ビジネスパーソンインタビュー
文具メディア編集部が熱弁する万年筆の“沼”
専門家2人がおすすめする“コスパのいい万年筆”9選。初心者向けの選び方も伝授
新R25編集部
目次
- カジュアル化が進み“沼”にハマる人が続出中
- 万年筆を普段使いするメリット
- 万年筆は耐久性が高く、一生ものの相棒になる
- 初心者向けの万年筆の選び方
- 万年筆の選び方①:初心者は扱いやすい「カートリッジ式」を選ぼう
- 万年筆の選び方②:インクは黒以外でもOK
- ポイント③:ペン先の太さは好みで選ぼう
- 新R25世代向け人気ブランドのオススメ万年筆
- キャップレス(PILOT):珍しい“ノック式”だからボールペン感覚で使える
- カクノ(PILOT):1000円以下で高品質! 初心者に優しい工夫も
- センチュリー3776(プラチナ万年筆):インクの乾きを防ぐ特許技術を搭載
- マイスターシュテュック149(モンブラン):高級万年筆の代名詞
- スーベレーンM400(ペリカン):日本人の手に馴染む、老舗ブランドの看板商品
- プロフィットスタンダード 21(セーラー万年筆): 21金のペン先でワンランク上の高級感と書き味を実現
- ジョッター万年筆(パーカー):トレードマークの「矢羽クリップ」がアクセントの一品
- サファリ(ラミー):ペン先が硬いのでボールペン感覚で使える
- エコ(ツイスビー):吸入式ながら安く手に入る初心者向けモデル
- 万年筆のメンテナンス方法は、毎日使うこと
消せるボールペンや電子ペンといった新参者が台頭しても、筆記具の王様的ポジションに君臨するのが万年筆!
しかし「無駄に高そうだし、なんだか手入れが難しそう」とハードルを感じてる人は多いよう。
そんな初心者のために、今回は万年筆を溺愛するスペシャルゲストを招待しました。
文房具専門メディア「毎日、文房具。」の編集長である髙橋拓也さんと副編集長の福島槙子さんです!
【髙橋拓也(たかはし・たくや)】/右:日本の文房具の素晴らしさを伝えるウェブメディア「毎日、文房具。」の編集長。新聞・ラジオ・雑誌などにオススメの文房具や文房具を用いた仕事術などを多数掲載。【福島槙子(ふくしま・まきこ)】/左:「毎日、文房具。」の副編集長・文具プランナー。相手のライフスタイルにぴったりの文房具を見つけるスペシャリストで、女性目線でのアドバイスにも定評あり。
日頃から万年筆をヘビロテしているおふたりに、筆記具としての長所や選び方のコツを教えてもらいました。
そして豊富な品ぞろえが魅力の「楽天市場」からオススメも厳選してご紹介します!
〈聞き手=篠原泰之〉
カジュアル化が進み“沼”にハマる人が続出中
篠原
万年筆って古いイメージがあるんですけど…今も売れてるんですか?
高橋さん
はっきり言って、流行ってます! なにしろ近年はワンコインで買える万年筆も出てますからね。
重厚感たっぷりの本格派も健在で、それぞれの趣向に合わせて個性を演出できるアイテムとして人気です。
福島さん
また、多種多様なインクを展開していることも、ブームに拍車をかけています。
たとえばセーラーの「インク工房」は100色も揃ってます。著名なクリエイターがプロデュースしたインクも多く、自分だけの色を探し求めて“沼”にハマっていくユーザーが続出しているんです。
篠原
コレクションしやすくて、カスタマイズできる環境も整っていると…。確かに、オトコ心をくすぐられますね。
万年筆を普段使いするメリット
篠原
嗜好品としては魅力的だと思いますが、ぶっちゃけ万年筆って使い勝手が悪くないですか? インク、消えませんし。
高橋さん
何事も適材適所ですよ。僕にとって万年筆は筆とボールペンの中間にある存在。
筆ほどカッチリ感はないけれど、ボールペンほどカジュアルでもない。だから毎朝のタスクの書き出しに愛用の万年筆を使うと決めています。
やっぱり万年筆だと、自然と少し背筋を正して文字を書くことになります。おかげで才能を引き出してくれる…とまでは言いませんが、気分をアゲてくれる道具であることは間違いないかと。
福島さん
文字がキレイに見えるところも万年筆の魅力かもしれません。
私も普段から万年筆を持ち歩いていますが、人に手渡すちょっとしたメモや付箋も独特のかすれや滲みのおかげで味わい深いものになると思っています。
篠原
“なんちゃって美文字”を体現できるわけですね!
