「職業紹介責任者講習」講師として、人材紹介事業者に対する法定講習を延べ2000社に対しおこない、不健全と言われる人材業界全体のボトムアップに尽力している。著書に『転職大全』(朝日新聞出版)、『成功する転職「5%」の法則』(自由国民社)がある
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