“メンバードリブン経営”で急成長企業ランキング日本1位に。Massive Actが描く、新時代の組織像
失敗から学んだ“成功の方程式”
新R25編集部
企業が成長するためには、従業員のワーク・ライフ・バランスが犠牲にならざるを得ない…というイメージをもっている方も多いのでは?
でもその概念、もう古いかもしれません。
デジタルマーケティングとDX支援を手がける株式会社Massive Actは、「アジア太平洋地域における急成長企業ランキング2024」のAdvertising & Marketing部門にて国内1位を獲得しながら、最重要事項としているのは「従業員の働きがい・働きやすさ」だそうです。
一見相反するように見えるこの2つの事項、どうやって両立させているの…? 同社の代表取締役・高萩遼介さんに、急成長の秘訣と独自の経営哲学について聞きました。
〈聞き手=古川裕子(新R25編集部)〉
驚異の成長率で業界をリード。Massive Actの取り組みとは
高萩さん
株式会社Massive Actは、2017年に創業したデジタルコンサルティング・カンパニーです。
「変革の起点を創る」をミッションに掲げ、統合デジタルマーケティングとDX支援を通じて、クライアントの事業成長をデザインしています。
古川
前回は、御社が取り組まれているDX支援サービスについてご紹介いただきましたよね。
高萩さん
今年、弊社は「Financial Times- High Growth Companies Asia-Pacific 2024」(アジア太平洋地域における急成長企業ランキング2024)において、総合ランキングにてアジア50位/国内2位を獲得しました。
しかも「Advertising & Marketing」部門では、アジア2位/国内1位という結果に。
古川
「アジア太平洋地域における急成長企業ランキング2024」というのは…?
高萩さん
日本経済新聞社傘下の英国出版社Financial Times社と、ドイツの統計調査データを提供するStatista社が共同で調査を実施するランキングです。
対象は、オーストラリアをはじめ、香港やインド、マレーシアなど、アジア太平洋地域の13地域に本社がある企業。
2023年6~10月までの間に各企業の成長率(2019〜2022年)を集計し、TOP500社をランキング形式で発表していて、日本企業は101社入賞しています。
古川
それで国内1位とは、かなり注目を浴びそうですね。
高萩さん
おかげさまで昨年に続き、2年連続でTOP500社に選出されました。
古川
なぜ、そこまで躍進を見せているんでしょう? めちゃくちゃ営業しまくって顧客獲得に努めているとか…?
高萩さん
いえいえ。むしろ設立8年目になりますが、新規営業は一切したことがありません。
既存のお客さまからの紹介のみで、7期連続で増収増益を達成しています。
成長の源泉は、高萩さんの“経営の哲学”にあり
高萩さん
私たちが成長を遂げている理由は、独自の「メンバードリブン経営」にあると思っています。
古川
メンバードリブン…?
高萩さん
メンバーこそ“経営の起点”だという考え方です。
なので弊社は売上第一とか顧客第一とかではなく、従業員のWell-being、つまり働きがいと働きやすさを最重要視するというスタイルを大切にしています。
というのも、現場の最前線でお客さまや社会に価値を提供している従業員が、会社に不満をもっていたら、いい価値を提供できないと思っていて。
古川
確かに。どこかに不満がにじみ出てきちゃいそうです。
高萩さん
ですよね。「従業員の満足度向上」こそが提供価値・サービスレベルの向上、ひいては企業競争力につながる源泉です。
従業員が生き生きと活躍できる環境を整えることで、イノベーションが生まれ、お客さまへより質の高い価値を提供することができる。そして、お客さまから高い評価をいただけることで、企業の競争力が高まるだけでなく、さらなる社内への投資・整備が進められます。
この好循環のサイクルを何よりも大事にしています。
古川
とにかく「人」重視なんですね。その考えに至ったのはなぜですか?
高萩さん
それは、過去の失敗があったからです。
私は以前経営していた会社で、業績の急成長にばかり目を奪われ、従業員のケアを疎かにしていました。
その結果、チームが崩壊してしまって…
古川
今と真逆だったんですね。
高萩さん
本当に正反対でした。そこで深く心に刻んだのは、一つひとつの仕事の奥底には常に“人”がいるという事実を忘れてはいけない、ということ。
この教訓を活かし、Massive Actでは“人”を中心に据え、従業員の自律性を引き出すことを経営の根幹に据えるという、大きな挑戦に取り組みました。
古川
具体的にはどんなことをされたんですか?
