ビジネスパーソンインタビュー
無料で使えるのはなぜ?
転職エージェントを使っても費用がかからない理由は? 現役コンサルタントがビジネスモデルを解説
新R25編集部
転職について調べていると、転職エージェントに関する情報を目にすることも多いでしょう。
求人案件の紹介や選考対策をおこなってくれる便利なサービスですが、気になるのはその費用。
どうやら無料で使えるようですが…「お金がかからないって逆に怪しくない?」「転職しないとペナルティを払わされるのでは?」などと不安になるかと思います。
そこで今回は、リクルートエージェントで転職エージェントとしての累計売上歴代トップを誇る“カリスマ転職コンサルタント”森本千賀子さんにご協力を依頼。
「転職エージェントはなぜ無料なのか?」について、詳しく答えていただきました!
〈聞き手=森かおる〉
転職エージェントが無料な理由は?
転職エージェントは企業から成果報酬をもらっている
森
求職者は無料で転職エージェントを利用できるって、ホントなんですか?
森本さん
はい。そもそも転職エージェントは、プロのキャリアアドバイザーが、求職者の希望や経歴に合った企業を紹介してくれるサービス。選考対策や内定後の交渉まで、すべて無料でおこないます。
森
そんなにいろいろサポートしてくれるのに無料なんて…何か裏事情があるのでは…!?
森本さん
無料で使える理由は、転職エージェントのビジネスモデルにあります。
転職エージェントは、1人の採用が確定した時点ではじめて報酬が発生する「成果報酬型」。
採用した人の年収に基づいて算出される報酬の一部を、企業が“紹介手数料”として転職エージェントに支払う仕組みです。
森本さん
求人している企業が紹介手数料としてフィーを払うため、求職者側は無料で使えます。
成果報酬の金額は、採用された人の年収によって決まる
森
ちなみに、転職エージェントが企業からもらえる「成果報酬」って、どのくらいの金額なんですか?
森本さん
職種にもよりますが、基本的には採用された方の年収の30〜40%を報酬として受け取ります。
たとえば採用された方の年収が500万円だった場合、転職エージェントがもらえる報酬額は150万~200万円になる計算です。
森
なかなかの金額ですね…企業にとっては大きな出費だと思いますが、どうしてそこまでして転職エージェント経由で採用活動をするのでしょう?
森本さん
自社サイトや転職サイト、求人誌などに募集を出して、応募してきた人全員の対応をする業務は、時間もコストもかかりますよね。
だったら、はじめから条件にマッチする人材のみ紹介してくれる転職エージェントを利用したほうが、企業にとって効率的で、負担も少なく済むのです。
また、転職エージェントを利用すれば、公にしていない極秘プロジェクトなどの人員を、なるべく外部に情報が漏れないように「非公開求人」として募集することもできます。
企業の選考の手間を省くために、応募が殺到しがちな人気企業の求人案件や、専門的なスキルを持った人だけを集めたい求人案件なども非公開にされることが多いですよ。
森
なるほど。逆に求職者側から見ると、転職エージェントを介せばレアな非公開求人に出会えるかもしれないということですね。
有料の転職エージェントは存在しない
森
求職者側がお金を払うタイプの転職エージェントは存在しないんですか?
森本さん
人材紹介業は、法律で「求職者側から手数料を取れない」と決まっているため、有料の転職エージェントはありません。
ただし、キャリア相談や転職支援ツールを有料化するのはOK。たとえば「ビズリーチ」のように、一部有料でエージェントと出会える場所を提供しているサービスもあります。
転職エージェントを利用して費用が発生することはある?
ケース①:内定を辞退した場合
森
無料で利用できるとはいえ、なんらかの理由でペナルティとして費用が発生することはないんでしょうか?
