企業インタビュー
日本の人材不足問題を解決するのは、「定着」する外国人労働者。ジンザイベースが目指す未来予想図とは
重視するのは“日本語能力”
新R25編集部
深刻化する日本の人材不足を解消する“担い手”として、期待が高まっている外国人労働者。
株式会社ジンザイベースは、特定技能外国人を企業とつなげるマッチング事業を手がけている人材紹介会社です。
ひと言で“マッチング”といえど、同社がこだわるのは「定着」なのだとか。
独自に築いたルートで、つながっている人材はなんと15万人以上。人材・雇用の課題解決に挑む代表取締役・中村大介さんの胸にある“未来像”とは?
〈聞き手=鳥山可南子(新R25編集部)〉
15万人のデータベースを独自保有
中村さん
株式会社ジンザイベースは、外国人材の紹介事業を通じ、日本の人手不足解消に取り組む会社です。
中村さん
特定技能に特化し、外国人の教育・就労・採用・定着まで、一貫したコンサルティングを実施しながら、人材採用に課題を抱えた企業と高度な能力を保有した人材をマッチングしています。
鳥山
特定技能に特化、なんですね。
中村さん
日本の社会問題にもなっている、労働力不足。
そのうち、特に国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野*において、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れる在留資格(ビザ)が「特定技能」です。
働く人口が減ると国力低下につながり、これまでの生活を維持することが難しくなることが予測されるため、彼らのさらなる活用は不可欠なんです。
*「介護」「ビルクリーニング」「素形材・産業機械・電気・電子情報関連製造業」「建設」「造船・船用工業」「自動車整備」「航空」「宿泊」「農業」「漁業」「飲食料品製造業」「外食業」の全12分野
鳥山
日常生活のなかで海外の方が働いているのは、もう当たり前になっていますよね。
中村さん
はい。今後もどんどん加速するであろう人手不足問題を解決する担い手として期待され、需要の高まりが予想されます。
そうした問題解決の一助として、ジンザイベースでは、15万人以上の求職者が登録する独自のデータベースを構築しているんです。
鳥山
15万人はすごい! 独自とのことですが、どうやってそれだけを集めたのでしょう。
中村さん
自社メディアやSNSを通じて、日本で就労意欲のある国内外の外国人へ直接アプローチしました。
たとえばベトナムだったらこれ、インドネシアだったらこれ…というように、その国の若者がもっともチェックするSNSで、各国の求職者に興味を持ってもらえるようなコンテンツを展開して。
鳥山
それぞれの国ごとに、きめ細やかな発信をし続けたんですね。
中村さん
おかげでベトナム・インドネシア・ミャンマー・ネパール・インド・台湾など、東南アジアはほぼ全域をカバー。今後は、インドのような大国での展開も実施予定です。
日本語能力N2〜N3以上の外国人材限定
鳥山
圧倒的な外国人求職者数のデータ保有というほかに、ジンザイベースの特徴はありますか?