福島さん
女性目線でも、よく見かけるボールペンを使っているよりは、こだわりの一本を愛用してるビジネスパーソンのほうがかっこいいと思います(笑)。
万年筆は耐久性が高く、一生ものの相棒になる
中央が高橋さんのおじいさんから引き継いだという万年筆。よく見ると名前のラベルが。
篠原
万年筆という名前の通り、やっぱり耐久性は高いんですか?
高橋さん
もちろんです。僕は祖父から受け継いだ万年筆を使っていますから。
篠原
それはすごい!
高橋さん
ペン先が金属で壊れにくいだけではなく、使っているうちに金属が少しずつ削れて、持ち主の書き癖に馴染んでいきます。
おかげでどんどん愛着が湧いて、一生モノの相棒になってくれるはずです。
福島さん
万年筆は書き手とともに成長していく文房具と言われています。社会人として伸び盛りのR25世代にはピッタリではないでしょうか。
高橋さん
ボディが木製の万年筆を選べば、なおさら「エイジング」を楽しめますよ。
初心者向けの万年筆の選び方
値段がピンキリで、インクの交換方式やペン先の素材もバラバラ。初心者はどれを買うべきなのかわかりにくいのが悩みどころ。そこで選定のポイントをおふたりに教えてもらいます。
万年筆の選び方①:初心者は扱いやすい「カートリッジ式」を選ぼう
高橋さん
万年筆にはインクの補充方法が3種類あり、それぞれ使い勝手やインクの選択肢が大きく異なります。初心者でも扱いやすいのは「カートリッジ式」ですね。
福島さん
小型のカートリッジを交換するだけなので、簡単かつ手が汚れにくいことがメリットです。
ただ、インクの選択肢が少ないので、色や書き味にオリジナリティを求めたい人には「吸入式」がオススメ。インク瓶から万年筆の内部にインクを吸入するタイプですね。
高橋さん
「カートリッジ・コンバーター両用式」は双方のメリットを兼ね備えているのが特長です。吸入式に比べるとコンバーターはインク容量が少なめですが。
少し手間がかかるタイプは敬遠されがちですが、じっくりと万年筆と向き合う時間も一興ですよ。
万年筆の選び方②:インクは黒以外でもOK
篠原
普段使いが目的なら、やっぱりインクは“黒”一択ですか?
高橋さん
ビジネスマンにはブルーブラックも人気です。大手メーカーには必ずありますし、気品を感じる色味が癖になりますよ。
福島さん
オレンジのような鮮やかな味も素敵です。マニュキュアのボトルのようにも見えて、デスクに置いておくだけで注目を集めると思います。
ポイント③:ペン先の太さは好みで選ぼう
高橋さん
万年筆はペン先の太さを選べるのでオススメを聞かれることが多いんですが、書き心地は個人差が大きいので「好きなものを選ぼう」というのが正直な答えです(笑)。
一般的にはノートや手紙には細字の「F」がいいとされています。逆にアイディア出しのメモなどは気分よく筆が進む太字の「B」、といった感じで用途に合わせて選ぶのもアリです。
福島さん
ペン先の太さは多いと数十種類にも及び、多様なニーズに対応しています。
書き心地については紙の影響も大きいです。マットなものか光沢のあるものかで書いた印象は大きく変わります。万年筆専用のメモ用紙まで存在するほどです。
篠原
そこまでいくと、まさに“万年筆沼”ですね…
新R25世代向け人気ブランドのオススメ万年筆
万年筆への愛の深さゆえに、意見が食い違うひと幕も
「沼」と表現するにふさわしい深い万年筆の世界。初心者にオススメの、“コスパのいい万年筆”や定番の逸品も教えてもらいました!