たとえば転職エージェント経由でもらった内定を辞退してしまった場合とか…
森本さん
その場合も、特に費用は発生しません。
無理に承諾して短期離職してしまうと、自分の職歴に傷がついてしまうリスクもあります。もし気乗りしない場合や、ほかに気になる企業がある場合ははっきり断りましょう。
そして、内定獲得後も転職活動を続けられるように、あらかじめ複数の転職エージェントに登録しておくといいですね。
ケース②:早期退職した場合
森
転職エージェント経由で入社した会社を数ヶ月で早期退職してしまった場合は、さすがにペナルティが発生するのでは…?
森本さん
早期退職の場合、求職者側がお金を払う必要はありませんが、転職エージェント側が企業に返金することになるケースもあります。
多くの転職エージェントでは、紹介した人が早期退職すると、企業に報酬の一部を返金しなければいけないという規定があります。
報酬が減ってしまうだけでなく、企業側との信頼関係に傷がついてしまいます。
だから転職エージェントは、両者のマッチングが希望通りに成立するよう努めなければいけないのです。
ケース③:転職エージェントに紹介してもらった企業に直接応募した場合
森
エージェントが紹介してくれた企業に、自分で直接応募した場合はどうですか?
森本さん
その場合も求職者が費用を負担することはないですが、企業が転職エージェントにお金を払うことになるかもしれません。
森
どういうことでしょう…?
森本さん
支払いが発生する可能性があるのは、転職エージェント経由で選考を受けに来た求職者の採用を企業が見送った場合です。
その後1~2年間のうちに同じ人を採用する場合、たとえ直接採用だとしても、最初に紹介を受けた転職エージェントに報酬を払う契約になっている可能性があります。
ですので、直接応募はしてもいいけれど、念のため転職エージェントに連絡しておくほうが無難ですね。
森
ということは、転職エージェントに紹介された企業にはその場でエントリーしないで、後から直接応募すればいいってことでしょうか?
森本さん
理論上はそうですね。ただ、エージェント側からするとあまり印象はよくないですし、手数料の有無だけで選考結果が変わる可能性は高くありません。
むしろ、転職エージェントのサポートを受けられないことがマイナスになってしまうかもしれないので、基本的には転職エージェントと相談のうえで応募するがおすすめです。
森
逆に、直接応募で落ちたことがある企業にエージェント経由で応募するのはどうでしょう?
森本さん
そのパターンであれば、転職エージェントのアドバイザーに推薦状を書いてもらったり、自分に合った別の部署を紹介してもらったりすることで、採用の可能性が上がるでしょう。もちろん、その場合も費用は一切かかりません。
無料で使えるからこそ、注意すべきことは?
無料で使えていいことづくめの転職エージェントですが、少しだけ注意点も。詳しくはこちらの記事で解説しているので、合わせてご覧ください。
【1128人が評価】おすすめの転職エージェント
新R25では、転職サービスの実態に精通した専門家にご協力いただき、「新R25キャリア総研」として、実際に利用したことのある約1000人を対象におすすめの転職エージェントについて調査しました。
この記事では、新R25キャリア総研の調査結果や過去におこなった専門家への取材をふまえて、特におすすめできる転職エージェントのみをご紹介します。
これ以外にも、詳細な評判やほかのおすすめサービスが知りたい方は、ぜひ下記のリンク先の記事もご覧ください。
Embedly〈取材・文=森かおる(@orca_tweet1)、編集=石川みく(@newfang298)〉
精通者の詳細プロフィール
【森本千賀子(もりもと・ちかこ)】1993年にリクルート人材センター(現リクルートエージェント)に入社。転職エージェントとして3万人を超える転職希望者と接点を持ち、2000人以上の転職に携わり、累計売り上げ実績は歴代トップの実績がある。2017年3月に株式会社morichを設立し、同年10月に独立。エグゼクティブ層の採用支援を中心に、活動領域を広げている。著書に『本気の転職 パーフェクトガイド』(新星出版社)や『35歳からの「人生を変える」転職』(秀和システム )などがある
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