「デートに誘うのは感傷的になる時間を狙う」
「二兎を追うと、三兎めが出てくる」ことわざも覆す最強のモテ男・石田純一の恋愛観
新R25編集部
トレンディ。
80年代の流行語で、流行の最先端、オシャレでカッコいいという意味の言葉です。
そして「トレンディ俳優」の代表格といえばこの人、石田純一さん。
数々のバブリーな恋愛伝説にくわえ、「不倫は文化」という発言でも有名です。
今回は、そんな石田さんに、“時代を超えるモテの哲学”をうかがおうとインタビューを打診!期待通り素足に革靴で、さらに「大人の恋愛の取材と聞いたから」と、タキシードまで着用して取材に臨んでくれました(スゴすぎる)。
〈聞き手:天野俊吉(新R25編集部)〉
【石田純一(いしだ・じゅんいち)】1954年、東京都目黒区生まれ。1978年に早稲田大学を中退し、「演劇集団 円」の研究生となる。1988年にドラマ『抱きしめたい!』(フジテレビ系列)に出演し、“トレンディ俳優”として人気を博す。その後、多数の映画、ドラマに出演
天野
石田さんといえば、やはりバブル期に女性から大人気だったというイメージがあるのですが…当時の“バブリーな口説き方”みたいなのがあったんでしょうか?
石田さん
ないですね。だって当時僕は、女の子に「おいでよ」って言って手引っ張ったらそれでOKだったから(笑)。
マジかよ
石田さん
「口説き方」ってわけじゃないけど、僕はよくこう言うんです。恋愛において、二兎を追う者は…
天野
一兎をも得ず?
石田さん
ちがうんですよ。恋愛では、「二兎を追う者には三兎めが出てくる」。
マジかよ
天野
三兎めが。
石田さん
加減がちょうどよくなるんですよ。
たとえばA子ちゃんのことだけガーッと追いかけてると、どうしても不安になって「なんで電話出ないんだよ」とか、コミュニケーションや関わり方がトゥーマッチになっちゃう。
だから、A子ちゃんもB子ちゃんもどっちも追ってみる。すると、つかず離れずのいい感じになって…この余裕がC子ちゃんを呼び寄せるんだよねえ。
UFOか何かのように…!
20代のころは、貧乏でモテなかった。34歳でようやく「ヒット作」にめぐまれ…
天野
石田さんはやっぱり、物心ついたころからずっとモテてきたんでしょうか?
石田さん
いや、全然そんなことはないんだよね。
僕は中高生のころは、当時で言う「硬派」でしたから。ケンカばっかりしてたね。
その後も、とくにモテてはいなかった。大学を中退して芝居をやってたんだけど、そのころはお金がなくてね…
※石田さんは大学生のころに結婚、一児をもうけるも離婚されています
石田さん
20代のころはデートする金がなくて、「いっそ徹底的に芝居をやろう」と決めて、稽古場に寝泊まりしてたような状況だったな。
天野
知りませんでした。
石田さん
でも、それによって“将来を買った”というか、その後につながる「基礎」ができてよかったと思ってる。
生活のために夜の世界でバイトをしながら役者をやる人もまわりにいっぱいいたんだけど、どうも芝居が“水っぽく”なっちゃうんだよね。
天野
今のところ、「モテ男」的なエピソードがまったく出てきてないですね。
石田さん
ハハハ、それがねえ、今でも覚えてますけど、30歳すぎたころかな。急にモテはじめたんですよ。
天野
何かきっかけがあったんですか?
石田さん
ようやく、ちょっとだけテレビドラマなんかに出られるようになってきましてね。
まだ自分の仕事に自信なんてないんだけど、少しだけ希望の光が見えてきた…という状況だったんです。
天野
「役者で食えそうだ」という希望ですか?
