企業インタビュー
自分と相手の声を聴けば、誰かの役に立てる。年商1億超えのコーチングスクール代表が語る“聴き力”のススメ
優しい人を強くする“コーチング”の威力
新R25編集部
SNSなどを通じて誰でも自分のことを発信できる時代。
SNSを通じてファンをつくり、さらにオンラインサロンやECショップの開設など、自分の好きなことや得意なことをお金に変えるハードルが下がりつつあります。
そんな個人の“マネタイズ”や“ファンづくり”をサポートする「MOSH」と新R25のコラボでお届けしている「The Next Creators」。
ビジネスパーソンにおすすめしたいMOSHを活用している次の時代を創る注目クリエイターたちを紹介していく本連載。
今回はコーチングスクール「聴き力の学校」など、さまざまな形でコーチングを世に広めている森田市郎さんが登場!
「聴き力の学校」は、年商1億円を突破。名実ともに“コーチングの伝道師”として活躍している森田さんは、実はもともと「自分は人の役に立てない」と悩んでいたんだそう。
そんな森田さんを変えたのは、23歳で訪れた“とある体験”でした。
【森田市郎(もりた・いちろう)】34歳。愛知県出身、神奈川県在住。23歳のときに親友の自殺未遂を機にコーチングに出会う。2017年にコーチ・講師として独立、その後2,000名以上にコーチングを提供。現在はコーチ活動とともに、プロコーチ育成/セミナー講師/ビジネスコンサルタントとして全国で活動中。自分軸とコーチングが身につく「聴き力の学校」は全国4大都市にて開講中。2023年12月27日に初の著書『一生ブレない自分軸の身につけ方』を出版。プライベートでは二児の父
本気で人を「助けたい」と思ったときに訪れた、コーチングとの出会い
――(編集部)森田さんの現在の活動内容について教えてください。
森田さん
株式会社アウェイクの代表取締役をしておりまして、「聴き力(ききぢから)の学校」というコーチングのスクールを、東京・名古屋・大阪・福岡の4都市で開催しています。
ほかにも、企業研修や講演をさせていただいたり、コーチングやセミナーなどを仕事にしたいという方に向けたビジネス支援のスクールの運営をしたりしています。
――(編集部)森田さんが「コーチング」に注目されたきっかけは?
森田さん
ちょっと話が長くなるかもしれませんが、聞いてもらえますか?
僕、実家が天理教の教会なんです。天理教は世襲制なんですが、僕は5人兄弟の長男で、跡取りとして生を受けたんですね。
なので、基本的に親が決めたレールとか、親が言うことを守りながら生きてきました。
でも一方で、「心からそれを望んでいるか?」と問われたら、疑問を感じる…というか。
「人の役に立ちなさい」と教えられても、そう思えなかったり、どうやって人の役に立ったらいいのか分からなかったり。
僕の父は、毎月100人くらいの檀家さんに説法をするんですけど、めちゃくちゃ話が上手くて。
父の話を聞きながら、子供ながらに「将来、父みたいに話ができるかな? 自分には無理だ」って、コンプレックスを抱えてましたね。
――(編集部)なるほど。跡継ぎという立場に戸惑ってらしたんですかね。
森田さん
そんな僕だったんですが、23歳のときに、親友の自殺未遂の現場に遭遇しまして。どうしたら彼の力になれるのか、一生懸命に考えました。
生まれて初めて、誰かを「助けたい」「支援したい」という感情が湧き上がったんです。
そして、勉強するようになったんですよ。最初は本やYouTubeで心理学を学んで、知ったことを親友に伝えたんですけど、彼の状態は全然良くならなくて。
どうしよう、と思ったときに出会ったのが、鈴木義幸さんの『コーチングが人を活かす』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)という本だったんです。
――(編集部)その本には、どんなことが書かれてあったんですか?
森田さん
何かを「伝える」とか「説く」というより、「聞く」とか「引き出す」という寄り添うアプローチが対人支援になる、ということが書かれてありました。
それまでは、「こういうふうに捉えたらいいよ」とか、「こんな行動をしたらいいよ」みたいな、僕からの発信が多かったんですけど。
「聞く」とか「寄り添う」とか、傾聴を意識して関わった途端、彼の心がパーンと明るくなっていったんです。
――(編集部)そんなに明らかな変化があったんですか…! すごいですね!
森田さん
そうなんです。「死にたい、死にたい」って言ってた彼が、数週間後には社会復帰できて。
助けてくれてありがとう、聞いてくれてありがとう、出会ってくれてありがとうって、生まれて初めて言われました。
僕はずっと自分を父親と比べてきたし、人の役に立とうと思いきれない自分を責めていました。
でも、彼に「ありがとう」って言ってもらったその日を境に、「自分も誰かの役に立てる」と思えるようになったんです。
僕は説法とかは苦手かもしれないけど、「聞く」ことで人の役に立てる!と思えた。
初めてやりたいことに出会えたし、自分自身の才能みたいなものにも気づくことができたんですよね。
――(編集部)それは何歳ぐらいのときですか?