中村さん
人材紹介業をする会社って、ものすごい数があるんですよね。
そのなかで、私たちが唯一無二だと自負している点は、まず外国人の語学教育から入るところです。
具体的には、日本語能力試験でN2~N3*以上と認定された高い日本語力を持った方のみ、企業とマッチングしています。
*公益財団法人日本国際教育支援協会及び国際交流基金が実施する日本語能力試験(JLPT:Japanese-Language Proficiency Test)。最難関のN1から基礎レベルのN5まで5段階のレベルがあり、N3は日常で使われる日本語をある程度理解できるレベル、N2は日常会話は問題なく、それ以外の場面で使われる日本語もある程度理解できるレベル。
鳥山
きちんと日本語でコミュニケーションを取れる人材に限定するんですね。
中村さん
技能実習生や特定技能をはじめとした外国人採用において、「全然言葉が話せない」「コミュニケーションが取れない」、さらにはコミュニケーションが取れないことが原因で「ミスを連発する」などといったことが多発しています。
コミュニケーションが取れないと、企業との関係性もなかなか深まらず、結果として定着もしづらいのが現状です。
鳥山
たしかに…
中村さん
企業にとって、面接の時点で日本語が一定以上話せる人であれば、就労後も意思疎通がある程度できる、即戦力にもなるということがわかりますよね。
そこで私たちは、まず求職者の教育をする。そして教育した人材が採用された後は、そこに長期で定着しうる環境の構築をサポートします。
鳥山
定着させることまで視野にいれて。
中村さん
はい。そこまで一貫してやってるところはまだまだ日本にはないと、自信を持って展開しています。
また、人材を採用した企業にとっても、長期でキャリア形成を考える外国人労働者にとっても、在留期間は長いほうがいいわけですが…
特定技能は、在留期間が5年上限の「1号」と無期限の「2号」に在留資格が分かれていて、「1号」のステップアップとなる「2号」には、熟練した技能が求められます。
鳥山
「2号」のほうが長く日本にいられるんですね。
中村さん
ほかにも「2号」のほうが家族を日本に呼べるなど、大きな”特典“があります。
「特定技能ガイドブック」出入国在留管理庁:法務省
中村さん
ただし「2号」を取得するためには、試験に合格する必要があります。
各就労現場での経験などもありますが、やはり一番は日本語力です。
鳥山
ここでも教育の成果が役立つ、と。
採用する受入企業側にとっても、外国人労働者側にとっても、長く働ける「2号」取得はメリットが大きい、ということですね。
中村さん
そのとおりです。
だからこそ、私たちは「2号」を突破する可能性が少しでも上がるように、人材の要件を明確に区分して、最低N3からN2相当の語学力がある人にしぼ絞って紹介しているのです。
なお、マッチングは日本で既に就労している外国人も対象です。
わざわざ海外から呼ばなくても、日本にいる方の転職支援も可能。特に都心にいる外国人の間では、キャリアアップや即戦力を目指すニーズも増えています。
「ブローカー」を排除し、採用コストをリーズナブルに
中村さん
また、私たちは現地の送り出し機関や海外ブローカー、エージェントなどを経由せず、自社メディアから直接集客をしているため、大幅にコストを抑えたマッチングが可能です。
送り出し機関とは、海外現地で求人を募集し、日本へ送り出す機関のことです。
鳥山
外国人の求人となると、何らかの機関を通すもの、という思い込みがありました…
中村さん
そうですよね。
海外から人材を呼ぶ場合、送り出し機関やブローカーのような海外の事業者に、求職者も日本側の企業も手数料を支払っているのが一般的です。
よく「その他の方法があることを知らなかった」と言われるのですが…じつはそういう機関や事業者を通す必要はまったくなくて。
中村さん
私たちは独自の人材のデータベースを活用することで、手数料などの中間マージンを極限まで排除しているんです。
求職者も受入企業もムダなコストを払うことなく、募集開始から最短1週間でマッチング、2週間で面談調整というスピード感で進めます。
「社会のDX」で、世界中の若者に新たなキャリア構築を
中村さん
ジンザイベースは、2021年の創業以来、累計1,000名以上のマッチングを実現させてきています。
私たちが掲げているのは、「社会のDX(ダイバーシティトランスフォーメーション)」。異なる文化や背景を持つ人たちが、日本で一緒に働き、新しい価値を生み出すことで、社会全体をアップデートしていこうという考え方です。
中村さん
高度な能力人材と人材採用に課題を抱える企業のマッチングを活発化させることにより、企業のさらなる成長はもちろん、世界中の若者たちに新たなキャリア構築ができる革新的なサービスを創ることを目指しています。
もし、私たちの活動に共感していただけたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
皆さんと一緒に、未来を作り上げるパートナーとして活動できる日を楽しみにしています!
教育から定着まで、その人の日本での人生を俯瞰したうえで企業との架け橋となるジンザイベース。
「情報格差・国籍・性別・年齢で可能性が狭まることのない世界を目指す」という中村さんの目に映るのは、ボーダーレスな未来です。
ジンザイベースの活動に興味がある方は、チェックしてみてくださいね。
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