

シングルマザーから世界を目指す起業家へ。「Bambitz」が描く、子育て支援の未来図
毎日頑張っているママ・パパを応援
新R25編集部
大分県主催の「Oita GROWTH Ventures」(おおいたグロースベンチャーズ)は、事業成長を志向している起業家・第二創業者の方を対象に、さらなる事業成長を支援するアクセラレーションプログラムです。
「成長」×「豊かさ」に軸をおき、急成長するスタートアップだけでなく、「3つのGROWTH」に代表される起業家ニーズに合わせた多様な成長を支援してきました。
今回お話をうかがうのは、令和6年度の採択者のうちの一人、株式会社Bambitz 代表取締役の花田亜弥さんです。
24時間365日のベビーシッター&家事代行サービスを立ち上げた経緯について聞きました。
〈聞き手=古川裕子(新R25編集部)〉
2人の子を抱え、シングルマザーに。仕事と育児の両立に悩みながら、新たな選択へ

花田さん
「子育てサポート バンビッツ」は、100%マンツーマン、24時間365日サポートのベビーシッターサービスです。
保育士・子育て支援員がお宅へ伺い、子育てサポートや家事代行を行っています。

古川
24時間365日、ベビーシッターさんにヘルプをお願いできるのは、子育て中の方にとってはものすごく心強いですね。
なぜ、そのようなサービスを立ち上げたのですか?

花田さん
当時、地元の大分県を離れ、福岡県で会社員をしているときに結婚をしました。その後、子どもが1歳と2歳のときにシングルマザーになり、仕事と育児の両立は本当に難しいと感じました。

古川
1歳と2歳…想像を絶します。

花田さん
いきなり子どもの熱が出るなど、予期せぬ事態がたびたび起こるわけです。
子どもが熱が出たときに会社は帰っていいよと言ってくれてましたが、有給休暇だけでは休みが足りず、欠勤扱いになることも増えてきました。そうすると収入も減ってしまうんですよね。
かといって、副業をしたくても保育園以外で子どもを預かってくれるところもないし、行政に相談しても手段がなく、解決の糸口が見つからなくて。


花田さん
収入が減ったことで生活が成り立たなくなりましたが、「私と同じように困っている人を助けたい!」と思ったんです。
そこで会社を辞めて、資格取得や就労支援の手伝いをする「NPO法人 Bambitz(バンビッツ)」を立ち上げました。
そこではひとり親の方を対象にサポートを行っていました。

古川
自分の困り事から同じ境遇の人を助ける活動につなげるなんて、すごい行動力ですね!
「Bambitz(バンビッツ)」という名前の由来は?

花田さん
動物の「バンビ」からです。
動物って、親子で群れて、チームとして動くじゃないですか。人間にも、みんなで支え合えるようなチームがあればいいなという想いを込めています。

古川
なるほど。一人で仕事も育児もこなすのはかなり大変ですもんね…周囲の協力は不可欠ですよね。

花田さん
でもその「NPO法人 Bambitz(バンビッツ)」は、5年ほど活動したのちに解散することになりました。
そして今から10年前、子どもが小学校に上がるタイミングで、実家のある大分へ戻ってきました。
コロナ禍で制限されたベビーシッター部門。そこから生まれた“起業への決意”

古川
大分県に戻ったあとは、どういう生活を送っていたんですか?

花田さん
食品事業と保育関連事業を行っている会社に就職し、私は保育園の運営に携わるようになりました。
当時、保育園事業のなかにはベビーシッター部門もあって、「24時間365日、困ったママたちのすべてに手を差し伸べる」という方針でした。
まさに私の想いと同じで、忙しく働いていたのですが、コロナ禍による組織改革で方針転換してしまい、すべての人をサポートすることができなくなってしまって。

古川
せっかく理想的な環境で働けていたのに、残念でしたね…

花田さん
そこでは保育園とベビーシッター部門の責任者も経験していたので、「それなら私がやろう!」と思い、会社を辞めました。
そして、新たに「子育てサポート バンビッツ」として、個人での運営を始めたのです。

古川
そこでも「24時間365日、困ったママたちのすべてに手を差し伸べる」という方針でやられていたのですか? 個人で対応するのは大変だったのでは…

花田さん
そうですね。ゼロからのスタートだったので、最初は売り上げも見込めず、現実はそう甘くはありませんでした。
それでも育児に困っている方の支えになりたいという一心で、懸命にサポートを続けていたところ、少しずつ利用者が増えてきたんです。
そのタイミングで「株式会社 Bambitz」として法人化し、再出発しました。

古川
その後、「Oita GROWTH Ventures」(おおいたグロースベンチャーズ)へ応募されたんですね?

花田さん
そうなんです。
結局、子育て支援には、行政と企業の理解と協力が不可欠です。
子育てや親の通院などの事情で働きたくても休まざるを得ない従業員が、私たちのようなサポートを利用することで働くことができます。
このように、従業員への働きやすさに寄与した企業に対しては行政から補助金などの支援をしてほしいと思います。

メンターのひと言で視野が激変。ますます広がる可能性

古川
「Oita GROWTH Ventures」(おおいたグロースベンチャーズ)へ応募してみて、どうでしたか?

花田さん
当初、自分ではやるべきことがわかっていても、それをどうカタチにしていいかわからなかったんです。
でも今回のプログラムを通じて、あっという間にカタチになっていくのを実感しました。

古川
メンタリングでは、何か気づきや自分の変化はありましたか?

花田さん
メンターの方が、「経営者目線で、利用することで生まれるメリットが一目で理解できるプレゼンの方法を考えてみませんか?」とアドバイスしてくださったのが、“目から鱗”でした。
それまでは、自分の想いや事業の意義を伝えることばかりに一生懸命だったんです。
でも、それだと一方通行で終わってしまう。目線を変えるとアプローチが立体的になるということに気づかせてもらいました。


花田さん
また、さまざまな企業へ事業説明をする際も、わかりやすい言葉で、シンプルに、働く方のメリットがわかるような伝え方が必要だというアドバイスもいただきました。
今は、それを考えている最中です。

古川
今後の事業構想はありますか?

花田さん
小さなお子さんがいると、結婚式や葬儀の参列を諦める人もいると聞きます。
そんなときに、ベビーシッターがいれば行動に制限をかけなくて済むのではないかということをメンターの方に相談したら、葬祭事業を展開している方をご紹介いただいて。
今、全国を視野に入れた話が具体的に進んでいるところです。

古川
すごい! どんどん事業が広がる可能性を感じますね。


花田さん
世界中で、子育てをしている方々がいます。
日本人シッターの質の高さを強みに、大分県にとどまらず、日本全国や世界で事業を展開していくことが私の夢です。
私の行動一つでどこまでも飛躍できると思うと、ワクワクしかありません。
この起業家育成支援プログラムを通じて、夢を実現する力も培われたと感じています。
子育ては親だけでするのではなく、行政や企業、そしてベビーシッターという“サポーター”たちとの「チーム戦」。子育て世帯のお悩みを解決しようと奔走する花田さんが見ているのは、国境を超えた世界でした。
大分県アクセラレーションプログラム「Oita GROWTH Ventures」は、2025年2月26日(水)に成果発表としてOita GROWTH Ventures DEMODAYを開催したそうです。
ご興味のある方は、ぜひ公式HPをチェックしてみてください!
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