高萩さん
まずは時間外労働の削減と、柔軟に働ける制度の推進を行いました。
フレックスタイム制度やリモートワークの導入、残業撲滅委員会による「みなし残業」の撤廃など、体調や家庭環境に合わせた働き方を活用し、各自が勤務時間のコントロールをできるようにしています。
古川
残業撲滅委員会…! 実際、どのようにコントロールしているんですか?
高萩さん
残業時間の多い従業員にはヒアリングを行い、どの業務にどれくらいの時間がかかっていて、どうすれば改善できるか、どういう仕組みなら解決できるかを従業員同士で一緒に議論しています。
古川
ひとつずつ原因をつぶしていくんですね。
高萩さん
これにより、普段見逃してしまうような細かい工数の見直しや、ワークフローの修正ができるメリットもあるんですよ。
高萩さん
また、従業員だけでなくその家族やパートナーも尊重しているので、みんなが幸せになれるよう、福利厚生も充実させています。
たとえば有給休暇以外の特別休暇として、介護・看病休暇、PMS休暇、ボランティア休暇、アニバーサリー休暇、家族孝行休暇、男性従業員の育児休暇取得制度、キッズ在宅&キッズデイ休暇など。さまざまな休暇制度を整えています。
古川
でも、最近は同じような取り組みをしている企業も多そうですよね。
高萩さん
そうですね。ただ、制度を整えても、実際に利用されなきゃ意味がないですよね。
私たちは本気でこの問題に向き合っています。その証拠に、東京都主催の「令和4年度 東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」にも選定されました。
形だけの制度ではなく、従業員一人ひとりが躊躇なく利用できる環境づくりこそが、真の「メンバードリブン経営」の実現につながると考えています。
さらなる成長と社会的インパクトを目指して
高萩さん
また、Massive Actのもうひとつの特徴が「実行ドリブン」の理念です。
古川
とりあえず手を動かす、みたいな…?
高萩さん
ざっくり言えばそうですね。弊社では「100の議論よりたった1つの実践を」をモットーに、スピーディーな意思決定と実行を重視しています。
直面する課題に対して真正面から取り組み、愚直に成果を追求するという姿勢は、社内はもちろん、クライアントへのサービス提供にも反映されています。
古川
DX支援となると、確かにスピードも求められそう。
ただ、全員が同じスキルセットや経験を持っているわけではないですよね。そのあたりの対策は…?
高萩さん
まず、社員の問題解決能力向上のため、自発的なアウトプットを重視しています。そして業務の振り返りや改善策の考案を通じて自身のスキルを客観的に評価し、成長できるよう促しています。
また、資格取得や書籍購入、研修受講など、社員の自主的な学びに対する費用支援を行うことも。
さらには独自の教育プログラムを通じて、DX推進に不可欠な課題定義力やコミュニケーション能力を持つ人材の育成に注力しています。
これらの取り組みが評価され、2024年2月には「JAPAN HR DX AWARDS FINAL*」エンゲージメント部門で優秀賞を受賞しました。
*人事分野の領域で先進的な取り組みを行う企業を表彰するアワード。一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会が開催
古川
今後の展望や目標はあるのでしょうか?
高萩さん
私たちの目標は、単に利益を追求することではありません。
これまで培ったデジタル技術を駆使して、クライアントとともに社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。
そのためにも、メンバーそれぞれが持つ可能性を最大限に引き出せる組織づくりを続けてまいります。一見、メンバーの幸せと企業の成長は両立が難しいように見えるかもしれませんが、決してトレードオフの関係ではありません。
メンバーが生き生きと働ける環境こそが、持続可能な成長を実現する第一歩。今後もこの理念をもとに、挑戦していきたいと思います。
従業員の満足度をキープしながら、企業としての成長も実現させる。
従来のビジネス観念を覆すMassive Actの挑戦には、新時代の組織経営のあり方が凝縮されているようで、今後の展開も目が離せません。
組織の変革を検討されている企業の皆さんは、Massive Actの「メンバードリブン経営」を参考にしてみてはいかがでしょう。
〈執筆=吉河未布/編集=古川裕子〉
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