石田さん
「人生全般への希望」かな…。20代、貧乏で食えてなくて父親にも迷惑をかけたし…
「ほんのちょっとの自信と、大いなる希望」。幻想かもしれないんだけど、きっとそういう雰囲気、オーラが自分から出はじめてたと思う。
それで、まわりの女の子たちの自分を見る目が変わってきたの。
石田さん
これ、その当時の写真。
カッケ~~~!!!
石田さん
僕が34歳の1988年に『抱きしめたい!』というドラマが始まるんだよね。これが、「自分にはもう縁がないかもしれない」と思ってたヒット作になる。
天野
「W浅野(女優・浅野温子と浅野ゆう子)」と共演した伝説のトレンディドラマ!
石田さん
そう。これも数奇な運命で出られたというか、「代役の代役」でオファーが来たんだよ。
しかも本当は途中で出なくなるストーリーだったんだけど、オンエアが始まって評判になってね。
当時テレビ局では「番組への感想のハガキ」で人気をチェックしててね。「石田純一」とか役名の「二宮修治」って書いてある数をカウントするんだよね。そうすると、そうそうたる出演者のなかで2番目に名前が多かった。
フジテレビ側も「ならもうちょっと出そうか」ということで(笑)、出番がどんどん増えて、最後まで出られるようになった。
天野
34歳でめぐってきた大チャンスだったんですね。
石田さん
大げさに言えば、僕の運命を変えた成功体験。
自分の周辺で女の子にモテはじめた現象が、まるで「最小公倍数」的に、世間という大きな枠組みに拡がっていったわけ。
会社の昼休みにデートに誘っちゃダメ。
天野
そこで得た“モテの秘訣”とは…?
石田さん
カンタンにいえば「明るくさわやかでリラックス」。ちょっと難しくいうと「副交感神経優位にさせる」。
つまり、笑顔で相手をリラックスさせたり、心を開かせたりすること。自分といるときは、仕事のストレスなんか忘れてもらう。
たとえば女の子をデートに誘うにしても、会社の休み時間、12時とか13時に連絡しちゃダメだよ。夕方16時すぎの少し感傷的になる時間を狙うわけ。
天野
仕事モードのときに連絡しても、リラックスしてないから心が開いてないってことか。
石田さん
リラックスさせるためには、笑いとかもほぼ必須項目だよね。
島田紳助さんとよく「おれたちちょっと女性脳だよな」「だからモテるんや」って話してたんだけど、お喋り上手というか、“中性的”なコミュニケーションができるとすごくいいね。
「笑わせたぶんだけベッドに近づく」と言ってもいい。
一般的な65歳男性が言ったらかなりヘビーそうな発言をしても、このさわやかさ
報道が過熱した不倫バッシング。女性たちには「怒る権利」があるが…
天野
石田さんといえば、「不倫は文化」という発言で世間から批判されたこともありますよね?
※1996年、週刊誌に不倫交際がスクープされ、追及に対し「文化や芸術といったものが不倫という恋愛から生まれることもある」と発言。多くのバッシングにさらされた
渋い表情にさせてスミマセン…
石田さん
ま、女性たちには頭にくる権利があるよね(笑)。
当時は主婦の方からの視線が厳しかったんですけど、子どもと寝食をともにして頑張っているのに、我々みたいな人間がモデルちゃんとよろしくやってたら、そりゃ誰もがいい顔しないですよね。
それはそれは…当時は指摘の声が厳しかったですよ。
天野
そこまで批判されて、どんな心境だったんでしょうか?