キャップレス(PILOT):珍しい“ノック式”だからボールペン感覚で使える
価格:2万7500円(税込・楽天価格)
全長:140mm/軸径:12.8mm/重量:30g
高橋さん
海外の万年筆はキャップ式が主流ですが、これはノック式。フタを開ける手間が省けるので、普段使いしやすいです。
慣れないうちは、こういったストレスフリーな万年筆を選ぶとよいでしょう。
カクノ(PILOT):1000円以下で高品質! 初心者に優しい工夫も
価格:880円(税込・楽天価格)
全長:131mm/軸径:16mm/重量:11g
福島さん
「万年筆は高い」というイメージを覆し、ブームの火付け役となった商品です。書く方向を示したマークがペン先に記されているなど、子ども向けに開発されているため使いやすさも抜群。
気軽に買い足せるので、複数のインクを使い分けたい人にも向いていると思います。
センチュリー3776(プラチナ万年筆):インクの乾きを防ぐ特許技術を搭載
価格:1万725円(税込・楽天価格)
全長:140mm/軸径:13mm/重量:20g
高橋さん
プラチナ万年筆が特許を取得した「スリップシール機構」という完全機密キャップのおかげで、インクが乾きづらいです。
ペン先が腐食しにくい金で作られており、高級感もたっぷり。このクオリティを1万円代で買えるのは驚きです。
初めての方にも自信を持ってオススメできる1本です。
マイスターシュテュック149(モンブラン):高級万年筆の代名詞
価格:10万2360円(税込・楽天価格)
全長:148mm/軸径:15.2mm/重量:32g
高橋さん
モンブランは100年以上の歴史を持つ、高級万年筆の代名詞的なブランド。キャップのロゴに見覚えある人も多いはず。
なかでも最高傑作と称される「マイスターシュテュック149」は、セレブや文化人に愛されている銘品です。
値段は張りますし、見掛け倒しにならないためにビジネスパーソンとしての実力を磨く覚悟も必要かもしれません。
スーベレーンM400(ペリカン):日本人の手に馴染む、老舗ブランドの看板商品
価格:3万799円(税込・楽天価格)
全長:125mm/軸径:12mm/重量:15.3g
福島さん
高級感あふれる縞模様がペリカンのシンボル。多数のサイズが展開されているなかで、老若男女問わず人気なのは「M400」。やや小振りなので、日本人の手に馴染んで使いやすいはず。
伝統的な吸入式なので、好きなインクを入れて自分だけの1本に仕上げるワクワク感を味わってください。
プロフィットスタンダード 21(セーラー万年筆): 21金のペン先でワンランク上の高級感と書き味を実現
価格: 1万1000円(税込・楽天価格)
全長:135mm/軸径:17.5mm/重量:17.2g
高橋さん
セーラーを代表するプロフィットスタンダードのボディに21金(金の純度を示す単位。数字が大きいほうが純度が高い)のペン先を採用したモデルです。
主流は14金ですが、21金はしなやかで柔らかいと言われており、より滑らかな書き味を堪能できます。
ジョッター万年筆(パーカー):トレードマークの「矢羽クリップ」がアクセントの一品
価格: 3080円(税込・楽天価格)
全長:136.5mm/軸径:10mm/重量:15g
高橋さん
パーカー定番のボールペンシリーズの、万年筆バージョンです。
同ブランドのアイコンである矢羽モチーフのクリップが採用されているので、手帳やシャツの胸元に刺すと目を引きます。細身のフォルムもスタイリッシュですよね。
サファリ(ラミー):ペン先が硬いのでボールペン感覚で使える
価格: 3520円(税込・楽天価格)
全長:139mm/軸径:10mm/重量:18g
福島さん
ビビッドなカラーリングと大きなクリップが特徴。LAMYのペン先はスチールで、金のペン先より硬くできているので、ボールペンに近い感覚でガンガン使えます。
毎年のように限定色が出ているので、コレクション欲が刺激されます。
エコ(ツイスビー):吸入式ながら安く手に入る初心者向けモデル
価格: 5500円(税込・楽天価格)
全長:138mm/軸径:12.8mm/重量:20g
高橋さん
ツイスビーという台湾メーカーの初心者向けモデルです。インクがたっぷり入る吸入式ながら、値段は約5000円から。驚愕のコストパフォーマンスを誇ります。
スケルトンボディが特徴で、インクの色によってイメージを変えられるので個性が出しやすいですね。
万年筆のメンテナンス方法は、毎日使うこと
篠原
最近は使い勝手の良さそうな万年筆がたくさんあるんですね。もし買ったとして、メンテナンスは必要なんでしょうか?
高橋さん
ペン先のインクが乾いてしまうことは防ぎたいですが、毎日使ってあげればさほど気にする必要はありません。
人によってはペン先の形が変わらないように、「他人に使わせない」というルールを守っている人もいます(笑)。
篠原
それだけ大事ってことですね!
福島さん
やはり、ほかのモノには変えられない道具として愛着を持っている人が多いですね。
私も万年筆を持って手帳に向き合うと、自分の気持ちがスムーズにアウトプットできる気がします。
高橋さん
万年筆を持つと集中力が増すし、仕事のモチベーションも上がります。月並みな表現ですが、万年筆を一言で表すならば“相棒”という言葉に尽きますね。
ビジネスパーソンにとって、単なる筆記具を超えた存在になる可能性を秘めた万年筆。
ここで紹介した商品以外にも、楽天市場にはたくさんの万年筆がそろっています。
あなたのライフスタイルに合った、一生モノのパートナーとの出会いを探してみてください。
〈文=浅原聡/取材・編集=篠原泰之(@4no_y)/撮影=篠田工(go relax E more・@Takumi_Shinoda)
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