森田さん
23歳のときですね。
親友との出来事をきっかけに、コーチングについて勉強し始めたんですが、いきなり起業したわけではないんですよ。
大学卒業後の3年間はボランティアをしていて、その後は企業に就職をしました。
そして、営業職をしながら、副業を始めたんです。副業の内容は、コーチングビジネスや心理学の勉強会。
副業の売り上げが50万円くらいになったので、それを元手に事業を拡大しようと決めて、2018年、29歳の4月に独立したんです。
優しい人こそ強くあれ。“2つの聴き力”が身につくスクールの魅力
――(編集部)現在は「聴き力の学校」というコーチングのスクールを運営されて年商1億円超えということですが、どんなことを学べるスクールなのでしょうか?
森田さん
「聴き力の学校」は、ふたつの聴き力を身につけることで、人間関係をよりよくし、社会で活躍し、自分らしく生きられる人を増やす、というのがコンセプトです。
――(編集部)ふたつの聴き力、とは?
森田さん
ひとつめは、「自分の魂の声を聴く」こと。ふたつめは、「相手の心の声を聴く」ことです。
最初の5カ月で「自分の魂の声を聴く」体験をしていただき、残りの5カ月で「相手の心の声を聴く」ことを実践的に学んでいただきます。
――(編集部)まずは、自分自身を知ることから始めるんですね?
森田さん
はい。何のために生きるのか、何を大事にして生きたいのか、自分のギフトは何か…ということを、コーチングを通じて一人ひとりに見つけてもらいます。
そして、5カ月間の成果物として「ミッション・ステートメント」というのを作ってもらうんですよ。
――(編集部)それはどんなものですか?
森田さん
自分自身のミッション、ビジョン、バリューを言語化して、仲間の前で語るんです。
受講生にはいろんな方がいらして。上場企業の役員の方もいれば、学生さんもいる。
みんながニックネームで呼び合って、普段の属性を外して、これまで誰にも話したことがないようなことを、みんなで語り合うんです。
自分自身の人生の羅針盤を自分で作り、そこに旗を掲げて発信すれば、共感する仲間が増えていく…講座の中で、みなさんにそういう体験をしていただきます。
――(編集部)受講生さんは、どんなきっかけでいらっしゃるんでしょうか?
森田さん
実は、紹介での受講が8〜9割なんですよ。
まわりの人がいいって言うから受けてみた、っていう。口コミや紹介がすごく多いです。
コーチングを学びに来るというよりは、「聴き力の学校」のコンセプトに共鳴して受講してくださる方が多いと思います。
自分の魂の声を聴いて自分らしく生きる。そして、人の心の声を聴いて人の役に立つ。
そういう人生にしていこう! と、意志を持って参加される方が増えてきましたね。
――(編集部)コーチングのスクールはたくさんあると思うのですが、「聴き力の学校」の他にはない特徴をあげるとしたら?
森田さん
…ちょっと変な質問をしますけど、「あのラーメン屋、めっちゃうまかったですよ」って言われるのと、「あのラーメン屋、めっちゃうまいらしいですよ」って言われるのとでは、どっちが食べたいと思いますか?
――(編集部)「めっちゃうまかった」って言われるほうが行きたくなりますね。
森田さん
ですよね。リアルな体験は、説得力が違うんです。
『聴き力の学校』では、最初の5カ月間で僕たちスタッフからコーチングを受けてもらい、「コーチングってすごい!」と確信した状態になっていただいたうえで、コーチングの技術を学んでもらいます。
これが最大の特徴です。
――(編集部)なるほど! いきなり知識を詰め込むのではなく、「これはすごい!」という体験を得てから学んでいくんですね。
森田さん
そうなんです。「聴き力の学校」にはふたつのこだわりがありまして。
まずひとつめは、リアルでしか受講できないということです。オンラインではなく、オフラインのみ。
リアルな仲間との出会いやご縁、共に作る時間や空間の中で、決して1人ではできない体験を味わってもらいます。
――(編集部)ふたつめのこだわりは?
