ビジネスパーソンインタビュー

「“好きを仕事に”は、マーケットを無視してる」moto×安達裕哉が語る「いい転職」の本質

転職のタイミングを教えて!

「“好きを仕事に”は、マーケットを無視してる」moto×安達裕哉が語る「いい転職」の本質

新R25編集部

2020/03/03

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R25世代の仕事における関心事のひとつが「転職」。

しかし、安易に転職すると後悔しそう…なので、「自分は今転職すべきなのかどうか!?」を見極めたいものです。

そこで、転職と副業の経験を本にも著しているmotoさんと、ビジネスパーソン向けのメディア「Books&Apps」の管理人の安達裕哉さんに「転職タイミングの見極めどき」について対談していただくことに…!

これまで6社を経験し“ジョブホッパー”と公言するmotoさんに対し、過去に新R25の取材で「どちらかといえば“転職しないほうがいい派”」と話していた安達さん。

2人の主張は真逆のように見えますが…?

〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)/執筆=川崎龍也〉

2人が「こういう場合は転職しないほうがいい」と指摘する人の特徴とは?

天野

motoさんは、「6社渡り歩いて年収1500万円を実現した」と豪語してますよね。一方で安達さんは「成果を出すには、職場を変えないほうがいい」とおっしゃっています。

これって、どっちが正しいんでしょうか…?

「わかってねえなあ」という顔をしていますね

motoさん

僕は別に逆じゃないと思ってて…

転職したほうがいいかは、当然ですけど人によるんですよね。ただ、転職したあとでパフォーマンス出せる人と出せない人がいるのは事実です。「あなたは転職しないほうがいいのでは…!?」って人に限って転職したがるんですよね(笑)。

安達さん

たしかに、今いる会社で自分がやれることはまだまだあるのに、どうしようもないって思ってしまう人が結構いるんですよね。

たとえば、自分が会社で活躍できないことを上司のせいにする人がめちゃくちゃ多い。

そういう人は、転職しても新しい場所で活躍することは絶対にできないですよ。

「自分が“そういう人”に当てはまってると思ったら、転職はおすすめしませんね」

安達さん

基本的には、すでに人間関係ができていたり、仕事に慣れていたりする今の環境のほうが成果を出すことは簡単なんです。

僕が安易な転職をそこまでおすすめしていないのは、そういう意図です。

天野

なるほど…

motoさん

あとは「転職すること」が目的になっているケースもありますね。

なんとなく有名な会社に行きたいとか、大手に行きたいっていうのを目的に転職しちゃうと、ミスマッチが起こりやすくて、これまでの経験を活かせない可能性があります。

天野

安達さんは「日本は転職回数が多い人に厳しい。安易に転職するほど、受け入れ先はどんどん減っていく」とおっしゃっています。逆にmotoさんは転職してキャリアアップすべきだと言ってますよね?

転職の回数はどれぐらい気にしたほうがいいんでしょうか…?

安達さん

「転職回数が増えると受け入れ先が減る」のは事実としてありますよ

転職回数が2回の人と15回の人を比べたときに、どっちが受け入れ先多いですかって言えば、客観的には見て2回のほうに決まってるじゃないですか。

これに対してmotoさんは…?

motoさん

たしかにそうですね。ただ、どういう意図を持って転職してきたかということが説明できれば、転職回数の多さはネガティブにはならないと思います。大事なのは経験の“中身”なので。

そういう意味で、少なくとも僕は「転職回数が多い」というだけで足切りするような会社には行きたくない(笑)

安達さん

それはそうでしょうね。結局、多少受け入れ先が減っても、それを上回るスキルアップができていればいいわけですから。

motoさん

転職というのは、今の会社で成果を出して、経験値を積んでいることが前提になってくるので、まずは自分の今いる会社で成果を出すことに注力するのが大事ですよね。

Embedly

「好きなこと」を本業にするのは、いい転職ではない?

天野

逆に、「こういう場合は転職すべき」という場合はあるんでしょうか?

安達さん

会社内での自分の評価が、悪い状態ですでに確定してしまっている場合は、転職してリセットしたほうがいいかもしれません。この状態は会社にとっても自分にとってもマイナスでしかないので。

天野

「自分の評価が確定している」っていうのはどういうことでしょうか?

安達さん

上司から信頼されているかどうかですね。

『7つの習慣』にも書いてあるんですけど、悪い状態で評価が確定するというのは「信頼残高」が尽きてるという状態です。

「信頼残高」が尽きてしまったら、その会社では何をやっても認められない。

(※信頼残高…スティーブン.R.コヴィー博士によるベストセラー書籍『7つの習慣』に登場する、他者との信頼関係を銀行口座に例えた用語。信頼残高が多いほど相手からの信頼感や安心感が高まり、信用が得られる)

