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「AIを入れても、なぜ現場で動かないのか」──"動くAI"をつくる会社・Kieiの頭の中

「AIを入れても、なぜ現場で動かないのか」──"動くAI"をつくる会社・Kieiの頭の中

"動くAI"をつくる会社・Kieiの頭の中

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製造業のAI実装に特化し、創業5年目で大手企業を中心に100社超を支援するスタートアップ。代表・佐久間耀大が、PoCで止まらない理由を語ります。

生成AIの話題が尽きない一方で、こんな声もよく耳にします。「うちもAIを試したけれど、結局、現場では使われていない」。

華やかなデモやPoC(試験導入)は増えても、実際に課題を解決するAIは、まだそう多くありません。なぜ、現場のAIは止まってしまうのか。

その問いに答えてくれたのが、製造業のAI実装に特化したスタートアップ・株式会社Kiei代表の佐久間耀大さんです。「課題を解いていないAIシステムに、意味はない」と言い切る佐久間さんに、“動くAI”のつくり方と、その先に描く未来を聞きました。

 

──「AIを入れたのに使われない」。なぜ、そんなことが起きるんでしょう?

「ひとことで言うと、『現場を分かっている人』と『AIを分かっている人』が、別々だからです」

そう、佐久間さんは切り出します。

「現場の業務には詳しいけれど、AIには弱い従来型のコンサルティング会社。逆に、AIには強いけれど、現場を知らないAIベンチャー。AI導入のプロジェクトは、たいていこの2つのあいだにある溝に落ちてしまうんです。きれいな資料はできても、現場の実態と噛み合わない。だから、誰も使わない」

──Kieiは、その溝をどう埋めているんですか?

「僕らは、まさにその“すき間“を埋めるために生まれた会社なんです」

Kieiが的を絞るのは、製造業を中心とする基幹産業。ホリゾンタルでなく、バーティカルに特定の産業の課題へ深く入り込むのが特徴だといいます。

「工場や研究所に、自分たちの足で通います。現場の人が何に困っていて、どんな手順で仕事をしているのか。そこを泥臭く理解したうえで、はじめてAIを設計する。この順番が逆になると、絶対にうまくいきません」

 

──“課題を解決するAI”になるまで、どれくらいかかるんですか?

「だいたい2〜3か月です」

業界では、AI導入に半年から1年かかることも珍しくないといわれます。Kieiがそのスピードを実現できるのは、現場理解を最初から設計に組み込んでいるからだと佐久間さんは話します。

「業務を分析して、課題に合わせてAIを設計し、開発して、現場に適用する。この流れを一気通貫でやります。しかも、すべてオーダーメイド。よそで作ったものを当てはめるのではなく、その現場のためだけのAIをつくる。」

 

──たとえば、現場ではどんなふうにAIが“動く“んですか?

「ひとつ、例を挙げますね。製造の現場では、不良品が出たときに『なぜ起きたのか』をたどる作業が欠かせません。これまでは、ベテランが長年の経験を頼りに、原因の見当をつけていました」

その熟練者の頭の中にある“原因をたどる思考“そのものを、AIで再現するのだといいます。

「考えられる原因の仮説をいくつも立てて、ひとつずつ検証していく。その因果のたどり方を、AIに落とし込むんです。しかも、複数のAIが役割を分担して、まるで人間の専門家チームのように原因を探っていく。ここまで来ると、AIはただの便利ツールではなく、現場の判断を支える“戦力“になります」

机上のデモではなく、現場の人が「これは使える」と腹落ちするかどうか。Kieiがこだわるのは、いつもそこだといいます。

 

──なぜ、製造業なんでしょう?

「日本の競争力の源泉だからです」

佐久間さんは、製造業の現場には3種類の大切なデータが眠っているといいます。

「熟練者の頭の中にある『暗黙知』、基幹システムの中に蓄えられたデータ、そして工場の機械やセンサーが生み出すデータ。この3つを結びつけられたとき、AIは本当に強くなる。でも、それができるのは、現場に入り込んだ会社だけなんです」

 

──その先に、どんな未来を描いていますか?

「物理世界のイノベーションを、ソフトウェアの速度で動かす」——これが私たちの目指す世界観です。

この20年、ソフトウェアの世界は劇的に速く回るようになりました。一方で、設計し、試作し、評価し、量産するという物理世界(ものづくり)のサイクルは、それほど変わっていません。その遅さの正体は、設計・評価・技能継承といった「人手のチェーン」にあります。

そしてこれからの時代、逆説的ですが、最大の制約は資本(カネ)ではなく、人になると考えています。人口が減り続ける日本において、ものづくりを担う人材は、もはや増やすことができません。カネで解ける問題と、カネでは解けない問題——ボトルネックは、後者へと移っていきます。

AXは、この人手のチェーンを圧縮します。物理試作に頼ってきた検証をデジタルで先回りすることで、試行と検証の回数は一桁増える。同じ社員数のまま、製品ラインナップは飛躍的に広がり、設計・開発のスピードは10倍速くなる。そしてベテランの暗黙知は、一人の引退とともに失われるのではなく、組織の資産として残り、増殖していく。人が減っても、ものづくりの総量と質はむしろ伸びていく——そういう未来です。

私たちのビジョンは、ものづくりをアナログと暗黙知の制約から解放すること。そしてその先で、日本の一番の基幹産業である製造業の強靭化に、少しでも貢献していくことです。

 

──スタートアップとして、大手も参入するなかで、どう戦うんですか?

「とにかく、速さと実行強度です」

佐久間さんは即答します。

「大組織が1回挑戦するあいだに、僕らは10回挑戦する。失敗は、必要な仮説検証だと捉えています。だから止まらない。自分たちもAIを使い倒して生産性を上げているからこそ、この回転数で動けるんです。スピードと現場理解、その両方を一社で持っている。そこが、僕らがいちばん負けないところだと思っています」

 

──どんな人と一緒に働きたいですか?

「まずは産業に貢献するビジョンに共感していただける方ですね。あと現場主義な方。」

Kieiが求めるのは、「Deployment Strategist(デプロイメント・ストラテジスト)」と呼ぶ人材だといいます。

「人と向き合う力、技術を理解する力、そして物事を構想する力。この3つを併せ持って、現場に飛び込み、AIを“動くもの“に変えていける人。簡単ではありません。でも、そういう人にとっては、これ以上なく面白い仕事だと思います」

 

──最後に。「日本を、気鋭の国に。」に込めた思いを聞かせてください。

「『気鋭』という言葉には、新しくて、勢いがあって、鋭い、という意味があります。かつての日本のものづくりは、まさにそうだったはず。」

佐久間さんは、静かに、しかしはっきりと言い切ります。

「その勢いを、AIの力でもう一度取り戻す。そこに少しでも貢献できればと考えています。」

「日本を、気鋭の国に。」というミッションを掲げるKieiの挑戦は、どこまでも地に足のついたものでした。


株式会社Kieiについて

「日本を、気鋭の国に。」をミッションに、2023年に創業。製造業を中心とする基幹産業に対し、AI変革を戦略から実装まで一気通貫で推進するスタートアップです。これまで100社を超える支援実績を持ち、特に各社の競争優位性に直結するAI変革を主導しています。現場に飛び込み、AIを"ビジネス成果"に変換する「Deployment Strategist」を募集中です。Kieiの取り組みに興味を持った方は、HPから最新情報をご覧ください。

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