森田さん
感情を動かす、ということですね。
「聴き力の学校」には、座学やそのための資料はほとんどありません。五感を使って、感情を動かして学んでいただきます。
なので、1日の講座の中で、みなさん爆笑したり、号泣したりします。
――(編集部)感情が揺さぶられるんですね。
森田さん
そうそう。感情の中に大切なエッセンスがあるんですよ。
コーチングのスクールではよく、「過去を深掘りしましょう」みたいなメソッドがあります。
それは、感情が動いた過去の体験を棚卸していくような作業なんですけど。でも結局のところ、過去のことを思い出しながら、“いま”感情が動いているわけで。
“いま”の感情が一番じゃないか、って思ったんですよ。
なので「聴き力の学校」では、講座の中で感情を動かすことを大切にしています。
――(編集部)リアルな環境で感情を動かす。オンラインでのやり取りがあふれている今だからこそ、特別感がありますね。
森田さん
おっしゃる通りです。「聴き力の学校」では、ふたつのキーワードも掲げています。
ひとつめは「パワーパーソン」。これは、パワースポットのように、人に生きる力を与えられる人物を指します。
「パワーパーソン」として在るための手段として、コーチングという武器を身につけていただきます。
――(編集部)コーチングを、よりよく生きていくための道具にするんですね。
森田さん
そうなんです。ふたつめのキーワードは、「優しい人こそ強くあれ」というメッセージ。
他人のことを優先しすぎて自分らしさを見失っている人って、いらっしゃいますよね。優しいがゆえの痛みというか、悩みだと思うんですけど。
優しい人が自分らしく生きて、確かな影響力を持ち、まわりの人を幸せにしていく…そこを応援したいなっていう思いが僕にはあって。
「聴き力の学校」には、優しい人しか来ないんですよね。「誰かの役に立ちたい」「誰かの心の痛みに寄り添いたい」、そういう思いを持った人たちばかりなんです。
「どうしたら、こんないいコミュニティができてるんですか?」ってめちゃくちゃ言われるんですが、それが本当に素晴らしいなと思っていて。僕の一番の誇りですね。
「聴き力の学校」のコミュニティで出会える仲間とのご縁が、うちの最大の強みかもしれません。
子どものためにも、生き生きとした“パワーパーソン”を増やしたい
――(編集部)『聴き力の学校』で学んだみなさんには、何か変化はありますか?
森田さん
よくあるのは、仕事が変わる、役職が変わる、住む場所が変わる、付き合う人が変わる。
結婚したり、離婚したりもあります。
副業や起業にチャレンジする人も多いですね。
――(編集部)みなさん、何かしら意思決定をされるんですね。
森田さん
そうですね。これまでないことにしていたもの、目を背けてきたものに対してちゃんと目を向けて、チャレンジしはじめるということが、けっこう起きます。
スクールを卒業して、本業としてコーチングに取り組む人は、受講者の2割ぐらい。本業にするわけではなく、手段のひとつとしてコーチングを使う方が3〜4割ですね。
たとえばコーチングの手法を1on1のミーティングに使う指導者の方もいれば、子どもとの関わりに使うお母さんもいる。
使い方は本当に人それぞれです。
――(編集部)森田さんの指導を受けることで、自分自身の心が動く体験をし、今度は誰かの心を動かす経験を積まれるのでは?と、お話を伺っていて感じました。
森田さん
まさにおっしゃる通りで。僕らの目的は「パワーパーソン」を作り出すことです。
「聴く」というのはひとつの手段ですが、その人といると元気になるとか、勇気づけられるとか、私もチャレンジしよう! と思わせられる…そういう人が多くなるように思います。
――(編集部)コーチングは、世の中を元気にしていくんですね。最後に、森田さんの今後の展望について教えてください。
森田さん
「自分として生まれてきてよかった」って思える人を世界中に増やしていきたいです。
それと、「すべての子どもたちが、10歳までに一生分の勇気を得られる世界」を作りたいです。僕は子どもが2人いまして、父親になってからそう思うようになったんですけどね。
「アドラー心理学」で知られるアルフレッド・アドラーは、「人は、10歳前後までに自分の人生のあり方を自分で決める」というようなことを言っています。
それってつまり、子どもは10歳までに出会う人や環境から何かを得る、ということで。
生き生きとした「パワーパーソン」が子どものまわりにたくさんいたら、子どもにとって最高の環境になるんじゃないか、って思ったんですよ。
ただ、僕自身は子どもに教えることとか、関わることが得意じゃない。だったら僕は、大人にフォーカスしようと。
僕は大人の「パワーパーソン」を増やす。そして、大人の「パワーパーソン」たちが、子どもたちと関わる。
そういうつながりが世の中に増えていけばいいな、って思うんです。
――(編集部)きっと良い社会になりますよね。
森田さん
ですよね!
それと、めちゃくちゃ個人的な文脈で言うと、「毎年、最高の乾杯を更新する」という目標があります。
一緒にお酒を飲んで、心から楽しいと思えるかどうかが僕は重要だと思っていて。
お酒の席では、役割や緊張感から解き放たれた個々の本質や相性が出るし、感情も湧き出てくる。
何かをやり遂げたときにする「乾杯」の瞬間に、「この景色をみんなで見られて最高やな!」とか、「俺ら頑張って良かったよな!」って、腹の底から思いたいんですよね。
「感情の質」イコール「人生の質」と、僕は思います。
仲間といればこそ味わえる感情の質を高めていきたい。「今日の乾杯は最高!」っていう気持ちを、常に更新し続けたいですね。
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