ドーパミンで脳をダマせば続けられる。医師に聞く「三日坊主の解消法」

それは性格ではなくて、脳が原因。人間の脳は、もともとサボリ魔なんです。

人間は本能として、生きるために省エネでいようとするんですよ。

脳という臓器は、摂取カロリーの約20％も消費してしまうので、新しく何かを始めようと脳を働かせるのは生物的には“コスパ”が悪い。何も考えず、いつも通りの行動をするのが普通なんです。

しかもダイエットに関しては、食欲という本能に抗わないといけないので、よりハードルが高いですよね。

いや、そんなことはありません。本能に抗うためには「絶対に継続してやるぞ！」くらいの強い気持ちがあれば大丈夫です。

痛い目に遭うのはひとつの手段ですね。たとえば、プレゼンの準備が不充分で大勢の前で恥をかくとか。やはりそうやって、心底必要だと思えないと続きません。

ありますよ。それでは継続の秘訣をお教えしますね！

森さんはすでに習慣になっていることはありますか？

なぜそれは続けられていると思いますか？

そう、その感覚が大事なんですよ！

実はそうやって「楽しい」と感じているとき、人間の脳の中では、快楽物質である「ドーパミン」が出ています。これが継続するための“エサ”です。

省エネ志向の本能に抗うために、ドーパミンが活躍するんですよ。

たとえば読書でドーパミンの放出を経験した人は、その快楽をもう一度味わおうと、また読書をします。成功体験にもとづいて行動する傾向を、心理学用語で「強化」といいます。

いい刺激を得られた行動は、たとえエネルギーを消費するとしても自然と繰り返し、習慣になっていくんです。

そういうときは、まず口角を上げてみましょう。

人間は、楽しいから笑うだけじゃなくて、笑う表情をするだけでも楽しくなっちゃうんです。

ペンを横に噛み、口角を上があった状態でマンガを読んだ人のほうが、口をとんがらせてマンガを読んだ人より「おもしろかった」と答えたという、有名な実験結果もあります。

批判されがちな“つくり笑い”も、習慣化には効果があるんですよ。

そのほかに、想像力を働かせるだけでも効果あります。

みんな「続けなきゃ」と思っていることを修行のように捉えがちなんです。でもその先にはきっと、ワクワクすることが待っているはずですよね。それをイメージするだけでもドーパミンの放出につながります。

そうです。自分にとって必要なものなんだったら、脳をダマして「楽しい」と思ってしまうことが大事。ダマせばダマすだけ、脳は働いてくれますからね。

ドーパミンは目標を達成したときにも出ます。継続したいことがあるなら、目標設定を正しくするのもポイント。

目標設定で大事なのは「主体性」と「具体性」。自分がなぜその目標を達成したくて、具体的にどこを目指すのか、を明確にしましょう。

たとえばダイエットなら「モテたい」「着たい服がある」など、なんでもいいので自分がなぜやせたいのかを追求しましょう。

加えて、ただ「やせる」という目標ではなく「5kg体重を落とす」とか「このズボンが入るようにウエストを絞る」といった具体性があるといいですね。

そういった場合は小さな目標をたくさん設け、少しずつ達成していくようにしましょう。この方法を「スモールステップ」といいます。

定期的にドーパミンが放出されるので、くじけずに継続できるはずです。

ふたつあります。まず、否定形の目標はやめましょう。

ダイエットでいうと「食べない」という目標。この言葉を人間が理解するときには「食べる」「ない」の2語を頭に入れてしまうので、「食べる」という言葉が無意識に脳に入り込んで、食べたくなっちゃうんですよ。

あとは、お金なんかを目標にしてはいけない。

最初のうちはいいんですが、だんだん効かなくなってしまうんですよ。

外から与えられるものを目的とすることを「外発的動機付け」と言いますが、それよりも自分の心の底から湧き出る「内発的動機付け」のほうが長く続きやすいです。

誰かから認められることや、なにかをもらえることを目指さず「みんなの役に立ちたい」といったように、内から湧き出る動機を大切にしましょう。

まずは外発的動機でもいいので動き始め、その過程で内発的動機を探ってみてください。

はい、なんでも聞いてください。

森さんは、ふと掃除を始めたら、止まらなくなった経験ありませんか？

それは心理学用語で「作業興奮」といって、とりあえず始めてしまえば、勝手にだんだん楽しくなってくるというメカニズムです。

なのでとにかく始めてしまいましょう。

それはよかったです。最近ちょっと心配してることがあって、本人に継続する意志があっても、ひとつの失敗を責められすぎて再起のチャンスを摘まれてしまうケースが多くなってきてますよね。ネットの炎上とか。

そういうものに巻き込まれないためにも、余計な情報はシャットアウトしましょう。「不安要素」などが頭に入ってくると、継続しづらくなってしまいますからね。こういうWebメディアの記事も読まない！