

“落とし物”に新たな価値を。廃棄コストを削減して収益を生むサービス「findリユース」が登場
鉄道会社・百貨店が続々導入!
新R25編集部
株式会社findから、落とし物をリユースする新サービスが登場。
“目から鱗”なサービスの仕組みを、COO・和田龍さんに教えていただきました。
〈聞き手=山田三奈(新R25編集部)〉
廃棄される「大量の落とし物」がもったいない

和田さん
findは2021年に創業したスタートアップで、落とし物課題について取り組んでいます。
落とし物を簡単に管理できる企業向けのサービス「落とし物クラウドfind」は、鉄道や空港など、約3,000箇所で利用されています。


山田
落とし物を簡単に管理…というと?

和田さん
落とし物を撮影してアプリに登録すると、生成AIが落とし物の特徴を自動で入力。データベースにて一元管理いたします。
落とし主とのやりとりはfindスタッフがすべて代行。現場スタッフの管理業務の手間を削減しつつ、落とし主に返却できる仕組みです。


山田
なるほど。どのくらい返却できるものなんですか?

和田さん
今年6月末時点で落とし物登録数200万件のうち、約65万件の返却を実現しました。

山田
3分の1は返却できているんですね! すごい。

和田さん
ただ…一定期間持ち主が現れなかった落とし物は拾得した施設に所有権が移りますが、その多くが廃棄処分されてしまいます。
大手百貨店では、1店舗あたり毎月約600件の落とし物が破棄されているんです。

山田
そんなに!? もったいないですね…

和田さん
起業して多くの施設の落とし物現場を見て回るなかで、大量の落とし物が捨てられている状況を何度も目にし、「本当にもったいない」と感じました。
実際に廃棄されてしまう落とし物の山

和田さん
それに、廃棄費用やその対応にかかる人件費は、すべて施設の負担となります。

山田
落とし物の量が多い施設ほど負担も大きいと。

和田さん
はい。地道な取り組みと努力によって“日本の質の高いおもてなし”を支える施設の負担をなんとか減らせないものか? と考えていたところ…
法律を遵守したうえで“再販”が可能になれば、日々努力している施設に収益を還元できるのではないかという直感が生まれて。
廃棄される落とし物を再販することで施設側に新たな売上を生む「findリユース」というサービスの立ち上げに至りました。

落とし物→メルカリShopsへ。リユースの仕組みは?

山田
「findリユース」は、どのようなサービスなのでしょうか?

和田さん
メルカリさんと連携して、落とし物を「リユース商品」として販売し、収益の一部を施設側に還元するサービスです。


和田さん
まず鉄道会社や商業施設などの提携先企業で廃棄予定となっている落とし物を、findが無償または有償にて引き取ります。
その後、仕分け・検品作業を実施。「状態が良いもの」や「個人の特定ができないもの」に絞ります。

山田
売る前に検品をするんですね。

和田さん
はい。たとえばブランドものなら、専用の業者を介して品質状態の確認や鑑定をおこなったり。電気機器なら、使用テストを実施したり。
まだ充分に使えるものだけをピックアップして、findの「メルカリShops」アカウントにて販売します。
findさんの落とし物shopのフォロワーはなんと8,000人以上…

和田さん
これまで、スニーカー5,000円、アクセサリー3,000円、充電器2,500円、ショルダーバッグ1,000円など…400点ほど出品してきました。

山田
状態のいい“掘り出しもの”が見つけられそうです。

和田さん
そうですね。メルカリユーザーは手頃な価格で商品を購入できるメリットがあります。
そして何より、施設側に新たな売上が生まれることが最大のメリットです。
販売で得た収益は、「メルカリShops」とfindの手数料を除いて、落とし物を管理している施設へと還元されます。

山田
どのくらい収益が出るものなのでしょうか?

和田さん
たとえば廃棄処理コストに月10万円かかっていた百貨店が、サービス導入後に2万円の利益を出せた場合、+12万円の効果が見込めます。


山田
廃棄コストを削減しつつ、新たな収益を得られるんですね。

和田さん
はい。しかも施設側にやっていただくことは、廃棄予定の落とし物をfindに受け渡す作業だけ。
保管場所や警察署に直接アイテムを回収しに行くところから、「メルカリShops」での販売や利益計算まで、すべてfindが管理・代行します。
この簡単で効率的な仕組みによって、鉄道会社や百貨店など、協力会社が増え続けているところです。
「廃棄物削減にも寄与できれば」

和田さん
findは「落とし物が必ず見つかる世界」を目指して、これまで多くの企業と連携し、落とし物の返却率向上に努めてきました。
3年半前に共同創業した、CEO高島さんとCOO和田さん

和田さん
このたびメルカリさんとのパートナーシップを通じて、持ち主が見つからなかった落とし物にも“新たな価値”を見い出せるようになりました。
落とし物の適切なリユースを推進することで、施設の負担軽減に貢献するとともに、メルカリさんの理念である「捨てるをへらす」で廃棄物削減にも寄与できればと考えています。


山田
環境にもやさしい取り組みですよね。

和田さん
はい。まだ使えるにもかかわらず捨てられている落とし物が再利用されることで、破棄を減らせます。
それだけでなく、落とし物を拾った方の“善意”も無駄にしません。
この取り組みが、落とし物管理に関わる多くの企業・施設のみなさまにとって、よりよい選択肢となるよう尽力してまいります。
急拡大中のfindさん、メンバーを大募集しているそうです!
落とし物の管理コストを減らしながら売上につなげる、環境にもやさしい循環型サービス「findリユース」。
リユースに参画することは“企業PR”にもつながるはず。
落とし物にコストがかかっている企業・施設は、この機会に導入を検討してみては?
〈執筆=吉河未布/編集=山田三奈〉
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