恐ろしい状態

安達さん

もちろん、今いる場所で信頼残高を積み上げられるよう頑張ってもいいですよ。ただ、ゼロになっていたら転職先でゼロからのスタートをしても、結局同じことじゃないですか。

天野

たしかに。そういうときは、“逃げ”のように見えてしまうけど、転職したほうがいいのか…

安達さん

まあ…今いる会社で信頼残高の積み上げをちゃんとやってこれなかった人は、どこに行っても積み上げられない可能性が高いとは思いますけどね。

安達さんのちょっと厳しい正論…

天野

信頼残高はどうやったら高められるんでしょうか?

motoさん

仕事のどんなシーンにおいても「相手の期待を上回ること」を意識するといいと思います。

「motoさん、こんなことまでしてくれてたのか…!」という、相手の期待値を超えたときに信頼残高が積み上がっていくんです。

安達さん

結局は信頼って人がやってほしいことをやったときにしか積み上がらないんですよね。

motoさん

そう。なので、会社員は「自分が期待以上の成果を出しやすい場所」を見つけられるかどうかも大事。

そのためにも自分がストレスなく仕事をできて、人から感謝される領域で仕事をしたほうがいいんですよ。転職するにしても「自分はこれができる」という能力ベースで考えたほうがいい。

天野

「好きなことややりたいことを仕事にするべき」という最近の風潮とは逆ですね。

motoさん

その風潮には、僕は違和感がありますね。

「好きなことを仕事にする」って、市場環境を無視してるんですよ。マーケットに求められていないことをしてもお金にならないんです。

天野

マーケット意識がないと!

motoさん

そうです。少なくとも本業では、「自分が得意なこと」をやったほうがいい。期待以上の成果を出しやすく、信頼残高を積み上げやすいからです。

「好きなこと」を仕事にしている人は、そう見えるけど、実際には求められている「得意なこと」でお金を稼いでいるんだと思います。この状態を実現できるのが一番いいですよね。

motoさん

なので僕は、本業では「得意なこと」をやって、副業としてその延長で「好きなこと」をやる…っていうのをおすすめしてます。

安達さん

「今の会社が嫌だったらすぐ転職したほうがいい」みたいなメッセージが横行していますが、それだけを鵜呑みにしてしまうと自分が行くべきじゃない職種に行ってしまう可能性がある。自分の信頼残高を今より高められる場所に行くのが、いい転職だと思います。

2人の発言の納得感が半端じゃない状態まで高まっています

メンターを持て。ただし、SNSでもブログでもいい!?

天野

motoさんは以前の取材で「転職やお金について参考にできる“メンター”を社外に持つべき」 と言ってましたよね。

それって難しい気がするんですが、どうやって見つけたらいいんでしょうか…?

motoさん

なんで難しいと思うんですか?

なんでって…

天野

わざわざ「僕のメンターになってくれませんか」ってお願いするのは恥ずかしいじゃないですか…

安達さん

メンターを持てないって言っている人は、そもそもマインドを変えたほうがいいですね。

メンターって、ベンチマークする人に自分から何かを取りに行く行為なので、相手から与えてくれるものじゃないんですよ。

「この人をメンターにしよう」と勝手に決めてチェックする、というスタンスが大事ですね。

motoさん

SNSで、自分の悩みに対する答えが“取れそう”な発信をしている人をフォローして、その人を追うのもいいと思います。

たとえば僕はけんすうさんとか参考にしてます。仕事に対するスタンスを発信してくれているじゃないですか。

天野

SNSでもいいのか…!

安達さん

もっといえば、本でもいいと思います。

僕は、迷うといつもドラッカーを読んで原点に帰ってます

天野

ドラッカー、恥ずかしながらちゃんと読んだことないんですよね…

安達さん

ドラッカーはねえ、いいですよ(笑)

僕も、最初読んだときは意味わからなかったんですよ。でも、あるとき急にハマるときがあったんです。「ここに書かれてること、今の自分のシチュエーションにそっくりだ!」って(笑)。

“自分のメンターを得た瞬間”って感じなんですよね。「これ、俺のために書いてくれたんだ!」ってなります。

安達さん

あと精神科医のシロクマ(熊代亨)さんのブログは完全にメンターにしてます。

よくブログの検索ワードに困ったことを打ち込んだり…(笑)。検索して出てくる記事を読んで、「あーなるほど」って納得することがすごいあるんですよ。

天野

ブログをメンターにしてもいいんですね。

motoさんはメンターとして見ている方っていますか?

motoさん

僕も本が多くて、南場智子さんの『不格好経営』(日本経済新聞出版社)とか。起業家が書いた本のなかでも、苦労が明確に書かれている本は面白いですね。苦労とか失敗談のほうが圧倒的に学びが多いです。

一見異なる主張のお2人の対談でしたが、ほぼ食い違う点はなく、なごやかに終了しました。

転職を視野に入れているビジネスパーソンの方は、「好きなことより得意なこと」「メンターを決めて、学びを“取りに行く”」など、お二人の意見をぜひ参考にしてみてください。

自分もさっそく、気になる人のツイッターやブログを「メンター」に認定させていただきました…!

〈取材・編集=天野俊吉(@amanop)/文=川崎龍也/撮影=森カズシゲ〉

motoさんの発信はこちらでチェック!

安達さん運営のメディア『Books&Apps』はこちら!

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