企業インタビュー
不動産取引もマッチングアプリで行う時代に…!?「FUFU」が目指す、業界イノベーション

不動産取引もマッチングアプリで行う時代に…!?「FUFU」が目指す、業界イノベーション

10年越しの構想が現実に

新R25編集部

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大分県主催の「Oita GROWTH Ventures」(おおいたグロースベンチャーズ)は、事業成長を志向している起業家・第二創業者の方を対象に、さらなる事業成長を支援するアクセラレーションプログラムです。

「成長」×「豊かさ」を軸に、急成長するスタートアップだけでなく、「3つのGROWTH」に代表される起業家ニーズに合わせた多様な成長を支援してきました。

今回お話をうかがうのは、令和6年度の採択者5名のうちの一人で、ITを駆使して不動産業界の問題解決を図る株式会社FUFUのCEO 奈須敬司さん

奈須さんが開発した、不動産業界の画期的なCtoCアプリとは…?

〈聞き手=古川裕子(新R25編集部)〉

ありそうでなかった、不動産のマッチングアプリ

奈須さん

株式会社FUFUは、ITを活用し、広く不動産業界の問題解決につながる事業を展開しています。

このたび、不動産を売りたい人と買いたい人をマッチングする不動産情報プラットフォーム&アプリ「FUFU」を開発しました。

古川

不動産に特化したマッチングプラットフォームなんですね。今までありそうでなかった気がします。きっかけは何だったんでしょう?

奈須さん

私は25年以上不動産業界にいますが、実は不動産関係の仕事って、さまざまなシーンで“矛盾”に直面することがあるんですよ

古川

と言いますと?

奈須さん

そもそも、不動産業は仲介業です。物件を少しでも高く売りたい売り主と、少しでも安く買いたい買い主の両方から依頼を受けて、その間をつなぐわけですが…

よく考えると利益相反の関係性じゃないですか。

古川

たしかに、どちらの顔も立てなきゃならないですもんね。

奈須さん

そうなんです。

ただ、売り手と買い手の間で情報がうまく伝わらなかったり、それぞれに曲解されたりすることも頻繁に発生し、営業担当者に大きな負担がかかりがちでした。

さらには仲介手数料の金額や、ひとつの不動産会社が情報を握っていることなど…私自身、疑問に思うことが多かったんです

古川

なるほど、業界の構造的な課題が見えてきますね。

奈須さん

いろいろとストレスや不透明さがあり、「どうにかしないといけない」と感じていました。

そこで考えたのが、売る側と買う側が直接情報を交換する方法です。

とくに購入を検討する側にとって、気になる点や不明点を直接売り主に確認できることは大きなメリットになります。

古川

直接というのは、確かに合理的ですね。

奈須さん

実際の住み心地や周辺環境など、住んでいる人にしかわからない情報も数多く存在します。

情報の流れがシンプルでクリアになることで、取引のスピードアップも期待できます。

古川

でも不動産取引って大きなお金が動くので、不安な面もあるのでは?

奈須さん

おっしゃるとおりです。

内見や契約・引き渡しなど、売買に関する具体的な手続きや取引価格については、宅建取引士や宅建業の資格保有者がいる不動産エージェントがサポートを行い、取引の安全性を確保します。

「FUFU」は、業界で働く人々の負担を軽減するとともに、取引の公平性向上と安全性の担保を実現する、一石二鳥どころか一石三鳥のサービスとなっております。

10年越しのアイデア、ついに実現へ

奈須さん

さきほど「ありそうでなかったのでは」と言っていただきましたが、実は「FUFU」の構想自体は約10年前からあり、4年前に一度実現しようとしたことがあります

古川

そうなんですね! なぜこのタイミングで?

奈須さん

4年前は外注で開発を試みましたが、事業化には至らなくて。

ただ、「アイデアはいいはずだ」という思いはずっとありました。

そして、もう一度挑戦しようと思っていたときに、「Oita GROWTH Ventures」(おおいたグロースベンチャーズ)の起業家育成支援プログラムのことを知ったんです

古川

どんな思いで「Oita GROWTH Ventures」に応募したんですか?

奈須さん

とにかく「このアプリを日本全国に広めたい」という思いが大きかったですね。

ネットやスマホが幅広い世代に普及したことで、個人間取引が活発化したという時代背景も、私たちの構想にぴったりでした。

古川

タイミングが合致したと。

奈須さん

まさに「今!」という感じでした

ただ、自分一人で全国展開を実現するには、資金も時間もかかりすぎる。そこでこのプログラムに応募し、幸いにも採択されたという経緯です。

古川

実際にアクセラレーションプログラムに参加してみた感想を教えてください。

奈須さん

半年間、継続してメンタリングを受けてきましたが、私は大人数の前で話すことには慣れていたものの、自分の思いや構想を面と向かって話したことはなかったので、新鮮な体験となりました。

また、メンターの方々は親身になって伴走してくれました。失敗を乗り越えながら試行錯誤を重ねて自身のキャリアを築いてきた方々からのアドバイスは、説得力があり、実現可能性も高く、その価値は計り知れません。心から感謝しています。

古川

メンタリングを通じて、どのような気づきがありましたか?

奈須さん

サービスを開発する際、机上の空論ではない第三者の視点は、非常に貴重でした

もし今回の参加がなければ、自身の経験の範囲内でしか物事を判断できず、サービスの洗練度も不十分なままだったと痛感しています。

古川

起業家育成支援を受けて、ものの見方や仕事への向き合い方など、何か変化はあリましたか?

奈須さん

いきなり大きな変化があったというよりも、「大きく変わらないといけない」ということに気づかせてもらいました

経験を重ねて業界歴が長くなると、自身を過信してしまいがちです。

何十年間も、自分だけを信じて突っ走ってきたおっさんが「変わらないといけない」という気持ちになるなんて、なかなかないと思います。それが一番の収穫ですね。

古川

得たものは大きかったと。

奈須さん

そうですね!

このプログラムに参加していなかったら、出会うことのなかった業界の人たちがたくさんいます。

そうした方々との関わりを通じて多くの刺激をもらいましたし、一つのサービスを開発する際にも、視点や解釈の違いによってさまざまなアプローチがあるということを教えていただきました。

福岡から始まる、新たな挑戦の序章

古川

現在、アプリはどういったフェーズなんでしょう?

奈須さん

2025年に入り、福岡でアプリのテストマーケティングをスタートしています

テストマーケティングでは、想定外の課題もたくさん出てくると思いますが、丁寧に、じっくりと取り組んでいきたいです。

古川

今後の目標は?

奈須さん

10年以内に、このアプリを日本全国に普及させることです。

15年前は、スマホなんてまだみんな持っていなかったですよね。それが今や9割以上の人がスマホを使っていて、シニア層も日常的にLINEやネット通販なんかを活用しています。

そう考えると、「不動産売買のやり取りをアプリで行う」ことが一般的になるのも、現実的な展望だと思っています。

奈須さん

アプリを活用すれば、たとえば地方にある古民家を若い人たちが買うとか、家主のいなくなった実家を売りに出す、といった不動産売買がグッと身近になるはずです。

私たちは、ユーザーに寄り添いながら、旧態依然とした日本の不動産業界に一石を投じ、変革をもたらしていきたいと思っています。

ハードルの高い「家の売買」が手軽にアプリでできるようになる日も、そう遠くないのかも。

大分県アクセラレーションプログラム「Oita GROWTH Ventures」は、2025年2月26日(水)に成果発表としてOita GROWTH Ventures DEMODAYを開催したそうです。

ご興味のある方は、ぜひ公式HPをチェックしてみてください!

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