石田さん
う~ん、僕は「常識がない」って言われるし、それは自分でわかってますけど…でも、モテるって「人とは違う」っていうことですからね。
“仕事で成功する”ことと近い部分もあると思うけど、人生で「何が武器になるのか」といえば、「人と違うところ」。
そこを磨いていたら、ある程度世間様の常識とはズレるところは出てくると思う。
石田さん
たとえば企業の経営者が、自社のリソース(資源)から戦略を考えるでしょう。恋愛も同じで、自分にあるリソースはなにか? それでまわりとどう差別化するか?を考えるわけ。
天野
リソース…顔とか年収とかですかね。それだと差別化できない人はどうすれば…
石田さん
お金がなくたっていい。たとえば知性や教養もリソースですよ。あとは人脈とかも。
知性って何のためにあるかといえば、面白い話をして「人を和ませるため」にあるんです。
ビートたけしさんを見てるとわかるでしょ。知性をひけらかすわけじゃなく、要所要所にきかせて人を笑わせている。
教養はひけらかさない。「100知って3語るぐらいがちょうどいい」とのこと
天野
笑わせて、相手の心を開かせる…! さっき言ってた「秘訣」につながりますね。
石田さん
逆に教養がないと、人はどうなるか?怒るんですよ。
たとえば宗教に関してもそうでしょう。違いを知っていれば、相手を理解してリスペクトすることができるんです。
真の教養とは、人を許すこと。許せないからムキになる。それはカッコわるいですよね。
天野
なるほど…!
石田さん
ある哲学者がこう言ってるんです。「人を愛するとは、その人の本心や才能を解放することだ」と。
相手が気持ちよく自分を解放できて、「私って、こんな一面があったんだ!」と気付く。
知性を持って、そんなコミュニケーションができることが「モテる」ということなんでしょうね。
天野
今回、かなり「モテの真理」に近づいてるかもしれない…!!
そんな石田さんが、「恋愛に悩む」ことはあるの?
天野
石田さんはすごく優しいし、ポジティブですよね。恋愛について悩むようなことはないんですか?
石田さん
さっきも話したように、叩かれて落ち込んだこともあるけどね…でも、悩んだりして、それで物事がよくなりますか?
人生いくつになっても、答えが出ないことってあるんですよ。恋愛に関してのことも、いまだに「あの選択はどっちが正解だったんだろう?」って、わからないことだらけ。
だから、答えが出ないようなことは考えない。
天野
考えない…
石田さん
大きな悩みはね。逆に、改善できるような“小さい悩み”については、ちゃんと考えて反省するところは改める。
それが人生に対する「一番いい態度」だと僕は思うね。
「告白して失敗したら…」R25世代の恋愛をどう思う?
天野
昨今、「男性が草食化して口説かなくなった」と言い尽くされてますが…そんなR25世代をどう見ていますか?
「う~ん…」
石田さん
まあ、昔だって「男は黙って」みたいな時代もあったから、そんなに女の子を口説いてたわけじゃないんですよ。
でもあえて言うなら、今は「みんな軽く病んでいる」って思うよね。
天野
病んでいる…
石田さん
女の子を誘おうというときに「もしダメだったら…」って考えすぎないでいいんですよ。
たとえば、友だちグループのなかで、この女の子をどうしても引っこ抜きたい!彼女にしたい! というとき。気まずくなっちゃうかな…なんて思うでしょう。
天野
ダメだったら人間関係が壊れるとか、考えると思うんですが…
石田さん
あのね、壊れないですよ。あんまり。
石田さん
頑張って「君のこと好きだ」って言ってみたら、「あー、私のこと好きなのね、やっぱし」とか…そんなもんじゃないですか。
それですごく嫌われるって、ないない。
むしろそこから、二人はより面白い立ち位置に行けるんじゃないですか。
僕だって、一度フラれてから5年経ってその人と付き合ったことがあるもん。そういう、二人の関係性の変化を楽しんでいくことですね。
ケンカに明け暮れた10代、お金がなく演劇に打ち込んだ20代。
チャンスをつかみスターとなった30代、バッシング報道で多くのものを失った40代。
そして今、3度目の結婚を果たし、幸せを手にしている石田さん。
“たとえ世間の常識から外れていても、答えの出ない悩みは考えない”というお話からは、幾多の苦労を乗り越えてきたポリシーと、大人の深みを感じました。
「そうでしょう? 経験と教養、成熟と寛容が男を育てる。いいワインを飲ませるからモテるわけじゃないんです」
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=二條七海(@ryuseicamera)〉
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